普通の日常をー【非募】

あぁ、たまには悪くない
（この二日間が楽しいのあ飽くまで普段と違うからだと言い聞かせ、ガサガサ音を立て昼食を取り始め「お前はどうなんだ？」社交的な弟なら心配ないだろうが、念のため尋ねておき

まぁ、順調かな
（久しぶりのバイトが楽しくこのままで居たいという本音が半分だがこんなこと口が裂けても言えるはずがなく。遠くから手伝ってほしいと自分を呼ぶスタッフの姿が見え「ごめん、僕行くよ」残りの昼食を食べ足を向けて

おう、行ってこい
（こうしていれば普通の兄弟で、手伝いに行く弟の背中を見守り。昼休憩はまだ残っているが、食べ終わった事だし自主的に作業に戻り「そういえば今の支配人の名前って何だっけ？」忘れないうちに本来の仕事の話も振っておき

今の・・？
（没頭しすぎて忘れかけてた本業を思い出し、現支配人の名前を聞かれれば「たしか・・、ジャクソンだっけ？」薄らとしか覚えていない名前を頭の中から引っ張り出し自信なさげに答え

（ルーカスとは異なる名字という事は弟の読み通りやはり代替わりしており。両手を合わせて音を立て会話終了「仕事の話は終わり。今日の残り楽しもうぜ」歯を見せ子供っぽい笑顔を浮かべ、弟の背中を叩き違う方向へと半ば小走りで向かい

また後で
（ここまで楽しそうにする姿はこれから先見れないだろうと、姿が見えなくなるまで見送り。止まっていた手を動かし、時間は刻々と過ぎていき気がつけば閉園近くになり

短い間だったけどお世話になりました
（楽しい時間はあっという間とは良く言うがまさにその通り。一緒にミステリーハウスの担当をした先輩の女性に挨拶し、弟にはインパラの近くで合流とショートメールを入れ日が陰り冷たくなった風を受けながら歩き

ありがとう、じゃぁまた
（硬い握手を交わした後携帯のメールに書かれてる集合場所へと向かい、寒さに両腕をさすりながら車は視界に入るが兄の姿はまだ視界に入らず車体に背を預け来るのを待ち

お待たせ。寒いな
（たった二日でも別れを惜しまれては寂しい気持ちが込み上げ。弟の姿を認識し、そんな表情は見せまいと目を閉じ息を吐き出し。気持ちの切り替えが完了したタイミングで近寄り寒さから滑り込むように車に乗り

やっときた…
（口から出る白い息を眺めながら待っていると、寒そうにしながらやってくる兄を見て待ちくたびれたように溜息をつき「どうだった、この2日間？」改めて感想を聞き

悪かったよ。ちょっと色々あってね
（ニヤリと笑い電話番号の書かれた紙を見せ付け「問題はまだ解決しちゃいないが、普通に楽しかった」車内の暖房とオーディオを点け率直な感想を述べ

なるほどね
（電話番号を誰から聞いたのかわかる筈もないが女性からだろうなと大方検討がつき「あの仕事は息抜きって思ったら？丁度いいんじゃない｣頭は使っていなくても、体は疲れ背もたれにもたれ掛かり

頭を使わずに体動かして気分転換には持ってこいだな
（疲れたらしい弟にたまには気を遣って静かな曲を選び、遅い青春を味わったような爽やかな気分でハンドル握りモーテルへの道を走り

いい体の疲れ方だな、久しぶりに楽しかったよ
（バラード調の曲に耳を傾け、大きなあくびをしながら窓に流れる薄暗く成る外を眺め「帰りにどこかに寄って夕飯でも食べて帰るか」小さくなるお腹を抑え

お前も楽しかったんなら良かった
(別行動を取ったのも久し振りな気がする「だな。適当に見えたとこに入るか」言われて見れば昼間の作業で空腹、真っ直ぐ続く道を進みながら左右の建物に目を向けて

明日は切り替えていこうな
（体を起こし真剣な表情でじっと前を見据え。しばらく道を進み続け「あそこにしよう」それなりに賑わってると思われるダイナーを見つけ指を指し

そうだな。通常運営に戻らないと
（連絡する事のない電話番号の書かれた紙をくしゃくしゃに丸め楽しかった日に別れを告げ「そうだな」ウインカー出しダイナーに寄り、親子連れが複数いる店内で直ぐに席まで案内され

さて、明日はどうする？
（通されたテーブル席に座り、渡されたメニュー表に目を通しながら明日の予定を計画を立てようと分かった事をメモした紙を兄の目の前に置き

ルーカスの一家を調べないとだな
（警察に扮するには直近で事件はなく難しく、ルーカスやサーカスについて書かれたメモに目を通し「それから鏡についてもか」ルーカスの家にあった物らしい鏡を割れば解決なのか、糸口の見えない事件に眉間の皺が深まるばかりで

とりあえず、まずはジャクソンさんに聞こう。
（手短に調べられる範囲から調べようと現支配人の名前をあげ、彼なら鏡のことやルーカスの父親について何か知っているんじゃなか。人が消えるのは何か一定の条件があるんじゃないかと