甘々 2017-01-02 16:58:52 |
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(一度たりとも好意を向けた事は無い己の青白い手の甲、静脈の集結が一目で分かる不気味さに嫌悪感さえ芽生えるというもの。それをまるで制裁を下すように噛み続ける事によって薄く赤みを帯びた歯型の痕が記される一連を見つめ。一体何を脳裏に浮かべ外界のものを体内に迎える唯一の入口たる唇の向こう側へ収めてしまっているのか、真相に至る程思いを汲み取る事は出来ず、やがて離れて行く少しばかり艶が現れた小さな唇を名残惜しく目で追いかけ辿り着いた笑みに少々遅れて微笑み返し。何事もなかった様に繋がれたまま降ろされる腕に残る体内の温かく柔らかな感触と強い圧迫により神経を刺激された事によるひりっとした痛みが何故だか心地が良いものと脳はインプットしたらしく、名残惜しさの原因が漸く理解出来た所で酷い欲情の塊が目を覚ます前に胸の底へと仕舞い「そうかな、"君"は十分魅力的だから少々心配だけれども。____ふふ。」町の中心へと歩みを進める程単調な建築物も密集していくと同時に人並みも増え腕を引かれる間でも無く必然的に己が少しばかり後ろで肩は重なり合い。冗談だとしてもなんとも可愛らしい言葉に思わず小さな小さな笑い声を零し。直ぐに余った片手によってその唇を閉ざし「…うーん。そういえばここ暫く何も食べていなかったような。」元より食への興味が乏しく、サーカスでも観客から貰ったお零れに交じったチョコレートや飴菓子など口にはせず屑箱へ見送っていた為、やや困り顔で足を止め屋台を見渡し。相手を横目に一瞥した後今度は先に歩き始め)リズリー、君が好きなものを食べたい。君が口にするものを共に口にするよ、強いていえばその辛いポテトを早く食べてみたいな。
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