人里離れた深い森にある小さな小屋には
とても美しい人…人間
離れした容姿を持つ麗人が住んでいました。
人々は麗人を神と崇め
食べ物や着る服、毛布
など
自分達に出来る事を
少しずつしてくれました。
麗人はとても喜び有り難いと思い何か返したいと思いました。
でも何も持っていない
麗人は長い長い綺麗な髪を切り人々にそれを売ってお金にするように言いました。
言われた通りに村人は髪を持ち帰り行商人にその髪を見せると物凄く高値で売れ
これに味を占めた村人達は毎日のように麗人の元を訪れ何かを強請るようになりました。
麗人はもう渡せる物は何もないと悲しそうに言いましたが
金に心を奪われた村人達は今までの恩を仇で返すとはなんて酷い…お前は神ではなく悪魔だと言い
麗人を殴ったり蹴ったり火のついた棒で殴ったりしました。
麗人は一度も村人達に
手を上げることはせず、やり返す事もなく
ただただ止めてくれと
言うだけだった。
村人はお年寄りばかり、若い麗人なら返り討ちにすることなど容易い事…
でも麗人は何もしなかった。
自分に一度でも
優しくしてくれた人達に手を上げるなんて
できなかったのだ…。
そこへ美しい者がいるなら連れて来いとの命令を王から賜っていた従者が現れる。
目の前の光景に目を見開き溜め息をつけば
襲いかかっている村人たちを腰に付けている剣で凪払った。もちろん刃ではない方で。
しかし自分に何かが勢いよく体当たりし
ぐらりと体は傾き
そのまま倒れ込む。
覆い被さるように自分に馬乗りになったのは
美しいアッシュの髪に
凛々しくもクールにも
見える整い過ぎた容貌
吸い込まれそうな蒼い瞳__
従者は一瞬で目を奪われた。これがこの小屋に
住む美しき者__
すぐに麗人だと確信した。
『…この人達に手を出すんじゃねぇ…っ!』
胸倉を掴まれ降ってきたのは振り絞るような怒りの声。
手を出されていたのは
自分だと言うのに
こっちを敵と見なすのかと何だか可笑しくなった
従者は
『…っははは…手出されてたのは君でしょ?俺が悪者なの?』
『…っ…世話になったんだっ…当たり前だろ…!何されたって…俺は…っ…』
苦しそうな泣きそうな
眉間に皺を寄せながら
彼はそう言った。
『…うちにおいでよ。
我が国の王が君をご所望だってさ』
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