太宰治 2017-01-13 23:39:19 |
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… ( 嗚呼、中原中也。君は迚も良い子だ。…厭だったら御免 )
( ぐい、と相手の後頭部を押し、次いで背中側にも力を入れ抱き締める様な形になれば、少し躊躇ったが相手の口内に此方の舌を滑り込ませ )
( てっきり抵抗されると思ったが、抵抗どころか此方の血が滾る様な声を上げる相手にこれ以上何もするなと云う方が無理な話で。然し此処はぐっと堪え接吻程度に留めておこう、と心に誓えば震える相手の背を優しく撫でるように手を何度か上下させ。その一方で相手の口内しか行き場の無い舌は、餌に飢える獣が如く、激しく貪欲に相手の舌と絡み合って。相手の体温を直に感じ、思わず吐息を漏らせば恍惚とした表情になり )
んっ、ん…ふ、ぅ…(顔を真っ赤にさせ、ぎゅ、と相手の服を握り、背中を撫でられれば落ち着いたのか震えは止まって。相手と舌が絡み合えば、時折びく、となって)
っ…
( 離したくない…純粋にそう思った。互いに息を吸えないこの状況、呼吸困難になって心中と云うのも中々悪くない─相手の味を確認しながらそう感じ、然し其れでは相手が可哀想か、なんて心で苦笑。酸素不足で意識が飛びそうになりかけた瞬間口を離せば、水面に顔を出した魚のように小刻みに呼吸を繰り返せば「…大丈夫だった?」と未だ相手を抱き締めた儘耳元で囁いて )
…はっ…、はぁっ……、大丈夫、な訳、無いだろ…っ…(相手と口が離れれば、少し残念そうな、寂しそうな表情になるも、すぐに直して。肩で息をしながら、息を調え)
…そう?
( やや甘い吐息混じりの声で囁けば相手の耳朶を舌先で子猫を撫でる様に優しく舐め「中也、凄く気持ち良さそうだったけれど」と、矢張り甘く吐息混じりの声で囁けば、相手の背中を上から下へ片手の指先でなぞり )
んっ…、そんな訳な、!ひ、あ、うぅ…(耳朶を舐められ、ビクリと肩を跳ねさせて。相手の言葉を否定しようとすれば、背をなぞられ、身を捩らせて)
躰は素直じゃないか
( 面白い程反応を見せる相手に思った言葉が口から出る。可笑しくて可愛らしくて笑って仕舞いそうになる気持ちをぐっと堪え「…なんて、続きはしないけれどね」と相手を抱きしめていた手を離せば意地悪気に笑みを浮かべ )
ふふ、御褒美はあげすぎると甘やかしになるからね
( 無いだろうが相手側から求められればいつだって此方は行動する。それ以外で与えすぎるのは如何なものかと考えれば上記を述べ微笑んで。「然し此処で戯れるのも悪くは無いけれど…折角だ、何処か行きたい所は無いかね?」と思い付いたように提案をすれば、相手への嫌悪の感情が死んでいるのかと心で苦笑し )
…はァ?(相手の言動にきょとん、となり首を傾げて。行きたい所が無いか尋ねられれば、うーん、と悩み、「手前こそ、行きてぇ所とかねぇのか?」と行きたい場所を考え乍)
いいや、此方の話だよ
( 目を細め口角をやや吊り上げそう答えれば、ふふと笑い。「私?…ううん、中也の行きたい所なら本望なのだけれど…」なんて、本当は決めるのが面倒なだけだ。半分は本音なのだけれど、なんて心の奥で付け足せば「本当はどちらかの家でのんびりしたいのだけれど」なんてぼそりと呟いて )
ふぅん…?(疑いの目で見つめ乍も納得して。相手の呟きが聞こえ、少し悩んだ末に「…なら、俺の家に来るか?」と自分の家の方向を親指でさし)
厭だなぁ、私がそんな非道い事をする奴に見えるかい?
( 見えるのだろうな、何故なら其の心算で相手に接しているのだから。と、思いつつ冗談めいた口調でそう述べ。「私達の立場上、拙いかも知れないけれど…偶には、ね?」ううんと唸るも、薬の所為もあり、矢張り今日は甘えたいと云う気持ちが勝り、相手の手を取り「中也の家まで先導してくれ給え」と続け )
何年一緒にいたと思ってんだ。(はぁ、と溜め息を吐き、「…今日だけだからな…」と、相手の手を握って遣り、「はいはい、判ってるから焦んな」と苦笑して)
…かなりの間かな
( 濃厚だった数年間を思い出し、笑みが自然と零れる。嗚呼、最低で最高な時代だったあの頃。今の平和呆けしそうな生活も悪くない。が、矢張り過去も悪くは無かった。感情に身を委ね、ほんの僅かな時間、過去に浸る。─少し間を置いてから、相手の手を握り返せば「さぁ、行こうか」とだけ )
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