ロタ王国には古くから伝わる神話がある
血に飢えた邪悪な破壊神を宿すタルの娘がその力を持ってロタ人を虐殺し恐怖のもとにロタ王国を治めた。しかしタル人の民すらその娘の力を恐れ、力を使い続けて弱った娘を殺めてしまう。神話は真実を伝え、時に残酷な未来をみせる。
それから数100年。
その胸に神を宿した幼い少女は破壊神という存在を自分を守ってくれる良い神様として信仰する。タル人を差別し蔑むロタ人は悪い人。悪い人が神様の裁きによって消えるのは当然とさえ思っていた。
少年はある夜夢をみた。美しい褐色の少女の胸に光る何かが吸い込まれる夢。自分とは異なる肌の色をしたその少女はこちらに気づくと森の中に消えていった。それから月日が経ち青年となった彼の中からいつしかその不思議な夢の記憶は消えてしまっていた。
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