ゆめゆめ。　　　* 創作BL / 長ロル / 置きレス *　

―――物心ついた頃から、祖父母と暮らしていた。祖母は俺が小学生の時に病死していて、それ以来二人きりだった祖父は最近めっきり静かになった。段々と食事を拒むようになり目に見えて弱っていった祖母と同じにおいがした。間近に死が迫っていることを自覚した人間は、どこか影が薄くなる。大学生活三度目の夏休みを迎えてすぐの朝、祖父は布団の中であっさり冷たくなっていた。老衰だった。
すっかり色を失った部屋の中、残った“生きているもの”は俺と祖父母が愛した植物たちだけ。水を求め、ひっそりと息づく姿がやけに鬱陶しかった。

ただでさえ広いこの家に一人で暮らす気にはなれなくて、ひっそりと行った葬式が終わるとすぐ売りに出した。日当りの良いザ・日本家屋って感じのうちは、すぐに買い取り手が決まるだろう。
新居は決まっていない。引っ越しは自分が思っていた以上に手間だった。端的に言えばやる気が出ない。全部同じに見える数々の家を自分の足で見に行くなんて、荷物を運ぶなんて、電話をかけるなんて！と、いくらでもあげられる面倒を思いついては堕落した日々を送っていた俺に対するあの申し出は、幸運以外の何物でもなかった。

突然ピンポーンと間抜けな音がして、身なりを確認することもなくだらだらと歩き引き戸の玄関扉を開けた先に立っていたお前の微妙な顔を、俺は多分忘れない。「新聞でお悔やみ見て、もしかしてと思って。」そう一言告げたお前を中へ招き入れるような気を使うことすら出来ず、祖父の死、家を売る事、新しい家が決まっていない事を玄関先でたらたら説明していた俺のこと、お前はどう思ったんだろう。
でも、「じゃあ俺の家に来なよ。別にずっと住んでもいいけど、どうせそれは遠慮するんだろうから、とりあえず新居が決まるまで。」なんて、お前一人暮らしでもないくせに何言ってんだって俺は思った。急に困るとか迷惑だろとか言いたい事はいろいろあったけど、何にも持たずのこのこ着いて行ってしまう程度には俺も参っているらしかった。

シングルマザーらしい。あいつが一緒に暮らしているという母親は明るくオープンな人で、いきなりやってきた俺をあたたかく迎え入れてくれた。“生きている”力がありありと満ちている。綺麗で、すごく眩しい人だった。
ずっと祖父と暮らしていたおかげで俺は家事ができたので、せめてものお礼に何かやらせてくれと申し出ると彼女は嬉々として料理を提案した。洗濯は彼女が、掃除はあいつがやっていたらしかったが、どちらも料理は苦手なんだそう。二人で外食することが多いと言っていた。ちょっと意外だった。俺は料理なんて全然苦じゃなかったし、あたたかくて、充実した生活だった。



―――あいつの母親が、突然この世を去るまでは。

>主PC
両親の名前、行方、生死等全く知りません。(悲観したことはない。) お相手様PCとは大学からの縁で、学部は違うものの食堂のお気に入りのテーブルが同じ場所だったのでしょっちゅう顔を合わせるうちに仲良くなった、という感じです。現在中退を考えています。お相手様PCには憧れのようなものを持っていますが、恋愛感情ではありません。


>お相手様PC
大学三年生。マイペースな人物が望ましいです。母親の名前、年齢、職業、シングルマザーである理由、死因等全てお任せいたします。(もちろんご相談には対応させていただきます。) 主PCの家庭環境を知っており気にかけていますが、恋愛感情ではありません。
萌：170㎝台、黒髪
萎：短髪、色黒、眼鏡、チャラい、暗すぎる、スポーツ万能、馬鹿、キラキラネーム




主PCの祖父が亡くなったのが夏休みに入ってすぐ、お相手様PCの家に転がり込んだのが葬式など諸々を終えた後、お相手様PCの母親が亡くなったのはそれから約一か月後、という時間軸です。ほのぼのとした三人暮らしから始まり、お相手様PCの母親の死を迎え天涯孤独同士となったことでシリアスな雰囲気へ変化していくやりとりを想像しています。お互い恋愛感情を持っていないところからスタートするので、様々な辛いことを乗り越えくっつくことができたらなと思っています。

一瀬 篠 – いちのせ しの – / 大学三年生 / 工学部

全体的にやや長い癖のない黒髪。二重瞼だがぱっちりと表現するにはぼんやりとした瞳。高くも低くもない鼻に厚くも薄くもない唇。ニキビ等とは無縁で平均よりやや白めの肌。身長176㎝の細身体型。中の上くらい、と評価するに相応しい目立った特徴のない外見。服装はシンプルなシャツにジーンズなど華美でないものを好む。

やや面倒くさがりだがいたって常識人。自分の意見をきちんと持っている反面、ため込みやすく何でも一人で決めがち。社交的でも一匹狼でもない。落ち着いているように見えるがこうした方が良い、と一度思ったら突飛な行動をとることもある。(例：家を売る)

工業高校出身だが文系。運動神経は普通。中学時代彼女が二人、高校時代はゼロ、大学に入って一人だがいずれも短命。祖父は一瀬誠司、祖母は一瀬はつ。父方なのか母方なのかも知らない。





以降レス解禁です。ご質問等遠慮なくどうぞ。
サンプルロルは祖父を亡くした主PCをうちに住まないかと誘い、家に招き入れ案内する場面でお願いいたします。多少の確定は構いません。
三人生活が始まってしばらくした後レス回収をして、一か月後へ飛ばしお相手様PCの母親の死へ向き合えたらいいなと思っております。

あげます。