( passion / 非募 )

あー、こっちこそ悪い。
(相手が明らかに困惑して、どんどんしどろもどろになっていくのを見て此方までどんどん焦っていき。謝罪されれば、罪悪感から少々心地が悪くなり、自らの髪に触れつつ謝罪を返し。ふ、と一度視線を落としてどうしようかと考え込むが、相手の真っ赤な顔を見ているとなんだか嬉しくなって来てしまう。自分のことで、いつもは本当ずっと怖い顔をしている彼が、此処まで動揺するとは。我ながら中々ねじ曲がった喜びだと思いつつも、その感情のまま椅子から身を乗り出して向かい側に座っている相手の頬に触れてから、ふふん、と感情のままに自慢げな笑みを浮かべ。「でもお前の口から幸せとか聞けて嬉しいよ。今度一緒に城下町に遊びに行こう」困らせてしまったお詫びであり、先程と同じくらいに欲望だだ漏れなデートのお誘いをして。)

いいえ…お気になさらないで下さい
（自らの主に謝らせてしまったという罪悪感を感じ少し後先みなさすぎたと後悔しながらゆっくりと息を吐き出して。俯いたままだがゆるゆると首を振り幾らか落ち着いた声で答えるも顔を上げる気にはなれなくて、このまま部屋を出てしまいたいような気持ちになるも王の手前更なる恥は重ねられないと深呼吸をしながら気持ちを落ち着けるよう努めていると聞き捨てならない言葉が聞こえ思わず顔を上げて。「王に喜んでいただけたのなら幸いですが、城下などそう簡単に行ける訳が無いでしょう。もっと自分の立場というものをお考え下さい」ぐっと眉根を寄せ眦を釣り上げるといつも通りの固く引き締めた声で笑顔を浮かべる相手を真正面から見返し）

うーん、やっぱりダメか
(この流れなら、とは思ったが、想定以上に厳しい答えと表情に眉尻を下げ、目を眇めて。だがまぁ、その厳しさこそいつもの彼のもので、むしろ好ましく。そして当然自分の立場では外に出るのは難しいのはわかっている、また別の機会に、と思考を切り替えて。それから一つ息を吐き、椅子に座りなおして少し考えるように腕を組み、小さく首を傾げ。「じゃあそうだ。これから時々、俺と2人でお茶するって言うのは？」いたって真面目な声色でそう述べつつも、口角がわずかに上がり、眉も少々下がって緩んだ表情になっていて。全く威厳が保てないなぁと顎に手を当て足を組み直し、僅かに前屈みとなり、まるで腰を据えて交渉でも始めるかのように鋭い目つきになり。「どうだ？」と、先の言葉から一呼吸置いて、相手のほうにゆるりと流し目気味の視線を遣り、低い声で問いかけをして。)

そうですね…時間がある時、たまになら
（椅子に戻った王を見て少し肩から力を抜き微妙な変化ではあるもののほっとしたような表情をみせて。しつこく食い下がられても許可は下ろさないが困ってしまうのは事実で、案外軽く諦めてもらえたことに拍子抜けしないこともないが内心気分は軽く。問いかけられた言葉もそんな気分が手伝ってかストンと受け入れられて、相手の表情に釣られるように目尻を緩ませ答えるとふと思い出したように「ところで王よ、ご政務の進捗の程はいかがでしょうか？何か変わった点などは御座いませんか？」と尋ねて）