ビターチョコレート 2016-07-27 23:53:39 |
通報 |
…じゃあ明日、絶対一緒に入ろうな。
(相手の要望に応えたいのは山々だが流石にこれ以上はのんびりしていられず、苦々しく表情を歪めながらそっと相手の肩を押し離れつつ呟き。相手の反応を思うと口にしたくない思いが増すものの、猶予は無く何とか笑みを浮かべながら顔を覗き込むと「悪い、今電話で…職場行かなきゃなんねぇんだよ。なるべく早く帰るけど、もし遅くなったら先寝てて良いから」等と最近何度口にしたか分からない台詞を口にしてゆっくりと立ち上がり)
…今からァ?
(甘いムードが続くと思ってばかりいたからか離される体の意味がわからず間抜けな表情を見せていたが、先ほどの電話の内容を聞くと愕然としてしまい。ここのところ何度も同じような出来ごとが立て続けにあり二人の時間もまともに取れておらず、今日は久しぶりにのんびりできると期待していただけにショックは大きく。だがここで駄々をこねて困らせるほど子供でいられる年齢でもなく、己も立ち上がればクローゼットに行き仕事用の服を一式用意して彼のもとへ持って行き「…ん、着ていくでしょ?一緒に寝たいから出来るだけ待ってるからァ。行ってらっしゃい」と我慢に我慢を重ねて聞き分けのいい恋人を演じて)
(/再び背後から失礼致します!この後記念日の日に飛ばしてしまおうかと思うのですが、よろしいでしょうか?)
…ありがと。
(今度こそは怒声の一つでも浴びせられるだろうかと覚悟していたが、予想に反して立ち上がった相手が持ってきたのは通勤時の服で。気の利き様と聞き分けの良さに何とも言えない寂寥感のようなものを感じるがそれはあまりにも自分勝手な心境で、礼の言葉と同時に服を受け取るとその場で素早く着替え。鞄を手にして準備を終えると振り返って触れるだけの口付けをし「行ってくる」と微笑んで短く告げた後に仕事へ向かい)
(/あああ…!呼んでくださりありがとうございます!どうしても主様を抱きしめ返したかったので嬉しいタイミングでした(むぎゅう←)
場面転換、承知しました。巧は一人で寝せておくのでお好きな場面から始めてください!此方への返事はスルーで大丈夫です…!)
行ってらっしゃァーい。
(仕事に行く朝のように軽いキスの後努めて明るい声を出して、本当に出て行ってしまった彼の後姿をいつもより長く見送っており。最後まで一度も此方を振り返らずに姿が見えなくなってしまえば、普段より重々しく感じる玄関の扉を閉めそのまま扉に凭れて俯き。彼を困らせたくない一心で陽気に振舞っていた反動で表情曇らせ「…寝て元気出さなきゃ」と独り言呟くと力ない足取りで寝室に向かって。ベッドに寝転がると不安な気持ちに襲われて思うように寝付けず、ごろごろと寝返りを打っているうちに眠りに落ちていて)
(/わああそんなご丁寧にお返しくださるなんてそんな(スリスリスリスr←)
健気な巧君が愛らしくてもう堪りません…今すぐ引き返して一緒に寝たい…。しかし此処は心を鬼にして接待の現場まで飛ばしますね!
すみません、またもついついお返事してしまいましたが此方は蹴ってくださいませ…!)
(長く続いた多忙な期間も漸く終わりを迎えて間違いなく仕事が終われば即帰れると判断して記念日は一緒に過ごそうと約束したにも関わらず、当日に上司により無理やり接待の場に引き摺りだされていて。しかも最悪な事に店内には女性が溢れ、接待相手は鼻の下を伸ばしている始末。“スケベ親父め”と心中毒づきながらも引き攣った笑みを浮かべて応じていたが、時計を見れば相手に伝えていた帰宅時間はとっくに過ぎていて。その上今の雰囲気では抜けられそうになく、散々葛藤した末に一度席を立ち幾らか静かな場所へ移動して相手に電話を掛け)
(待ちに待った記念日はいつもより学校での仕事も気分が軽く、やることを済ませて早めに切り上げると盛大にお祝いしようとスーパーで買い出しして帰宅。壁掛け時計を見てまだ約束の時間までは余裕があると思い、早速ここ数日密かに練習してきたケーキを作ろうと意気込んで。特訓の成果もあってかうまい具合に4号の生クリームケーキを作ればその上に付き合った数だけのイチゴを飾り付け、完成したケーキを皿に乗せた状態で冷蔵庫に入れておき。大切な日だからこそ落ち着いてまっていることはできなくて、部屋の掃除をしたり忙しなく動いていると約束の時間が過ぎていたことに後から気づき。信頼している彼のことだからこそ無断で遅れている現状が心配でならず、携帯をもってうろうろしていたところに着信音響くと直ぐに通話に切り替えて耳に当て)…もしもしィ?
…あ、巧…悪い、今日帰んの遅くなる。
(相手に何と言い訳すれば良いのかと悩ましげに眉を寄せるが、思いの外早くにコール音が止むと結局は用件のみを短く伝えて。しかしやはり何も言わないままでは居られず、ついでに今居る店の事も後で言うのは良くないだろうと判断して「急に接待入っちまって、それで今…」と状況を説明しかけた時、店から出てきたのは先程まで同じテーブルに居た女性。此方が電話を掛けているのに気付かなかったのか腕を絡められ甘えたような甲高い声で早く戻るよう強請られると、思わぬ声の大きさに慌てて女性を振り払い一旦その場を離れ)
(/わああすいません途中で送ってしまいました…!付け足させて頂きます!)
…あ、巧…悪い、今日帰んの遅くなる。
(相手に何と言い訳すれば良いのかと悩ましげに眉を寄せるが、思いの外早くにコール音が止むと結局は用件のみを短く伝えて。しかしやはり何も言わないままでは居られず、ついでに今居る店の事も後で言うのは良くないだろうと判断して「急に接待入っちまって、それで今…」と状況を説明しかけた時、店から出てきたのは先程まで同じテーブルに居た女性。此方が電話を掛けているのに気付かなかったのか腕を絡められ甘えたような甲高い声で早く戻るよう強請られると、思わぬ声の大きさに慌てて女性を振り払い一旦その場を離れ。今の声は間違いなく相手にも聞こえてしまっただろうと再度スマートフォンを耳に当てると「あ、巧、今のは…」と言葉を紡ぐも完全に頭で整理していた順序がこんがらがってしまい、何処から説明すれば良いのかと考え込むあまり言葉に詰まってしまい)
(/途中で送信されたとは信じられないくらいの素敵描写でした!正直何の違和感も感じなかったです(笑)再投稿ありがとうございます!此方は蹴ってく頂いて大丈夫ですので…!)
──…、あ……うん。わかった。遅くなるのね。
(心配していただけに声を聞けただけでも安心して頬を緩ませ、次いだ遅くなるの発言には今月だけでも何十回と聞いた同じ台詞に残念そうに肩を落とすも彼に伝わらないように声だけは明るく。文句の一つでも言って少し困らせてやろうと考えていたところに、電話の向こうから女性の甘ったるい声が聞こえてくれば途端に頭は真っ白になってしまい。聞きたいことも沢山あるし言いたいことだってあるのに真実を明かされるのが恐怖に思え、数秒間を置いてから精一杯のわかったふりをして返事をすれば「じゃあね」と一方的に通話を切り。沸々と怒りや嫉妬にまみれた黒い感情で心が蝕まれ持っていた携帯をリビングの壁に向かって思い切り投げつけ、冷蔵庫からケーキを取り出すと感情に任せ皿ごとゴミ箱に投げ入れて)
(この状況ではあらぬ誤解を招くのも当然で、早く何か言わなければと考えれば考える程言葉が出て来ず。せめて相手が文句の一つでも言ってくれれば気が楽だったのだが、重々しい沈黙の後に聞こえてきたのは妙な程に聞き分けの良い言葉で。それが相手の感情を如実に表しており、何を言えば良いかも分からないまま取りあえず言葉を発しようとするが、無情にもその前に通話は切断され。暫し呆然と画面を見詰めてその場に佇んでいたが、現実に返れば接待相手を放り出しておくわけにもいかずこのまま帰ってしまいたい気持ちを必死に抑え込みながら店内へ戻り。それから数時間後、漸く場がお開きになると慌ててタクシーを捕まえ帰路につき)
(もしかしたら事態を察して飛んで帰ってきてくれるかもしれないと待ってみるも時間は虚しく過ぎ去っていき、時が経つに連れ負の感情は膨らみ制御できない程になっていて。クローゼットに向かってふらふら歩いていけば大きめの鞄を引っ張り出し中に次々衣類を詰め込み、暫くの間仕事や私生活を送るのに問題ないくらいの準備を終えたなら思い切り投げた携帯を床から拾い上げポケットに入れて。部屋を出て行く前に一度だけ振り返ると彼との思い出が溢れ、それが涙となって目から零れ落ちないうちに走って家を飛び出し。彼が乗るタクシーが家の前に着いた時には己は既に反対側に向かって宛てもなく歩き進めており、まるで世界でたった一人きりになったような沈んだ気分で暗い夜道を歩いて)
(相手が家を出て行ったとも知らず慌てて玄関の扉を開けるが、空間が帯びる静けさを感じると一気に胸騒ぎがし始め靴を脱ぎ捨ててリビングに向かい。案の定相手の姿は何処にも無く、ひたすら焦燥感に駆られて家中の部屋を見て回り。ゴミ箱の中のケーキの残骸を目に留めて額に手を遣りながら表情を歪めるが、感傷に浸っている暇は無くクローゼットのある部屋へ向かい。開け放されたままのクローゼットの中は妙に物足りなく、その奇妙な感覚の理由に直ぐ様気付くと思わず鼓動が一際大きく脈動し眩暈を覚え。一瞬呼吸すら忘れて呆然としていたが、弾かれたように家を飛び出すと行く先の宛も無く何も考えずに闇雲に走り出し、片手で携帯を操作し相手に電話を掛け)
(夜と言っても季節柄寒さは感じないものの、心の孤独さからか体の芯は冷え切っている感じがして。ただ前を見て一心不乱に歩き続けていたが目の前に大きな公園を見つけると落ち着ける場所を求めて入っていき、隅の方に設置されてあるベンチを見つければ重いバッグをそこに下ろし己も腰掛け。やっと正常な脈に戻りつつあった頃ポケットから着信音と思われる不協和音が流れ始めて、きっと投げつけてしまったせいでどこか壊れたに違いないと苦笑い浮かべるも、液晶には異常がないようで“ダァーリン”と表示されたそこを考えるように数秒見つめた後通話に切り替え)
──はい、
巧…、…今何処に居る?
(最悪応答が無いかもしれないと思うとたった数秒が何時間にも思え携帯を握る手に力が込もるが、それから程無くして相手の声が耳に届き。思わず安堵の滲んだ声が溢れ出し一度足を止めると、整わない呼吸の合間に居場所を問い。しかし相手が家を出た原因が自分にある手前、あくまでも詰問口調にならないよう配慮して)
……ごめーん。今友達の家に遊びに来てるんだァ、また後で連絡するねェ?
(電話越しに彼の声を聞けば感情は不安定に揺れ、何と言葉にしていいかわからず口を閉ざし。今頃帰ってきたのかとぼんやりと考えながら、彼の陰にあの甲高い声の女の存在がどうしてもチラついてしまってきつく眉寄せ。詮索されないように平然を装い嘘を並べ立てれば、最後までいい子の仮面を被ったまま通話終えようとして)
…なら、迎えに行くから。何処に居るんだよ。
(幾らなんでも状況を考えれば相手の言葉が嘘であるのは想像がつき、恐らくは何処かで一人で居るのだろうと考えられ。己の失態を悔やみながらもどうにか居場所を聞き出さねばならず、無闇に相手の言葉を疑ってかかりはしないものの暗に今すぐ迎えに行くという意思を込めて再度問い掛け)
…会いたくない。──理人に、会いたくない。
(彼が後ろめたいことを隠したいからこんなにも優しいのではないかと余計に疑いを重ねてしまい、携帯握る手に力を入れると一度深呼吸して。果たしてこれが愛しいはずの恋人に向けて言ってしまっていい言葉なのだろうかと悩むも、結論が出るより先に口から拒絶の声は零れ落ちていて。どこか自分にも言い聞かせるようにもう一度会いたくないと繰り返した声は、今までにないくらい細く暗い声がやけに響き。彼からの返事が聞きたいような聞きたくないようなそんな気持ちで耳を澄ましていたが、すぐにプツリと音がして慌てて携帯を見てみればどうやら電池が尽きてしまった真っ暗な画面を虚ろな瞳で見つめて)
──…おい、巧…っ、
(これですんなり居場所を教えてくれるとも思っていなかったが、告げられた言葉は想像を上回って心に重く圧し掛かり。こんなにもはっきりと拒絶の意思を持った言葉を相手の口から聞いたのは初めての事で、まるで思考が停止してしまったように何も考えられず。意識が現実に引き戻されたのは微かに通話が切断される音が耳に届いてからの事、咄嗟に相手の名前を呼ぶが返事が聞こえるはずも無く。再度電話を掛けるがどうやら電源が切れているようで、いよいよ闇雲に捜し回るしか手段が無くなってしまい。それでも気付けば足は勝手に動いており、ひたすら前へ前へと先走る気持ちに乗じて走り続け目線では相手の姿を探し)
(すれ違いばかりだった最近のことを思い返してみればこのタイミングで電池が切れたのもどこか納得できてしまい、少し距離を置いて考えてみるのも良い機会だろうと鞄を持ちベンチから立ち上がって。役に立たない携帯をポケットにしまいながら公園から出ていけば、なるべく街灯の多い道を選びながら進んで行き。暫くしてとあるビジネスホテルの前に辿り着くと大雑把な準備だけで資金のことまで頭が回っていなかったため、やや不安そうな面持ちで財布の中身を確認し始め)
(殆ど無意識に走り続けていつの間にか街の方へ出ていて、分かれ道を前にして何方に向かおうかと視線を周囲へ向けた刹那息を詰めて動きを止め。距離にして数十メートル先にあるビジネスホテルの前にあるのは紛う事無き恋人の姿で、これまで散々走ってきた疲れも忘れて駆け寄ると勢いのままに相手の手首を掴み。あまりの呼吸の乱れに会話もままならないが、体を折って肩で呼吸をする合間に辛うじて「…ッ、待てよ…」と声を絞り出し)
トピック検索 |