2017-01-04 21:35:31 |
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First love is only a little foolishness and a lot of curiosity .
初恋とは少しばかりの愚かさと、
あり余る好奇心のことである 。
Character .
_____ 主要4人 _____
花岡 穣 __ Hanaoka Minori __
158 cm . 47 kg . ( 16 )
face / 二重 、 焦茶の瞳 、 紅い唇 、 涙黒子 、 垂れ目 、 綺麗め
hair / 黒髪 、 ミディアムロング 、 前髪8 : 2 、 サイドに金ピン
優しく明るく学力は中の下 ____ というのは演技。その気になれば簡単に学年1位をとれる学力。基本的にドライ、黒い。親しい人には本来の姿を見せているが、兄には見せていない。高校一年生。
物心付いていない幼い頃に両親が父の不倫により離婚、再婚して由鉉と "義理の双子" となる。初恋は由鉉。父の不倫で実は半分血の繋がった兄が同じ学校おり、その兄に真実を教えられた。義理の兄に構ってもらうために演技を続ける。義理の兄が好きだということは本当の兄にしか伝えていない。
花岡 由鉉 __ Hanaoka Yuzuru __
170 cm . 60 kg . ( 16 )
face / 切れ長一重 、 黒い瞳 、 睫毛長 、 唇薄い
hair / 黒の短髪 、 ストレート
爽やかで真面目、優等生といえる。テストは常に上位、運動神経も良い。しかし自己評価は低く穣が本来出来るということにも薄々勘づいているため、本気でやろうとしないことも多い。読書家。高校一年生。
幼い頃に再婚したため未だに真実を知らず穣のことを妹だと思っている。密かに穣を好いており、兄弟という立場を憎む。自分で思っている以上に穣に依存しているらしく穣に何が起こったときには容赦しない。以前1度事件がありその時に桐と仲良くなった。
雛 __ Hina __ 1年
152 cm . 40 kg . ( 17 )
face / 二重 、 茶色の瞳 、 目尻緩 、 睫毛長 、 色素薄い系 、 ややハーフっぽい
hair / ハニーブラウン 、 ボブ 、 前髪ぱっつん
祖母がフランス人でクォーター、日本人とは少し変わった容姿。両親は世界的な企業の経営者で世界を飛び回っていた。今はフランスに住む祖母と学者として世界にその名を轟かせた日本人の祖父に必要なお金を貰いながら一人暮らし( お手伝いさんはいる )をしている。学校は気が向いた時にしか行かないため頭はあまり良くない。高校一年生。( 留年 )
幼い頃は全て親の言う通りにこなし感情を表に出さない人形のような子供で、周囲から気味悪がられていた。とある出来事により桐と出会いがらりと印象、雰囲気が変わったが、親しい人がいないところでは相変わらず人形のように表情が無い。
桐 __ Kiri __
176 cm . 63 kg . ( 18 )
face / 一重 、 三白眼気味 、 黒い瞳 ( カラコンで灰色 ) 、 目が笑ってない
hair / 錫色 、 ナチュラルウルフ
常に笑を浮かべる自由人。学力においては学年1位どころが全国1位も容易いほどだが、本気を出すことは無い。一人暮らしをしている。高校三年生。
穣と半分血の繋がった兄弟。穣の実の父と桐の母が結婚した時に偶然が重なって穣の存在を知る。穣が中学3年、桐が高校2年のときに穣に真実を告げに行った。理由はただの暇潰しや好奇心だったが予想外の穣の想いを知り妹のために裏から手を回し無事由鉉と友人となる。雛とは両親の事故後に出会いお互いに酷く依存している。
詳しい設定は お話の中で 。
Character .
_____ 出たり出なかったり _____
クロード・ルクレール
___ Claude Leclerc ___
179 cm . 65 kg . ( 17 )
face / 二重 、 エメラルドグリーンの瞳 、 鼻高い 、 爽やか 、 色白
hair / ブロンド 、 ツーブロック
雛の祖母の甥で留学として日本の学校に通うフランス人。フレンドリーな性格故友人も多く、休日はお洒落な服装で街を歩いていることも多々ある。雛にベタベタな桐を何かとライバル視しているものの敵わず、いつか勝てる日を夢見ている。高校二年生。
佐野 瑠璃 __ Sano Ruri __
160 cm . 50 kg . ( 16 )
face / 奥二重 、 おっとり 、 黒色の瞳 、 濃い赤をした唇
hair / 真っ黒 、 ロング 、 適度に切りそろえられた前髪 、 艶
日本舞踊やお茶を習っており、控えめで落ち着いたまさに大和撫子。双子の幼馴染みであり穣の親友で、穣が同年齢で唯一本性を見せている相手。言うことははっきりと言う性格、他人の恋愛沙汰等にはとても鋭い。自分のことには大分鈍感。
実は穣の好きな人も若干気付いているが、本人から言われるまでは口出しはしないつもりでいる。
辻本 葵 __ Tuzimoto Aoi __
170 cm . 62 kg . ( 16 )
face / 一重 、 色黒 、 彫り深い
hair / 黒色 、 ショート
一年生にしてバスケ部のレギュラーに選ばれた運動神経抜群の変人。由鉉と日野と仲良し。デリカシーが無いのかずばずばと質問を出しては嫌がられる。しかし友人は大切にするし真面目で面白いため、嫌われることは少ない。とても可愛い彼女持ち。
日野 __ Hino __
170 cm . 59 kg . ( 16 )
face / 切れ長一重 、 顔が小さい 、 色白 、 イケメン
hair / 黒色 、 ストレート
日野は日野、と言われるイケメン。名前で呼ぶ人は少ない。由鉉と葵の友人。中性的な顔をしているため性別問わずモテるという。笑いのツボが浅くよく笑っている。物凄く可愛らしい彼女持ち。
神戸 __ Koube __
180 cm . 67 kg . ( 28 )
face / 一重 、 眼鏡 、 眠そう
hair / 黒色 、 ストレート 、 短髪
国語担当の高校教師。優しくも真面目な性格でこうべちゃんと呼ばれ親しまれている。
染髪やカラコンと校則違反だらけの桐を気にしていて、何かと話しかけてくる。話していると安心感がある。
他にも 出てくるかも … 。
夢を見ている。
もうずっと、同じ夢。
終わらないように、
薄く薄く引き伸ばして
ぺらぺらの、中身のない夢を。
目覚めることのないように。
[ 空白 ]
平均点より下のテストは、その半分以上が赤いバツ印で埋められていた。名前の横に書かれた45点、自分の "頑張り" の証。
比較的若くて美人で人気の先生は返却時に生徒1人1人にメッセージを送っているらしく、特に男子は頬が緩みきっている人ばかりだった。
「 花岡さん、もう少し頑張れば良い点はとれるからね、ほら、お兄さんに教えてもらったらどうかしら 」
内容の割に恐ろしい程に嫌味を感じない言い方に寧ろ感心しながら適当に頷いて、ガタガタ揺れる不良品のイスにつく。案の定イスの足が傾いて危うく舌打ちしそうになったのを必死で堪え、頭の悪い女子がそれを見て笑った声も当たり前のように聞き流し、いつも通りの花岡穣の顔を貼り付けた。
どうでも良かった。
周りの女子が必死で追いかける流行も人気のドラマもアイドルも、男子が話している漫画の内容、好きな人の話も。可愛いパンケーキ、化物みたいに顔が変わるプリクラ、有名なブランドが手がけるワンピース。そんなのも全て、早く消えてしまえとまで思うほどに。
目の前のテストだって、さっさと破り捨ててやりたいと思うほどに。
「 ……馬鹿みたい 」
ふ、と息を漏らしてテストを握ると、ぺらぺらの紙はいとも簡単に皺だらけになった。中身のない数字が並んだだけの紙は学生にとって最大の敵。
それが、こんなに簡単だなんて。
ずっと昔から、同じことの繰り返しだった。覚えて、書いて、少し考えて、また書いて、その分点が貰えて、褒めてもらえて、通知表に同じ数字がつく。通知表の全ての欄に同じ数字がついた時は親に大喜びされたし、先生にもとても褒められた。
でも、それだけ。
どれだけ褒められても結局ただの数字に過ぎないそれは、花岡穣にとっては息をするよりも楽にとることが出来るものだった。それがとても、苦痛だった。わざと宿題を忘れても授業を抜け出して遊んでも、それまで当たり前のようにとってきた数字は当たり前のように欄の中に存在している。
出来るならこの脳みそを取り出して踏みにじってやりたいと思った。自分の言う通りにならない数字が嫌いでたまらなかった。
みのりちゃんみのりちゃん、と母親から呼ばれる名前が嫌いになった。名前の横に書かれた3桁の数字を見るだけで頭痛がするようになった。それから2桁の数字を取るために必死になった。それが、3桁の数字をとるよりも難しかったのは、花岡穣という人物の大きな欠陥。役立たずの脳みそは常に頭蓋骨を揺らして頭痛を起こした。
頭の悪い親は同じ間違いを繰り返すと悲しそうな顔をしてテストを捨てた。計算の間違いは許してくれなかった。欄の中の数字はずっと変わらない。
ほら、結局同じでしょ?
頑張るだけ無駄だって。
幾度となく脳内に響いた声に頭蓋骨を揺さぶられて、揺さぶられて、ぎしりと鳴いて、それでも、穣はやめられなかった。
だって、だってね、聞いて、お願い、
彼は、この数字に誰よりも執着していたから。私じゃだめだから。
自分がクラスの誰よりも、学年のだれよりも優れた頭脳を持つことは知っていた。でも穣は、知らなかった。ただ1つだけ、何も知らなかった。穣が花岡穣である故に、知る術を持たなかった。
自分よりも劣る人物からあいしてもらえる方法を。あいされる方法を。
自分を犠牲にするなんて、
人聞きの良いことだわ。
貴方は、本当の犠牲者は。
[ 濡羽 ]
中学の勉強は小学校より一段と難しくなった。そんなフリをしたら親は納得したように、驚くほど何も言わなくなった。
高校では更に難しくなったような素振りを見せると、諦めたらしく今度は兄を褒めるようになった。
「 由鉉くんは凄いわねぇ 、 みのりちゃんも見習わないと駄目よ 」
90点の紙を手に兄を褒める母親の顔は気持ち悪く歪んで見える。でも気持ち悪いなんて言えない。母親の中の、花岡穣は、
「 ___ いいなあ、お兄ちゃん 」
今度勉強教えてよ。
私も90点、とりたいなあ。
今更思い出した高校で1番初めのテストのこと、そんな些細なことさえ忘れられていないなんてつくづく役立たずな脳みそに嫌気がさす。
ゆらゆらと揺れる視界にうつる45は、出来れば今すぐ消してやりたかった。
正しくはないけれど、あくまでも解き方のパターンとしては考えられるであろう方法で、確実に、正確に、丁寧に、間違った答えを導き出すのが、穣のテストで重要なこと。
そのためには正確な答えを出す倍の時間と思考力が必要で、パターンを考えて間違った解を出すという意味の無いことをひたすら行い続ける。
そして確実に平均点より少し下の点数を並べること。
それが、穣が穣として生きていくために必要な事で、あいされるために、必要なことだと思っていた。
あいされたいと思ったのは小学5年生の夏、方法を思いついたのは小学6年生の春、そしてそれを実行するようになったのは中学1年生の秋。
出来ることを出来ないと言うようになった。分かる問題をわざと間違えるようになった。穣として、愛されるための犠牲として嘘を積み重ねていった。
少しでも構ってもらえるように、必死で花岡穣を演じ続けた。毎日1人でお城を築き上げている。今も、昔も。
踏みにじられても壊れない、とても頑丈で丈夫な真っ黒いお城。
中身のない、嘘の詰まったお城。
お城を1度、簡単に壊された事があった。
それは、中学3年の雪の降った日。
あにを、兄だと思わなくなった日。
そろそろ正直になろうよ。
ほら、見つけられそうじゃない。
隠したって無駄だって!
きゃははははは、ばあか、
みーつけた。
[ 青渴 ]
二卵性双生児、しかも男女となると、そっくりそのまま同じ顔で生まれる事は無い。良い例だ。
両親のどちらからとったとも思えない垂れた大きな目は、見つめられる度に心臓を掴んだ。赤く色付いた唇は、緩やかに弧を描いた。
花岡由鉉は、真面目な子だった。
叱られることはしなかったし、しようとも思わない。率先してリーダーに名乗り出る、そんな子供だった。
勉強もそれなりに出来た。授業を聞いて、家でノートを見返せば簡単に頭に入った。テストの点も上々、クラスではトップ。挙手回数も多く意欲的で大変良い生徒。まさに優等生。
由鉉くんは凄いね、頭良いね、なんてもう何千回言われてきた言葉は相変わらず嬉しいしけれど、それとは裏腹に花岡由鉉の名前の横に3桁の数字はほとんど存在しない。
予習復習も欠かさず、宿題も丁寧に何度も解き直し、更にはテキストを買って貰って自主的に学習した。それでも、見えない糸に引っかかって転んで、1等にはなれなかった。
通知表にも、ぽつぽつと違う数字が並んでいた。
それを息をするように、簡単に、奪っていったのは。
「 穣はいいよね、頭が良くて 」
そう言ったのは小学5年生の夏、1学期がちょうど終わった日。ジリジリと蝉が鳴くより小さな声で言ったそれは、穣の耳に溶け込んでいる。きっと今も。
自分はこんなにも努力しているのに、大した努力もしないで当然の様に数字を並べる穣が憎い、と。
その日は、頭痛で眠れなかった。
中学生の秋、初めて穣より上の点数をとった2学期の期末テストで、由鉉は微かな違和感を感じた。ほんの些細な、僅かな糸の解れのような。
花岡穣という人物がどういう人物か誰よりも知っていたからか、由鉉が穣を特別視していたからか理由は定かでは無いが、その時たしかに由鉉は、花岡穣は既に、花岡穣では無いのだ、と気がつく。
由鉉が4文字の重み、圧力を、改めて叩きつけられた瞬間。
花岡由鉉は賢い子だった。
その感情にはとうの昔に気が付いていた。これに名前をつけてしまえば全て駄目になると分かっていたから、自分を騙して引き出しに入れて鍵をして隠しながら、薄まるようにと時間を引き伸ばしていた。
その引き出しの鍵を手渡したのは、濃くなるように積み重ねてきたのは、花岡穣という人物だ。
ぺらぺらの感情に名前なんてあるのか、と鼻で笑ってやりたかったけれど、残酷なまでにその感情は濃くなっていくだけで、自分を騙すのさえ難しくなっている。
だから由鉉は諦めることにした。
鍵を受け取って引き出しをこじあけて、ドロドロに煮詰まった感情を丁寧に掬いあげる。
ばかだなあ、ほんとうに。それだからみのりにかてないんだよ。
「 ……わかってるよ、そんなの 」
それを愛だと名付けたのは、中学3年生の秋。
「 みのり 」
「 なあに、ゆづるくん 」
「 大好きだよ 」
「 …ふふ、わたしも大好き! 」
「 ずっと一緒にいよう 」
「 うん、ずっと、 」
それは残酷なまでに、美しい夢の話。
( ハッピーエンドを迎えるまで、貴方が全てを知るまでは、本当のわたしは眠り続けるの。幸せな夢を見るの。 )
お前は今まで幾つ無くした?
[ 月白 ]
珍しく歩いて外出したものの何の因縁か大雨に当たり、高価なものだという桃色の傘から落ちる雨粒を眺めている。雨は一向に止む気配が無かった。
視界が歪んでは戻り、くるりと回転しては戻り、脳に霞が掛かり出す。
いつものパターン、特に珍しくもないそれを軽く顳顬を叩いて誤魔化すと、ぼんやりとしていた視界がやけに綺麗に映る。
「 … ッたく酷い雨だよねェお嬢さん? 」
鉛色の、お世辞にも綺麗とは言えない色をした髪が鼻先を掠めた。
ゆっくりと唇から滑り出したような、耳障りの良い声が鼓膜を揺らす。
全く見覚えのない顔の人間に話しかけられるのは初めてではない。どうせ両親のことを知っているのだろうと明ら様に嫌な顔をしているはずだったが、彼は特に気にした様子もなく笑った。
ぞくり、と、背筋が凍りそうなほど美しく。
髪と同じ色をした瞳を緩く細めて、柔らかに、艶やかに。
「 …… かわいそうな女の子 」
そう、言った。
ばちん、と音がして右頬に激しい痺れがはしった。数秒後に訪れた痛みは、ジリジリと皮膚を焦がすように引っ付いている。
お付の若い女の人の短い悲鳴と父の怒声を聞きながら、寧ろこれで済むのかと雛はぼんやりかんがえていた。
雨の日に令嬢が使用人も付けず、遅くまで人通りの少ない公園で遊んでいた。
そんな事をしたなら、以前なら3回は力一杯殴られた挙句に一晩中外に放り出された筈だったが、どうやらまた失ってしまったらしい。
雛にとっての全ては両親だった。何をするのも両親の言いつけをきちんと守りぬく良い子に育てられたから。
言いつけを守らなければ、大切なものを無くすのだと言う。それが何かは今もわからないけれど、きっとそれは愛情だとか期待だとか、そういうものなんだとおもったのはつい最近で、罰が急に軽くなった日だった。
もういい、と言われているような気がした。
雛の瞳には、何も映っていない。
仕置と称して閉じ込められた、地下にある牢屋のような場所。時刻も全くわからない暗闇の中、自分の中で何かが壊れる音を聞いた。
「 もう、いいよ 」
助けて。
_____ 桐くん。
「 仰せのままに、お嬢様 」
それを、きっと世間一般では
共犯 、と呼ぶのだろう。
[ 蘇芳 ]
真ん丸い瞳はゆらゆら揺れて、目玉いッぱいに自分を映し出す。
「 待たせちゃッた 」
けらりと笑って見せると途端に茶色い瞳が蕩け、やせ細った腕で強く桐を抱きしめ、小さな可愛らしい唇にのせて悪魔のように囁く。それは残酷で、全ての中で最も甘美な響き。
「 大好きだよ、きりくん 」
初めて見た時のあの瞳を忘れることは無い。
どろどろの珈琲のような、底の見えない茶色で塗りたくられた瞳には何も映っておらず、今にも消えてしまいそうな儚さを醸し出す。
それを美しいと、可愛いと、欲しいと、思ってしまった。どんな手を使ってでもこの子を、自分のモノにしたいと思った。
( ヒーローなんかじゃなくて、狼なンだよなァ )
絡みつく腕にそッとキスを落とし、柔らかい髪にも口付ける。両親を亡くして居場所が無くなった、そんなことが
__________ お揃い 、 だなんて 。
ポケットの上から瓶に詰められた錠剤を撫でる。固くひんやりとしたそれが現実を突きつけ、絶望に突き落とすのだ。そうして一生絶望の中で足掻き続ける。
( まァそれも、良いかなッて )
朝日が登る時間、狼は遂に獲物を手に入れた。沢山の犠牲と引換に手に入れた獲物はもう二度と自由にはなれない。
いつまでもいつまでも、死の瞬間まで、彼らは共犯者のまま。
美しく歪んだ愛と共に。
『 7時43分、速報です。今から1時間前、大手企業〇〇社の代表取締役社長である✕✕氏と妻である✕✕さんが自宅で殺害されているのが発見されました。2人の娘である高校生の少女の行方が分からず、警察は何らかの関係があると見て捜査を進めています。殺害された2人は日常的に少女に暴行を加えていたとされており、殺害に使われたと見られる凶器等は未だ見つかっていないことから、警察は薬物を使用した可能性が高いとしています。それでは次のニュースです。先日、…… 』
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