赤の騎士 2017-03-01 00:05:01 |
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( / 個別トピックの設置ありがとうございます!改めて、これからもよろしくお願いいたします。
本日は遅い時間ですので一先ずご挨拶だけで失礼いたしますね。)
(/ご移動ありがとうございます。こちらこそ不手際が目立ちますがどうぞ宜しく御願い致します。
素敵な夢が訪れますこと願っております。)
ご機嫌よう、女王陛下。
今日はメアリ・アンが茉莉花茶を取り寄せてくれたようだから、白兎さんにお見せしたいと思っているの。
メアリったら、以前制服をお借りした時に交わしたお話を覚えていてくれたみたいで……ふふ、とっても親切な方ね。
ああ、お話が逸れてしまったわね。
白兎さんに茉莉花茶をお見せしたいのは勿論なのだけれど……あの方は騎士様にとっても私にとっても大切な人だから、お茶がてらこの関係をお話ししておこうかと思って。
惚気けてる、なんて笑われてしまうかしら?
お茶の準備と、何かお茶菓子も用意しておくから……白兎さんのお仕事が一段落したら知らせてくれるよう、お声掛けしておいて下さいな。
(一人のアリス、元アリスと称するのが正しい少女に呼ばれた。呼ばれた内容は以前話題に上がった花開くと言うお茶が手に入ったと言う事らしい、ソワソワと逸る気持ちを抑えながら仕事を終えたのはつい先ほど。表情や姿勢はいつもと変わらない堅苦しい雰囲気で、普段よりも耳先がピクリピクリと揺れてしまうのは誤魔化しがきかない楽しみな感情からだろうか。部屋による前に届いた荷物をそのままの箱に入った状態で手土産として持ち、箱の中身は紅菱酥と呼ばれるものらしい。芋虫に推測ながらの彼女の故郷の菓子を探して貰ったもの、いくつか候補が有った中で選ばれたのは色味が優しく印象に残る姿をしていたからか。目を引く優しさは不思議と凛とした彼女を連想させるもので。扉を数回叩けば「白兎だ、__茶を頂きに来た。」誘われたから、だなんて口にするのはなんだか柄じゃなく用件だけを述べるように少しばかりつっけんどんな言葉を扉の先へ贈り)
__いらっしゃい、お待ちしていたわ。……ふふ、丁度お茶の準備が出来たところだったの。何だか貴方らしいわね。
(母国では頻繁に楽しんでいた球根を思わせる様な小さな茶葉の塊、何だか懐かしささえ感じるそれをテーブルの上に用意すると共に城の厨房でコックと大捜索を繰り広げた後に漸く発見したやや西洋風ながら今日の茶を入れるのには丁度いい硝子製のティーセットを並べていけば正に準備が完了した、というタイミングに扉をノックする音が響いて。ゆっくりと扉を開け相手を迎え入れながらそんな相手らしい時間丁度の来訪にくすりと笑みを浮かべ、先導するようにして部屋の中へと招いて。「お仕事の方は大丈夫?貴方って真面目だから、根を詰めすぎていないか時々心配になるの。日頃頑張っているんだもの、今日はゆったりと楽しんでいって頂戴ね」テーブルには例の茶葉に硝子のティーセット、加えて花開くような茶に合わせた菊花酥と呼ばれる花を模したパイを手製で用意しており、椅子を勧める様に軽く手を差し伸べながら久しぶりに対面した相手の近況を心配するような言葉を続け。仕事に追われて、というようなことはなくとも慇懃な相手なら追われない為に根を詰めてしまいそうなもの、せめてこのひと時を休息にしてもらえればと薄く微笑みながら伝えて)
時間に遅れることは性にあわないのだ、___届いたままの物で悪いが、ただご馳走になるのでは申し訳がない。気に入るといいが……(開いた扉の先に広がるティーセットとは帽子屋邸にて毎時開かれるそれとは雰囲気の異なる不思議なもの、それは今まで己の見てきたお茶会とか馴染みのない初めて見るパイも然り。まるで、不思議の世界に紛れてきたようだとそんな事をらしくなく思ってしまう程、完成された物で。忘れてしまう前にと無骨な洒落っけの無い手土産を渡せば己に向けられる気遣いとは悪くない、少しだけ口角を持ち上げて「お前が手伝いに来てくれるなら、少しは楽になる」勿論強制させてやろうと言う気持ちは皆無、仕事を心配してくれる少女に対するちょっとした意地悪のつもりで返事を行い。初めて見るものとはどうしてこんなに興味を得てしまうのか、年齢を重ねてもその気持ちばかりは何時だって新鮮で。テーブルの上の球根のようなそれへ目を向け、「これが、茶になると言うのか_?」本音を言うなら今すぐ見たい。が、それを堪えるように普段通りを装いつつ振り返り問いかけを向けて。改めて向き直れば一例を行って「素敵なお茶会に招かれたこと、光栄に思う。」これ程の支度は大変だっただろう、それを己と約束したからと全てやってくれたその気持ちが嬉しくて)
あら、これは……ふふ、ありがとう。まさかこの世界で元のクニのお菓子を頂くとは思わなかったわ、折角だしこれも一緒に頂きましょう。
(手土産にと受け取った箱に入っていたのは元の世界では馴染み深い鮮やかな桃色が特徴的な菓子、まさか相手が取り寄せてまで持参してくれるとは思わずこの茶会を楽しみにしていてくれたのだろうことをその品から感じ取ることが出来れば思わず嬉しさに笑みを漏らし、受け取ったそれも茶菓子用にと準備していた皿にいくつか並べて。「貴方が望んでくれるのなら喜んで。あそこでの仕事は充実しているし……なにより、ちょっとした報復気分を味わえるもの」相手の元での手伝いは目まぐるしいこの世界の日常に置いてある種の休息と言える、落ち着いた時間を過ごせるものでもあり付け加えるならば少々博愛を振りまきがちなかのおじ様を多少なりともやきもきさせられるだろう交流のはず、意地が悪いと自覚しつつもそんな悪戯心を覗かせる様に小さな呟きを付け加えると思いだし笑いを浮かべてしまいそうになる口元をそっと指先で隠して。「__ふふ、真面目な兎さんだこと。礼儀も大切だけれど、挨拶もこの位にして早速花を咲かせてみましょう?私も淹れるのは久しぶりだから、少しわくわくしてしまっているの」興味を示す様に揺れる白い耳とは裏腹に礼儀正しくも言葉を述べる相手はいつもながらそのギャップが何とも愛らしく感じられてしまい、その心中を酌む他単純に自分自身もこの茶会を楽しみにしていたからこそ早速とばかりに茶葉を用意した硝子のポットを傍に寄せると、前もって適温に沸かしておいた湯をそこへゆっくり注ぎ始めて)
__合っていたようで安心した、その国で食べられる菓子を探しては見たが好き嫌いも有るだろう。(箱の中身を確認する間、アリスの資料として己の元に集まる資料の中で確りと彼女の元の世界を確認し、その上でこの国一番の博識である芋虫に確認したが、心配になるのはどれ程の資料でも知識でも得ることが出来ない彼女自身の好みで。それも安心に変わるのは喜んでくれていると言う事が明確に伝わるその表情からだろうか、安心が自信に変わると伴って自然と背筋は確りと伸びた姿勢の正しい物に変化して。席へ腰を下ろしてから「仕事を充実と捉えるなら、お前は私と大差ない真面目な奴なんだろう。__その報復はお前が思っている以上の力を持っているな」小さな呟きも部屋の中に二人きりで有れば確りと届き真直ぐに少女の姿を捉えたのちに「おめでとう、……そう言うべきとは理解している。悪く思わないでくれ、正直な話を語るなら私は少し残念に思う。」赤の騎士を通じて聞いたアリス辞退を少しだけ眉尻を落として困ったように後者を伝え、その後すぐに落した眉を元に戻して「だが、赤の騎士を頼めるのもお前だけだ。奴のことを頼む」他の住人と比べて一番に知る男を託すからこそ彼女が良いと願う様に告げて、硝子のポットに湯が注がれると少しずつ、広がる茶葉は先の球根とは思えない。まさに花が咲く一連を見ているようで、マジマジと逸らされる事無く真っ直ぐな視線を黙ったままに送り「……これは凄い、」口を付いたのは綺麗だとか素敵だとか賛辞の言葉ではなく単純に圧倒される様な驚きで)
貴方に言われるなら少し誇らしい位よ。……まあ、かと言って再びアリスに戻ることなどないのだけれど。私の役目も、彼の役目も投げ出した上での結論だもの。悲しい報告は生涯口にしないと誓うわ。
(湯を注ぎ花開いたのは茉莉花や百合、千日紅などが鮮やかな茉莉仙女花籃と呼ばれる種の工芸茶、湯の中で時折ふわりと揺れながら少しずつ茶の色を滲ませていくそれを眺めながらそっと目を伏せると相手の言葉に紅を引いた唇をゆるりと緩めて。慇懃な相手に言われるからこそ残念、なんて言葉も期待していてくれたのだろうと感じることが出来、永遠に戻る意思などないその役目に対する思いをかの騎士と歩んでいくだろう未来を思い浮かべながらはっきりとした言葉で伝えると、聊か熱を込め過ぎてしまっただろうかと言い終えてからじわじわ感じ始めてしまった照れくささに困ったように眉を下げて。「仙女……そうね、妖精さんと言えばいいかしら。彼女の持つ花籠をイメージして作られた種なの。お気に召してもらえたようで良かったわ」いつもその内に抱えた感情を如実に表す彼の耳へ視線を向ける必要もない程その興味を示してくれていると分かる相手の様子を微笑ましく思いながら色とりどりの花を水中で咲かせるそれに関して簡単な説明を。少しばかり時間を置いてしっかりと茶が出たのを確認してからそっとポットを手に取りガラスで作られたティーカップに注ぎ入れると、ふわりと広がる故郷を彷彿とさせる香りに頬を緩めながら相手の前にカップを勧めて)
お前の意思の強さは他の誰にもない魅力だ、__力にはならないが、時折こうして共に茶を飲む事は出来る。何かあれば相談に乗ろう、(残念と述べるのは彼女の真面目さも前述通りの意志の強さも、先手を打つ為の策略の取り方も、全てが女王になる為に必要だと思えるからで。とは言え、残念だと感じる気持ちをすンなりと塗り替えてしまう程には己を尊敬し支えてくれる彼の明るい話題が嬉しくて。素直に褒めると言うよりも平等な目線での解説の様になってしまったが、真直ぐに目を向けて茶をティーカップに注いでくれる様子を眺めながら言葉を向けて。鼻孔を擽る様な甘く不思議な香りに目尻をゆるりと少しばかり細め上げて「おめでとう、アリ__詠凛」カップを手にし乾杯の為に少しだけ掲げては口に仕掛けたその名前を途中で口ごもる様に止めて、改めてと言う様に本来の名前であるその名を告げて。「派手な言い争いをしたと聞いた。――私でさえ奴の声を荒げる所は見た事が無い」カップへ口を付けると先ほど事前の説明を聞いたからより美味しく感じるようで、普段空に向かい真直ぐに伸びる耳がゆっくりと気を休めるのに合わせてへたり、と力が抜けて。詳細は聞いていないものの、反省をするように漏らしていた内容を思い出しては、今この場にいない彼のことを頭に浮かべてからク、と喉を鳴らす様に小さく笑い「お前もやるもんだ」自身の知る彼女もまた然り、声を荒げるようには到底見えやしない。ちらり、と眼差しを浮かべれば想像がつかないからこそ面白いと言葉を呟き。初めての味にもう一口、カップを運んでから「紅茶とはまた違う、__綺麗で美味しいとは不思議だな」普段時間に追われる事が当たり前なのに、この紅茶を飲んでいると時間そのものを忘れそうになる。そんな事は初めてであり、同時に言葉にならない、正に不思議そのもので)
__もう、貴方には何でも筒抜けね。あの人が突然手を出してきたんだもの、お返しに膝裏を蹴り上げてやったの。……そうしてきちんと本音をぶつけ合えたからこそ今があるのだろうけれどね。
(呼ばれた名は自分の本来の名前、恐らくアリスに関する情報を捌いている相手だからこそ知っていたのだろうがそうして呼ばれることでもう自分がアリスではなくなってしまったことを再確認させられ。その役目から脱してしまったことを少し寂しくは思うけれど、呼ばれる名の響きに嬉しさが募るのも確か、柔らかく微笑みながら相手に応える様に此方も軽くカップを掲げることで乾杯の意を示して。かの騎士にとっても自分にとっても大切な相手、それは確かなのだがその関係を変えたあの日の言い合いの件まで既に知られているとなると流石に少々恥ずかしくも感じられ羞恥心からか仄かに頬に赤みを点しながら困ったように肩を竦めると気まぐれにカップの持ち手をその曲線に沿って指先で撫で。静かに茉莉花茶を口に含んでからそんな風に彼とぶつかり合えたからこその今を噛み締める様に静かな呟きを口にすれば相手が持参してくれた紅菱酥に手を伸ばし、表面にまぶされた白ザラメがきらきらと光るのを目を細めて眺めてからぱくり、と懐かしいそれを頬張って。さくさくとした食感や素朴な餡の甘さに軽く唇を舐めてからゆるりと表情を和らげれば美味しい、なんて心からの呟きを漏らし「香り高くて独特な風味が特徴的なのだけれど、だからこそ味わうときは甘いケーキよりも素朴で食感の良い菓子が合うの。貴方のお土産も良く合うわ」等と続ければ久しぶりに感じる母国の雰囲気に安らいだようにゆったりと椅子に体を預けていて)
___其処までは聞いていない、(耳に届いた言葉は己の知る二人からは予想が出来ないもの、堪らずに虚を突かれた様子で瞬きを一度行ってから「年甲斐も無く声を荒げたと、手足が出るほどの事だとは__」驚きは勿論と胸に残るが、それでも語る彼女の表情がいじらしくなる程の可愛い羞恥が覗く物だからか。飽く迄も推測、その派手なぶつかり合いは必要なことだったのだろうと父親のような気持ちで微笑ましさを胸に落とし。差し入れた菓子を喜んで貰えれば「芋虫に相談してみるもんだ、……私だけでは何が良いのかわからなかった」優しい紅色、ピンクにも近い温かみを帯びた優しい色は思っていた通り、その手の内に有るのが良く似合う。手土産を喜んでくれるその言葉すらも嬉しく思い、安堵の滲む声色で手土産を選ぶ流れを呟き。そうして当初より皿の上に並べられていた菊花酥に目を向けて、まるで花を並べているような形のそれを一つ手にしては「これは……此処では見慣れないが、取り寄せた物か」ふわりと香る甘い匂いは己の手渡した土産にも似た生クリームやジャムとは違う控え目な甘い香りを撒いていて。見た目の綺麗さとその香りを興味深く眺めると、この国にある材料で作られているとは思えずに、加えてその出来が本物の花のように綺麗な物だった為に手作りとは思えず問いかけて、返事を聞くより先に「頂こう、」と一声を掛けてから、さくり。と耳に馴染む歯触りの良いパイの触感と、食べなれないが食べやすい、そんな不思議な甘さの菓子に瞳を細め。確かに、と素朴な甘さが口に残る中で香りの豊かな茉莉花茶をもう一口飲み「確かに、とても合う組み合わせだ」口に甘さが残らず、香り豊かな風味が残る、また一口と菓子に手を伸ばしてしまいそうになる組み合わせに"とても美味しい"と呟いて)
手足、というか……その、私は実際足が出たのだけれど。騎士様の行動に関しては黙秘させて頂くわ。
(暴力的な意味で手足が出たのはあくまで自分だけ、かの騎士に関してはある意味手を出したという表現で正しいのだろうが流石にそれを訂正するのはじわじわと高まる羞恥心を鑑みずとも憚られるもので。熱を持ってしまっているのが自覚できる程朱に染まった頬をそっと両手で包み込みながら歯切れ悪くこの話題に関してこれ以上の言及を拒否する言葉で締めくくり。「芋虫さん……まだお会いしたことはないけれど、貴方が頼る程博識な方なのね。今度伺ってみようかしら」まだ出会ったことのないこの世界の住人の名が相手から出れば想像してしまうのは緑色のうねうねとした正しく芋虫の姿、兎の耳を持つ相手を例に考えてみても想像のつかないその対象への興味を示せばほっこりと湯気を上らせるカップに息を吹きかけながら未知の相手への好奇心に胸を高鳴らせて。茉莉花茶を口に含みながら相手の賛辞に嬉しそうに微笑みを浮かべるとカップを置いてから「あら、案外厨房の余り物で出来るのよ?晩餐でのミートパイから余りの生地を、豆のスープから小豆を頂いて……あとは朝食用のセサミパンの材料から胡麻と、油も分けて頂けたの。お口に合ったようで何よりよ」菓子作りに使った材料の出所を指折り数えながら伝え。コックやメイドへ幾らか差し入れる代わりに分けてもらえた材料は勿論故郷のものとは少々違うものの近い味なら再現できるほどの代物、何よりそうして材料を集め回るのも案外楽しいもので思い出したようにくすくすと笑みを漏らせばそっとテーブルに頬杖をつきながら相手の感情を如実に表す、見ていて飽きることのない白の兎耳を眺めて)
(先程、ティーポットの中で花が少しずつ咲く流れを見届けたが、今では目の前で似たような光景が広がっている。春の知らせを告げるように淡い桃色だった頬が会話の中で赤に色味を変える様は記憶に焼き付くようで、とは言えそれを指摘するのは野暮なことと。好都合なことに鉄仮面のように表情筋の硬い面が役に立ち、芋虫にまだ会っていないと聞けば「奴は図書館に行けば大抵会えるだろう。個々には多くの住人がいるのだ、少しずつ会ってみると良い。___ジャバウォックは癖が有ったか」以前、己が紹介を行った時計屋を思い出せば少しだけ眉間の皺を強いものに変化させ問いかけと言うよりも意見を得るための疑問点と言う口振りで語尾上がりに続け。市販のものと疑わなかった花の歌詞が手作りと知れば驚くように息を飲み「タルトも美味かったが、___私はこちらの方が好みだ」以前のエッグタルトは勿論の美味しさだったが、初めての茉莉花茶との組合せとその感動に心を揺らされたことも有り感想を告げ、不意に己の頭部、よりも少し上に視線が向かっていることに気付くと、怪訝がるように瞳を細めて「どうかしたのか」隠すことも遠回りになることもないストレートな疑問を向けて)
ジャバウォッキーは癖というより、貴方や騎士様のような方々とばかり居た分少し戸惑ってしまったわ。けれどとても楽しい人だったし、今では良いお友達よ。
(騎士との関係を変えるきっかけの一端を担った時計、それを勧めてくれたかのおじ様を思い出しながら少し困ったように肩を竦めて見せれば、やはり彼と言えば真面目で紳士的な面々ばかりの中に突然現れた奔放さが印象的で。その内に何を秘めているのかまで見定めることは出来ずとも少なくとも好意的に接してくれた相手、言い争いの後再び胸元へと戻った騎士の時計をそっと撫でながらそっと笑みを浮かべ。「気にしないで、可愛らしいものをついつい目で追ってしまう性分なだけだから」菓子に茶にと興味を示す度揺れる愛らしい耳は見ていて飽きが来ないもので、それでも流石に眺め過ぎたか怪訝そうな相手ににっこりと浮かべた笑みを見せながら答えると不意に頬杖をついていた体を起こし「……ねえ、白兎さん。貴方のそのお耳、触られたり撫でられたりするのは苦手かしら?」なんて暗に叶うならその柔らかそうな兎耳への接触を請うような言葉を続ければ、胸の前で両手を合わせながら何処か強請るような視線を向けることで相手の了承を求めて)
友達、か。___楽しい人とは賛同が出来ない、私とは合わないのだ(胸元の懐中時計に触れながらまるで新たな友達紹介の様に伝えられた言葉に瞳を細め上げ、顰めるように口角を落としへの字に固定し。どうにも掴めない性分は食えずに底見えぬ不快感すら抱いてしまい、頭を少し傾けて「黒兎とジャバウォックの二人だけは何年もずっと反りが合わない」黒兎に関してはお互い様、ジャバウォックに関しては一方的にふむ、と小さく息をつくように肩を揺らして。強請られごとは今までに向けられたことの無い予想外そのものであり、突飛たるそれに堪らず目を丸くして動揺を滲ませてから思わず反応が反射的に出来ず言葉を飲み込み丸めた目を瞬かせてから漸く突然たる頼み事に理解が追いついて。コホン、乾いた咳き込みを一つ口元に運んだ手で抑え込むようにして行って「__構わないが、普通の耳と変わらない。何も面白味など持っていない詰まらん耳だ」もしも、昨日今日の親しくない間柄で有れば遠慮なく断っていただろう触れ合いも少なかれ親しみを抱いているつもりである彼女に頼まれるとスッパリ断ることも出来ず。とは言え、待つように強請られれば奥底の期待に答えられる気がせずに椅子に座ったまま過度な期待を止めるように触れることを許可する言葉を送り)
あら、私からすれば貴方みたいなおじ様に可愛らしい兎耳が生えているだけでも十分楽しいお話だわ。
(確かに相手とジャバウォックでは想像の範囲で気質が合う様には思えない二人、話で出てきた黒兎という人物に関しても恐らく気質の違いが生じる相手なのだろう。しかしながら陽気なジャバウォックと彼の会話を想像すれば見ている分には恐らく面白い光景になるはず、思わずその想像だけで小さく笑いを漏らしてしまうと相手の気を害してしまわないよう緩んでしまう口元をそっと指先で隠して。そうして会話している間もゆらゆらと時折揺れ動く相手の耳、そもそも現状の相手の姿だけでも元の世界から訪れた己からすれば奇妙で愉快な光景であり、了承を得たことを幸いにと静かに席を立ちながらそんなことを漏らせば好奇心に高鳴る胸を押さえながら相手の傍へと近寄っていき。間近で見れば見る程愛らしい耳、書類を整理する彼の感情に左右され動くそれに幾度心を奪われたことか。「__ふ、っわふわ……ッ!柔らかくて、温かくて……すごい、本当に生えているのね」柔らかそうな白い毛に覆われたそれを一度つん、と指で突いてみてから今度は大胆にも両手で片耳ずつそうっと優しく握ってみれば伝わる仄かな体温や予想通り、いやそれ以上に柔らかいその感触を暫し楽しんで。この時ばかりは淑やかさなど繕えず、不躾とは思いつつ毛を時折指で撫でる様に触りながら嬉々とした様子で言葉を漏らすと年相応の少女らしい笑みを浮かべていて)
此処では耳も尻尾もそう珍しくないだろうに……チェシャ猫とは未だ会っていないか。奴は耳が生えているだけじゃなく、私と比べて更に尻尾が大きい。時折謎々の問題提示が多く厄介だが、根は真面目な男だ。(初めて顔を合わせた際にも耳について口にしていたことを思えば動物が好きだと言う事はうっすらと伺えて、より動物に近い見た目をした住人をふと思い浮かべると紹介をするように特徴を述べて「__だが、いつも気づけば傍にいて気づいた頃にはもう姿を消している。派手な見た目をしているが、不思議と見つけられないのだ。見つけようと思えば探すのに草臥れてしまうかもしれないな」もし未だ会ったことが無いならば、会うまでが大変なことと少しだけ肩を竦ませてから言葉の補足を行って。許可の言葉を向けた時点で直ぐに立ち上がり、そうして間も無く普段誰にも触れられることの無い耳を触られると擽られているような、撫でられているような、痛いことは無いが何だか変な心地の落ち着かなさに依然体は動かすことなく背筋を伸ばしたままで、姿は見えなくとも耳に届く声色からその表情を想像することは可能で、目に浮かぶようなその姿をより鮮明にさせる為に二つの瞼を落とし。嬉々とした声に同じテンションで答える事は出来ないが、それでも澄ました様子の彼女から年相応の明るい声が聴けるのは悪い物ではなくて時折擽ったさに身じろぐにも似た雰囲気で耳を揺らし「喜んでもらえて何よりだ、」人にこうして触れられることとは、そう悪い物じゃなかったか。と久しぶりの触れ合いに、伝わる体温を感じては気持ちが温まり)
猫ちゃん……そのチェシャ猫さんにも会ったみたいけれ、ど……。
(以前から興味を抱き時折目で追ってしまっていた兎耳との念願の接触を果たせば随分と気に入ったらしくもふもふと何度も軽く握ったり緩めたりを繰り返しながら満足げな溜息を漏らし。そうして堪能している間はどうやら相手の話も半分程度しか聞こえていないのか、何とも曖昧な相槌を時折返すだけのまま暫しその感触に浸ると存分に触れ合った後漸く相手の耳を開放して。まだ掌にふわふわとした心地よい感触が残っているのか両手を握ったり開いたりを繰り返しながら自分の椅子へと戻ると「はぁ……ありがとう、とっても気持ちよかったわ」なんて未だ少々夢見心地な様子の言葉を呟けば今更ながら緩んだ表情を直そうとするようにぺちん、と頬を数回叩いて。「触れさせてもらったお礼、と言っていいのか分からないけれど、またお手伝いがてらお茶でもお持ちするわ。まだまだ貴方に知ってほしいお菓子や、お話ししたいことがいっぱいあるもの」水中で花を咲かせていた茶ももう茶葉が萎れたように見える程度しか残っておらず、菓子も一通り食したところ。そろそろ相手を引き留めるのも難しい頃合いだろうか。終わりの時間が見え始めた茶会の中で自分の元のクニの品々に興味を示してくれる相手だからこそ次の機会の提案を口にすればにっこりと紅色の唇をつり上げながらそちらの様子を窺って)
(柔らかな手の平に包まれた耳は己の無骨な指先で触れるのとはまた違う、他の住人と比べアリスとの交流自体が少ない身としては本当に数えられるほど少ない回数の触れ合いを受けて。その手が離れ、耳に感じていた感触が余韻を残すようにして無くなると普段とはまるで違う表情の彼女に、此れが父性とと言うのか、微笑ましさを感じながら瞳をゆうるりと細めて。しかし、それも彼女自身が表情を確りとさせる為に部屋に響く刺激を与えれば先ほどの年相応の幼い表情は消え、再び己が良く知る確りとした凛と前を向く聡明たる物に変化を遂げていて。頭部を一度、縦に揺らし肯定を示してから「仕事は割り振るだけの量が有るのだ、お前の時間が余っているときに何時でも手伝いに来て貰えれば非常に助かる。___アリスは多いが、私の仕事を手伝ってくれる者は稀だからな」片方の口角を持ち上げてからカップに残るお茶を飲み干して、すっかいと長居してしまった素敵なお茶会に感謝の気持ちを抱きつつ”さて、”と一声を掛けてから立ち上がり「花開く茶とは想像以上の品だった、__素敵な物を拝見させて貰えたな。感謝をする、」仕事に戻ることを告げるように今一度大変だったろうその準備に思いを馳せてから一礼を。「それでは、失礼する」耳をピコリと揺らせば挨拶を送り身体を翻し、部屋を後にして)
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