ユウヤ 2016-10-23 12:39:07 |
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「何となく頭が浮かんだ話」…ですかいいですね。何か最近小説書く人集まってきてますね。まぁ自分もその1人なんですがユウヤさんの小説どんなになるか楽しみですね。時間がある時でいいので頑張って下さい(^_^)
では
ナナシノ森の奥には
【 プロローグ ~ナモナキウタ~ 】
名前を取られた女王様
城を追い出された
首を取られた女王様
家来と一緒に追い出された
取られてしまった名前は
銀の箱に納められ
取られてしまった首は
金の箱に納められ
二つの箱はそれぞれに
銀と金の鍵がつけられた
金の箱には銀の鍵を
銀の箱には金の鍵を
閉じられた箱は城の地下
暗い暗い闇にしまわれた
城を終われた哀れな二人
二人は黙って歩いていく
月の沈む海をしくしくと
太陽の登る丘をとぼとぼと
ようやく見つけたナモナキ森で
二人は黙って泣いたとさ
【 Ⅰ 】
さて。まず始めに、ボクという生き物の話しをしよう。
ボクは耳の先から尻尾の先まで、まるでインクを被ったかのような艶やかな毛並みと、しなやかな尻尾が自慢の黒猫だ。
瞳の色はエメラルド色をしていて、街でボクを見かけた人間の多くは決まって「あら、綺麗なお目目の猫ちゃんね!」と言って、頭を優しく撫でてくれる。
数百年も前は、黒猫は不幸の象徴だなんて言って、見かけた人間のほとんどが、ボクのような黒猫達に向かって石を投げてきたのに、今じゃ餌をたらふく食べさせてくれるのだから、本当に平和になったとボクは思う。
街の人々からは「クロロ」だとか「クロ」だとか、毛並みの黒にちなんだアダ名で呼ばれているが、ボクにはご主人様からいただいた“クロワッサン”という名前がちゃんとある。
ちなみにご主人様いわく、ボクにくれた“クロワッサン”という名前は、人間がよく食べるあのクロワッサンからとったらしい。
理由は、初めてボクを拾ってきた時に、普通の猫の食べる食事をあたえても食べずに、ご主人様の手作りのクロワッサンばかりを欲しがって食べていたからだと言っていたが、なんだかそれはちょっと失礼な話だなとボクは思っている。
確かにボクは魚や肉なんかよりもパンが好きだ。特にボクのご主人様が作ってくれたクロワッサンは最高で、クロワッサンの他にも、よくボク専用に無添加の小麦パンを作ってくれるのだが、やっぱりクロワッサンのあの味には敵わない。
偏食である自覚はちゃんとあるし、パンばかりを食べるだなんて、まったく猫らしくないことも解っている。しかし、だからといって“クロワッサン”という名前にしなくてもいいんじゃないかとボクは思うのだ。
ということはだ、もしもボクが出会った時から、魚ばかりを食べていたなら名前は「フィッシユ」とか「ツナ」とかになっていて、肉ばかりを食べていたなら名前は「ミート」とか「レア」なんていう名前になっていたのだろうか?
猫の中には野菜が好きな猫だっている。街の古本屋の娘が飼っているセシルというメスの白猫がいい例だ。
彼女は猫では珍しく野菜が大好きで、食事の時には必ずレタスやカリフラワーなんて物を食べている。しかし、だからといって名前が「レタス」だったり「カリフラワー」だなんていう名前ではない。
つまり、ボクが何を言いたいのかというと、クロワッサンばかり食べていたからと言って、名前までクロワッサンという名前にしなくたって良かったのではなかったのか。という話だ。それならばまだ“パン”という名前の方がまだましだ。
クロワッサンという物を見たことのない猫ならまだ多少の誤魔化しがきくが、今時の若い猫は、恐ろしいほどに物知りで困ってしまう。
昔なら誤魔化せていたこの名前も、今じゃ初めて合った猫達に「ボクの名前はクロワッサンだよ。よろしくね!」なんて自己紹介をすると、いつも「クロワッサン?へー!随分と美味しそうな名前だね!」なんて返されてしまい、なんだか少しだけ恥ずかしい気持ちになってしまうのだ。
「猫が名前で恥ずかしがるなんて…」と思ったなら、きっとそういう奴に限って自分達の飼っている猫にハリウッドのお金持ちの名前をつけたりするのだろう。
この話しをご主人様に言ってみたら、ご主人様は笑いながら「そう思うなら、クロワッサンという名前はまだましなんじゃないかしら?だって、世の中には“ニンゲン”だなんて名前を猫につける人間がいるのよ?」と言って、頭を優しく撫でてくるもんだから「まあ、ならしょうがないか…」と、もうそれ以上は何も言えなくなってしまったのである。
今日はここまで((o(^∇^)o))
>>1(スカイさん)
観覧ありがとうございます。
他の方の書いている小説を読んで見て、何となく僕も書きたいな~…って思ったんです(^^)
ゆっくりですが、頑張って更新させていこうと思います。
よろしくお願いします。
では、おやすみなさい。
猫の寿命は、長くても18歳までと言われている。人間でいうならば88歳だ。
猫は、産まれてから1ヶ月で1歳。10ヶ月でもう17歳と、成長が人間よりも早い。
ちなみにボクは、今年で1万と1120歳と5ヶ月になる。人間でいうなら……いや、人間で例える必要はないか……つまり、ボクは普通の猫よりも数百倍は生きているということだ。
1万と1120歳と5ヶ月も生きていれば、あらゆる事が出来る。
例えば、人間の話す言葉をちゃんと理解出来るし、ちゃんと人間にも通じる言葉で話すことも、人間のように2本足で立つことも、気を使った振る舞いだって出来る。
普段は怖がらせてしまうといけないから、大人しく座って「ニャー」と猫らしく鳴いているけれど、家に帰れば、ちゃんと「ただいま」だって言えるし、朝起きたら「おはよう」、ご飯を食べる前には「いだきます」、悪いことをしたなら、ちゃんと「ごめんなさい」だって言える。
ボクは基本的に、自分自身の事を猫ではないと思っている。人間のようになりたいと、本気で思っている訳ではないが、人間の真似をするのは面白いし、何よりも、ちょっと人間っぽく振る舞うと、ご主人様が楽しそうに笑うのだ。
時々、本当に時々だが、どうしても3時のおやつと、クロワッサンが食べたい時だけは、ちょっと猫っぽく「ゴロゴロ」と、ご主人様に喉を鳴らして甘える事がある。
そんなボクを見てご主人様は「まあ、そんな時だけ猫面して!」と怒るのだが、結局最後はちゃんとお目当ての物をボク専用のお皿に置いてくれる。
ボクはご主人様の、こういう単純な所が可愛くて好きだ。
え?ズルい?
いやいや。ボクはただ長年の経験を、上手に活かしただけであって、ズルいのではない。ただボクは賢い猫なだけなのだ。
人間の女だって、好きなものが食べたいとき、どうしても欲しいものがあったときは、人間の男に甘えたりして、腕を絡めたり、甘えた声を出すだろう?ボクがやっている事は、つまりはあれとまったく同じだ。
でもあれは、ボクがやっている甘えなんかよりも質が悪い。
人間よりも長生きしているボクが言うのだから間違いない。
長生きをすると、社会に上手に馴染むための知識が身につく。ひと昔前までは、その身に付いた知識のお陰で、長く続いた戦中の最中、餌にありつけない時でも、上手に生き抜く事が出来た。
それに比べれば今は、平和過ぎて思わずあくびが出てしまう。
石や銃弾の流れ弾に怯えなくてもいいし、わざわざゴミ捨てばを漁らなくたって、街をちょっと歩いて人に甘えれば、ちゃんと美味しい食事は貰える。
ただ今は、道端に落ちている火のついたままのタバコの吸い殻を間違えて踏まないように気を付けたり、油断して、塀で昼寝をしている最中に、自慢の尻尾を、街の悪ガキ達に引っ張られないようにしていればなんて事はない。
さてさて。
ここまで長々と、ボクという生き物について、色々と話してきたわけだが…。
どうだろう。やはり、少し不気味に思われてしまっただろうか?
話しているボクからしてみれば、猫のくせにクロワッサンが好きで、朝、昼、晩の食事は全てパンしか食べず、人間よりも遥かに長い年月を生き、人間の言葉をちゃんと理解して、話すことも、聞くことも出来るなんて、不思議で面白いと思うのだが……どうだろう?
きっとこれだけ話せば、どんなに頭の悪い人間でもボクが普通の猫じゃないことは解るだろう。そして、察しがいい人間ならば、そんなボクを側に置いているご主人様も、普通の人間ではないということが言わずともきっと解る筈だ。
ボクと、ボクの愛すべきご主人様は、人間でいう“普通”とはまるで違う。例えるなら悪魔とかそういった存在に近いものであり、ボクのご主人様は、その中でも特に位の高い素晴らしい御方なのだが……まあ、その話しはまた別の機会にでも話すとしよう。
今日のボクは機嫌がいい。
今朝の食事に、ボクの大好きな、香ばしいサクサクのクロワッサンと、ローズヒップに木苺のジャムを入れたティーが出たからね。
普段なら、親しい友達にしか話さないボクの秘密を、今日はとことん話そうじゃないか。
―――さて、ここまでで何か質問はあるかね?
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