普通の日常をー【非募】

ここだ、ここ
（手を挙げ聞こえてると返事したつもりが、何人もの自分が同時に挙げ何の意味もなく。ここは早く抜けた方が得策だと判断し「次の部屋で合流できるだろ」どこかにいる弟に話しかけ

手を振っても無駄だ
（鏡に映る何人もの姿にどれが本物か見分けがつかず、立ち止まりながら通路を探し「わかった、無事にこの部屋から出れたらな」1歩ずつ進み、ほかのお客の声が聞こえるともうすぐ部屋を抜けれるかと

他の客の声が聞こえる内は大丈夫だろう
（打ち合わせが終われば平衡感覚を失う前に次の部屋を目指し、何度か鏡にぶつかった額を押さえながら少し前を行く別の客を追い掛け次の部屋まで辿り着き

後、もう少しー
（声のする方へ足を進めていけば、横の鏡に映る自分の後ろに小さな男の子が走り去る姿が映り振り向くも自分以外は見当たらず首をかしげ不思議に思うも何とか部屋を出て

サム、ここだ。変わった事は？
（座ると立ち上がれなくなる椅子とか上に向かって転がる玉なんかが置いてあるスペースで弟を待ち、今のところ変わった様子はなくただの誘拐犯の仕業かと考えを固めていき

僕のみ間違えかもしれないが、男の子が見えた
（ようやく普通の部屋に出れば入口付近で待ってる兄の元により、何も見てなさそうな顔に見たのは自分だけかと鏡の中に男の子が見えたと

俺らの後に入った子なんていたか？
（１つ目の部屋に入る際入り口でごちゃごちゃしていたが子供を見た覚えはなく。ただの見落としの可能性もあるが「その子が道連れにするのか…」この先進むにあたり男の子に注意して進もうと次の部屋の扉を開け

ちがう、1枚の鏡にしか映ってなかったんだ
（複数枚あった鏡のうち確かに映ったのは1枚だけで、周りを見渡しても自分以外いなかったと、次の部屋は壁1面に渦巻き模様が書かれている部屋で、ここには手掛かりらしきものはなにもなく

鏡に写ったんじゃなくて、鏡の中にいるってのかよ
（鏡の間の話を聞く最中子供の笑い声が聞こえ、近くの部屋に居るのかと思うも姿が見つからず「サム、気を付けろよ…男の子に気に入られたかもしれん」見えない声の主が近くにいると目付きを鋭く光らせ

僕は見たのは鏡の部屋だ・・、どうやって抜け出せるんだよ
（響き渡る笑い声にあたりを見回しどこかに鏡みたいなものがないか探すが見当たらず「とにかくここから出よう、作戦はそれから」備え付けの手すりを持ちながら出口へと進んでいき

早く出た方がいいな
（鏡でなくとも姿が写る物があれば移動できるとすれば、暗闇で動きが制限される中追い掛けられると厄介で。他の客が見当たらなければ問答無用で懐中電灯で足元を照らし出口の扉に手を掛け

バレないようにしろよ
（兄の前で光る懐中電灯を見て周りに人がいないから良いものの、スタッフや客に見つかったりしたら入れない可能性があると。うずまきの部屋を出ると次の部屋はからくりの玩具やトリックアートなどのある薄暗い部屋にたどり着き

たぶん大丈夫
（もしバレたら入り口に懐中電灯禁止とは書いてなかったと惚けるつもりで、外観より中は広く長くて終わりが見えず。足元に注意していた顔を上げハッとし「サム、そのガラスケースから離れろ！」室内が暗く鏡の役割を果たすケースに男の子の顔が写り、そこに懐中電灯の光を向けると一瞬で見えなくなり

・・っ！・・・居ないぞ？
（キョロキョロと展示物を眺めていると兄の声に後ろを振り向き横に並ぶガラスケースを見返すが目に映るのは展示物だけで、もしかするとと警戒しガラスケースから一歩離れ「このガラスにも・・」内心驚き、ほかのケースにも目がいき

とにかく急いで出るぞ
（辺りを見渡す弟の背中を押し気味に走る勢いで現在の部屋を出れば、最後の写真撮影スペースのトリックアートが壁に書かれた日の光の差し込む部屋で。日光を浴びて一安心し、壁に背を預けて束の間ホッとして

ちょっ・・・押すなよ
（押されながら部屋を抜ければ日の光に安堵のため息をつき、男の子が映りそうなガラスはあるものの日が差し込んでいれば映りそうにないと確信し「一旦モーテルに戻ろう」敵が誰なのか調べ直すと兄の方を振り向き

あぁ、情報収集が必要だな
（外にいれば追ってこれないようで、弟の提案に同意し周りの客から感じる視線を払い除けながら車まで辿り着き「正直ビビった」なんて自分の掌が汗で濡れている事き気付けば茶化し

ある意味で怖かった
（外に出でようやく安心感がぐっと込み上げ車のボンネットに腰をかけ「鏡はいろんな伝説があるからな」少し休憩を取り、テントの中ではショーが始まって観客の楽しそうな声が聞こえ

ブラッディ・メアリーとか？
（しばらく鏡を見る時に警戒してしまいそうだと、出しっぱなしにしまったミラーを見て肩を上げ驚き。それを誤魔化すため休憩は終わりだとばかりに車に乗り

あぁ、特に合わせ鏡は霊を呼ぶこともできるんだ。
（サイトミラーに何驚いているんだろうと小首をかしげ、後を追うように車に戻り鏡張りの部屋を思い出しもしかしたらあの部屋になにかあったんじゃないか考え始め