『フッ…全く…予想通りの展開過ぎて笑ってしまいますよ…』
魔法使いの男は一人荒野を歩いていた。
少し前までは仲間と一緒だったのに。
いや、仲間と呼ぶには
些か絆が浅い酒場で
出会っただけの者達。
剣士、武道家、盗賊、
僧侶、そして自分__
パーティーを組みレベルを上げるため強敵のいるフィールドへと来ていた。
楽をしてレベルを上げたいとパーティーを組んでるから、僧侶がいるからと他の者は皆言ったため
ここは自分達のレベルよりも20も高いフィールド
いざ戦闘になったが到底適うはずもなく、属性を突いた魔法が一番効く、皆が時間を稼いでくれれば倒せるはずだった
しかし皆は我先にと戦闘から離脱。魔法使いは
延唱中だから動けず一撃を食らった。
瀕死にはなったが何とか命辛々逃走した。
持ち合わせの薬草を2つ使い半分まで体力を回復させる。
このままでは不味い…。街へ戻るのもうじゃうじゃいる敵の中、この体力では逃げ続けるにも
レベル差のある敵相手には一度で逃げられず一撃を貰うのは必須。
残りの薬草は後6個。
計画的に使わないと到底街には辿り着けずに
屍となるだけ。
キャンプしてゆっくり
休息を取り体力を全開
させる方が先決だ。
辺りは暗く夜になった事もあり敵に見つからないように移動しつつ辺りを見渡す。
するとこじんまりした
松明だろうか…明かりの灯る洞窟を見つける。
そこには敵は近寄って
おらずゆっくり休めそうだ。
そこへ近づくと看板が
視界に入った。
『魔人女の祀り場』と
魔人女とは伝説で語り継がれている世界を救った英雄だ。
世界を滅ぼさんとする
魔王が現れそれを討った後、祀り場へと封印された魔人女。
どこかに祀り場があるとは聞いていたが
まさか…?
魔法使いは高揚を抑えて洞窟へと入る。
しかし少し進んだ先は
行き止まり
やはり嘘かと落胆しかけた魔法使いだが
ふと壁を見ると一カ所だけ違和感を感じる場所があることに気づく。
そこに触れ、軽く叩く。その隣も叩く。
すると違和感を感じる場所だけ音が違う。
魔法使いはグッとその箇所を押してみる。
するとガコッとその箇所は奥へと凹み
ゴゴゴゴ…と音を立てて
行き止まりだった場所の壁が崩れ落ち
露わになったその場所には長く艶やかな黒髪が印象的な美しい女性が全身を蔦に巻かれた状態で
そこにいた__