!attention!
*おそ/松さんBL(カラ/一前提稀に逆転)
*赤塚町が謎のゾンビウイルスにやられてしまい、荒廃しきった世界。
*ゾンビもすっかり人を食べ尽くし戦う必要がなくなったためか声を放つだけの大人しい謎の有象無象と化している。
*人間としての生き残りは世界にカラ松のみ。
*一松が半分ゾンビ。(ゾンビに噛まれたが脳までウイルスが回る前にワクチンにより治療。中途半端にゾンビ化。肌があちこち爛れ、たまに言語障害を起こしたりカラ松をたべたがる。)
*世界に二人ぼっち。
*というかなり特殊設定です。苦手な方はバックしてください。
この町に悲鳴しか聞こえなくなったのはもう五年も前のことだ。それから何も聞こえなくなったのは、二年くらい前のこと。
忘れも出来ない皆の誕生日。
皆でケーキでも食べながらバカを遣るつもりだったんだ。おそ松が子供みたいにケーキの大きさに文句を言う声、チョロ松がそれを宥めながら切り分ける声、十四松のはしゃいで駆け回る音にスマホでカメラを切りながら笑うトド松と。
おれは、おれは、おまえに今日、告白するつもりだったんだ。
一松。
*
忘れも出来ない俺達の誕生日。
母さんの腹の中から一緒の僕たちは六個に別れてもなお未だに皆で生まれた日を祝うなんて仲が宜しいことで。
大事な兄弟達の喧噪の中で、僕はちらと視線を動かすんだ。
今日、僕は。あんたに、今まで想い続けたことを零すつもりなんだ。
カラ松。
─────警報。警報。特殊な化学薬品が漏れ出し、毒ガスが溢れております。直ちに赤塚区の住民の方は避難を────。
「はあっ、はぁ!!はあっ!」
「あ、ああ、うわぁあ……っ」
「やめてチョロ松兄さん!逃げよう!もうおそ松兄さんは感染してるんだ…このままじゃ!」
「やだ、いやだ!!一松離してよ!離せ!やだ、う、ああ…!」
「止めるんだチョロ松!死ぬぞ!」
「そうだよ…、十四松とトド松だって、もう!ここでチョロ松兄さんまでいなくなるなんて!」
「いやだっ!!!おそ松兄さんはおそ松兄さんなんだ、感染してたって俺を殺そうなんてするわけないよ!」
「っ!チョロ松兄さん!!」
「チョロ松!」
「僕だよ、おそ松兄さん。……、なんて顔してるんだよ情けないなあ。ほら、みんなで帰ろう?」
「あ、あぁ……ちょ、チョロ松兄さんが…こ、のまま、じゃ」
「っ………!!」
「一松、カラ松。速く逃げて」
「でも!」
「僕ね、この馬鹿長男のいないとこなんて、張り合いがなくてつまんないんだよ。…僕がここで死んだらゾンビになって襲い掛かっちゃう。速く逃げて、ふたりとも。」
「っ、っ……一松逃げるぞ!たてるか!?」
「あ、…っ!!!!ちょろま、に、さ!!」
「っ、おまえ、腰抜かして…!」
「…ごめんねおそ松兄さん……おなか空いたよね。……大丈夫、怖くないよ………」
「……!!や、」
「っ、見るな一松!…大丈夫、大丈夫だ、おんぶしてやるから俺と行こう。な?チョロ松はおそ松と、…べ、別行動、するだけだ。大丈夫。」
「あ、うわぁぁあ……!も、やだ、やだ、十四松!トド松っ、おそ松兄さん!っチョロ松兄さん!!」
「大丈夫、大丈夫…おれが、俺が居るから。護るから…いちま……、!!まずい、チョロ松が動」
「っ、やだ、もう……もう、やだ、やめてよ、チョロ松にーさ、っ、う、ぁあ!」
「…ワクチン、見つかってよかったな。でも、……お前はどのみち。なんで庇ったりなんかしたんだ、一松」
「………う、」
「…くらくらした顔するなよ、寂しい。もう少ししたら薬が効いて話せるようになるからな。」
「……か、ら、まづ」
「うん?どうした?」
「………す、ぎだ、……ぼく、すき……」
「うん」
「俺もだよ」
しばしお待ちを。