使い魔獣との関係について(小説)

使い魔獣との関係について(小説)

YUKI  2016-08-06 20:01:21 
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上記の通り小説です

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ご意見・感想はEND後にどうぞ

世界設定は
無魔族・魔族・魔獣族から成り立つ予定です

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  • No.1 by YUKI  2016-08-06 20:17:37 



   ### プロローグ ###

僕らの世界は基本的に三つの種族で成り立っている。
もちろん、花は咲くし、樹木が多い森もある。
湖や川には魚や水草が生えており、鳥は鳴き兎や牛や馬などもいる。
そういうのを込みに考えれば山ほど色々な生き物が存在するけど、そこは別にして考えてほしい。
つまりはその種族達が、土地を耕し、村や国を作り、日々生活をして、時に争いを生んでいるという事である。
そんな中で僕らの国は比較的差別がない。
他の国は魔族だけの国や、無魔族の国もあるらしいけど、僕らや彼らに対して差はないと思う。

  • No.2 by YUKI  2016-08-06 20:36:20 

なぜなら僕ら魔族は魔力を持つ者であり、無魔族は魔力がない者。
魔獣族は名前だけなら凄いけど、要は魔力があって羽が生えてたり、獣耳や尾がある等の違いのみだ。
身体能力に多少の差はあれど、会話は出来るし問題も特にないと思う。
ただし、魔族と魔獣族は基本的に契約することで力が発揮できる。
この物語はそんな僕、暁四季(アカツキシキ)の少しだけ残念な物語である。

  • No.3 by YUKI  2016-08-06 21:10:57 




   ### 第一魔 黒い猫と契約と

その日の朝、朝食を食べていると母から郵便物を渡された。
「四季に手紙が着ていたわよ」
母から渡されたのは『リンユ村役場魔族課』と書かれていた封筒だった。
封筒の中身を確認すると内容はつまりこうだ。
『いつも村役場をご利用いただきありがとうございます』
どうでも良いことなので少し話を進める。
『つきましては一週間以内に一度お越しいただけると幸いです』
今度は行きすぎてしまった。
『後一月程で成人の議を行いになるご本人様の使い魔獣登録がまだお済みではないようですので』
ここだ。

  • No.4 by YUKI  2016-08-06 21:58:18 

四季は自分の度忘れに頭を抱えた。
分かってはいたのだ。
魔族は皆成人を迎える前に、魔獣族と契約をし使い魔を手に入れなければならないということを。
ただ、それは成人するまでに済ませればいい話だ。
だからつい、そのうちで良いと思っていた。
そして今現在に至るというわけだ。
契約自体は難しくはない、呪文も単純なものだし。
『我の名のもと契約すべし、あまたの魔獣族の中の者に告ぐ、我が身を守れ我が使い魔』
これが契約の呪文だ。
確かに少し恥ずかしさを覚えるけど、それ自体は問題ない。
魔獣族のことも普通に好きだし。
ただ唯一の問題は対価である。

  • No.5 by YUKI  2016-08-06 22:51:13 

周りの人から聞いた話では、契約時には普段使い魔に渡す魔力の量よりかなり多い量の魔力を渡さなくてはならないらしい。
その量は三日間は眠ってしまうほどだとか。
考えただけで恐ろしい対価だ。
使い魔からすれば契約料のような物のつもりだろうが、こちらからしてみればなかなか大きな対価である。
もう少し契約料を安くしてもらえるよう、交渉などが出来ればいいのだろうが、まぁ、無理だろう。
出来るのならとうの昔に誰かしているだろう。

  • No.6 by YUKI  2016-08-13 21:42:13 

ともかく、今四季がすべき事は家族で経営しているパン屋の仕事の手伝いではなく、『リンユ村役場魔族課』に行く事だ。
一週間以内とは書いてあるが、また忘れてしまっては困る。
念の為届いた封筒を使いなれた革の鞄に入れ、四季は村役場へ急いだ。


   ###

  • No.7 by YUKI  2016-08-13 22:54:12 

村役場は四季の家から比較的近くにあり、歩いても10分もかからずに着く。
そのため、役場で働く人々はよく家の店に来る常連さんばかりだ。
しかし、四季自身が村役場の常連というわけではない為、『魔族課』の場所が分からない。
とりあえずは定番の受付で聞けば何とかなるだろう。
「すいません魔族課は何処にありますか?」
四季なりに簡潔に聞いたつもりである。
「村役場内にありますよ」
しかし受付のお姉さんからはさらなる簡潔な答えが返ってきた。
聞きたいのはそう言う事ではない。
役場内にあるという事は分かっているのだ。

  • No.8 by YUKI  2016-08-14 15:20:59 

「えっと、役場内の何処にありますか?」
「二階にありますよ」
始めからこう聞けばよかったのだろうか。
少しふに落ちないが、二階にある事を今度は教えてもらえたので良しとした。
四季は階段で二階に向かい、魔族課を探し始めたのだが、役場内は思いのほか広く、仕方がなく階段近くの課に聞いてみる。
「すいません魔族課は何処ですか?」
「二つ隣ですよ」
指を指したのは右側二つ隣の課であり、そこには確かに『魔族課』とあった。
礼を言い、ようやく目的の場所にたどり着く事が叶い、四季は安堵する。

  • No.9 by YUKI  2016-08-14 23:29:29 

自宅からの距離はそれほど離れていないはずなのに、ずいぶんと体力を使った気がする。
おそらく気のせいではないだろう。
「すいません、聞きたい事があるんですけど」
四季は封筒を取り出し、魔族課の担当受付のお兄さんに聞いてみた。
「成人の儀と魔獣登録についての手紙がそちらから届きまして」
そう言い四季は封筒の中の手紙を取り出し、差し出してみた。
目の前のお兄さんは、四季の話を聞きながら手紙を見る。
「わかりました、では必要な書類を用意しますので少しお待ちください」
必要な書類とはどういうものなのだろう。
登録書とかだろうか。
とりあえず、数歩後ろにあるベンチに腰を下ろし、待つしかないのであろう。
四季は魔族課の窓口を見つめ数分ほど待つことになった。

  • No.10 by YUKI  2016-08-14 23:48:15 

「暁四季さん、おまたせしました」
窓口から名前が呼ばれ、四季は窓口の椅子に座る。
そしてその机の上にはなんともよく分からない書類があった。
『簡単に分かる契約の説明書』
説明書?いるのか、それ。
契約の呪文は魔族なら子供の頃から大人達にさんざん教えられるし、魔法陣は親に聞けば問題ないのではと四季は思っていた。
しかし現実は違うらしい。
契約の呪文はいいのだが、契約の決まり事、契約の破棄、危険性等はこの書類を読まなくてはならないらしい。
しかも書類は有料だ。
200ムルとあまり高くはないが、まさかの出費だ。
しかも魔法陣は自分で書いても意味がないらしく、こちらも役場で買わなくてはないらしい。
魔法陣は一枚500ムルである。

  • No.11 by YUKI  2016-08-15 00:02:46 

併せて700ムル、なかなかの出費と言えるだろう。
ちなみに、四季の店の手伝いのバイト代は時給500ムルである。
一時間で魔法陣一枚分というわけだ。
無駄遣いはしたくない。
ちなみに魔法陣は一枚につき一度しか使えない。
呪文のミスはもちろん、契約の失敗は避けたい。
自宅の部屋に戻り、四季は契約の準備に取りかかった。


   ###

  • No.12 by YUKI  2016-08-15 00:33:44 

魔法陣を広げ、一通り説明書を読み、だいたいの内容を理解した四季は頭の中で簡単な注意事項を纏めた。
まず、契約後に渡す魔力は前から聞いていたとおり三日程寝込むことは間違いないらしい。
そこは間違いであってほしかったが、仕方がない。
次に、契約は魔族と魔獣族が同意の上で始めて成立するらしい。
それはそうだよね、相性は大事だよね。
次に、魔族が寿命を終え、主を失った魔獣族はこちらの世界でも自由に行動できるようになる、しかし魔獣族の攻撃によるものは認められない。
なるほど、主を手にかけてはいけないと言う事だな。
魔族側にとっては安心できることだ。
最後に、魔獣族は契約をあまり好まない者が多い。
え、それはかなり厳しいぞ。
でも確かにいきなり使い魔になれなんて言われたら怒るよね。
そこは考えていなかったが、まぁ頑張って説得しよう。

  • No.13 by YUKI  2016-08-15 00:44:52 

「それじゃあ始めるか」
説明書を閉じ、魔法陣の前に立ち、呪文を唱え始める。
『我の名のもと契約すべし、あまたの魔獣族の中の者に告ぐ、我が身を守れ我が使い魔』
呪文を唱えると魔法陣から光が溢れた。
とても目を開けてはいられず、四季は目を閉じてしまう。
しかし四季の頭の中には強い気持ちが溢れていた。
(どうか、羽の生えた変なおじさんではありませんように。綺麗な女性とは言いませんから、お願いします)

  • No.14 by YUKI  2016-08-15 00:54:57 

光が収まりゆっくりと目を開けるとそこには長い黒髪の綺麗な女の子が立っていた。
頭には黒い猫のような耳があり、黒く長い尾のようなものもある。
服の色はやはり黒くふわりとしたシンプルなノースリーワンピースで、足元は黒のミュールといった感じである。
彼女もゆっくりと目を開け、四季と目が合う。
肌は色白で、すらりとしていて、顔も整っていて凄く綺麗だ。
四季は神様に感謝した。
まさか一度目で彼女のような女の子と会えるなんて。
しかしその四季の思いも彼女の一言で台無しとなる。

  • No.15 by YUKI  2016-08-15 01:08:16 

「早く帰りたいんだけど」
彼女の第一声に四季は固まってしまう。
え、帰りたいって言うのは早く契約して帰りたいのか、それとも契約したくないと言う事なのだろうか。
『魔獣族はあまり契約を好まない者が多い』
つまり嫌だと言う事だろうか。
なにも言わない四季に対して彼女はさらに一言告げる。
「ねぇ、早く契約キャンセルにしてよ、帰りたいんだから」
『契約キャンセル』
契約したくないと思われているのは確からしい。
しかしせっかくの一回目でのチャンスをみすみす逃すほど四季も愚かではない。
「お願いします、契約してください」
四季は彼女の前で土下座をしたのだ。

  • No.16 by YUKI  2016-08-15 01:27:56 

お金のことはまだ良い、しかしこんなチャンスが次に何時回ってくるか分からない。
このチャンスを逃したら羽の生えたおじさんや、怖い感じのお兄さんばかりしか出ない可能性もある。
それならプライドよりも今を取ると四季は強く心で誓い、頭を下げ続けた。
しかし現実は残酷である。
「嫌、特に初対面の女性相手にいきなり土下座する男の人は嫌」
彼女は四季のことを蔑んだ目で見つめ、ハッキリと答えた。
そっと顔を上げた四季の目に映ったのは、そんな冷たい目をしていた彼女の姿であった。


     1章END

  • No.17 by YUKI  2016-08-15 01:49:19 

     後書き

1章でとりあえず、閉めることになりました。
あくまでとりあえずなので、また書く事もあるかもしれませんが、これか新たな物語を書くつもりです。
では、ここまでお読みいただきありがとうございました。
ご意見・ご感想はいかにお願いします。
では、失礼。

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