普通の日常をー【非募】

んじゃ、そこ寄ってインパラの手入れな
（言われてみればどうせ自分の金でないのだから値段を気にする必要はなかったと気付いて一人で笑ってしまい、了解と手を敬礼の形にして遊び発車させ

（安売りとはいえあんなに買うもんかよと首をかしげ、何もすることがなく銃の手入れをし始めたら1人隣で笑う兄に冷たい視線を向けすぐに戻し車が発進する前に片付け

おい、その視線やめろ
（思わず笑ってしまった所に視線が刺さり相手の顔の前で手を振り視界を遮って、珍しく法廷速度を守った安全運転でモーテルまで走り

仕方ないだろ
（目に入ったものは仕方が無いと肩を竦め、視界に映る景色がどこかゆっくりで少し車通りが多いから飛ばさないようにしてるんだろうなと

いつも飛ばしまくってるからな
（今のように何もない時なら良いが仕事に取りかかれば一刻を争うときもあり、たまの自由時間にゆっくり走ろうと考えていた訳で。直ぐに小ぢんまりとしたモーテルに到着し「俺は駐車場でインパラちゃんと遊ぶから、お前は先に部屋入るか？」車から降り財布を渡して

あぁ、じゃぁ先に部屋に入ってるよ
（二人分の荷物を取り財布を受け取り了解と手を振り、受付を済ませ通された部屋は少々狭いかなと感じるもモーテル自体が小さいから仕方ないと頷いて

あー、先にくつろいどけ
（さっそく後部座席から先程購入した車用品を降ろし、まずは表面についた埃や砂なんかを丁寧に拭き取り、汚れたシートを見てこれは確かに親父に怒られて当然だと心の中で謝罪しておき次に傷を綺麗にする作業に取り掛かり

（暇つぶしにビールを飲みながらテレビをつければ、流れてるのはオカルト系のバラエティ番組でこういう手の番組は何やるんだろうと面白半分に見始め

よーし、これでまた綺麗になったな
（表面を綺麗にしていき仕上げにワックスを掛けて光輝く見た目に仕上げ、一歩離れたところから眺めて我ながら完璧な仕上がりに満足して散らかした物をまとめ後片付けし

在り来りだな
（いかにも存在しないであろう生き物やビデオ映像に鼻で笑い、スタジオでVTRをみるゲストの怖がり方にこれが普通の人の反応だよなとつくづく思わされ

サミー、俺のインパラちゃんが綺麗になったぞー！
（久しぶりに丁寧に手入れする時間を取れテンション高くご機嫌に、大きな音と共にドアを勢いよく開け放ちデカイ声で話し掛けながら部屋に入り

うるさっ、あといい加減その名前で呼ぶのやめてくれ！
（丁度心霊映像を見てるさなかの後ろから大きな音とテレビから聞こえる音に驚き肩をすくめ、思わずテレビの電源を切り「少し落ち着け」なだめ

あー、こめん。怖がらせた？
（テレビを消す際に一瞬だけオカルト番組が見えた気がして、急に声を掛けたから怖がらせたかと両手を合わせて笑いを堪えつつわざと謝り

別に、怖くなはなかった。けど、普通ビビるだろ
（ムスッと背中を向け、持っていたビールを一気に飲み干し「笑うなら笑えよ」笑いを堪える兄に言い放ち

俺が悪かったから、そう拗ねるなよ
（音を立てていきなり部屋に入れば誰でも驚くかと納得し誠意の籠らない謝罪をもう一度して、冷蔵庫からビールを取りだし「さっきの続きでも見るか」冗談半分でテレビを点け画面が見える位置に座り

好きにすれば？
（溜息をつきあんな事はされたら誰でも驚くとリモコンを渡し「トイレに行ってくる」立ち上がり

はいはい
（面白半分でテレビを点けたものの嘘臭い影像ばかりで、常に本物を見てる立場からは呆れた溜め息しか出てこず退屈そうに飲みながら眺め

うっわ、流石に出来てたか‥
（トイレを済ませ、洗面台の鏡でぶつけた部分を見てみるとくっきりとアザができて参ったなと頭をかきすぐに治るだろうと部屋に戻り

んー、どうした？
（心霊写真の特集が始まり写真左上に女性の顔があると言われ凝視したが良く分からず、テレビを前に首を傾けていれば弟の声が聞こえ振り返り、何かを気にしている様子でトイレから帰ってきた事もあり「腹下った？」悪気はなく直感的に口にして

アザができてた
（違うと顔で否定しトイレから出てテレビ画面に目線を向け、もう飽きてるかと思った心霊番組をまだ見て「なぁ、これって本物だと思う？」画面に映ってる写真を指さし