継 ( 主 ) 2017-01-26 00:25:05 |
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これでいい。これで出来る、はずですわ。
(そっと色白で細長い指を魔法陣に置き、ふぅと一息ついて、アメリーは何かをぶつぶつと唱え始める。黒い加工木材の上に赤いチョークのようなもので描かれた薄赤色の粉は仄かに蛍光色の光を放ちながら数ミリだけ宙に浮かび上がる。図書館にあった図鑑や魔法辞典を参考に何かそれっぽいものを見様見真似で作ってみたわけだが、此れは教科書に載っているような簡単な魔法ではないし、なにせアメリー自身がが専門外であると自称する炎系統の、「物質」ではなく「現象」である炎を操る創造タイプの複雑な発展魔法だ。無論、成功する確証はこれっぽっちも無く、もし何か確証があるとすればこの自作の魔法陣には何らかの欠点があるに違いないということであった。指先から溢れ出る魔力はは浮かび上がった粉に目に見えるように流れ込み、粉はやがて一本の光の線、つまり魔力の塊の様なものになって実体を失い、しばらくすると放熱し始める。そうしてじっくりと自らを離れた魔力を熱エネルギーに変えるべく、アメリーは目を深く閉じ、全神経を魔法陣のエネルギーに集中させる。無意識の内に体重を左足に集中させて、使っていない方の左手は強く拳を握っている。それでも、まだ何かが足りない…。炎系統を専攻している彼女と同い年くらいの生徒なら、このくらいの時間があれば、既に魔力の具現化を通り超してめらめらと燃え上がる鮮やかな炎で立派な作品が出来上がっていた頃であろう。逆に、もしこれが赤ではなく青色の光を放つ水系統の魔法だったなら、アメリーはわざわざ補助道具である魔力チョークなど使わずにも一瞬で水を創り出せていた筈だ。水が得意なら、不得意は土系統なのでは?―――とよく聞かれるが、平和や清楚を意味する水を愛するアメリーにとって攻撃的な炎は土系統と同じくらい苦手意識を持っていた。しかし、炎の力強く燃える見栄えには美しさがあった。芸術と魔法の関係を信じてやまないアメリーはこの技術を見逃すわけには行かない。そうしてこの少女はこの魔法学園西部に位置する、いかなる失敗にも耐えられそうな程頑丈そうな模擬戦闘上において、たった一人、可能かどうかも判らない「炎の彫刻」を再現すべく、未だ熱くて眩しいだけの赤い魔法陣と敢闘する。)
うう、何なのです、これ。
(とうとう、猛烈な熱に自分の手さえも耐え難くなってくる。目で見える限りは、これ以上は魔力を注ぐだけでは何も起こらない。何をすればいいのかわからない。熱さと焦りで、額に薄っすらと水滴が流れ落ちる。このまま突っ立っているだけでは、何も始まらないし始まったものも終わらない。再び、目を閉じて何をしにここに来たのかを思い出す。根本的な話では無く、単純に自分が何をしているのか……すなわち、炎を創り出す事。脳裏に、ふわっと美しく透明感のある朱色の魔学製な炎が横切る。と、同時に、ボワっという、いかにもらしい音を立てて全長1メートル強はありそうな炎の柱が現れ)
(/失礼いたします。先程投下したものは、やはり長すぎた、というかロルとして機能しなくなっているのでは…と思ったので、二重投稿のようになってしまい申し訳ないのですが、かなり短めに切ったものを再投下させてください。素敵なトピとスペース提供に感謝です!)
これでいい。これで出来る、はずですわ。
(そっと色白で細長い指を魔法陣に置き、ふぅと一息ついて、アメリーは何かをぶつぶつと唱え始める。黒い加工木材の上に赤いチョークのようなもので描かれた薄赤色の粉は仄かに蛍光色の光を放ちながら数ミリだけ宙に浮かび上がる。図書館にあった図鑑や魔法辞典を参考に何かそれっぽいものを見様見真似で作ってみたわけだが、此れは教科書に載っているような簡単な魔法ではないし、なにせアメリー自身がが専門外であると自称する炎系統の、「物質」ではなく「現象」である炎を操る創造タイプの複雑な発展魔法だ。無論、成功する確証はこれっぽっちも無く、もし何か確証があるとすればこの自作の魔法陣には何らかの欠点があるに違いないということであった。指先から溢れ出る魔力はは浮かび上がった粉に目に見えるように流れ込み、粉はやがて一本の光の線、つまり魔力の塊の様なものになって実体を失い、しばらくすると放熱し始める。そうしてじっくりと自らを離れた魔力を熱エネルギーに変えるべく、アメリーは目を深く閉じ、使ってない方の左拳を強く握り全神経を魔法陣のエネルギーに集中させて)
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