主 2016-10-01 15:56:36 |
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(蝶よ花よとは言わないがそれでも過保護と、籠の中で愛玩宜しくに綺麗な物ばかりを魅せられて育てられたのだ、普通に育てられていたとしても幼い子がナイフの取り扱いに長けているなんてある筈も無く。当たり前にナイフで人を切りつけた事なんて無い。肉に突き立てられた刃の鈍い感触もドクドクと溢れては手の平を生々しく染める赤も、すべて教えられてなんか来なかった。恐かった、手が震えた、それでも誰ともわからない人間の手で彼の命を取られるのは許せなかったと何処かで冷静な頭が訴える。初めてなのだ、目の前でこんなにも怪我をする人を見ること自体が。困惑なんて言葉じゃ片付けられない程心臓が痛くて言葉を紡ぐこと一つ出来ずに、死なないと言うその言葉だけに安心を覚え。頭を撫でられた時に全ての緊迫感が途切れぐしゃぐしゃの顔を手の甲でぐしぐし、と拭い「よかった」と何よりも本音である安心を言葉にして。手当の内容も自分にとっては何をしているのかが分からないが、自分にとって彼の言葉は全てであり。だからこそ、彼が死なないと言えばそれが全てなのだと近づいてくる彼へ向けて手を伸ばし「しぃくん、いと、いいこ?」自分にとって縋りつく程大事な呪文の言葉、それを彼の口から聞きたいと頭をこてんと倒して傾けた格好で問いかけて)
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