世界のどこにいても【君の名は。】

…男の子ってデリカシー無いんね。(ぽつり、独り言の様に呟いてはドヤ顔をする相手に思わずこの男は、と叫びたくなるのを何とか留め。そうこうしてるうちに頼んでいた商品が机に置かれ、先程の様子から一変。まるで効果音が鳴りそうな程に表情を輝かせては、鞄の中からスマホを取り出すと何枚か写真を撮り。)

こうして見ると普通に可愛いんだよな……
（先ほどの憎たらしいほどのしたり顔に比べ、料理を前にした相手の姿はどこにでもいそうな普通の女子高生。肘をつき手で顎を押さえて観るその姿に思わず小声で「可愛い」と言う単語を口にしてしまうが初対面のはずの相手に何を言ってるんだと内心パニック状態になり額をゴンとテーブルにぶつけ）

…どうしたん？(フォークとナイフを手に取り食べようとした矢先、鈍い音を立てて机に突っ伏した相手に驚いた様に目を丸くしては首を傾げ。先程彼が何やら言っていた様だがパンケーキに夢中で何を言っていたかまでは耳に届いておらず、とりあえず持っていたフォークとナイフを元の場所に戻し「はよ飲まんとコーヒー冷めるよ。」と、伏せた相手の髪の隙間から見える額を小突き。)

何でもない何でもない！
（先ほどの状況からか相手から声をかけられて慌てて顔をあげると平静を装いふうっと一息をついて自分の目の前に置かれたコーヒーを一口飲んでちらっと相手の方へと一瞥する。勢いでこの店に誘ってはみたものの彼女の容姿をよく見てみるとそこらの女子より可愛くよく誘えたものだと自分でも感心してしまうほどでまたため息が漏れてしまい）

あ、元気はありそうやね。(もしかして具合が悪いのでは、と心配していたが元気そうな様子に安心した様に笑みを浮かべ。先程食べずじまいでいたパンケーキを一口大に切り口に運ぶとあまりの美味しさに目を見開き、自然と頬が緩んでしまうと頬が落ちそうな程美味しいとはこの事を言うのだと実感し。「こんなに美味しいの初めてやわ…！」と大袈裟ともとれる発言はいたって大真面目。)

そんな大袈裟な
（パンケーキを食べただけなのにまるでご馳走を前にしたかのような相手の反応に苦笑いを浮かべ、今までパンケーキを食べたことがないのかそれとも美味しいパンケーキに今まで巡り会えなかったのか様々な憶測を生み出しつつ自分は頼んだパフェに手を付けずにコーヒーを飲み続けていて）

私は真面目やよ！私が前に住んどった所はカフェと言えば自販機と椅子、テーブルがある所だけやったし。(今はもう無くなってしまった糸守町をまだ細かい所まで覚えており、懐かしむ様に話しながらも東京に比べると本当に何も無い事に苦笑を零し。まだパフェに手を付けようとしない相手を不思議に思うと、「…やっぱり甘い物苦手やったかな？」と恐る恐る尋ね。)

い、いや苦手とかじゃねえよ？ただまず最初はコーヒーからだな……
（相手の説明するカフェについてにそれは本当にカフェなのかと言うツッコミをしたかったのだが先ほどの事もある上に真面目に語る相手がいるので余計なことを言うのは野暮なのだろうかとこれ以上は何も言わず。そんな時相手から自分が頼んだパフェの事を指摘され実は忘れてたなど言えず目線を泳がせつつも誤魔化すようにスプーンでパフェの先端を掬い「食べる？」と相手の前に差し出して）

ええの！？(差し出されたそれに驚きと喜びが混じった様に声をあげると、あまりにも子供っぽ過ぎただろうかと今になって後悔。しかし相手の好意は素直に受け取ろう、等と自分に言い訳をするとパクリと口に含んでは片頬に手を当て幸せそうに顔を綻ばせ。「あ、じゃあ私のと交換やね。」と何の躊躇いも無くフォークを刺したパンケーキを相手の口元に差し出し。)

そ、そうだな…じゃあありがたく
（自分からしたことではあったのだがこの行為自体かなり恥ずかしい事のようにも思えてきてしまい恥ずかしさからか少しだけ顔を赤らめて一瞬だけ相手から視線をそらすも何とか心の準備だけはできて相手が差し出してきたパンケーキを口に含んで）

美味しいやろ？(得意げに笑みを浮かべながら再び口にしようとしたところで、やっと間接キスをしていた事を理解し、相手が少し赤くなっていることにも納得がいき。釣られてか頬を赤くするも平常を装いながら黙々と食べ進め、時折ちらりと相手の様子を伺い。店内は空調が効いているはずなのに段々と暑くなってくると水を一気に飲み干し。)

あ、あれー？なんかこの店暑いなー。冷房効いてねえんじゃねえの？
（パフェを食べている間にも気恥ずかしさは消えずむしろ相手まで同じように赤くなっているのでつられるようにさらに顔は赤くなっていきそれを悟られないように誤魔化そうとするのだが周りのお客様は「寒いねー」や「冷房効きすぎてない？」など彼とは真逆の事を言い始めるのでごまかしが効かずまた黙ってしまい）

せ、せやねー。あ、君はコーヒー飲んどったからやない？(パタパタと態とらしく首元に風を仰ぎながら、ぎこちなく首を傾げ。ようやくパンケーキを食べ終え紙ナプキンで口元拭うと「私は東京に来て疲れが出たから暑いんやさ」と少々意味の分からない言い訳を。店内の客は来た時に比べると少し減っており、従業員もあまりホールに出ている人は少なく眠そうに欠伸をしている従業員に苦笑を零し。)

そ、そうか…そうだよな！
（相手の言い訳には納得できないところもあるが理由はどうであれ話を合わせてくれたのだからその好意を無駄にすることはなくこちらも合わせる。それからと言うものの恥ずかしさは残っている自分に下手な話題を提供することができずにいたがやがて「やっぱり、俺たちどこかで会ったことあるよな…」と先ほどからの自然と気楽に話している自分たちにやはり初対面ではないのだろうと改めて認識し相手にそう投げかけ）

そんな気しかせんよ。…君と初対面って感じがせえへんもん。(羞恥も引いたところで相手の発言に頷けば、自分達はいつ、何処で出会ったのかと疑問は募るばかりで。糸守町の友達と言えば一番に挙げられるのはサヤちんとテッシー。彼女達も勿論大事なのだが、今は忘れてしまっている彼の事も凄く大事な存在だと感じている自分がいる。頬杖をつきながら「じゃあ質問。君は学生？それとも…就活生？」と質問を。)

俺は高校生……だけど
（真面目な話で空気を変え、改めて自分の気を引き締めるかのようにコーヒーを再び一口口に含んでみて相手の質問に答えると再び彼女の方へと顔を向けて「君って、東京の人じゃないみたいだけど何処から来たの？」とこちらも同様に質問を投げかけ）

(/と、本体文のみで失礼します。いい感じで空気が変わってきたので決めたいことがあるのですが記憶を取り戻す方法はどうしましょうか？私が考えたのですと本編でもあった電車での出来事と同じことが起こってそこから記憶を取り戻すのを考えたのですが）

(/ハッ…そこまで考えていませんでした…！主様の案で良いと思うのですが電車の出来事、と言うのは三葉が瀧に組紐を渡す場面で合っていますでしょうか？)

(/そうですね。すみません自分ばかりの目線で書いてたら大事な文が抜けていました)

…んー、糸守町って言えば分かる？彗星が落ちた町に住んどったんやけど、流石にもう住むことは出来んから引っ越して来たんよ。(念の為に、とスマホをつけあの事故から数日しか経ってない為か未だ話題の中にある糸守町に彗星が落ちたニュースを開くと相手に見せ。誰かに言われて皆を避難させた記憶はあるが、その誰かは思い出せず小さく苦笑いを浮かべ。再び無意識のうちに片手を開いてはここに何かが書いてあったのか、と頭を悩ませ。)

(/順番逆になってしまい申し訳ありません！)