…え?今なんて言ったの?主さま…。
『お前を捨てると言ったんだよ。強い使い魔が手に入ったからね。名前も返して貰う』
なんで…嫌…嫌だよ…っ…私は貴方を守る…!
そのためならこの命だって惜しくはない!
『お前はもういらないんだよ…“雪音”さよならだ…』
私がそれ以上口を開く前に貴方は破門の儀を行う。首筋に刻まれた名前がふわりと取れ宙に浮き
砕けるようにパァンと
掻き消えた__
あれから10年の時が過ぎた。私は野良の使い魔になり、誰とも本契約は
結ばず
雇い主から金を貰い雇われの使い魔となっていた。
日々力をつけ強くなり
魔物を狩る。私は怪我
一つしない無敗の使い魔。
皆、私を欲しがり本契約を結ぼうと現れる者が
沢山現れた。
私の答えはいつも決まっている__
『断る…私は誰の物にもならぬ…二度と』
私は変わった。あの日から…一人で生きるために
でも…力をつけたのは…強くなったのは…
『お前より強い使い魔を手に入れたんだ』
お前のあの言葉があったからなのか…
強くなればまたお前が私の元に来てくれる…
戻ってくると__
心の底…底辺で思って
いたのか…
わからない…
私はあの男を憎んでいる。恨んでいる。
二度と会いたくはない程に……。
では何故強くなる必要があった__?
わからない…。繰り返す自問自答に答えは出るはずもなく…
お前はとうとう私の前に現れてしまった。
『…姿はあの時のまま…だが表情は大人びたかな…?久し振り…雪…』
『私はもうお前の使い魔ではない。その名で呼ぶな。何しに来た…』
やはりこいつを目の前にすると怒りが憎しみが
わなわなとこみ上げて
くる。
『…お前に会いに来た。顔を見にきた。お前が
強くなったと風の噂で
聞いてさ…また俺の物にならない?』
パンッと気づけば彼の頬を平手打ちしていた。
手がヒリヒリする。
そんなことはどうでもいい。怒りが頂点に達してしまったのだ。この男は最低だっ。
『ふ、ざけるなっ!なら、何故捨てた!手放した!私を離したのはお前だろう…!』
『…悪かった…。俺が
間違ってたんだ…。俺は強さを求めてたんじゃなかったと分かった。お前を捨てて強い使い魔と
戦い生活を共にしたが
違和感しか感じなかった…。お前じゃないと駄目だったんだ。今俺の
元に残る使い魔は誰も
いない…』
>1続く
※合図があるまでレス
禁止※