これは好きになっては
いけない人に恋をして
しまった女性のお話。
好きな人には既に奥さんがいる。子供はいないって言ってた。
夫婦の愛はとっくに冷めきり今は別居している。
自分より10歳以上年上のおじさんだった。
おちゃらけていて陽気で包容力があって…
ためになるアドバイスや悪いことをしていたら
きちんと叱ってくれる
そして私を否定しないで受け入れてくれる人…。
甘えたら嫌ってくらいに甘えさせてくれて愛を
くれる…。
奥さんには本当に申し訳ないけど二番目でもいい
今まで何人かと付き合ったけど一番好きな人…。
当時22歳の私は最初は
本当にそう思っていた。
しかしまだ子供だった私は次第に一番でないと嫌になっていた。
いつも彼に早く奥さんと別れて私と一緒になってと彼に縋るように
彼もわかったと言うものの一向に別れる様子も
ない。
もうダメなんだと私は
いつものように家に帰ってきた彼に
『もう別れましょう…。待っても…どれだけ待っても貴方は奥さんと別れてくれない!もう耐えられない!』
『…そっか…。ごめんな…今まで辛い思いさせて…本当にごめん…お前がそう望むなら…別れようか…』
そう言われた私はただ
ショックと怒りで元々
纏めていた荷物を持って
家を飛び出して一旦実家に帰った。
すぐにアパートは決まり仕事も順調に起動に乗り始め生活が安定した28歳。
私はまだ彼を忘れられずにいた。何人かと付き合ったりもしたけど長続きはしなかった。
不満をぶつけた時のあの彼の泣きそうな笑顔が
まだ今でもはっきりと
覚えている。
なんであんな表情をしたの…?
そう仕事帰りぼんやりと思いながら歩いていると
ふと何の気なしに見た
路地裏に
髪はぼさぼさで伸び放題着ている服もボロボロな
いかにもなホームレスのおじさんがいた。
私は関わり合いにならないようにそのまま見なかったことにして
家に帰ろうとしたが私の視線を感じたのかおじさんか顔を上げた。
その顔を見て私は驚いた…だって…そこにいたのは…。
私が本当に本気で好きになった人だった…。
私は混乱しながらも彼に話しかけた。相手は驚いた表情、そしてバツの
悪そうな笑みを浮かべて
『はは…カッコ悪い所
見せちゃったなぁ…』
あの頃と変わらない笑顔で私と話してくれた。
詳しい話を聞いて私は
更に驚いた。
>1 に続く。