心ノトビラ〜非募集〜

(相手が言っているのはどちらの手当だろうかと妙な想像をしてはまた少し耳を赤くしてしまい。思い出すように車内で触れられた額を撫でれば、もう一度あんな風に優しく触れてもらいたい気持ちはあるものの結局は首を横に振り｢私は…これくらいの傷、慣れてますから｣そう答えるが、何よりまた酷い痕がついているはずの体を見られたくはなくて。相手の治療に集中しようと頷けば｢かしこまりました｣言われた通り自分を守ってくれた証である痣の一つ一つへ慈しむように唇を落としていき。その度にこんなに傷ついてまで助けてくれたことを実感させられ、徐々に夢中になってしまうが｢…痛くはありませんか？｣時々相手の顔を見上げて確かめるのも忘れず)

(/すみません、こちらも本体会話が抜けておりました…！
今日明日は少々私用があり、返信できるのが夕方以降になってしまうのですが何卒ご了承ください…！)

（こちらの囁きに何を想像したのか耳をまた少し赤くする相手に意地悪そうに苦笑すれば首を横に振る相手に「そうか…シュアンがいいならいいんだけどな」とやはり体の傷のことを気にしているのかと思い。するとこちらの頼みに頷く相手が痣の１つ１つに唇をつけていけば心のどこからかか相手を支配しているという征服感が湧き上がっていて、相手の時々痛くないかという確認に「あ、あぁ大丈夫」と上目遣いの相手と眼を合わせて安心させるように微笑みながら言って。体が相手の唇と触れ合うたびにくすぐったさからかピクッと体を揺らしたり鳥肌が立ち）

（/了解しました！気長にお待ちしておりますね）

(少し意地悪な声に心が傾きかけるもとにかく相手の治療が先であり。反応を確かめれば向けられたのはいつも通りの微笑みだったはずなのに、なぜか一瞬全く別の表情に見えてしまい不安から一層相手を見つめて。しかし怯えているわけではなく、また優しさから何か我慢してくれているのではないか、無理をさせているのではないかという心配に近い不安であり｢…さっきも、大丈夫と言って怪我をされていました。少しで構いませんから…もっと、本当のことを教えていただきたいです｣相手の"大丈夫"は安心するけれど、相手に負担をかけてまで聞きたい言葉ではなくて。胸の痣に顔を寄せたまま、片手でくすぐったいのか鳥肌の立っている肌に触れながら遠慮がちに願い)

(/お待たせ致しました…！)

（相手の治療を受けていると、あまり意識しないようにしていると不安そうにこちらを見つめる相手に対して何だろうかとこちらからも見つめ返して。すると本当のことを教えて欲しいと願いながらこちらの胸に寄り添ってくる相手に対して、自分は本当に大丈夫なのだがそれを突っぱねて大丈夫を使いすぎて逆に相手を心配させてしまっていたのかと、少し反省をして。こちらに寄り添ってくる相手の頭を軽く抱いて「ごめん、少しくすぐったかった」と相手の言葉に正直になりながら耳元で囁いて）

（/お疲れ様です。お待ちしておりました！）

(軽く頭を抱かれれば胸にぴたりとくっつく形になって、温かい声と鼓動を聞くとおこがましくもまた少し相手に近づけた気がして自然と頬が緩んでしまい。顔は隠せても声音までは隠せず｢――わかりました。次からはくすぐったくないように、もっと練習します｣相手の本音へ小さく笑うように答えては、ふいに添えたこの手で先ほどのようにしがみついてしまいたい、もっと相手に触れられていたいという甘えた思いが胸をよぎってしまい自分でも驚いて。しかしそれではいけないと｢…まだ痛む所はありますか。それとも、もうお食事に致しましょうか｣顔を上げることで相手の胸から頭を離し、話を戻せば治療を続けるかどうか問いかけて)

(/ありがとうございます、私も１日中楽しみに待っておりました…！)

（くすぐったくないように練習する。一体そのようなこと出来るのか。また、どうやって練習するのかなど疑問に持てばそれは心の中に閉まっておき、いつもと違う声色を聞けば「ははっ、頼んだよ」とあまり本気にしていない様子で相手の頭をポンポンと撫でるように叩けば、顔を上げる相手が問いかけてくると「そうだなー、ご飯にしようかな」と言えば「続きはまた後で」とまた後で治療してもらうつもりか、はたまたどちらの治療をするかは告げず耳元で囁いて）

（/楽しみにしてたなんて光栄すぎます！なにか不満などはないでしょうか？）

(頭を叩かれながら聞く声は明らかに本気でなくともそんなことは気に留めず、頼むと言われた以上律儀に頷いて。相手が食事を選べば早速準備しようと冷蔵庫の中身を思い浮かべるが、不意に耳元で囁かれるとくすぐったさだけでなくその言葉にもぴくりと驚き｢また…？…は、はい。では、お食事の後で｣妙な我が儘を考えていたせいもあり、上げた声には喜ぶような色が混じってしまい。ぎこちなく誤魔化してはいそいそと台所へ逃げていき｢――お食事が出来たらお呼びしますから、稜様はお休みになっていてください｣ふと言い忘れたことを思い出してすぐに戻ってくれば、あんな事があった分少しでも体を休めてもらおうと頭を下げて改めて台所に向かい)

(/不満などとんでもありません、むしろ素敵すぎて恐縮してしまうくらいです…！こちらこそ少しやり過ぎてしまっている気がするので、不満やもっとこういう風にして欲しいなどのご要望がありましたら聞かせていただきたいです！)

（囁いた言葉に対して帰ってくる相手の声には、どこか嬉しさを混ぜたようなもので、恥ずかしそうに台所へ逃げる相手に「じゃあ、ご飯頼んだよ」と言えば頭を下げてまた台所へ向かう相手が休んでと言えばお言葉に甘えてリビングに向かい、ソファに勢いよく座って。そういえば相手もあんな事があった直後で疲れてないのだろうかと心配し、相手にご飯の用意を頼んだのは間違いだったかなと後悔して）

（こちらも素敵すぎて怖いくらいです…やり過ぎなんてとんでもないです！もっとやってもらっても構いません！要望といってもこのままイチャイチャできたらいいなと思っております。）

(傷の痛みも相手や料理など他のことに集中すれば忘れてしまえるもので。というよりそんなことに構う余裕はなく、慣れない道具に慣れない台所、そしてお世辞にも慣れているとは言えない料理という仕事に少々緊張しながら準備を進めては｢ええと…火はここで、包丁は…｣鍋にお湯を沸かし、冷蔵庫にあった野菜を切って形だけは順調に調理を始め。しかしそうすんなり行くはずもなく、吹きこぼれたお湯に驚いて気を取られると今度は包丁を持つ手が疎かになって｢…っ、待って、痛っ…！｣焦れば焦るほど指を切ったり火傷しかけたりと結局慌ただしくなってしまい)

(/勿体ないくらいのお言葉、本当に嬉しいです…！ではお言葉に甘えてもっとイチャイチャさせていただきます！シュアンも遠慮がなくなればもっと積極的に行けると思うので…！)

（台所とリビングは一緒になっているため、ソファからテレビを見ていても、台所で起こっている災難は丸聞こえで、鍋が噴きこぼれる音。そして相手の慌ただしい声に苦笑しながら立ち上がれば台所に向かい。「あー、指切ってんな」と真っ赤な血が流れている相手の手を取れば「ん…っ」と先程のお返しとばかりに血が出ている指を舌で転がすように舐めて。流血が収まれば、「火傷したところは冷やしててな」と蛇口から水を流せば相手の火傷したところにあてがい。相手が治療する間、自分がバトンタッチして調理し始めて。）

（わかりました！積極的なシュアンちゃん…楽しみです！こちらの息子は遠慮せずに最初から積極的に行かせますんで！）

(背後のリビングに騒ぎが聞こえないはずもなく、だからこそ余計焦っていたのだがやはり気付かれてしまったようで。せっかく休んでいた相手がこちらにやって来てくれれば不甲斐なさにうなだれて｢…すみません、っ…！？｣消え入りそうな声で謝るものの、柔らかい感触に顔を上げ、自分の指の血を舐め取る舌が目に入ると突然頬が熱くなり。同じことを相手にしても平気だったのに、くすぐったいような、ぞくりとするような感覚のせいか鼓動まで乱れてしまい｢っ駄目、汚い、ですから…！｣やっとの思いでそれだけ呟き、舌を離され冷たい水に晒されてもまだ顔は赤いままで｢…これくらい問題ありません。ですから、どうか休んで…｣そう訴える声も弱々しく途中で途切れてしまい、空いている手で頬を冷まそうとそっと押さえて)

(/もう稜さんが格好良すぎてドキドキしております…！シュアン一人ではまだ多少躊躇ってしまう場面が多いので、そうしていただけるととても有り難いです！ではまたよろしくお願いします！)

（うなだれながら消え入りそうな声で謝る相手が頬を赤くすればその様子に微笑みながら「こうすると、すぐ血が止まるんだろ？」車の中でしてくれた治療の後に言った相手のセリフを真似て言って。顔を赤いまま、弱々しい声で休んでと訴える相手に「じゃあ、2人で作ろう。いいな？」と言えば冷蔵庫から食材を取り出して調理に入り）

（わかりました！積極的にいかせて貰います！はい、これからもよろしくお願いします！）

(相手から帰ってきたのはまさしく自分が言った台詞。｢あれは、お洋服が汚れないように…｣あの時は服に血がつかないようにああしたのだと言い訳しそうになるが、その時のことを思い出すと今更羞恥が込み上げてきて言葉を詰まらせ。そうしている内に一緒に作ろうと言われれば、言い聞かせるような語尾と実感した力不足にこくりと頷くしかなくて。水を止め、必要なボウルや道具をこまめに用意しつつ調理をする相手を横目で見ていると自分は何をやっているのだろうと力無く視線を落としてしまい｢――…何か、お役に立ちたかったんです。稜様が優しくしてくださっても、何も返せなくて…だからせめて、任せていただいたお仕事だけでもちゃんとしたかったんです｣最初から相手に頼れば良かったのだろうが、そう出来なかった理由を申し訳なさそうに零し)

（冷蔵庫から取り出したのは鶏肉、ジャガイモ、ニンジン、タマネギと見ての通りカレーの具のラインナップで、食材を切り、まずは鶏肉を炒めようとすれば力なく視線を落とし、こちらの頼みを断れず無理にしようとした相手の言葉を聞くと、「ごめんな。お前が料理出来るかどうか聞かなかった俺も悪かった。これから一緒にやっていこうな」と視線を落としている事でちょうど良いところに相手の頭がありポンポンとすれば「これ、鍋で炒めて」と鶏肉を渡せば野菜などを炒めることも指示すれば自分は米の用意をして）

(自分がひとりで空回りしただけだというのに何故か謝られてしまい｢違います、私が勝手に――｣撫でる手さえ構わずはっと顔を上げて否定しようとしたところ、ちょうど鶏肉を渡されると最後まで言い切れずもどかしく感じながらも教えられた通り鍋へ具を入れていき。じゅうっと跳ねる油の音に気圧されつつも、一つの作業にしっかり集中すればなかなか失敗はしないもので焦げないよう注意深く木べらを動かしていき｢…良い匂い。これで良いですか？｣段々と美味しそうな匂いが漂ってくれば落ち込んでいた表情も少しずつ元に戻り、別の準備をしている相手に確認を取っては｢次は何を入れれば良いでしょうか…もっと教えてください｣再びおずおずと微笑みながら聞いてみて)

（米を炊飯器にセットすれぼ、後ろで鶏肉が焼かれる音がして。あたりに鶏肉が焼けるいい匂いが漂れば、落ち込んでいた様子が元に戻り、微笑みながら次の工程はどうすればいいかと聞かれると「よし、じゃあ次は野菜を炒めて」と切っておいた野菜を指差せば、食器を取り出し、続いて主役のカレーの素を出して、いい感じに野菜も火が通ってきたことを確認すると「よし、あとは任せな」と水を鍋の中にぶち込み、軽く沸騰してきたところでルーを投入すればさらにいい香りが台所に広がって）

(指示には"はい"とはっきり答え、野菜と肉を一緒に炒めているとここへ来て最初に食べさせてもらった食事に似ているように見えてきて、自分も少しは料理が出来るようになったのではと都合良く錯覚するがパチンッと飛んだ油の熱さにびっくりしてはまたすぐに自信を失い。それでも次からきちんと作るために鍋と相手から目を離さず、入れた水がスープのように煮えてきたところに何か加えるのを真剣な眼差しで眺め。｢美味しそう、……あ｣学ぶ傍ら何が出来るのか楽しみに待っていたものの、広がった香辛料の香りを吸い込んだ途端お腹が鳴ってしまい、思わず声を上げると反射的に相手の方を振り向いて)

（油がはねる度にビクビクと驚く相手に苦笑しながら様子を眺めていると、ルウを入れてコトコトと煮込んでいれば辺りにはもうカレーの匂いが立ち込めて、するとグツグツと煮込んでいても相手の腹の虫が鳴く音が聞こえてくれば相手の方を向いて。どうやら向こうもこちらに振り向いたようで顔を見合わせるような形になり、一瞬沈黙した後、盛大に吹き出して。「はいはい、もうすぐできるよ」と笑いの余韻が残りながらもそう言えば相手の頭をポンポンと叩いて。「よし、出来た」と言えば皿に米を盛り付けた後、カレーをかけて完成して。もちろん相手の分も忘れずに作ると「はい、運んで」と相手にも仕事をやらねば落ち込むだろうと思い、簡単な仕事をやって）

(どうやら相手にもしっかり聞こえてしまったらしく、見つめ合ったまま吹き出されると落ち着いてきた頬がまたじわじわ熱くなって｢わ、笑わないでください……ふふっ｣お腹を押さえて訴えるが、優しく撫でられた拍子に何故か自分もつられて笑ってしまい。たっぷりルーがかけられるご飯を見ていればまたお腹が鳴ってしまいそうで、いつもの仕事を与えられるとすぐにテーブルへ運んでいき、今日は箸は要らないだろうとスプーンを傍に添えてはただ食事の用意をしているだけなのに、本当は"きちんと仕事が出来なかった"と反省するべきなのに、二人でこうして何かする事が楽しいと感じてしまっている自分に気づき｢…稜様、ありがとうございます｣相手がテーブルにつくのを待っては様々な意味を込めて一言伝え)

（自分が吹き出していると、つられたように自分も笑い出す相手にこんな相手は昨日の様子からではとても想像はできなくて、「ごめんごめん」と相手の訴えに謝罪しながらまだ笑いの余韻が残っていて。箸ではなくスプーンを用意してテーブルに持っていけば自分も着いて行き、椅子に座って。すると、突然感謝の言葉を漏らす相手に「どうしたんだ？急に」といきなりありがとうと言われても言われることをした覚えはなく、少し困ったような顔をして）