心ノトビラ〜非募集〜

(乱暴な人間のように力を誇らない所が怖いと感じない理由かもしれないなどと考えては、喜ぶ相手にこちらの表情まで緩んでしまい｢…はい。今日の稜様は、すごく格好良かったです｣自分にとっては役に立ったという程度の話ではなく、言葉足らずながら精一杯訴えて。その相手が何か躊躇いながらも痣に唇をつけてくれれば舌になぞられるだけでも痛み、息を詰まらせるがそれでも眉を寄せて耐えていれば次第に痛みは温もりに塗り替えられていき、薄らいでいく恐怖に安心して力を抜いた途端体がぴくっと跳ね｢あ、…ありがとうございます。もう、少しも痛くありません｣驚いて高い声が漏れてしまうと口元を押さえ、恥ずかしそうに目を逸らすものの治療のお陰で落ち着いたことはきちんと伝え。相手にばかりさせてしまった申し訳なさと照れから｢…交代しましょうか？｣とも尋ねて)

（表情を緩ませる相手が精一杯訴えてくると、真正面から真正直に言われると照れくさく、お湯であったまったものかそれとも相手の言葉からか頬は赤くなっており、「そうかな…」と照れ臭そうに頭をかきながら呟いて。胸の下あたりを舐めていれば這わせただけで眉を寄せて苦悶の表情を浮かべると、相当強く殴られたのだろうなと思いながら相手に頼まれたところを治れと心の中で願いながら舐めて。時折、ふにっと柔らかいところが舌に当たり、その度にそこから舌を離れさせて、治療を続けて。すると体を跳ねさせて高い声を出す相手に「そうか…」と相手の火照った顔に不意にドキッとしてしまい、申し訳なさそうにする相手に「いや、もうのぼせそうだ」と言えば顔は赤く染まっており、「上がってからしてもらおうかな」と耳元で囁けば立ち上がって脱衣所に向かって）

(先ほどから相手の顔の赤みは気になっており、自分が来る前から風呂に入っていたのだからのぼせたのだろうかと考えてはいたものの会話や他のことに夢中になってしまい、更に言えば相手ともう少し一緒に入っていたいという我が儘な気持ちからなかなか切り出せずにいて。けれどその口からはっきりのぼせそうだと言われればふと我に帰り｢すみません、引き止めてしまって…｣だいぶ赤くなってしまった頬を見上げながら謝罪し、耳元で囁かれた言葉についさっきの失態を思い出してはこちらも同じように耳まで薄ら朱に染めながら頷き。これではただ邪魔をしに来ただけになってしまうため、脱衣所までくっついていくと｢なら体を拭かせていただきますね｣今日は背中を流せなかった代わりに、とタオルを手に取ってはぽんぽんと少し楽しそうに水気を拭き取りはじめ)

（相手を舐めることで夢中になり、少し長風呂をしてしまったのか、それとも相手の身体に見惚れてしまっていたのか、上がった直後に少し立ちくらみがして脱衣所まではすぐそこだが少しおぼつかない足取りで。こちらの囁きに対し、相手の特徴的な尖った耳の先まで朱色に染まり、こくんと頷けばタオルをとって自分の体を拭きはじめると相手なりの優しさか残った痣に響かないようにポンポンと優しく拭くと「ありがとう、俺も拭こうか？」と問いかければ思い出したように「そう言えば、シュアンに服買ってきたんだ」と用意しておいた大きめの紙袋には相手がこれから生活していくに困らない程度に揃った衣類が入っており）

(大分のぼせているのか相手の足取りはいつみよりふらふらとしているように見えて、改めて申し訳なく思う分傷だけでなく体にも響かないよう出来るだけそっとタオルを当てて。時々背伸びをしながら髪や首筋も軽く拭いていき、自分も拭こうかと提案されても今回は甘えずに首を振って｢――私の服、ですか？｣同じタオルを使いはじめてはふわりと香る相手の匂いに目を細めていたものの、突然紙袋を見せられるとその目を丸めて首を傾げ。今まで着ていたものといえば相手に借りた服か奴隷用の布一枚だけ。自分の服という慣れない言葉に何故かどきどきしてしまうと｢…あの、見せていただいても良いでしょうか…？｣紙袋を覗き込みながらついつい許可を求め)

（こちらの提案に首を横に振って自分で拭くというと、無駄な気を遣っただろうかと思いながら、体が拭き終わり、自分は着替えに入り、相手は使ったタオルで体を拭きはじめて目を丸める相手が首をかしげると、「そう、シュアンの服。亜人種の店でも龍族の服はなかなか見つからなかったよ」と亜人種が当たり前にいる現代。亜人種専用の店もあるわけで、龍族という種族はかなり珍しいなのか取り扱っている店はなかなか見つからなくて。龍族の服と言っても翼のために背中が適度に開いてる服で他は人間用で大丈夫だろうと思い。「いいよ、気にいるかわからないけど」と今時の女性の流行はわからなく、無難に無地の黒いシャツ。無地の黒いワンピースを買ってきていて）

(どうやらわざわざ龍族用の物をと探してきてくれたらしく、いつもはなるべく畳んでいる翼を喜びにふわりと広げては｢そんな…私は着せていただけるなら何でも…｣胸に抱えたタオルをぎゅっと抱きながら綻んでしまう口元を隠し、ついいつものように遠慮めいたことを言ってしまって。それでも許可を貰うとゆっくり紙袋の中へ手を伸ばしてまずはひとつ、綺麗な黒のシャツを取り出すとそれだけで既に目を輝かせ、戸惑いながらも着てみれば開いた背中からきちんと翼も伸ばし｢――どうでしょうか…どこか変じゃありませんか…？｣少し大きめのデザインだったようで、足の付け根まで覆われた格好でぎこちなく腕を広げてみせ)

（喜んでいるのか、いつもは畳まれている翼が広げられると相手のわかりやすい感情表現に苦笑しながら「遠慮すんなって、俺金持ちだからさ」とタオルを胸に抱え、表情を綻ばせる相手に金銭的には余裕があると遠慮させないようにそう言って。１つのシャツを取り、早速それを着る相手の翼が開かれるとどうやらサイズを間違えたらしく、足の付け根まで隠してしまえば極短のワンピースのようになっており顔を赤くすれば腕を広げる相手に「うん、似合ってるよ」と黒のシャツは相手のアルビノ特有の真っ白な肌を皮肉か、より際立たせており、しかしその容姿は神秘的な雰囲気で）

(金持ちと言われてもあまりピンと来ないものだが、とはいえ散々高く売れると言われてきた自分を買ってくれたくらいなのだから金銭的に余裕はあるのだろう。そんな風にどうしても奴隷時代を基準に考えてしまうと過去の記憶を振り払うようにこくりと頷いて。まだ顔の赤い相手から伝えられる"似合っている"という言葉は新品の服そのものより嬉しくて、ほっとすれば｢ありがとうございます…きっと、稜様が選んでくれたからだと思います｣はにかみながらもようやく心からの笑顔を見せて。くるりと控えめに回ってみたり、裾を引っ張ったりと色々な角度からシャツを眺めていれば紙袋の中にまだ服が入っていることに気がつきあっと声を上げ、その可愛らしいワンピースを抱えてみては｢綺麗…！稜様、どちらが良いですか？｣などと、後は寝るだけだというのに胸の前にワンピースも当てながらささやかにはしゃいで)

（服を与えた時よりも、はにかみながら今までで一番の笑顔を見せてくれれば、こちらも嬉しそうに微笑み「適当に選んだだけなんだけどな…まぁ、そう言ってくれると助かる」と適当とは言ってるが、相手の真っ白な肌に真っ白な服を着せてもなんの面白みもないだろうなど考えていたりして、それなら反対の黒の服を買おうと頭の中ではちゃっかりしっかり相手に似合うかどうかを考えていて。リビングに向かう途中、突然背後から相手の声が聞こえ、振り返ればそこにささやかではあるが初めて見る相手のはしゃぎ姿に目を丸くすれば「どっちも似合ってるよ」微笑みながらこのシチュエーションの模範的な言葉を述べて）

(今まで身につけていたのは汚れた白地や褪せた色の布ばかり。そのため一点の汚れもないくっきりとした黒色はとても綺麗なものに映り、相手にシャツとワンピースを見せながら自分もその色に見惚れて。どちらも似合っていると言われれば嬉しいものの迷いも生まれてしまい、しばらく交互に二つの服を見比べては｢――じゃあ、今日はこっちを着て寝ます｣結局今着ているシャツを選び、ワンピースは丁寧に畳んで紙袋に戻すとリビングに向かう相手を追って。裾がひらひらする度につられて翼もふわふわと揺らしながら律儀に報告すると｢何だかお揃いみたいですね｣貸してもらった相手の黒いタンクトップのことを指して何気ない呟きを幸せそうに零し)

（何もデザインされてない無地のシャツなのに、普通の女の子なら何も反応しないようなシャツなのに瞳をキラキラと輝かせながら見惚れていれば、余程、当初の相手からも予想できるが服は質素なものを着せられていたんだろうなと思い。結局今着ている服を着続けると言うとそのワンピースを触れば「また明日着れるから。シュアンのワンピース姿、楽しみだな」と言えば微笑み、自分が使っていたタンクトップを指差して何気ないことでも幸せそうに声を零す相手に「そうだな、それもいつでも着ていいからな」と新しい服を買ったのでそんな必要はないだろうが幸せそうにする相手についそんなことを言ってしまい）

(微笑む相手にまた明日こんな風に褒めて貰えるのかと想像すれば、物心ついてから初めて朝が来るのを楽しみに感じて。その上相手のタンクトップまで着て良いという言葉に新品の服を与えられた時と同じくらい心が弾み｢――はい、大切にします。頂いたお洋服も…稜様のお洋服も｣一層明るく答えては追いついた相手の隣に意識せずともぴたりと寄り添い。しかしいくら楽しくて嬉しくてもリビングの時計を見れば夜は大分更けており、嫌な事もあったがそれさえ忘れられるくらいの温もりを貰った一日が終わってしまうのが嫌で｢…もうひとつだけ、我が儘を聞いてくださいますか｣相手の腕をおずおずと両手で掴んでは、甘えるように身を寄せながら今度は静かな声で問いかけて｢今日は、お風呂だけじゃなくて…眠るのも、稜様と一緒が良いんです｣素敵な部屋とベッドを与えられているだけに言い淀みつつも、せめて今日だけはと心のままに欲張りを言って)

（新しい服を買ってきてあげた時と同様、明るく声を弾ませる相手に「でも、新しい服も似合ってるからな。ちゃんと着てくれよ」とタンクトップを使うのもいいが、自分が買ってきたものも使ってほしいらしく、微笑みを綻ばせる相手にそう言って。隣にぴったりと寄り添い、おずおずとこちらの腕を掴んでくる相手が「ひとつだけじゃなくてもいい、なんだ？」と相手の言葉から初めて我儘という言葉を聞くと、何回でも言ってもいいのにまだ遠慮する相手に上記のように問い返せば、甘えるように身を寄せて、静かな声で一に寝たいという相手をしばし眺めたあと、軽く抱きしめて「狭いかもしれないけど、いいよ」と今まで一人で一人分のベッドで寝ていたため、少々手狭かもしれないということを言っておけば相手の手を引いて寝室へと向かい）

(新しい服も着てくれという言葉に、喜びは同じくらいでも初めて与えられた服だけは少し特別に思っているのが見抜かれたように感じては無論他の服だって大切に思っているため慌てて何度も頷き。ひとつの我が儘さえ口にするにはまだ迷いが生じるのに、その我が儘をいくつ言っても良いと優しく問い返し、抱きしめながら受け入れてくれる相手を見上げればそのまま自分も抱き着きたくなってしまうが｢狭くなってしまうのに、良いんですか…？｣体が離れ、手を引かれて寝室まで歩き出すと代わりに触れている相手の手を軽く握って、今更不安というわけでもないがつい確かめてしまいたくなって言われたことを繰り返し)

（相手の手を引いて寝室に向かえば、こちらの手を軽く握ってくる相手に「狭くなるのは仕方がない。今度新しいベッド買うかな…」とこれから相手と一緒に寝ることになれば少々手狭ではないだろうかと思い、ベッドも少し大きめのものを買おうかと提案し。やがて寝室に着けば、相手の手を離してそのままベッドに一直線に向かい、早速横になれば「おいで」と相手のために隅っこに寄り、相手を手招きして）

(自分には広い部屋もベッドも与えられている。だから一緒に寝たいというのは今日だけの我が儘のつもりだったのに、ベッドを買うなどとまるでこれからも一緒に寝てくれるような口ぶりに照れ臭さもあれば少々赤面し。手を離されると相手が先にベッドへ入るのをそのまま待ち、手招きされてようやくそちらに近づきシーツの上に膝を乗せ｢わっ――…！｣途端弾むスプリングにバランスを崩してしまって相手の胸に倒れ込み、色々な意味でどきどきしながらすみません、と小さく謝って)

（ベッドを買うかという話をもちかければ赤面する相手に「それとも、このままの方がいいか？」と今のベッドだと少々狭い気がするが、密着度は高く、くっついて寝たいならこちらのほうがいいかと思い。こちらの手招きに応じて近づいてくると、スプリングに弾まれてバランスを崩してこちらの胸に倒れこむと、「おっと…」と慌てて受け止めてそのまま抱擁すれば「大丈夫か？」と問いかけて。すると風呂場での「続きはあとで」という言葉を思い出し、「シュアン、頼めるか？」と服を脱いで、先刻つけられた痣を見せて。）

(はじめは問いかけの意味がわからなかったものの、時間を置いて理解するとまた頬の赤みを強くして｢…このままが良い…です｣軋むスプリングにかき消されるほどの声量で呟き。偶然とはいえ相手の胸に飛び込んでしまい、そのまま抱きしめられると高鳴る鼓動が伝わってしまうことを恥ずかしく思いながらも大丈夫だと頷いて。密着しているせいで服を脱げば目の前に現れる痣にそっと指を乗せ｢…はい。稜様が望まれるなら、何度でも｣答えればもう一度最初から、まずは相手の唇に軽く唇を重ねてから鎖骨、胸元と順番に口づけを落としていき、相手がそうしてくれたように舌先でそっと傷を舐めて。｢痛かったり…くすぐったかったら、教えてくださいね｣途中顔を上げると、先ほどと同じ言葉に今度はくすぐったさも我慢しないで欲しいと付け加えて再び治療を続け)

（胸に顔を埋めていても、相手の特徴的な尖った耳までは隠せず、その耳がほんのり赤くなると「わかった、じゃあこのままで」と新しいベッドを買うのはやめにして。すると、服を脱げば露わとなった痣に指を乗せる相手がこちらちきすをしてくると「ん…」と受けて、そのまま下へ下へと唇を落としていき、痣にその唇が乗せられると痛みからか感度が上がっているのかピクッと体を揺らして。途中、顔を上げて教えてほしいと上目遣いで言われれば「わかった」と相手に無駄な心配をかけないためにもそう言って。続けて治療してもらっていくと、不思議と痛みは治まっていき、龍族に特殊な能力でもあるのだろうかと考えれば「シュアンも、やってやろうか？」とこのまま奉仕させ続けるのも悪いと思いそう問いかけて）