これは病弱で盲目の少年と彼と心を交わしたカラスのお話。
『あ、また来てくれたんだね。ありがとうカラスさん。いつもみたいに僕の肩に乗ってよ』
病弱であり盲目のこいつは所謂お坊っちゃんと
言う奴で両親が金持ちだ。
両親に気に入られようとこいつにまで媚びを売ってくる馬鹿な大人のせいでこいつは人間不信になっている。
俺みたいな人間に意味
嫌われる黒い鴉…
目が見えないながらも
こいつは俺を心の目で
見て受け入れてくれた。
俺にとってこいつは家族やダチそれ以上に大事な奴だ。
『けほんけほんっ…』
俺が近づいた瞬間こいつは酷く咳き込んだ。
俺は近づくのを躊躇う。
『はぁ…大丈夫だよ、
カラスさん。だから…けほんけほんっ…けほんけほんっ…はぁ…苦し、くないよ…大丈夫』
俺はお世辞にも綺麗とは言えない。人間のように鴉は体を洗う習慣がない
俺が近づくと病気が悪化してしまう…。
俺は後ろに後退り入ってきた窓に飛び乗るとバサバサと羽を羽ばたかせ
飛び立った。
こんな体じゃあいつに
近づくなんてダメだ…!
俺は川へ行き頭から入ったり羽を羽ばたかせて
体を綺麗にすることだけを考えた。
しかしいくらやっても
綺麗になる気がしない。
俺は激しいストレスと
過度な水浴びが原因か
次の日気づけば毛は真っ白になっていた。
仲間や家族からは異様
がられ敵と見なされた俺は家族や仲間から激しい攻撃を受けた。
白い羽が赤く染まるほどに。
でも俺はやり返さなかった…こいつらは俺の仲間や家族だから…
執拗に追い攻撃してくる仲間達を俺は身を隠したりして何とかやり過ごす…
でも限界だった…
意識が目が霞んできた…
でもどうせ死ぬならあいつの側が良い…
俺はそうただ強く思い
懸命に羽を羽ばたかせ
あいつの部屋の窓に奇跡的に辿り着いた
『…あ!カラスさん!
来てくれた!嬉しい!
僕、もう来てくれないかと思って寂しかった…
カラスさん…?…カラスさん、前みたいにこっちに来てよ、僕の肩に……カラスさん…?…なに濡れてる…血…の匂い…カラスさん怪我してるの?!』
『坊ちゃま、お昼ご飯をお持ちしましたよ…まぁ!何この真っ白な…鴉…?白い鴉なんて気持ちが悪い…それに血塗れじゃない!坊ちゃまもそんなものに触ってはいけません!』
『白い…?気持ち悪くなんてないよ!そんなことよりカラスさん助けてよ!』
>1に続く