枯れ草 2017-01-03 14:50:55 ID:16e00feef |
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許せない。何度でも思い出してつらい。現実に帰れない。悲しみが癒えない。つらいだけ。目に移るもののほとんどが憎たらしくて仕方がない。
ぎりぎりで踏み止まる繰り返しに疲れた。いつまで同じことをしればいいんだろう。踏み越えたら何かが好転するのだろうか。そう思えないから、踏み止まるんだけれど、理性のつもりが本当は臆病なだけなのかな。
人生を目茶苦茶にされたってこと、もう認めないと駄目だ。この気持ちはどこにやればいいんだろう。探さないといけないよね。その先にしか、きっと私の現実はないのだから。
うぅ、久しぶりにやってしまった感じ。多分、飲み過ぎの所為で身体がガクガク。気分は高揚して目も冴えているのに眠いし、そろそろ記録をつけておくのもうんざりな吐き気もまたまた\(^p^)/
身体はそんなでも、頭の調子は良い気がするから寝るのが怖い。睡眠を挟んだらきっとリセットされてしまう。でも、眠たいし、起きていても身体はグロッキーな感じなんだよね。
あっちに移行しよう。やっぱり、このサイトは残るのが嫌だ。手軽に来れるのがまた私には危険だね。直近のレスだけ、流すくらいはしたいけれど、これという内容も思い付かないな。
りぃーん。
柔らかい月明かりの見守る境内に一輪の華が芽吹くように澄み渡りゆく鈴音。長く人の声を忘れていたのではないかとさえ思われたこの場所にも、息づく物達は存在していて。
りぃーん。
変わらぬ音色。変わらぬ景色。今日もまた、何千何万回と繰り返されてきた変わらぬ日常が、この神社に訪れる。
りぃー…
筈だった。
ぶちり。
途切れる声音。途切れる日常。不快感を否応なしに植え付けるような雑音により産まれたのは静寂であり、共に“日常に非ざるモノ”がその姿を覗かせる。
白一色の着流しに漆黒の笠。
首元に巻いた長尺布地も漆黒であり。
握られた右手からすらりと斜め下方に伸びる白銀の刀身も、紛うこと無き異常そのもの。
男は嗤う。微笑みを零していた満天の月を背負い、口角吊り上げた微笑みを零して。
「うふふ。」
男の足元には小さな小さな鈍褐色が広がってゆく。
しぃん。
秋の夜長を賑やかす鈴虫の音色が事切れる。珍しいわね、等と小首を傾げられているのなら、それはまだ日常の範疇、だが。
「違うわね。」
単なる勘だ。いつも楽しんでいる音色が途切れた事が問題なのではない。もっと単純(シンプル)で明確(クリア)な感覚。
暴力と残虐をこれまでかという位にだだ漏れさせた“殺意”という気配が、私の直感に警鐘を鳴らす。
はぁ、と漏れてしまう溜め息一つ。
当たるのよね、私の勘は。
ーそう、これは日常ではない。異変だ。
「アンタ、隠すつもりも…無いわねっ!」
勢い任せにすぱあぁんと開いた神社の襖、次いで飛び出したのは紅白色の巫女服を着た娘、否、真実はその指先から放たれた一紙。
ただひたすらに、真っ直ぐに。
黒笠の男の喉元目掛けて吸い込まれるように飛翔するソレは爆殺の御札であり。
空を切り裂きながら一直線に突き進む真白の閃。けれどその鋭い札も元を正せば一枚(ひとひら)の紙。
明確な殺意伴う刄に対峙するには、余りにもか細い力であり。
黒笠の男が手首を返し垂直に斬り上げた一閃の下、儚くもその身を真二つに散らしてしまう。
―――ややあって、静寂を破る御札の爆音が二つ。
「…まずは挨拶と言ったところか、紅白の巫女とやら。」
にいぃ、と口を歪めて男は嗤う。
爆殺に依りその生命を狙われた事など意に介さず、寧ろソレを望んで止まないことのように。
「知っているぞ。お前がこの世界指折りの実力者であるということは。――だが。」
ちきり、と鍔鳴りの音が流れる。
共に男は、やや後ろに引いた左足の指の先にぎりぎりと力を籠めて。…一拍。
石に小さな亀裂を育む。
――“本当の生命のやり取り”を知っているのか?
「うふわっっはああぁぁぁーー!!!」
剣は凶器
剣術は殺人術
そして人斬りは所詮人斬りであり、それこそが唯一の真実。
己が生涯を凶器と狂気に捧げた男が、あらん限りの大声量で狂い叫びながら巫女の元へと疾駆する――――!
ぞわわわわ。
何となく。いや、一定程度は覚悟していた心算(つもり)ではあった。
しかし。それでも。
身体は言うことを聞いてくれずに全身に走る鳥肌。決して体調不良でも夜風が寒い訳でもない。
最早予知と言える水準(レベル)に到達した鋭い“勘”が、人間の域を凌駕して迫りくる狂人を全力で拒絶する。
ここまでのイカれ具合は想像を超えてるってぇの!
「ったく!何なのよもうっ、気色悪いのよアンタっ!!」
慣れた手付きで袖口から顕現させるは札5枚。
その配分は前に差し出した右手に4枚を。背に秘めた1枚を後ろ手に。
―――悪いけど。
私だって、場数は踏んでいるのよ。
妖怪に。吸血鬼に。亡霊に。鬼に。天人に。果ては神様に。
勝利を収めてきたこの私を。
「“博霊の巫女”を舐めんじゃないわよッ!」
とん、と神社の架木(ほこぎ)を踏み台に軽やかに跳躍。既に十の歩に満たない間合いへと肉薄してくる輩を睨め付けながら、即席の戦略を披露する。
右手を凪いで4ツの力を。一拍遅れて左の本命を。
寸分の狂い無く飛翔する白札は、狂人の四肢と心の臟を刈り取る矢となり展開される。
―――やはり、微温(ぬる)いな。
裏を掻く狙いは申し分無し。
事実、左から発せられた技の“起こり”は掴めなかった…が。
人斬りとは宵闇が主たる戦場であり。
なれば夜目が効くのも自明の理。
更に差し迫る驚異でも真白き彩ならば尚、見誤るなど以ての外なのだ。
そうして視認された5つの白に対し。
右足を強く強く踏み込みながら同時に。
右の半身を取ることで先の4枚を虚空(そら)に遊ばせ。
右足を軸に跳躍することで、本命たる1枚すら飛び越えて。
「こんな程度(もの)か、博霊の巫女?」
喰らうが良い。
何百何千もの血肉を啄んできた、この刀の狂気を。
―――二階堂平法・一の太刀―――
この世界を護り続けてきたその熱く滾る血潮を。
存分に堪能させて貰おう。
真一文字に閃く一閃がその歪んだ欲望を満たすために今、巫女の胴へと肉薄する。
―――疾走(はや)いッ!
差し向けられた狂刄だけではない。
戦略を的確に見抜いた洞察力も。受け攻めを流れるように転換した行動力も。そして真一文字に閃いた斬撃も。
単調な鍛錬のみでは決して至ることの叶わない極みの境地。けれど今、目の前の男は確かに真に“生きるか死ぬか”の世界で“生きてきた”極みの存在。
こういう時に思い知らされる。
スペカは皆の生命を守る不文律として最適な手段ではあっても。
絶命を免れるルールを敷いてしまえば、どうしたって危機回避能力や対抗力は落ちてしまう。
「く―――ゥッ!!?」
無理矢理に体をくの字に折り曲げる。
辛うじてスッパリと真二つになる事態は回避。
続け様に“何もない”空を踏んでひらりとバク宙し、罰当たりにも神社の屋根上へ離脱する。
って、罰当たりとか地の文の分際で。
言ってる場合じゃないっての。
悔しいけどアイツは…戦闘に特化すれば汎ゆる面でデタラメに速い――!
ぜぇぜぇと吐き出す呼吸が嫌に月蝿い。
額に浮かぶ脂汗もとても不快で。
腹部を押さえた左腕の白い袖口は、じわりと赤色に侵食されていく。
さぁて。
このままだとかなりヤバいわね。
ふぅ、と一息付くと何処からともなく右手に収まっていた私の相棒。
お祓い棒を一振りし。
その瞳には、反抗の意思をありありと籠めていく。
(下げ機能、知らずに申し訳ありませんでした。尚、実力の都合上、敢えて東方側にかな?り不利に展開していくと思いますが、何卒御容赦いただければ。いや、巫女さん初っ端から本領発揮では勝負があっという間ですので(笑))
巫女の血を浴びた刄も。
斬撃の感触が遺る右掌も理解しているのは。
初太刀にて決着できていないという事。
ソレは人斬りとしては失敗を意味する事象であり。
――逃さぬ!
それならばと足元に迫った架木(ほこぎ)を壁代わりに後方へと身を翻した後、休む間もなく燈籠を踏み台にして屋根上までの跳躍を成功させる。
石畳に木材に燈籠に。
三段跳びを為す事なぞ卓越した人斬りにとっては造作無い行為ではある。
しかし。
先刻ちらりと視界に入った巫女の跳躍。その起点となるモノは存在したか?否、物理的にも踏み台も無く跳躍する手段など有り得ぬ。
咄嗟に湧いた疑問に対しても。
狂人であると自負はするも只、人を斬るに必要な常識は逸脱せずに理を詰めて。
限り無く迅速に結論付けたのは正か不正か。
正解を把握する前に奮われる第二の力は。
紅白を縦横に斬り拓かんと結ばれる十字の二閃。
―――二階堂平法・十の太刀―――。
そう来るわよね。
初太刀を貰うという不覚を取った。
それならば追撃するのが最善手。
おいそれと見逃す事など愚の骨頂。
だからこそ。
次なる一手は読み易いもの。
「今度は―――
瞬時に後ろ上方へと飛び退き剣客の間合いから離脱を図る。
予測できれば回避可能と踏んでいたのに、それでいて尚はらりと落ちた数本の前髪が物語るのは、男の人間離れした技量の賜物ではあった…が。
―――私の番よッ!!」
コイツは強い。
人を斬って、斬って、斬り殺してきたという“経験”が更にコイツを強くしているのね。
ならば最適な手段は明々白々。
私は“空を飛べる”巫女。
人が経験不可能な常識外の一撃なら――
「はああぁあぁあ――――ッ!!!」
改めて月灯りの見守る闇夜で空を踏む。
そうして進行方向を真逆に転回した私は、ありったけの力を漲らせ。
漆黒の笠を穿ち割らんと脳天目掛けてお祓い棒を振り下ろすっ!
「ぐぶッ??!」
振り下ろされた一閃に抗う余地はなく。細く切れ長の双眸を目いっぱいに見開いた時には巫女の一撃が顔面に深く深くめり込んでいく。
そうしてミシミシと鼻骨が震え、衝撃に耐えられずにソレは左にへしゃげて折れる。
刹那に生じた出来事に思考が全く追い付かず、気付いた時には背を強かに石畳へと叩き付けられていた。
「~~~~っ!!!」
呼吸が出来ぬ。
肺が詰まり、意識を刈り取られそうになる瞬間。遅れて胃の中身が逆流するかのような不快感に襲われ、口から盛大な血飛沫を吐き出す。ふらりと多々良を踏みながら立ち上がる。しかし、尚も男の右手の一刀は地に落ちることはなく。
「く…くくくく……。いいぞ、そうでなくてはな、博麗の巫女。」
折れた鼻からしとどに血を流し。
口端からも零れ落ちる血すら意に介さずに、男は未だ肩を揺らして嗤う。
人斬りとして振るわれる力。その刀は今も顕在。
ならばいくら傷を負おyが、眼前の敵を屠るには何ら支障などないのだ。
確かに目の間の女は強い。
不可思議な身のこなしに巫女として使役できる力は、人外の力なればこそ人の身である自分が叶わぬのが道理ではある。だが。
「ぬぅん!!」
真の人斬りは、斯様に浅いものではない。
拭えども落ちることのない血の匂い。目を閉じても反芻される切り殺した者の怨嗟の声。夢の中でも消えることなく辺り敷き詰められた夥しい髑髏の床。
人として正常を保つことのできないそんな異常を、日常としてきたのだ。
お前にソレが理解できるか?
戦から離れ、安穏とした日常に甘えてきたこの幻想の人間に。
そんな貴様等に、俺が敗れるというのか―――っ?!!
脳内を駆け巡る様々な感情を。経験を抑えることなく有りの侭に。
自身に一撃を見舞った女の瞳を睨め付ける。否、真に見据えんとするは女の芯。
己が剣気を叩き付けることで敵の戦意を。行動を。場合によってはその呼吸までも束縛する。
ソレこそが自身の極めた兵法の最大の奥の手であり。
【二階堂兵法・極意 心の一方】
お前の力がホンモノかどうか、見せてみるが良い。
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