おっさんとツンデレ

だって...ほぼ初対面だろ、高校生って金銭的にも面倒だろ(「まぁ、両親が遺した財産があるけど」と言葉を付け足して相手の横に並んで歩けば不意に撫でられた頭に慣れておらず)子供扱いはするな...って野菜嫌いとか、どっちが子供だよ(相手の好き嫌いの内容には思わず小さく笑みを零し)大人なら克服しないと駄目だろアレルギーとかじゃ無いんだろ？野菜も食べないと健康にも悪いし...じゃ今日は野菜入りハンバーグな(暫く歩けばスーパーらしき建物が見えて)

ああ、その辺は全く問題ないから安心してくださいよ(特にこれといって欲しいものもなく貯まりに貯まったお金もあるし、と思い)財産って言っても親のでしょう？大切にしなくちゃダメですよ(欲しがることもなく微笑みながらまだ頭を撫で続けて)……アレルギーですよ(顔をふいっと背けながら言えばどうしても野菜は食べたくなくて。野菜入りのハンバーグと言われれば足を止めてまるで耳と尻尾がしゅんと項垂れているような悲しそうな表情で相手をじっと見つめて「野菜入り…」と呟いてさらに落ち込んでしまい)

...由美叔母さんにも同じ事言われた、自分の為に遺しときなさいって(親子だろうか、同じ事と同じ様に頭を撫でられた事に今度は少し照れた反応を浮かべて)え、本当に？......そ、そんな捨てられた犬みたいに見ても大人が好き嫌いとか無いだろ(先を歩くも足取りが遅くなった相手に振り向けば、その表情には眉根を寄せ深く溜息吐いて)分かった普通のハンバーグにする。野菜の他に食べれない物とか無いよな？(スーパーに入ればカゴを持ってカートを押しながら店内へ入れば周りの主婦が遠巻きにチラチラとコチラを見ていて)何か...視線感じる(まさか、隣の相手が社会的有名だとはまだ気付いておらず何で？と相手に視線遣り)

好き嫌いは仕方ないことなんですよ？誰にでもあるものです…(少し拗ねたような口ぶりで。今日は野菜か…と思い悩むも急に相手がため息をついて振り返るとキョトンとして)ほんとですか！？わあ、ありがとうございます！(相手の言葉に見えるはずもない耳と尻尾は立ってブンブンと振られていて。目をキラキラと輝かせればふにゃんと気の抜けた笑みでお礼を言って)嫌いなものですか？野菜全般だけですかね…あ、あと、刺身もダメですかね…甘いものは大好きですよ(よっぽど野菜がなくなったことが嬉しいのか楽しそうに話して)え？あー…さて、何でしょうかね？あ、きっと奏汰くんが可愛いからですかね？(どうして視線が来るのかは分かっているようで。クスクスと笑いながら言えば相手のあとをアヒルの子のように着いていき)

でも、克服だって大事だろ何事もチャレンジしろって俺の学校にすげえ熱血な教師が居て...ちょっと煩いけど(自分は当然、好き嫌いは無いと言ってるかの様に答えて相手の反応には大型犬のゴールデンが浮かび上がるが敢えて何も言わず必要な材料を選んではカゴに入れていき)何で、そんな理由で見てくるんだよ...って別に可愛く無いし！普通だしっ(サラッと言われると慌てて否定し)あんまり、からかうと野菜入れるから。(片手にパプリカ持ってチラッと相手を見て)刺身ダメって、じゃあ寿司も食べれないとか？(寿司もネタだけなら刺身と大して変わらないだろうと)

俺は克服しなくてもやっていけてるから大丈夫なんですよ…やっぱいつの時代もそういう先生いるんですね(遠い目をして悟りを開いたかのようにハハッと笑いながら言うも瞳は笑っておらず。自分が高校生の頃もそういう先生いたなあと苦笑いしながら言って)え？そうですか？可愛いですよ？(ほっぺをツンツンしながら言えば相手の反応を楽しむようににこにこして。野菜を入れられそうになればすぐに止めて)そうですね…でも、寿司は好きですよ(頬を掻きながら言えば矛盾するようなことを言って、「ほら、卵とか稲荷寿司とか美味しいですよね」と言い、次いで「お寿司屋さんはやっぱり回るところが好きですね」と、すごく庶民らしいことを言って)

俺たちは、その先生の事修造って呼んでるからな(熱血で有名な人物の名前をあだ名として付けて呼んでると)...寿司って回転寿司だろ？回らない寿司屋って入った事無いし(相手の言う寿司屋は回転寿司が当然と一般庶民な意見を言って一通り必要な材料をカゴに詰めて)とりあえず必要な物は買えたから大和さん他に欲しい物ある？(カートを押しながら他の食品や食材を見てまわり)あ、...甘い物好きなら...プリンとか作れるけど？(甘党である事を思い出し簡単に作れるデザートを思い付き)食べる？

あぁ、確かにあの人は熱いですしね(口に手を当ててクスクスと笑い)あ、そうです、回転寿司ですよ！でも、安い方が美味しいことってありますよ？俺もちょっとしか言ったことないですけど、一々店員を呼ばなきゃいけないですし、量は少ないし、断然回る方がいいです！(企業さんなどとよく行くが何がいいのか分からず、ちょっとと行っても何十回もいっていて。いかに回転寿司がいいかを語れば、「回らないのいってみますか？」と提案して)あ、ちょっと待ってくださいね(相手に断りを入れて行くのはお菓子コーナー。チョコや飴などを3袋くらい手に持てばカゴの中に入れて。相手の持っているカゴをヒョイッと持てば「重そうなので持ちますね」と、笑顔で言って)本当ですか！？食べます！ぜひ！(相手の提案に目をキラキラさせて嬉しそうにして)

えっ、いや別に行きたいとかじゃ無くて...それに回転寿司の方が何か落ち着いて食べ易いし普通の寿司屋って何か緊張しそうだし(回転寿司について熱弁する相手の話を大人しく聞いて高級な方を提案されると慌てて首を左右に)お菓子ばっか...こんなにチョコ買うの？(カゴに詰まれたお菓子を見下ろし何か言おうとしたがカゴを持ってくれた相手には小さく礼を伝えて)じゃ、食後にプリンな(自分より上な筈なのに子供のような相手にはフフッと小さく笑ってプリンに必要な材料も追加して)こんなものかな...。(レジに向かい会計に並んで)

そうですか？じゃあ、今度行きましょうね、回転寿司(別に自分が奢ってあげるのに…と考えて。激しく頭を振る相手にニコッと笑って一緒に行こうと言って)糖分摂らないと仕事なんてやってられないんですよ…(実はいうとさほど苦でもなく、ただ甘いものが好きだから買い貯めしておこうというだけで。食後のプリンと言われれば嬉しそうにレジに並び)あぁ、どうも(レジの定員さんは若いバイトの女の子で話しかけられれば愛想笑いで返して)

...回転寿司なら...今は一皿100円でも充分美味いから(かなり庶民派な意見を述べて)...疲れた時は糖分も必要って言うけど、そんなに大変な仕事なんだな...そこに俺が一緒に住んでも大丈夫？小さい子みたいに煩くしたりするつもりは無いけど疲れてる時に他人が居たら(眉根を下げ相手をチラッと見上げ)大和さんって町内のアイドル？...顔は...男前だと思うけど(明らか他の客とは違う接客態度の女性店員と周りの女性が再び相手を見ては思った事を真顔で口にして)

あんなに安いのに美味しいってすごいですよね(うんうんと相手の言葉に同意するようにうなづいて)大丈夫ですよ、家に仕事を持って帰ることはほとんどないですし(相手が申し訳なさそうにしているところをみれば慌てて言って。これからは持ち帰らないようにしようと今決めて)ふっ、アイドルって…(会計を終え相手よりも早く先にお金を出して払えばさっさとカゴを運んで。相手の言葉に驚くもおもしろくて笑いが止まらず)そんなわけないですよ、一般市民ですって(ひとしきり笑い終えれば頭をなでなでと撫でて)

...それなら...でも、由美叔母さんには大和さんの身の回りのフォロー頼まれたから、炊事洗濯は俺がするから(居候である身、役に立つ事はこれ位しか出来ない故に)いや、だって店員も何か目の色違ってたし向こうのオバサン達は獲物狙うような目でコッチ見てたし(買い物袋は片方は自分が持つと手を伸ばして)って、やたら頭撫で撫でるなよ俺高校生なんだけど(ちょいちょいスキンシップをする相手に、まだ恥ずかしさで慣れずツンケンとした態度でスーパーを出るとコンビニが見えて)あ、ちょっと待ってて！(相手をその場に待たせコンビニへ駆け寄り暫くして出てくると肉まんの袋を持って出てきて相手の元へ)...今日のお礼。(近くの公園でもあれば其処で食べようと提案して)

わかりましたよ、…あ、でも、執務室は絶対入らないでくださいね？(顧客の名簿やら仕事関係のものがたくさんあるためあまり入って欲しくはなく。ただし、そこばかり使うためそこは汚くて。他の部屋はめったに使わないためか全くといっていいほど汚れておらず)んー…俺がいつも1人なのに今日は奏汰を連れてるのと、買う食材がまともなものばかりだからですかね(自分の職業柄というのが一番の原因だが最もらしいことを言って)あ、すいません…嫌でしたか？俺一人っ子なので、弟ができたみたいで嬉しいんですよ(申し訳なさそうに言えば、苦笑いしながら理由を話して。少し反応が可愛いというのもあり)え？そんなこといいん…わかりました、頂きます(相手がコンビニに入っていけば店の前でしゃがみこんで少し寒くなってきたため手を擦り合わせて。相手が出てくればそのままの体勢で見上げて、肉まんを受け取れば大丈夫だと言おうとするも相手の行為を無駄にするのも…と考えて笑顔で了承して)近くに公園あるので案内しますね(立ち上がれば相手を優しい目で見て無意識に手を一方的に繋いで歩き出して)

執務室って仕事してる部屋？ん、分かった其処は入らない(仕事として使用されてる部屋なら尚更見ては駄目な物もあるだろうと理解はして強く頷いて)まともって、普通の買い物なんだけど...大和さん普段どんな買い物してんの？(買った物はどれも一般的な食材で相手の言葉には眉根を下げ購入した肉まんを持って案内された道柄、弟と言われ自分も心の何処かで兄弟で兄が欲しいと思った時期もあった為繋がれた手をキュッと握り返すと)...大和...兄ちゃん(兄ちゃんと言葉にした途端に顔を暑くさせ手を離すと公園のベンチへ走り)呼んでみただけ！(意味は無いと耳まで赤くさせたまま)

んー…カップ麺とかカロリーメイトとか…(何を買ってるんだと言われれば、最近よく買うものを思い出しながら言っていき。昨日の夕飯はカップ麺だったし、昼ごはんはカロリーメイト、朝はコーヒーのみという不健康な生活をしており。手がキュッと握られればどうしたんだろうと相手の方を見ては、急にしおらしくなり「大和兄ちゃん」と言われればﾎﾟｶﾝとしてしまい、次いで嬉しさと愛おしさが生まれて固まってしまって。さっさと手を離してベンチまで走られてしまえばさみしさを覚え、初めての感覚に手をにぎにぎとして)分かってますよ(クスクスと笑いながら近寄れば隣に座って。でも、また呼んでほしいなと相手の顔をじっと見ながら言って)

不健康過ぎる...だから、そんな細いんだよカップ麺なんて特にダメだよ。たまになら良いかも知れないけど主食にしちゃダメだしコーヒだけって......俺がしっかりしないと(相手の食生活に唖然となれば明日から食生活を改善させようと小さく意気込み)いただきます。(ベンチに座り購入した肉まんを頬張る中で隣からの視線に気付くと自分もチラッと見て目が合うと慌てて反らし地面見つめ)な、何？肉まんなら大和さんの分ちゃんとあるだろ。(相手が考えてる事とは全く別の言葉を返して肉まんを食べ)外で食べる肉まんも結構美味いかも...(耳やら頬を赤くさせながら)

そ、そうですか？そんなことないと思うのですが…(細いと言われれば自分の腰に手を当てて考えてみるもそんな気はしなくて。「今まで通りでも特に問題は無いですし、大丈夫ですよ？」と、なにやらやる気満々の相手に慌てて言って)先程のように呼んでくれないんですか？(兄ちゃんではなくさん付けに戻っており、しゅんとしてしまって)肉まん久々に食べると美味しいものですね…(少し熱かったのかはふはふとしながら食べて。冷たくなっていた体がジーンと温まるのを感じて)

とにかく、ラーメンとカロリーメイトだけじゃ全然健康にはなれないから...夜も、ろくに食べて無いみたいだし由美叔母さんが心配するのも何か分かった気がする。(平然としてる相手には真逆に半ば呆れ小さく溜息を吐いて)えっ...っ言わない！さっきのは...何となく呼んでみただけだし(さっきの事を思い返せば再び顔を赤らめて肉まんを無理矢理頬張ると案の定喉を詰まらせ)...ッケホッ、ケホッ...大和さんが変な事言うからだ(胸元を何度か叩きながら落ち着こうと)

ち、ちゃんと、食べ物は摂取してるじゃないですかー…(呆れ気味に言う相手に苦笑いして。夜も食べてないと聞かれれば図星でギクリッと肩を震わせて)そうなんですか…残念です…(言ってくれないらしい相手にしょんぼりして。相手が詰まらせれば驚いて。とりあえず落ち着くように背中を優しくさすってあげて。何故かはわからないが自分のせいらしく、涙目でこちらを恨めしそうに見上げる相手に申し訳なさそうに謝って)