『最勇記』某冒険譚~SpinOff~

『最勇記』某冒険譚~SpinOff~

エド  2016-10-09 19:35:29 
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世の中には常に善と悪があって大抵は自分が善で
それを良しとしない者共は、自分にとっての悪となりうる。
現代には色々な世界があって、平和な世界もあればそうじゃない世界もあるが、
総じて言えるのは何かしらが地上を征服して、
跋扈蹂躙しているのはどこも変わらないということだ。

昔々のそのまた昔…人類が存在する世界が生まれるなんて、
あらゆる世界の神でさえ想像もしていなかった遠い昔。

あるところに魔族の少年が住んでいた。
長い耳、眠たげな眼、開きっぱなしのだらしない口元。
この時誰もが想像だにしなかっただろう…彼が、まさか勇者になろうとは。


こっそり自分も小説を書いてみようということでね!
解っていることの方が少ない某元魔王についての過去譚や余談などを書いていこうの会!
初めは誰にも知らせずこっそりと書いていこうと思います!
時間や余力があれば、現代話も某所許可次第で書くかも知れません!…

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  • No.1 by エド  2016-10-09 19:44:34 

『Epilogue』

昨日だった今日だったか…時間の流れが違うといっても、
長く生きているということはそれだけ多くのことに出会い、知り、そして忘れていく。
視界がぼやけているということは昨晩に何かしらあったことには間違いない。
そうしてぼーっと目と口を無意識に開けっ放しにしているうちにふと気付く、
先ほどまでの薄暗かった部屋は懐かしい色合いに染まっていて。
なんとなく心地よくて、でも、古い記憶の中の不穏な日々が視界に映り込んでいた。

後々にこれが夢であったと気付くのは、また別の話。

  • No.2 by エド  2016-10-09 21:32:11 

『昔話』

君は、今どんな世界に生きているだろうか?
勇者として魔王と戦う、そんな夢と冒険に満ち溢れたファンタジーな世界?
毎日電車に揺られ、楽しくもない仕事場に満員電車で出勤して頭を下げるような日々?

現代、いや、その昔にも様々な世界があった…、
そんな無数の世界のうちの一つ、『Gehenna(ゲヘナ)』。
後に凡ゆる世界が生誕する際に魔力というものを発生させた魔法の原点であり、
俗にいう『魔王』というものの原点となるものが治めている所謂通称"魔界"と呼ばれる世界。
この世界を構築する殆どの物は魔力を起源としていて、それらは種や遺伝子によって異なる。
某下界とは異なり、多種多様な種が世界中に点在している中、一際大きな勢力を持ち、
発展した文明と基礎魔力の高さから世界を制した種族、『魔族』と呼ばれる者共が
今のゲヘナを支配、征服していた。

これは、そんな魔族の王の血を継ぐ少年の…取り分け数奇で奇怪な冒険譚の…

"ほんの序章に過ぎない。"

「…ワード…。…ドワード…。…エドワード!。」
「うォッ!?…なんだァ、てめェかァ…脅かすんじゃァねェよォ…。」

伸びきった前髪、その間から除くクマ塗れのタレ目、長い耳に細長い逆鱗の密集した尻尾を地面に擦り付けながら、何の形とも取れないほどグチャグチャになってしまっているローブの中でもがきつつ、起き上がって長ったらしい伸びきった爪で頭をポリポリと漁るこの少年。

名を『Edward Nidhoggr Vrae(エドワード=ニーズヘッグ=ヴレア)』。

「脅かす?今何時だと思ってる…?さっさと起きんか!…また、食事を抜かれたいか!?。」
「へいへィ…ふァーァ…、ったく…どいつもこいつも最近は血の気が多くてなァ…。」

彼が寝ていたのは食糧庫、彼を叩き起こしたのは、
訓練監督「Am Imone Madlide(アム=アイモン=マドリド」…通称「アマイモン監督官」。
うねりのある長い銀髪に赤い灼眼は屈強な兵士でさえも黙らせる冷酷非道な監督官、
戦地では軍事的裁定の上では兵の生死も問わないとされている非常な魔族の長官。
女性らしい体躯にそぐわない軍人的な張り付くような軍服は彼女からの警告状であり、
軍に不適切なものは早急に相応の処置を余儀なくするという意味合いを持っているそう。

因みに彼は本来であれば今、軍事訓練の真っ最中である。

先ほども冒頭で述べたが魔力が世の中を制するこの世界にとっては『魔族』こそが正義、
しかしながら虐げられたり淘汰された他種族が黙って指を咥えている訳もなく、目下戦争中。
魔族以外の他種族が組んだ連合軍に対抗すべく全世界の魔族に徴兵がなされた。
出生地不明、片田舎の孤児院で育った彼は徴兵されてからは住所さえも不定であるため、
仁徳ならぬ魔徳的には問題があるかも知れないが、それでも軍事的には非常に優位な兵士。
時間の問題さえもなく早急に徴兵が出されたが、孤児院を追い出されてからも先程の堕落ぶりで、
親族も身寄りも何もいないことから現場に捨てられるのも時間の問題であった。

「どこを見ているッッ!!もう訓練は開始されているんだぞッ!!」
「へっ?…がッ…ァ…ッつゥ…っく…ハァ…ハァ…」

ダラダラと引きずるような足取りで無自覚なまま寝ぼけ半分に訓練所に足を進めると、
どの段階で敷地内に入ったのか、開始されたのかもわからないまま
冗談の類ではない激痛が腹部と両足に走って、回る視界とともに地面に叩き付けられた。
胸の下部を打たれたのか、視界が狭まり、音が聞こえなくなって、呼吸が苦しい。
それでも尚も鋭い眼光の監督官は、罵声を浴びせながら立ち上がるように命令し続けていて、
答えられもしないまま、暫く呼吸を整えながらやっとの思いで開いた口から毀れたのは言い訳。

「そも…そもォ…俺ァ…お前ッ…みてェに…魔力が高ェ家柄じゃァ…ねェんだ…!」
「言い訳を…ん?おい!大丈夫か!?おい…!返事をしろ!はぁ…誰か連れて行ってやれ。」

呆れ顔の監督官が説教をくれる間もなく彼の意識は数秒で光を失った。
決して、監督官が特別に強いわけではない。寧ろ彼女だからこそ、あそこまで手加減出来た。
彼の難点は沢山あるが、二つ大きく上げるとすれば、魔族としては異常なほど魔力が低い、
それが故に、ここに呼ばれる前から生きることを諦めていたということである。

数時間ののち目が覚めてまたもぼやける視界、期待も虚しく見上げた天井はいつも通りの宿舎。

「…目が…覚めたようだな。済まなかった…しかし、あれが私の仕事なんだ…。」
「解ってるよォ…。」
「上の命令…本来なら懲罰房に連れて行かなければならなかっ…。」
「まァ…誰しもそん時はそん時だァ…。」
「明日…貴様の初陣が決まった。上の決定事項だ…私にはもう、どうにも…。」
「気にすんなァ…やっと、落ち着けるわけだァ…。」

先程とは打って変わった態度に驚くこともなく当たり前のように接する。
魔族が生き残るためには現在起こっている戦争を何とかして勝ち抜いて生き残るしかない、
その為には彼女は望む望まないに関わらず、軍務中は冷酷な上官であり続けなければならない。
彼女は軍務以外の時間、素直にこそ器質的に言えないもののこうして兵士に接することが多く、
中でも戦線に駆り出されれば、帰ってくることはないであろう彼には人一倍熱心だった。

そして、彼自身もまた軍にとっては現場で役に立つかどうかというようなことではなく、
現場に兵士を送ったらまずどうなるのかを見る実験部隊程度に扱われることなど解り切っていた。

もうどうでもよくなっていたのかも知れない。

幼少期は明るい子供だった、貧しい孤児院ではあったけれど友達だって沢山いた。
暖かい暖炉、毎日必ず食べられる食事、笑顔で挨拶出来る見知った仲間達。
院長は怒りっぽい人だったが、それでも毎日自分たちの世話をしてくれていた。

ところがある日、年長者の友達が一人減った。
院長に聞いてみたが、首を横に振るだけで何も答えなかった。

それを境に次々友達は姿を消していった。
そうしてとうとう幼馴染二人と自分の三人だけになってしまった。

翌年には、自分の番が来て軍の徴兵であることを知った。
徴兵に来た派遣兵にここで徴兵された兵士のことを聞いたが、知らないの一点張りだった。
徴兵の後、院長に連れられて孤児院の裏庭に初めて入った。
そこで目にした物を彼は未だに忘れることが出来ないでいる。

裏庭にあったのは小さな石が積み重なった足元に蝋燭と一輪の花、
そして、初めにいなくなった友達が大事そうに毎日首から下げていたロケット。
その瞬間に彼は、今まで上げたことのないくらい大きな声を上げて叫びながら涙を流し、
この時の涙が枯れた瞬間から、彼は泣くのも笑うのも…喜ぶことさえ全くなくなった。

それを考えたら明日のことなんて…
そう考えているうちに疲労からか横の上官も気にせず、再び視界は暗くなった。
この日、最後に見た夢が楽しかった頃の幻想だったことが唯一の救いだったのかも知れない。

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