空き教室とネクタイ(非募集)

先生が先生指導の担当の時だけついうっかり忘れちゃうんです(先生が家に来くる、何だかそれって唆る展開じゃないか、なんて少しだけ想像してみてはひらひらと振られた手に、俺一人で生活出来てるか確かめなくていいんですか？、なんて悪戯っぽく言葉をかける。ネクタイを忘れる理由なんて先生の気を引きたいだけど言えば凄く単純で、冗談っぽく言葉を連ねる先生に言い訳にもならない言葉を連ねて、俺は先生にだけは反抗しませんよ、なんて涼しい顔をして笑いかけ

何だよソレ。もしかして俺に指導されんのが好きなのかー?全く。...確かめる必要はねーよ、お前ならちゃんとできてそうだし。...まぁ、でも困ったらいつでも言えよ。(彼の言葉に肩を竦めながら述べると己だけには抵抗しないと言いつつも、ネクタイを忘れている事は抵抗とは言わないのだろうかと首捻る。そして五分前チャイムが鳴り響くと時計をみやり直ぐ様立ち上がり、彼の背中をぽんと軽く叩いて)っと、時間だ。ほら授業いけよー。

…、困ってることならあります。好きな人が俺に振り向いてくれないこととか(無駄に人当たりが良いことが裏目に出たのか、確かめる必要はないと言われれば反論はできなかった。チャイムが鳴る中、席を立つ彼にもう少しだけ、というようにじっと見つめて言った。中々縮まらないこの距離をどうにかして埋めたくて、自らも立ち上がると先生らしくポンと叩かれた彼の手を掴み、だから先生どうしたらいいのか一緒に考えてください、なんて生徒らしく懇願するように言い)

はあ?....生徒にそんな相談されたの俺、初めてだわ。ったく、お前もすみに置けねぇな～青春しちゃって。(ぽんと叩いた手を捕まれ告げられる言葉に目を丸くしては小さく笑いながら上記を告げる。矢張彼も恋くらいするかと微笑ましく思えた。大体そういう相談は友達同士で相談するものが多いが、あえて教師の己に相談するくらい不器用なのか困った事なんだろう。捕まれた手をやんわりと引き離すと己の後頭部くしゃりとかきみだし）誰かとかは言いにくいだろうから聞かねーけど、どんな子よ?

俺より少し背が小さくて、優しくて俺が一人暮らししてることにも気にかけてくれてて、年上なのになんか可愛い人です(どんな子…まさか目の前の彼は想い人が自分だなんて思ってもいないのだろう、目の前の彼をじっと見ながら答える。こんなにもわかりやすい想いに気づいて欲しいのか気づいて欲しくないのかわからなかった。しかし少しでも彼が意識してくれるならバレても構わないし、むしろそっちの方がやりやすいのでもとすらとも考える。どうしようもないほど好きなんですけど意識すらされてないんです、なんて困ったように言い)

お前より少し背低いって結構身長ある子だな...。そ?年上のお姉さんかー。相手が年上好みだったら、まず難しいだろうけどよ。それなりに包容力とかあればいけるんじゃねぇの?意識されてねーのは、お前が気持ち伝えてねぇからだろ。言わなきゃ伝わらないって、それなりのことしない限り。(彼の言葉を耳に何処と無く真面目に思考を巡らせると両腕組み暫く眉間に皺を寄せ。後に上記を告げては彼を見据えつつ肩をぽんぽんと柔く叩き小さく笑い)

気持ちを伝えるかそれなりのことをするか…なるほど参考になりました(真剣に考えてくれるように寄せられた皺に少し笑いそうなのを抑えるように形だけ真面目そうな表情を作る。笑顔でぽんぽんと叩かれ想い人本人にそんなことを言われれば、有言実行しないわけにはいかないだろう。ここでいっそのこと想いを伝えてみるか、いや彼の言うそれなりのことをしてみてもいいかもしれない。口元に笑みを浮かべ彼の手を掴むと見せつけるように手首にキスを落とし、そろそろ授業行きますね、また相談のってください、なんて笑って教室へと戻るべく歩みを進め)