君は私の飼い猫。大事な大切な私の愛猫。
ずっと一緒だと思っていたのにそれこそ貴方の死すらも見届けたいと思っていたのに…。
貴方は突然姿を消した。決まった時間以外に脱走なんて一度もした事はなかったのに。
私は辺りやよく行っていた公園や散歩コースを
走り回った。
でもどこにもいなかった。
迷い猫の張り紙もしたし知り合いに全て声をかけたけど一週間、1ヶ月…
二年過ぎても貴方の行方所が情報すら入ってこなかった。
それから更に八年過ぎた私も26歳になり社会人になった頃。
残業で遅くなり一人暮らしのアパートに着いたのが23時。アパートの鍵を鞄から探してると
部屋の中から物音がした。
泥棒…?鍵は閉めたし…あ、窓を閉め忘れた。
貴方がいる時によく開けていた、癖のようなもの。いつ貴方が帰ってきても良いように…。
年齢からして普通の猫なら死んでいるのに頭ではわかってるけど…。
再び物音が聞こえた。私は今はこっちに集中しなきゃと鞄の中から護身用のスタンガンを出して構えながら鍵を開けて中に入った。
靴を脱ぐ。電気もついていない暗い部屋…でも
確かに何かぼんやりと人の姿が見える…。
「誰かいるの?」近くにある電気を付けた瞬間
目に飛び込んできた姿に私は酷く驚いた。
そこにいたのは私の愛猫…!間違えるはずのない…!でもどうして…!
『…お前とずっと一緒にいたかった…でも寿命には勝てなかった…だから俺はお前の前から姿を消した。
でも泣きながら俺を探しにくるお前
その後もずっと泣いてるお前
こうやって不用心に窓を開けていつまでも俺を
待っててくれるお前をずっと幽霊になって見てた
…たまらなくなって俺は一度死んでるがお前の側にいたいと強く願った。
そうしたら…願いが叶ったんだ。でも同時に俺は化物にもなった…。
お前が嫌なら直ぐに出て行く。でももし…また
一緒に暮らせるなら…。って猫が話すなんて既に気持ち悪いよな…』
貴方の話は自分でも驚くぐらいにスッと入ってきた。ただ貴方が私の目の前にいるって事が私には…たまらなく嬉しかった。
「気持ち悪いわけないよ。経緯はわかった。寧ろ帰ってきてくれて嬉しい、おかえり。…ねぇでもさっきここに人いなかった?」
『…それも…俺だ。今はいきなり電気着いてびっくりしてこの姿になっただけだ』
そう言った私の愛猫は
人の姿を取った。
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