master 2016-11-21 00:10:30 |
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名前:サバカ
年齢:17歳程
遺伝子元:ボルゾイ
性格:遺伝子組み換えの元作り上げられた基盤の性格は心優しく健気であり人と上手に付き合える忠実で主人を一番に思いやれる、乱暴な仕打ちも当然と受け止める事が出来る都合の良さも兼ね備えた所謂扱いやすい物。返品後は繰り返される暴言に欠片程の自尊心は砕かれ、自己評価の過剰卑下に陥り拗らせた臆病者に仕立てられる。怯えの延長で人に対する嫌悪感や恐怖視が強く警戒心が強い。半面で遺伝子に刻み込まれる犬の性分か、懐くと傍に居たがり離れる事を嫌がる依存性の強い甘えた気質。トラウマの強さのせいで頭と体と心のバランスを保つことが出来ず、情緒不安定に陥り脅迫概念に襲われてしまう。そうなると思ってもいない事を感情的に口走り、後に後悔する我を忘れた対応を取る事も多々。遺伝子組み換えの元となるボルゾイの気質か物静かで大人しい穏やかな気質で、主に対して絶対服従を見せる大らかな物。甘える事が好きな一方で情緒不安定さが攻撃的に変わるとやり場のない感情を言葉にすることが不得意で猟犬としての気象の粗さを心の奥底に隠し持っている。
外見:気品がある美しい容姿が売りであるボルゾイを組み入れる事でスラリと伸びた細い手足が特徴の体系をしている。背丈は177㎝程で十分の食事を与えられなかった事で肋骨が浮き出る貧相な筋張る体躯、青白く情けない痣だらけの体には繰り返される暴行の跡が残り、幾重と重なる切り傷を始めとして肩甲骨から背中に掛けて鳥の羽のように煙草や熱を帯びた鉄を押し当てたような跡が夥しい火傷痕として残り、粗悪な治療で背中の肉は歪に固まり火傷痕はボコボコと妙な立体感を残している。瞳は伏せ目がちの切れ長な垂れ目で澄ましたようなクールな印象を与える顔付きに加えて、人に恐怖を抱くことで目を合わすことを不得意さが滲む。鼻が高く全体的に堀の深さがロシア生まれの要素として残る。緩い巻き毛気味の髪は背中の火傷を隠す様に肩甲骨辺りまで伸ばされており、頭皮から顎下まで白色でありそれ以降は柔らかみのあるブラウンが毛先に向けて色が強まる様に染まる。瞳の色はアイスグレーで濁りのない澄み切る硝子玉のような物、傷のない顔だけを見るならボルゾイの名に恥じない気品と凛と澄ました美しさを持っている。
備考:元々の飼い主に付けられた名前は生まれ故郷のロシア語を使い"犬"と言う単純な読みの「サバカ」、研究所職員も面白がり続けその名で呼ばれる。何も知らない無知である幼少期を元の飼い主の下で過ごし、繰り返される虐待染みた乱暴な扱いにも健気に寄り添い12歳までを生きる。以降、気持ちでは飼い主の傍に寄り添いたかったがある日を境に体が言う事を聞かず、結果役立たずとして研究所に送り返されてしまう。そこで繰り返し、お前が役立たずだから愛されなかったのだと洗脳染みた教育と研究員の気分で行われる乱暴と蹂躙、死ぬ勇気がない臆病者として生き地獄を過ごしていた。研究所内では尊厳を奪う為と鎖の付いた首輪を嵌められていた事で首に圧迫感を覚えると守られる今でもフラッシュバックに苛まれ嘔吐を繰り返してしまう。化学薬品の匂い、湿った空間、強い血液の臭いも同じく我を忘れ呼吸一つ儘ならず振り乱してしまう。ストレスに弱く、些細な事で気を揉みそれに伴い体調を崩しやすい。特に熱が上がりやすく、知恵熱のように風邪は無いが熱だけが上がる、立眩みのように意識を頻繁に落す、等と厄介なものが多い。幼少期から今に掛けて、碌な教育は勿論生きる為の術と言う物を教えられていない為、全くの鞭で有り教養の欠片も持ち合わせていない。食事を与えられればスプーンフォークが使えない、等と生活面では動物に近く、伴った羞恥心も重なる蹂躙により今ではあまり見られない。言葉に関しても今までの生活の中で聞こえる言葉で推測をし、意味を自分なりに噛み砕いて理解している物なので間違った意味合いでの解釈や元の飼い主や職員の語り口調の乱雑な物言いと違和のある丁寧語の入り混じる喋り方、強要された下品な単語の物言い等を己の意志とは別に教え込まれてる。良くも悪くも真っ白で有り、善悪の境界線が解らない。
(/一先ず完成しましたプロフを提出させて頂きます。此処のイメージが違う、此処はこの方が進めやすい、等と有りましたらお気軽に伝えて下さいませ!
名前は初期のものになりますので、勿論変更も可能ですので!
詰め込み過ぎたために長く読み辛い物になってしまい申し訳無いです。)
名前:芳崎 廉祐(ヨシザキ レンスケ)
年齢:34歳
容姿:艶のある黒髪を丁寧にワックスで撫で付けて普段は緩めのオールバックにしているが、下ろせば前髪は目の下くらいまでの長さがある。全体的にすっきりと纏まったストレートの髪質であり、襟足は項を隠す程度の長さ。平行眉は穏やかだが常に困ったような何処か頼りない表情に見せるが、二重の丸みを帯びた目元は快活であり強い意思を感じさせる。瞳は温かみのある焦げ茶色。優男風の顔立ちはいつも実年齢より若く見られ、笑うと頬に出来る笑窪もそれに一役買っている。身長175cm。肌は健康的な肌色をしており、体付きも然程体格は良くないが筋肉はバランス良く付いている。私服は最早スーツのようなもので、多少ファッションを楽しみたい気持ちがあるお陰かいつも気品があり落ち着いたデザインスーツ。幼い頃から培われたセンスは一流であり、時と場合に見合ったちょっとしたお洒落を忘れない。自宅では亡き父親の影響かいつも和服。殆どが父親から譲り受けた着流しだが、着心地が良い為気に入っている。
性格:穏やかな気性で、滅多に怒る事も無ければ感情に起伏が生じる事も少ない。多少困る事があれど大抵の事は自分で何とかし、自立心が強い為手伝いの者を雇っているが身の回りの事は自らこなす。自己犠牲精神が強く自分よりも他人を優先しがちなお人好しだが、生まれてこの方幾度と無く学んできた経営戦略に基づいている部分が多々。常に崩れぬ穏やかさも例外で無く、特に怒りの感情を表に出す事が殆ど無いのは内側に根付いた他者との交渉に於けるマナーの一部であると言える。斯様に実は計算高く頭の回転が速いが、それが発揮されるのは仕事の上でのみ。最近生活を共にし始めた彼には骨抜きの状態であり、甘やかしっぱなし。ただ、最低限の礼儀は今後の為にも身に付けさせるべく奮闘している。生まれ持ったカリスマ性から部下の信頼が厚く、社員との関係は良好。より働き易い職場環境をと心掛ける。豪快且つ大胆な経営戦略で危ない橋も簡単に渡ってしまう程度には肝が据わっている。金持ちである奢りは全く無く、それが当然の状態であった為浮足立つ事も無い。
備考:資産家の一人息子。母は幼い頃に病死し、父親は数年前に老齢により他界。それから間も無く妻までも病で喪い、相当心にダメージを受けていながら変わらず気丈に振る舞っていた。そこで耳に入った秘密組織の存在に興味を持ち、その人体実験が違法であると理解しながらもペットでは埋まらない寂しさを彼らの作り出した“ペット”によって補い始める。只管に愛でて愛情を注ぐが、当初それはあくまで親愛としてのものだった。それが自分でも気付かない間に自然と恋愛の対象として見るようになり、それを自覚した後は“同性も好きになれる性質だったのか”と呑気に考えている。中学生の息子が一人居るが、中高一貫の全寮制男子校に通わせておりエリート街道まっしぐら。勿論息子には彼の存在を明かしており、聞き分けの良い息子は奇跡的にすんなり飲み込んでくれている様子。私生活に於いて何でもそつなくこなす器用貧乏な部分があるが、料理だけは滅法弱い。以前一度キッチンで粉塵爆発を起こし掛けてからというもの、使用人達からキッチンへの出入りをやんわりと禁止されている。言うまでも無く自宅は豪邸であり、郊外の静かな場所に居を構える。自身の生活スペースは専ら和室が多いが、客室や離れは豪勢な洋室。
(/お待たせ致しました。此方もプロフィールが完成しましたので、ご確認をお願いします。一つご相談があるのですが、提供キャラの一人称について悩んでおりまして…。先に提示した口調では「私」が自然かとも思うのですが、「俺」でも性格の面では合っているように思え、決め兼ねております。もしどちらかお好みが御座いましたらご意見を頂けると幸いです。もしどちらでも良いとの事でしたら独断で決めさせて頂きますので!
さて、息子様のプロフィールについてですが、やはり想像を上回る素敵な息子様で興奮が治まりません…!訂正を希望する箇所も何一つ御座いません、是非ともこのままの息子様を提供くださると嬉しいです。名前については息子様が辛い思いをした場所で呼ばれていたものと言う事で、新たな物をあげてもよろしいでしょうか?もしご希望があればそれに沿いますので、検討して頂けると幸いです)
(/とても素敵なプロフィールを有難う御座います!思い描いていた飼い主様以上に素敵なもので、只管に優しい廉祐様とトラウマとの板挟みになり一層と迷惑を掛けてしまうかと…!
一人称ですが、息子様が使用している物を提供子が真似をするようになると思うので、もし差支えが無ければ「俺」の方が提供子のイメージに合うかな、と思いました。
そして此方の息子の訂正が無い事安心しました。新たな名前勿論大歓迎です、プロフに添えてます通りPL様から頂ければ有難く思います。
廉祐様の部屋着が着流しと言う事で、此方の息子に与えられる服装も着流しと考えて良かったでしょうか。それですと首回りが開くので喜びます…!
物語の展開としまして、此方は家に連れてこられた場面からと連れられてから慣れてきた頃合いと御座いますが、折角の身の回りが何もできないと言う要素を活かすために連れてこられた場面からですと有難く思います…!)
お褒めのお言葉、光栄に御座います…!存分に迷惑掛けてやってくださいませ。そちらの方がお世話のし甲斐がありますし、寧ろ息子様の葛藤や苦悩を思えば迷惑だなんて思いませんので!
畏まりました。では一人称はそのようにさせて頂きます。ご意見くださりありがとうございます。
では、お名前は此方で考えてしまってもよろしいでしょうか?今のところぼんやりと考えて思い付いたのは日本名で真清(マキヨ)です。息子様の白い髪から清らかさを連想致しました。勿論これ以外でも考えますので、もし他の物や貴方様にお考えがあればそちらを優先致しますので仰ってくださいませ。
そうですね、では息子様の部屋着も着流しに致しましょう。着方を教えるシーンなんかもできそうで、楽しそうです!
此方もそのように考えておりました。連れてきた翌日等、最低限の説明は終えた後くらいから始められればと思うのですが、如何でしょうか?
髪色からのイメージとは素敵な由来で名前を有難う御座います!
連れて来られた翌日と言う事で、太陽の匂いを感じ反射的に助けを乞うた物の未だ警戒心が拭いきれない距離感と言う事で宜しかったでしょうか。
勿論、助けて頂いたことで全面的な信頼を置いている状況でも大丈夫ですので好みを教えて頂ければ有難いです。
日常の云々が殆ど無知からのスタートと言うことで今から交流を楽しみにしております。
交流の中でここはこう言う解釈なのだ、と違いが生じてきた場合は遠慮なさらずにお伝え頂ければ助かります。また、こちらも世界観に出来る限り寄り添いたく思いますので疑問を抱いた都度にご質問をさせて頂く事と思います。お手を煩わせますがどうぞ末永く宜しくお願い致します。
早速交流を始めていきたいのですが、当方先出が不慣れの為にもしご負担で無ければ先出しをお願いしても宜しかったでしょうか?
気に入って頂けたようで何よりです。では後程物語の進展に合わせて登場させますね!
…と、申し訳御座いません、前のレスで連れてこられた時から、とご希望を頂いていたにも関わらずすっかり見落としておりました…!名前は当日に付けるでしょうし、やはり連れてこられた場面からでもよろしいでしょうか…。発言が二転三転してしまい申し訳御座いません。
当初の関係は前者でお願いします。信頼して良いのか手懐けられているだけなのか葛藤している状態だと有り難いです。
同じ世界観を共有した中でやり取りをしたく思いますので、質問等は大歓迎です。いつでもお声掛けくださいませ。此方も同様に何かしら背後から発言させて頂いたり質問させて頂くことがあるかと思いますので、その時は何卒よろしくお願い致します。
畏まりました。では、後程改めて文章を投下させて頂きます。不束な主ですが、末永くよろしくお願い致します。
どちらの場面からでも面白そうだと思っていたので勿論大歓迎です!
関係に関しましても畏まりました。距離感を測りかねて近付きたいけど近付けない、少しの歯痒さを最初の内に楽しみたいと思います…!
それではお手数をお掛けいたします。
お手隙の際で大丈夫ですので、絡み文の投下を心待ちにしております…!
──ほら、着いた。此処が今日からお前の家だよ。
(研究所から車に揺られて数時間が経ち、その間隣で心なしか不安そうにしている相手と適度な距離を開けながらじっと瞼を伏せていて。程無くして郊外の閑静な住宅街に佇む屋敷に到着、門の前に車が着けば運転手が無駄の無い所作で後部座席の扉を開け。穏やかに細めた瞳を相手の方へ向ければ目的地への到着を告げ、そっと片方の掌をそちらへ差し出し。触れ合いはまだ怖がるだろうから拒絶されても構わない、ただ此方に敵意は無いと示す為の行動で、辛抱強く何らかの反応を待ち)
(/此方のロルは上記の通りです。お言葉に甘え、息子様を引き取った当日から始めさせて頂きました。何か分かりにくい描写や文字数についてご希望がありましたらお申し付けくださいませ)
(体中に響く車の振動、密室である空間の中に薬品の人工的な匂いは無く呼吸一つですら気分を害してはいけないと潜めて浅い物を繰り返し到着を待ち。隣に座る男からは絶えず太陽の香りがした、今も変わらずに忘れていた優しい香りが届く。時折、気付かれない様に伺う様に伏せた眼で姿を捉え直ぐに逸らす、そんな事を繰り返していれば到着は早くて振動が止まった事で到着を知り。初めての環境に恐れ体を硬直させては周囲を警戒するように見渡して、差し出される手には根付いた怯えかビクリと体を震わせて。痛みや強引が無い事に恐る恐る眼を開き、手を取り返すことは出来ない物の家だと紹介された建物をただ真直ぐに見詰めて。ゴクリ、と唾を一つ飲み込むとこの場面に相応しい言葉を頭で探り)
俺は、――何処に行けば、良い…、?
(絞り出すような声色で問い掛けるのは、家と紹介された建物が立派であるからこその疑問。己の身を置くには不釣り合いだと心臓が飛び出そうなほど痛み、今から案内されるだろう物置なりガレージなりを泳がすような視線で探して)
(/とても分かり易い描写に勉強になるばかりです…!絡ませて頂いたのですが、もしロルが長いとの事であれば短くすることが可能ですので伝えてくださいませ!)
ああ、心配しなくて良い。もう部屋は用意してあるからね。
(予想通り重なる事の無い手は早々に諦めて下ろし、その代わり相手の声を聞くことが出来たと満足げに微笑んで。ところでその相手の不安はどうやら自分自身の居場所であるらしく”突然知らないところに連れて来られたのだから無理もないか。”そう納得して呑気な程緩んだ微笑みを浮かべながら言葉を返し。相手の胸中を察してやる事は叶わず、何処までも悠長な構えで先に車を降りると振り返って指先だけで手招きし、穏やかな声色で声を掛けて)
おいで。
(/お褒めくださり光栄です…!此方こそ、丁寧な描写に脱帽で御座います。特に此方からの希望はございません。真清様に合わせて長くする事も可能ですので、お互い無理の無い程度にゆっくり調節していければと思います。
では長くなってしまいましたが、背後はこれにて一度お暇致します。何か気になることが御座いましたらご遠慮なくお呼びください。此方からも展開や設定についてお話させて頂く事があると思いますので、その時は何卒よろしくお願い致します)
…___、
(答えの中に部屋の単語が有ると家に入って良いと言う事を嘘のように受け止めて、手招きに応えなければ気分を害す”かもしれない”と恐れ慌てるように車から降りて)
汚い、から。…入ったら汚す、から
(車を降りると拙い喋り方で言葉を選びつつ、運転手が己を見た際の一瞬の困惑を見逃さず。控えめな動きでズル、と足を引きずる様に一歩程後退し)
(/とても丁寧に有難う御座います!それでは此方も背後は一度消えますので何か有りましたらどうぞ宜しくお願いいたします…!)
ん?ああ、そうだな。俺は別に構わないが、お前が気になるなら先に風呂に入ると良い。
(此方の言葉に応えてくれたのは良いものの、相手の意思というよりは恐怖による抑圧を感じているような気がしてならず。予想はしていたが距離を縮めるには時間を要しそうだとのんびり考えていた時、相手の口から出た言葉には理解し兼ねたかのように目を瞬かせて首を傾げ。後退る彼を追う事はせずに穏やかにその様子を見詰めては、まるで的外れな言葉で応じ)
(的外れな返事にソワソワと落ち着かずに視線を泳がし、それでも風呂を選べば彼から離れる事になると想像を働かせて何か言葉を伝えようと唇を開き、何も口を突かずに"はく"と唇を動かすだけで。張りつめる程の緊張感と、不安に身体が持たずに視界が一瞬暗くなると息を付くことも無く電池が切れたようにバタリと倒れ込み)
――ごめ、んなさ。っ、すぐ立つから__!
(立眩みの延長線、急な意識の跡切れは直ぐに戻り。手の平が地面について居る事で己が倒れた事を知るとゾっと顔色を悪くして、倒れた体をズルズルと引き摺る様に鈍間な動作で起こそうとして)
――…慌てなくて良い。大丈夫だ。
(一体どうした事か、自分の返答が悪かったとは気付かずに物言いたげな落ち着きの無い様子を不思議そうに眺めていて。しかしそうしていれば自然と使用人達の視線も相手へ向き、意図せずして張り詰めたような空気が高まっていく。良い空気ではない――そう考えていた時、突然相手が視界から消えたかのように思え。見れば糸が切れたように地面に手をつく姿、慌てて駆け寄ろうとした使用人達を片手で制すとゆっくりと近づいていき目の前で片膝をついて。触れれば怖がるかもしれないが、ただ見ているわけにもいかない、静かな声で囁くようにしながらそっと相手の背中に触れて)
――、
(立たなければと意識をすればする程に体は鉛のように動かず、冷や汗ばかりが体を伝いツウと背筋を滑った所で背中に触れる手の感触に思わずヒュと掠る様な音を共に息を飲み込み。落ち着かせるような声色と宥める手つきにバクバクと煩い心臓が少しずつ落ち着きを取り戻し始め、蹲る様に上半身を落とせばゴクリと唾を飲み込んで)
俺、__。…はなれたくない
(想像の話だが、風呂を選択すればそこに並ぶ召使の元へ委ねられるのだろう。そう思えば己に向かうその腕に控えめな力加減、少し掠めるほどの些細な詰め寄りで頭を寄せて。貴方と離れたくない、と伝えようとしたところでその名が分からなければ歯痒く言葉に詰まり、省略する思いを伝え)
……よし、なら一緒に入ろう。俺が身体を洗ってやる。
(相手の事等まだ何も知らないが、今の反応を見ただけでもどれ程酷い生活を強いられてきたか、その端緒を垣間見たような気分になり。痛む心とは裏腹に微笑みを崩す事無く背中を撫でていたが、落ち着いてきたのか拒絶されないまま荒かった呼吸が静まり始めたのが分かって。その時か細く聞こえてきたのは二度目の相手からの願い、無理して入る必要は無いがあの劣悪な環境で過ごしていた手前、どちらにせよ風呂には入らせた方が良いだろうと考えて意気揚々と提案し)
(向けた願いを拒否される事無く受け入れられるとその優しさに安堵し、浅い動きで頭を二度三度と縦に揺らして、何よりも安心を与えるのは最初にも感じた太陽の優しい香りを傍で感じたからだろうか。己の知る風呂とは単純に水を掛けられるもの、嫌な時間も彼と一緒ならと今一度大きく頷いて。落ち着くために丸めていた身体をゆっくりと起こせば矢張り幾つもの目に見られる事に慣れず瞳は伏せたまま)
…ごめん、
(伝えた頼みを聞き入れてくれ急かすこともしない、明らかに今までとは違う環境と、只管と優しい彼に浮上する罪悪感から繰り返す様にその言葉を伝え。一緒が良いと伝えてしまえば幾分か気が楽でゆっくりと立ち上がり離れた距離を詰めるように隣に並び)
……そう言えば伝え忘れていたな。俺は芳崎廉祐という。好きに呼んでくれ。
(謝罪の意図には気付けないままはたと目を瞬かせるも、何処と無く居心地悪そうな相手の様子に気付くと周囲を取り囲んでいた使用人達にあれこれと指示を出してその目を払い。気付けばこの場には自分と相手のみ、立ち上がる彼に合わせて腰を上げた時今更ながら名乗る過程を失念していた事を思い出し。簡潔な自己紹介の後、相手へ視線を向けて)
お前、名前はあるのかい?
よしざき、れんすけ。
(人の目が無くなると居心地の悪さが薄れ行き、その中で教えられる名を一度復唱して覚えるように頭に刻み。先程呼びたくとも知らずに呼べなかった彼の名前を知れたことを嬉しく思えば不器用ながら口元を微かに上げて。続く問いかけに上げた口元を引き締めてから頭を縦に揺らし)
サバカ、…って呼ばれてた
(必要な知識が無いのだから雑学なんてほど遠く、その名の意味合いすら知る事無いが口にしたその名前の響きはどうしても痣がうずく様に現実だった過去を呼び戻し。口ごもる様な苦い表情で告げて)
うーん……少し呼び難いな。
(舌足らずのようなぎこちない物言いではあるものの、素直に復唱するその姿は愛おしく見えて。相手の口元に初めて見る微笑が浮かんでいるのもまた喜ばしい事であるが、それを大っぴろげに手放しで喜ぶ事もせずただ見詰め。しかし此方の問い掛けによって消える笑み、聞けば何とも耳慣れない呼ばれ方をしていたらしい。その表情はあっと言う間に暗い影に支配され、察しようとするまでもなく相手がその名前に良い思い出が無い事が窺え。顎に手を当てて首を傾げると虚空へ独り言ち、その後穏やかに微笑んで相手へ提案し)
良かったら、俺に新しい名前を付けさせてくれないか。嫌なら良いんだが…。
(初めて口にする単語はこれで良いのかと不安になる、口にした発音は合っていたようだと彼の微笑みが消えない事で安心を一つ。次いで持ち掛けられた提案に伏せていた瞳を開いて反射的にその視線の先に彼を映し、数秒動きを止めて)
嫌じゃねぇ、です。廉、さん?が、呼びやすいのが良いから
(何よりも先に頭を左右に揺らし意思表示を、必死に脳内を働かせれば職員同士の会話で使われていた名前の後の単語を添えて。再び瞳は伏せられるものの、今度は遠慮がちに腕を伸ばして先程背を撫ぜてくれたその手のスーツの裾へ軽く触れ)
良かった。それなら……そうだなぁ……。
(言葉の使い方も教わって来なかったのだろう、その様子さえ微笑ましく思えるが言葉遣いは矯正しなくては相手も今後苦労するのだろうとぼんやり考えて。そんな最中相手の手が自分の手の近くに触れた事に気付くと、目元を緩めてその手を弱い力で握り。この程度のスキンシップもまだ怖がるかもしれないが、その後は何も言わずに相手の名前の方へ心を傾け)
――真清。……どうだ、良い名前だろう。
___まきよ。
(手の平を握られると反応する様に両目を強く瞑り、身構えを見せる物の与えられた名前に気を引かれたことで身構えは本の数秒程。優しい声と優しい表情で贈られた初めての贈り物を復唱して。言葉にした事で実感がわくと浮上する嬉しさのままに小さい声で、独り言のようにもう一度だけ呟いて)
廉さん、ありがとう
(視線は地面を捉えたまま、この単語がお礼の意味で良いのかを不安に思いつつ探り探りに言葉を続け。今までお礼なんて言ったことがなければ言葉でそれが伝わるのかが分からずに、ぎゅうと触れ合う手を握り返すことで言葉の後押しをして)
いや、気に入ってくれたみたいで良かった。
(手を握った刹那やはり身を固くする様子が見られたのだが、それは僅かな間でどうやら与えた名前がお気に召したらしく。一層力を込めて握られる手は喜んでいるという解釈で良いのだろうか、素直な礼の言葉に微笑んで相手の目の前に膝を折ってしゃがみ込むと、怖い思いをさせないよう下方からそっと手を伸ばして相手の髪をさらりと撫で)
良い子だね、真清。
(伝えた言葉は場面に沿っていた様だと彼の表情から読み取って胸をなで下ろし。髪を引っ張るのではない痛みの生じない触れ合いは何をされているのか分からずに疑問符を浮かべ、続く言葉に目を見開いて)
サバカは役立たず、マキヨは良い子
(繰り返される初めては既にキャパオーバーで、ぶつぶつと独り言のように呟いては与えられる髪への刺激に身を委ねて)
……役立たずなんかじゃないさ。きっと真清はずっと良い子だったよ。
(小さな声で呟かれた言葉に眉を下げて微笑むと、両手で相手の髪を梳かすように丁寧に撫でながら囁き。そんな考えは相手の中から取り払ってやらねばならず、時間が掛かりそうだと漠として考えていて。しかし秋に吹く風は冷たく、体が冷えて来るのを感じればいつまでも此処で話をしているのは得策でなく。そろそろ使用人達も入浴の準備を終えているだろうと繋いだ手はそのままに歩き出し)
さて、そろそろ冷える。風呂に入りに行こうか。
(触れられる事が痛みを生じない、気持ち悪くも無い、そんな事が有るなんて知りもしなかったとその行為に浸り。撫でる手が離れてしまうと物寂しい、名残惜しいと言う感情が生まれ"あ"と漏らすような小さい音を上げて。もっと撫でて欲しいと生まれた欲を飲み込んで直ぐに聞き分け良く頷いてから隣を歩き)
手も、胸も、あったかい
(歩く中も離される事のない手の平が最初の様な警戒心が薄れている今心地よさしか与えておらず、手を繋ぐことが嫌じゃないと教えたいようで遠回りな言葉ながら頭に残る優しい手付きを思い出して目元を緩ませ)
そうか。それならまたこうやって歩こう。
(伝わって来る温かな相手の意思を感じ取って小さく首肯しては、握った手に控えめに力を込めながら穏やかに告げ。普段客人を通す時とは違い、自分の好むように改造してしまった裏口の扉を開いて簡素な日本家屋風の玄関を抜けると、廊下を歩いて相手の為に用意した部屋の襖を開き。中は広々とした和室、畳が敷かれ殆ど何もない部屋だが和風の照明器具や襖は上品な装飾を施してあり温かみのある空間となっていて。満足気に室内を見渡すと相手を振り返り)
此処が真清の部屋だ。洋室の方が良いかと思ったんだが、俺の部屋の周辺は粗方和室にしてしまってな。済まないが慣れるまでは此処で生活してほしい。
___ここが、?
(外から見ても広々としていた邸の中に入ると床ばかり見ていては覚えれずに迷惑を掛けてしまうの一心で下げていた顎を少し上げ、みっともなくキョロキョロと顔を動かすことはしない物の視線だけは彼方此方と左右に動き。到着したと教えられる部屋の広さに呆然と立ち尽くしては余りの豪華さに恐縮してしまい眉尻を落とした困惑を表情に見せ)
廉さんは、…どこ
(広い場所を与えられた事など当然と無く、近くに彼の部屋が有ると聞くと先ずはその場所を知りたいと落としっぱなしの顔を上げて、浮かべる面は不安が染まる情けない物だが懸命に問い掛け)
……おや、気に入らなかったかい?
(知らない場所から一方的に連れてきてしまうのだからとなるべく落ち着いた内装にしたつもりだったのだが、当の本人の様子を横目で窺ってみれば顔色に表れているのは困惑と不安ばかりで。困り顔で眉を下げながら尚も笑みを浮かべて問い掛けるが、自分の部屋の場所を問われると奥に続く廊下の方へ目を遣り。直ぐ近くの突き当りの方を指さしては簡潔に答え)
ああ、そこの突き当りを曲がって直ぐの所だ。何かあったら来ると良い。
ちが、くて。__廉さんの傍が…
(穏やかな表情に陰りが見えればその原因とは想像に容易く、気に入らない訳じゃないのに素直に喜べないのが自分でもわからずにマゴマゴと言葉に詰まりながらも己の我儘と彼の困惑した表情を天秤にかけては言いかけた言葉を飲み込んで振り切る様に頭を左右に揺らすと)
俺には勿体ないって、思った
(勿論天秤の先が下りたのは彼を困らせたくないと言う事、浮かぶ我儘の代わりに口元に不器用な弧を描けば嘘じゃない誤魔化しを言葉にし。繋ぐ手を少しばかりクイと引いてから”お風呂、”と当初の目的を促すように単語を告げて)
……そうだな。風呂に入るか。
(相手の様子を注意深く見ていれば何か言葉を飲み込んだことは明らかであるのに、それを察するにはまだ共に過ごした時間が足らず。眉を下げて相手の様子を見詰め“どうしたものか”と考えていたのだが、ふと手を引かれ短い単語を告げられると思い出したように歩き出し。しかしやはり先程の表情が胸元に支え、ゆったりと歩みながら声を掛け)
何かあったら遠慮無く言いなさい。真清が安心して過ごせるように出来るだけの事はさせてくれ。
(再び歩き始めれば強要する訳じゃなく意志を尊重するように告げられた言葉が優しすぎて、眉は八の字を綺麗に模り唇は両方の口角に力が籠り一の字を真似た表情で、頭だけは確りと縦に揺らし。それでも今以上の幸せなんて願う事は強欲であると自覚を持っていれば)
風呂に入って綺麗になったら、もう一回さっきの奴__やって欲しい
(時折通り過ぎる使用人の気配に応じて顔を背けながら、遠慮しなくていいと言うその言葉に図々しいだろうかと恐れを持ちながら、それでいて期待を含ませた伏目がちの瞳をジと真直ぐに向けて。補足するように言葉足らずを付け加え)
頭、触るやつ
……ああ、分かった。
(相手の表情の意味は喜んでいると取って良いのか微妙な物で、恐らく本人も胸中複雑であるのだろう事が窺え。ただ首肯された事だけで今は満足出来、それからは黙って浴室に向かい。その最中擦れ違う使用人達は一様に頭を下げながらもちらりと相手の様子を窺っているのが分かり、その度に一歩前に出て歩き。そんな事をしていればふと隣を歩く相手から小さな願望を伝えられ、触れる事を許可するようなその内容に心なしか嬉しそうにしながら頷いて)
気に入ってくれたようで何よりだ。
(図々しいか、断られるか、そんな不安は杞憂にであり。見つめていた彼が微笑んだまま、それでいて不思議と今までの微笑より一層優しげな表情で頷いてくれたものだから。唇を噛みしめる様に嬉しさを言葉ではなく表情で表して。初めて自分以外の熱を乞い触れ合いを求める訳で、強請り方はこれで合っていたのだと噛みしめていた唇を綻ばせ)
廉さんの手、痛くないから。さっきのやつ、うん。気に入ってくれた
(繰り返していた浅い頷きとは違い確りと、此処に表現するのは全部素直な気持ちなのだと表す為に髪を揺らす頷きを一度。その後は彼の言葉を真似る様に少々使い方を間違えた言葉をゆるり、と目元を細めつつ告げて)
こういう時は“気に入った”って言うんだよ。
(痛みを与えられながら生きてきた事が容易に窺える言葉に一瞬表情が陰ろうとするが、きっとそれをすればまた相手に不安な思いをさせてしまい兼ねず、一先ずその発言には触れないまま相手の様子を言葉を訂正し。そこで丁度浴室に着くと脱衣場の扉を開き中へ相手を導いて。数ヵ所ある浴室だが此処の物は自分の趣味により和風の造りとなっていて、質素ながら上質な檜の香りが漂う落ち着いた空間で。そこで手を離すと早速ネクタイを解き始めながら声を掛け)
此処で服を脱ぎなさい。真清の部屋着は用意してあるからその辺に置いておいて構わないからね。
(言葉の使い方等初めて教えられた、それが嬉しければ少しばかり瞳を輝かせ瞬きを二度早く繰り返したのちに”きにいった”と早速その言葉を己の口から言葉にして。脱衣所に来ると鼻に届いた木の香りに思わずクンクンと鼻を動かすように息を吸い込んで、室内で檜の香りがする疑問に頭を拉げてから掛けられた声に遅れて返事をして)
__廉さんから太陽の匂い、此処から木の匂い…自然の匂い、好――き!
(思った感想を言葉にしながら"もぞもぞ、"と不慣れな動きで上の服を脱ごうとするとその途中で衣類が顔を被さった所でバランスを崩し転んでしまい、言葉の終りが上ずり鈍い刺激に思わず黙りこくり。そのまま座り込むと途中まで脱いでいた服を脱いで、座ればもう転ぶこともなく足や手を使い宛ら幼児の脱衣のような雑であり自由な動きで着用していたものを全て脱ぎ落とし、見せるのも恥ずかしい貧相な身体を見せて)
廉さん、できた
――!
(まるで息子の幼い頃を見ているようだと懐かしく懐古しながら、今しがた教えたばかりの言葉を繰り返す相手を頬を緩めて見詰めており。それに続けられた“太陽の匂い”に自分からはそんは匂いがするのかと反応する暇もないまま突然相手が視界から消えると、驚きのあまり声も出ずに目を見開いて。強かに腰を打っているように見えたが、本人はあまり気にしていないらしくまた服を脱ぐ動作を再開しており。露になったのは酷く傷だらけな身体、古傷もあれば比較的新しくも見えるものもあり痛ましさに思わず口を噤んでしまって。こんな事をされていれば多少の痛みも何とも思わなくなってしまうだろう、しかし苦しげに歪めた顔を直ぐに綻ばせては両手で先程と同様に頭を撫で)
……ああ、えらいね。良い子だ。
(伸びてきた腕が褒め言葉を纏い頭を撫でると、自分が幼少期に欲しかったものはこれなのだと知り。褒めて欲しくて飼い主の傍に寄り添い、撫でて欲しくて無謀な要望に応えて来た。それが遅れながら今与えられていると思うと込み上げるのは表現しがたい感情で、澄ましたように表情変化が乏しい顔をくしゃりと歪めれば撫でられる手に自ら頭を擦りつけ、もっとと無言で強請り)
廉さんが俺のこと気に入ってくれるように__良い子になるよ
(枯渇していた心が満たされる不慣れな状況に、感情が馬鹿になり。笑顔を見せたいがどうしたら彼みたいに自然と微笑むことが出来るのかが分からず、気を抜くと吐き気か涙か、様々が込み上げてきそうなクシャクシャの顔を手の甲を宛がう事で隠して)
気に入ったから連れてきたんだよ。
(此処へ来て初めて見る豊かな感情表現が心地好く心を擽って、掌に擦り寄るような仕草から気持ちが良いのだろうと解釈し撫で続け。表情は見えなくなったしまったが然して気にせずに穏やかに言葉を返すと、相手の頭に額を付けて目を閉じ。――守ってやらなければ。相手の身体に付いた傷跡を見てそう強く思いながら、暫くするとそっと離れて服を脱ぎ始め)
……身体が冷えるね。続きは風呂に入ってからにしよう。
(未だ余韻のように頭部に残る優しい感触が此の儘消えなければ良いのにともう片方の手で毛先をピンと伸ばすように一つまみ、自身を風呂に入れると言い同じ様に服を脱ぐ人も初めてだと他意も悪気も無いままに服を脱ぐ様子をちらりと見上げ、脱ぎ終わるのを見届ければゆっくりと立ち上がり)
俺のこと風呂に入れるのに…一緒になって服脱ぐの、初めて。__廉さん。水、引っかぶったら冷たいよ
(そもそも思い描く風呂の相違だが、単純に汚れを落とす為に水を浴びせられる光景を思いながら眉尻を落とし。自分が大人しくすれば問題ないと言い聞かせば気を引き締めるように唾を飲み込んで)
――心配しなくて良い。お湯だからね。
(相手からの視線に気付かなければその心境を察する事も出来ず、故に心底心配そうな様子での言葉の意味も直ぐには理解できずきょとんと目を瞬いて。しかしあの研究所の環境を思い出せば何と無く言いたい事を察し、さらりと相手の髪に指先を通しながら微笑んで告げ。服を脱ぐと浴室へ続く扉を開け、途端に中から溢れて来る湯気に目を細めながら相手の手を取って中へ入って行き。湯船に入る前に軽く体を流してしまいたいのだが、相手の傷が染みないだろうかと考えるとシャワーのノズルを手にしながら言葉を掛け)
少し染みるかもしれないが我慢できるかい?
廉さん、俺、弱くないから気にしなくて平気。
(湯気の立つ温かそうなお湯を前に確認の言葉を向けられると痛くない訳じゃないが、今の状況は少し前の自分と比べれば天と地で有り、今までに鍛えられているのだから遠慮は要らないと言う様子で腕を広げて、安心させるように言葉を送り)
__大丈夫だよ
……そうか。じゃあ頑張れたらまた頭撫でてあげるからね。
(はっきりと否定を述べないという事はまだ染みるのだろうと察し、少し考えるような素振りを見せた後微笑んで告げ。極力刺激してしまわないよう温めのお湯を出し、それにタオルを浸してからそっと相手の身体を拭き。恐らく温度調節が普段通りの湯船に浸かってしまっては身体が痛むだろうと思われ、今日は全身を洗い流すだけで終える事にし)
(褒美のようにまた頭を撫でて貰えると聞けば瞳を丸く、期待に瞳孔を開き。体を拭うタオルは今迄の痛みを思えば何て事なく、これを痛いと言えば過去の自分に失礼だとすら思えてしまい程よい温度のタオルが肌を擦る感覚にゆるり、瞳を細めれば気持ち良いことが伝わるような長く落ち着いた呼吸を落とし。洗い終わればソワソワと、どう口を開こうか迷った末に)
俺も廉さんに、やりたくて、だから…廉さんがしてくれたみたいにやらせて欲しい
(元々の犬である遺伝子か、人に尽くすことを喜びと思えばして貰って嬉しかったことを受け止めるだけでは歯痒くて、結局は自己満足に過ぎない願いを伝えて)
――それは嬉しいな。ならお願いするよ。
(長い吐息はきっと心地良さを表していて、表情からも読み取れるそれを見れば痛みを感じていないらしい事に安堵し。粗方体を洗い終えた時躊躇いつつも何かを口にする相手の様子を見詰め、聞こえて来た要望を聞けば目を見開き些か驚いたその心境を露わにしてしまい。それでも直ぐに頬を弛緩させて嬉しそうに笑うと、頷いて相手に畳んだタオルを渡し)
__!
(伝えた申し出を受け容れられれば嬉しそうにタオルを受け取って、盗み見ていた彼の動作を真似る様にシャワーを開くと心地よい温度のお湯をタオルに染み込ませ)
合ってる?間違ってない?
(自ら人に触れたいと思う日が来るなんて露ほども思っていなかった。自分がして貰った様に、それでいて力加減は恐る恐ると言うように控えめな物、タオル越しに感じる身体は自分の骨張った物とは全然違うと忙しく頭の中で考えて、抱く不安を先ずはちゃんと問い掛けて)
ああ、合ってるよ。上手だ。
(些か恐々としているように感じる手付きは力が弱いようにも感じるが、強すぎる事は決してなくぎこちない手付きが心地良くて。目を伏せて口元を綻ばせながら小さく首肯すると、何処か嬉しそうな声色で褒め言葉を添え。しかしあまり長時間相手にやらせてしまうのも忍びなく、何より逆上せてしまっては大変だと粗方終わったと思われるタイミングで背後に向かって声を掛け)
ありがとう。もう良いよ。
(褒められれば声を出して笑う事こそ無い物の唇を嚙みしめる不器用な微笑みを浮かべ、終わりを伝える言葉に合わせてタオルを下ろせば濡れる髪の水分を落とす様にギュウギュウと雑巾絞りを真似た動きで自身の髪を絞り)
風呂って、__こんなに温かいもんなんだ
(それを終えてからタオルの水分もギュウと絞り、温かさに満ちるのは何も身体だけじゃなく。心までもが温まる様な心持で心の整理をするように呟いて。"廉さん、ありがとお"その背中にトンと頭を軽く寄せてから溢れんばかりの想いを恥じ噛むように口にして)
温かいだろう?湯船はもっと温かいんだが、それは真清の傷が治ってからな。
(相手の言葉に満足そうに頷いて見せると、微妙に解釈が食い違っているとは露知らず浴槽へ目を遣りながら告げて。素早く髪を洗ってしまおうとしていた時、不意に背中へ僅かな重みを感じ。顔だけ振り返り相手の方を見ると手を伸ばして頭を撫で)
何言ってるんだ。当たり前だろう?これからは真清の命を預かる立場なんだよ、俺は。
____っ、は_、
(優しくするのが当然の事のように告げられる言葉は執拗と追い詰められることが当然の生き方だった己にとって理解がし難く、幸せすぎると突如綱渡りの綱を踏み外したように酸素を喉に詰まらせてヒューと喉の音を鳴らし、ハッハッと浅い呼吸を繰り返すのに酸素が肺に落ちる感覚が無く。結局は優しさ慣れをしていない為の過呼吸症状が起きてしまい、息を吸いたくとも吸えない苦しさに唾液ばかりが作られて浅い呼吸の合間には口端を伝い、扱いの差に情緒が不安定になれば息苦しさから逃れようとか喉を押さえるようにギリと掴み)
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