大倶利伽羅 2016-07-11 22:55:28 |
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(思えば、眷属くんとこう言う風に音のある言葉でやり取りをするのは矢張り新鮮だなぁと思いながらも、子供の様に純粋無垢な相手を微笑ましく見ては「うんうん、それじゃあお隣に失礼するね」と続けて布団の中に入り込んでいく。ふわふわとした感覚を下に感じつつ、羽毛布団特有の温かさに眠気が誘われるものの格好悪いため欠伸などは出来ず我慢し、ふと直ぐ横で床に着いている眷属くんを視界に入れては「本当だ。この布団温かいね。良く眠れそうだ」と笑みを零すと、おもむろに手を伸ばして其の頭を緩やかな手付きで撫でていき、隣に温もりが有るのは心地良いなと口元を緩めれば「…誰かと布団で一緒に寝る事なんてあまり無いから、何だか凄く嬉しいよ」と小さな声ながらも伝えていって)
(光忠さんも暖かいと思ってくれているようで、同じ気持ちになれたのがとっても嬉しい。けれどそれだけじゃなくて、光忠さんは僕の頭を撫でてくれた。主がいつもするような優しい手付きで、主に撫でられた時と同じくらい幸せになる。主が帰って来たら、主にもたくさん撫でて貰いたい。でも今は、光忠さんにたくさん撫でて欲しい。…そう思っていると、光忠さんが小さな声で僕に言葉を告げた。思わず顔を上げると、そこには微笑む光忠さんがいる。けど、さっきの言葉はなんだかちょっと悲しい感じがした。それは主が時折見せる悲しい表情と似ているような気がして、それを無くす為に光忠さんをぎゅうっと抱きしめる。『こうしたら、もっと嬉しい気持ちになってくれますか?』と問いかけながら、じっと光忠さんの一つだけの瞳を見つめてみる。主より柔らかい色をした金色の瞳。主と同じ優しい口調。主のように傷がいっぱいある心。主と光忠さんは全然違うはずなのに、二人はなんだか似てる所が多い。だからこそ、主と光忠さんはお互いを選んだのだと思う。『僕は…僕達は、主や光忠さんが嬉しい気持ちになってくれると、とっても幸せです』と気持ちを伝えて、にっこりと笑顔を浮かべて、それから…なんだか、目の前が霞んできた。段々と目を開けていられなくなって、もしかしてこれが眠るということなのかな、と頭のすみっこで考えて『だから…ぼくは…ずうっと、あるじとみつたださんの、そばに…』と、お願いのような言葉を口にして、それを最後に意識が落ちていき)
突然、ごめんね。
一度お話の方をストップさせて貰うよ。
ちょっと背後が意気地無しでね、僕から大切な事を伝えさせて貰うね。君と君の背後さんとの遣り取りは凄く凄く楽しかったんだけど、色々と此方の理由があってこれ以上続けられそうに無いんだ。…ごめんね、これだけ何度も待たせておいた癖に唐突にこんな事を言うだなんて。…理由については詳細は暈させて貰うね、きっと言っても君と君の背後さんを困らせて嫌な思いをさせてしまうだけだからさ…。ただ、絶対に飽きたとか君が嫌いになったとかではないからね、それだけは絶対に違うよ。こんな立場だから説得力なんて無いけど、それだけはどうか信じてくれたら嬉しい…。
無言で居なくなってしまうのは、さすがに此処まで遣り取りをした君や君の背後さんに失礼だし、それだけはしたくなかったから、こうして伝えさせて貰っているのだけど…逆にこれが嫌だったらごめんね。それと、本当は僕の背後の口から話すのが一番良いのだけどそれが出来ない意気地無しで本当にごめんよ。
…全面的に僕が悪いから、君は何も気にしないでくれ。我が儘な僕に此処まで付き合わせてしまってごめんね、君との遣り取りは凄く楽しかったよ有難う。それと、こんな最後まで自分勝手な文を読んでくれて本当に君と君の背後さんには感謝しきれないよ。
それじゃあ…僕は伽羅ちゃんの幸せを願って、ここで失礼するね。
…そうか、分かった。アンタ達に合わせてこちらも背後ではなく俺が返事をさせて貰う。
まず、アンタ達自身に何事も無くて安心した。こちらが現実の方を優先して構わないと言ったが、実際に返事が無いと何かあったのではないか、こちらに粗相があったのではないかと不安になるのが常でな。大袈裟だが、アンタ達が健在だということが何より嬉しい。
理由も、詳しくは聞かない。誰にでも話したくないことはある、それを無理に聞こうとは思わない。俺も背後も、アンタ達のことを信用してる。だから、『嫌いになったわけでも飽きたわけでもない』というアンタ達の言葉も信じる。
何かもっと、気の利いた言葉を言えればいいんだが…すまない、俺も背後も、上手く言葉で感情を表現するのが苦手だ。だが、アンタ達とのやり取りは本当に楽しかった。幸せだった、と言っても過言じゃない、と思う。…少し恥ずかしいが。
…正直、アンタ達以上の相手が見つかるとも思えない。だから、別の相手を探すことはせずにこの場所はこのままにしておく。
もう叶わないかもしれないが、もし、アンタ達が戻りたいと思った時は…また来てくれ。俺達はいつでも待ってる。待つのは得意だからな。
俺の傍にいてくれてありがとう、光忠。
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