普通の日常をー【非募】

あるかもな。彼は今もここで遊んでるだけなのかもしれん
（それ以上メモから得られる情報が無ければ元へ戻し「代替わりしてる可能性もあるよな」集合写真を一緒に覗き込み、支配人と手書きされた人物を指でなぞり

それじゃ、彼はこの事件に関係ない？
（もしそうなれば事件は迷宮入りになるかもしれないと頭を悩ませ、今の支配人が別人だとすると話を聞いてみても知っていることが少なそうで直接父親本人に聞いてみた方が手っ取り早く

あーもー、頭使うの苦手なんだよ
（両手で頭を抱えても解決しないのだが「ルーカスの一家を探るか？」難しいだろうが警察で何とか情報を引き出せないものか、集合写真を携帯で撮影しながら口を動かし

ガス抜きが必要か？
（兄の気持ちも分からなこともなく「それが早い、ここは特に関係ないと」サーカス会場を探してもこれ以上は何も出なさそうだと頷き

いや、もう少し頑張る
（当初サーカスが何か犯罪者を起こした可能性も疑って掛かったが今まで調べた感じではその疑いも晴れ「とりあえず今日も働かなきゃいけない時間だ」早朝に着いたはずが気づけば他のスタッフも来る時間で、散らかした写真や化粧道具を片付けて

わかった、じゃぁもう少し頑張ろ
（気合を入れるように背中を叩き、恐らく使うであろうステージの床の言い訳を考え「どうする？明日もここに来るか？」事件の要素がないと分かると来る必要があるかどうか首をかしげて

いてっ、まだまだやれる
（背中への衝撃で前につんのめり疲れた表情を吹き飛ばし両手で頬を上げて笑顔を作り。弟の質問の真意を汲み取り「ステージを壊した反省でスタッフを辞める、とか？」謝罪と同時に明日から行かずに済む言い訳を考え

無理してぶっ倒れるなよ
（向けられた作り笑い困ったように笑うも自分も同じように倒れないよう言い聞かせ、「そういうのはディーンに任せる｣言い訳がましい言葉を思いつかず兄に丸投げ

これくらい平均、心配いらん
（親指をグッと立て今度は自然な笑顔を向け、続いて出た他力本願な発言には吹き出して「はいはい、おにーさんに任せろ」肩を数回叩き舞台裏を後にして、すっかり明るくなった空を背景に思いきり伸びをして

ならよかった
（釣られてこちらも笑顔になり、何がそんなにおかしかったのか不思議そうに後ろ姿を見つめ。テントの外に出ればほんの少し外にいなかっただけなのに太陽の光が眩しく目を細め

さて今日も一日頑張るか
（遠くからスタッフが来る声が聞こえ、暫くは体を動かす事で気分転換出来そうだと返って今日の仕事が楽しくもあり「持ち場に行っとくか」最もらしい発言と共にミステリーハウスまで小走りで向かい

終わったら飲みに行くか
（仕事内容を切り替え、難しい方の仕事のことは頭の隅に置き簡単な仕事のことだけを考えるようにして。ハウスに向かい一日しか経ってないのにも関わらず大半のスタッフとは顔なじみになり挨拶を返し

賛成、いい響きだな
（客が入る前に機材の点検や掃除など相変わらず朝から体を動かす事ばかりで、肌寒く感じた朝の空気でもすっかり汗をかき。仕事の事は一端頭から離し、スタッフの女性との会話を楽しみつつ鏡を一枚ずつ磨いていき

じゃぁ、また後で
（別れを告げると自分の持ち場に行き、スタッフの一員として働くとなると本業よりこちらの仕事の方がはかどり昨日と同じようにこなして。開演前になれば続々とスタッフが裏側に集まり

ああ、帰りにな
（狩りの事など忘れて作業に没頭すれば、スタッフの一人にサムとの関係を聞かれ「仲は良いのかどうか分からん。でも大切な大切な弟なんだ」本人を前には照れ臭く口に出せずとも優しく微笑み答えて

（会場が開演すれば敷地内は観客で賑わい、作業も一段落すればハウスの壁際で腰を下ろし楽しそうな人たちを遠目で眺め。知り合った男性スタッフにディーンとはゲイカップルじゃないかと聞かれ「違う、兄貴だよ。唯一の家族さ」肩をすくめ苦笑いを浮かべ

よお、ちゃんとやってるか？
（午前中もあっという間に終了、短い時間枠で設けられた昼休みに差し入れの軽食を二人分手にして弟の姿を探し。視界に入る近さになれば片手挙げて

やってるさ
（顔を上げると手に袋を持った兄の姿が見えると同じように手を挙げ。「どうだ、2日間違う仕事やってみて？」ハンターの仕事とは違い

なかなか楽しんでる。遅い青春って感じ
（弟以外の人と一緒に作業するという滅多にない体験に目を輝かせ。すっかり打ち解けて遠くから手を振るスタッフに手を振り返し

それは良かったな、気晴らしになったみたいで
（何処と無く嬉しそな表情を見てこちらも嬉しそうに目を細め、手に持っている紙袋を取り中身のサンドを口に運び。ほかの人と打ち解けられるか心配してたが上手くやっていけてる様子で