Vampire 2016-07-11 21:46:10 |
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( 扉の向こうへと足を進めて行くと、廊下までの厳かな雰囲気とはまた打って変わって異様な空気が漂っている様子をはっきりと感じ取り、一瞬戸惑いから足が勝手に竦んでしまい。ハンカチを渡された瞬間に既に勘づいていた事ではあるけれど、目の前にある階段の真下から錆びた鉄のような臭いが込み上げてくるのが、一度は整理した恐怖という気持ちを蘇らせ、どうしても先へ進む気力を失わせていて。それでも大切な主人から頂いた命に背く事は出来ないと、深呼吸をしてからモップの持ち手を強く握り、階段を一段ずつゆっくりと踏みしめつつ下りていき。地下に向かえば向かう程に血腥く近寄り難い雰囲気はその深さを増していき、途中からは鼻を押さえていないととてもではないが進めず。最後の段を下り、恐る恐る慎重な姿勢で先を見据えれば、部屋の中に異物とも思しき物体が横たわっているのに気付き。それを見た瞬間に心臓が締め上げられる感覚に陥り、金縛りにでも遭ったかのように体が動かなくなり。ただこのままでは任務の遂行が出来ず、長らくこの屋敷に仕える使用人として失格であると自らを奮い立たせ、その物体に近付き。距離を詰めた事で横たわるそれが見覚えのある人間だと解ると、あまりの悲惨さに口を覆い、無言でその場に立ち尽くし )
(閉ざされた空間ではやけに響く靴音、階を下りる度に増すあの臭いにも慣れてはいるが既に事切れた者は別であり鼻に付く臭いにまだ片付けていないと悟り。中に入れば予想通り佇む姿、然し吐くわけもなく逃げ出す素振りもない様子にほう、と僅かに声洩らし。背後より結われた毛先を引っ張りあげ上向きに瞳交えさせて射抜くように見据えるも次に柔らかな笑み向けて「喋れる間は貴女の名を呼んでましたよ。可哀想に、何度も何度も。」囁きながら後頭部を抑えつけ死体の顔にグリと押し捻り独特な臭い嗅がせクツリと喉奥鳴らし手を離して。視界の端に移る死体の脚は幾分か他の部位より綺麗な方で、生前細く美しい脚だった事思い返せば爪先でひと撫でし掌に刺さった五寸釘抜き取れば死体の脚へ刺し一筋の線引くと其方へと視線注いでゾクリとするような笑み浮かべて。)
__アレよりも美しい脚をしてますね。
…っ、何故……このような、残酷な事をなさるのですか。この者がクロム様に何か無礼を働いたのでしょうか…?
( 息が詰まる程に心が締め付けられてしまい、この状況をどう対処して良いか脳内の整理も追いつかないままで、今は体の奥底から込み上げてくるものを抑えるのが精一杯であり。ふと背後に感じた人の気配に振り返ろうとしたところで髪を引かれ、眼前に迫った相手の瞳を捉えると目を見開き。自分の名前を呼んでいたと聞けば直ぐ言い返そうと口開くも、有無を言わさぬように転がる死体へと顔を近付けられ、抵抗するも力の差ではどうにも敵わず耐え切れないくらいに異臭を嗅ぎ、酷く咳き込んで。手を離された瞬間に数歩後ろへと距離空けては未だ軽く咳き込み続け、暫く息遣いが落ち着くまで相手の挙動を観察して。それがどうにも自分には理解し難い行動であり、こんな風に主人へ問い掛けるのは失礼極まりないと分かってはいても、何故なのかと問う言葉が止まらず )
愚問ですね。私に道徳でも説くつもりですか?小汚い鼠が何を言うかと思えば。クク、面白い。__いいでしょう、教えて差し上げます。所有物、だからですよ。
(現実を受け入れず動揺する相手とは対称的に殺人狂とも似た自らの感覚ではこれは当たり前の事、問われさも可笑しそうにひと笑いした後鉄製のベット脇に置いてあるキャスター付きの台から無造作に置かれた色々な道具の中、銀色に輝く細みのナイフを手にとり角度変えながら眺め当然かのようにさらりと教え流し目で見。これ以上のくだらない会話は無用と、脇にある掃除道具を其方に蹴り飛ばし相手の心中など構わずに掃除促して、端にある椅子へと寄り置いてある本を取り腰掛けると脚を組み何事もなかったようにページを捲りながら無理のある難題を一言告げて。)
__五分以内に終わらせなさい。
所有、物……?
( 慣れたくもない異常な空気の中で普段の物腰柔らかな主人の、もしかしたらこれが彼の素なのかもしれない一面を見ていると、すぐにでもこの場から逃げ出してしまいたい衝動に駆られ。自身が問い掛けたものの答えにしっかりした理解が得られず、小さな子供が言われた事をただ反復するように繰り返して言葉にし。もうどれだけ声を掛けようと目覚める事など二度と無い、見るという行為さえも苦痛に思える死体を一瞥すれば双眸細めて眉顰め、所有物であるからという理由で、この者はここまで残虐な仕置を受けなければならなかったのかと考えると心の底でふつふつと沸くような怒りを覚えて。此方へ蹴り飛ばされてきた掃除用具をぎこちない動きで手に取り、五分以内、というあまりにも難しい課題を与えられると、今は反論すべきでないと思い至り無言で深く一礼し、手早くモップで床を拭き始め )
(相手にとっては理解し難いもの。いち使用人として淡々と業務をこなしていたはずだが己の趣向を見、ころころ変わる表情の変化が手に取るように分かり。態度こそ普段通りだが心の底は怒りで満ちているような、ピンと張り詰めた空気の中薄っすら笑みを浮かべてページを捲り。聞こえるのは掃除の雑音と捲る音のみで、暫く読みふけり懐から懐中電灯を手に取り針へと視線落として丁度五分経過するのを見届ければ視線を其方へ。本を閉じやけに静かな音色で労いを与えて。)
__さ、手を止めて。ご苦労様です、疲れたでしょう?
労いの言葉、感謝致します。ですが…指定された時間内に全ての清掃を終えられず、大変申し訳御座いませんでした。
( これだけの部屋の中、五分以内に全てを終わらせるのはほぼ不可能であると理解していながらも、なるべく終わらせようと何時も以上に集中力を高めて迅速に作業を進め。しかし五分で掃除を完了させる事は結局困難であって、自分の心持ちとは真逆に落ち着き払ったトーンで時間切れを告げる主人の声を合図に動きをピタリと止め。モップの持ち手を両手で握り締めつつ若干声色を震わせ謝罪の言葉を述べ。それと同時に頭を深く下げ続け、長らく仕えてきた使用人として主の言い付けに背いた事がどれだけの失態かと脳内で思考巡らせ )
おやおや、困りましたね。__謝罪は無用、私は他の主と違って多くの事を求めていません。只ひとつ主の命はどんなものであろうと遂げる事。その忠誠は飾り程度なのですか?口を動かす暇があるなら身体を動かしたらどうです。__丁度、良いところに道具があるでしょう?
(紡がれた言葉は子供に手を焼く親のように柔らかで。然し次ぐ台詞は淡々と次第に冷たさ帯びていき、逃れるを考える隙さえ与えない程神経へ心の奥底へと深く深くその見据え捉えた瞳と能弁さで絡みつき追い詰めて。其処にあるのは変わらぬ微笑み、促す先には片付けられてない幾つかの凶器。僅かながら震える相手は小鳥のようで、最速壊したい衝動に駆られるも徐々に余興を楽しむのも良いと考え改め席を立ち先程弄っていた台を滑らせ其方へと移動させると相手の背後へ、両肩に手を添え耳元へと悪魔の囁きひとつ残せばゆるり笑い尖った八重歯を覗かせて。)
__お好きなものをどうぞ。
( 重苦しい空気に押さえ付けられながら慎重に頭を上げ、主人の目と自身の目を合わせる位置までいくと、奥底も読めないその深い瞳を見て体全体を縛り付けられる気分になり。眼前にあるのは長年我が身を傍に置いてくれていた恩人の変わらぬ微笑み。そうと解ってはいても、彼の背後から滲む真っ黒な殺気を感じ取り、苦々しい表情を浮かべてしまい。不意に耳元へと囁かれた言の内容に驚愕しつつ、台上の凶器に視線移し。此処に並べられた凶器で自分への戒めを、という事なのだろうが、やはり多少なりとも戸惑いはあるもの。躊躇する右手を前にゆっくりと進ませ、ナイフを手に持ってはみるものの、ただ見つめるだけで腕が動かなくなってしまい )
__忠誠心を刻みなさい。
(躊躇する姿見るも苛立った様子なく椅子の方へ誘導し右足首掴み椅子上に乗せ、スカートが捲り下がり太股が露わとなる状況を仕立てあげ普段見る事のない色白な肌が瞳に映るも欲溢れる感情ではなく至って冷静で。あるのは飼い主の手を咬むペットへの戒め躾けのみ、瞳細め僅かに震える掌に己のを重ねその内太股に刃先を当てればプツリと小さな血袋出来きるがそこで留まり。忠誠心を改めて示めさせる為自身の名を刻み込ませようと背中押すようにそう命し、相手自ら刻みさすべくその先は動かさずに、ただ横顔見据え捉えており。)
( 誘導されるがままに椅子へとその身を寄せ、これから一体何をするのかと先の見えない状況に不安がっていると、足首を掴み上げられた事に驚き。あまりにも大胆な生足の露出は如何わしいものだと思っていた為に、今主人の前でこうして露わとなった太股を見せているのは自分にとってこれ以上無い羞恥でもあり。しかし刃向かっては状況を悪くさせる一方であると考え黙って挙動を見守り。太股の内側に感じた刃先の鋭くも鈍い、痺れるような痛みが全身に伝わっていき小さく苦しげな声を漏らし。忠誠心を刻む、というのはどうする事が正しい結果に結び付くのか。様々な思考を巡らせていき最終的に思い至った答えを形とする為、意を決してナイフを握り直し、自らの太股に刃を突き立て。何年と仕えていながら我が主の命に忠実に従えなかった戒めである意味も込めて、痛みに耐えつつ十字を刻み付けていき )
__この戒めは枷、貴女の全てを支配しましょう。手放すその時まで生かされた事に感謝を、私の為に生きそして身を捧げなさい。貴女の価値はその程度しかないのですから。
(刻まれた忠誠心は血に染まり浮かび上がっていて。太股伝い滴る血を指先に絡め見据えながら舌に乗せては味わう様は見せ付けるようであり。希望を絶望にそんな思いが込められた言葉、クツリと笑うその表情は歪んだ心と反響し恍惚なもので、余程血の味が気に入ったのかその表情のまま舌舐めずりすれば唐突に生娘かと尋ね。体の関係が未経験な人間の生き血を好み摂取する為で、相手の返答を得る間未漂う異臭に僅かに片眉あげこれ以上留まるつもりはないらしく早々に片付けるよう付け足して階段に向かい歩み進めて。)
私の主人は…仕えるべき存在は、後にも先にもクロム様のみ。この身を傍に置いて頂いているだけで、感謝してもしきれませんから…。
( 切っ先を抜き、じんわりと鈍く伝わる痛みを実感しつつ荒い息を落ち着けるように呼吸を整え。自らの太股から流れ出ていく赤い血を掬っては舐める主を捉え、その表情の恍惚さに心臓が一つ重く脈打つのを感じ。突如投げ掛けられた『生娘か』等という問いに一瞬何を聞かれたのか把握出来ずに間が空いてしまい、段々と内容を理解している隙に相手が遠のいていく事に焦り「そう…です、ね」答えようと言葉にしたところで無意識に声が小さくなり俯き気味に。気を紛らわす為、そのまま言い付け通り片付けを始め、一通り終えると主を追うように階段を上がって )
歯切れが悪いようですが。
(煮え切らない台詞耳に届くも重圧な扉開けて、言伝の為此方に近寄る使用人と言葉交わし。どうやら来客が訪問したようで客室に通したとの事。その客人は昔から友好関係を築いており珍しい品物の取引も行っている為、目新しい物が手に入ったのかと僅かに口角上げれば客室へと足運ばせて。その途中漸く追いついた相手に先程の疑問をぶつけ、来客をもてなす用意をするよう付け足して客室の扉前にて一度身なりを正すとノックした後扉開いて。その先には紳士的な装いの老人がソファーに寛いでおり、此方に視線合わせれば帽子を取って立ち上がり挨拶交わして。)
申し訳御座いませんでした。__クロム様が、先程仰った通りで。
( 長いスカートを手で摘み上げつつ階段を上りきり、客室へ向かう相手の傍に追いついたところで投げ掛けられた質問に、今度はしっかりと答え。正直な所述べるのは羞恥が伴うが、問われた事には間違いなく正当を返さねばと思い直した節があり。その後すぐ客人のもてなしをする為、主人に一礼してから早足に準備をしに向かい。掃除用具を一通り片付け、飲み物と軽い菓子類を盆に添えたら身なりを整え客間に戻り。数回丁寧にノックをして「失礼致します」と深い礼を終え中に入り、何度かお目見えした事のある客人の座るソファーの横から会話の邪魔にならぬよう身をかがめて、ゆっくりとダージリンのファーストフラッシュが注がれたカップを置き。同じように主人側にも菓子と共に置いた後、立ち上がってまた礼をし )
__嗚呼、これはラム肉の血。食の用意をしている最中についたのでしょう。このような姿を貴公に晒してしまうとは、主の恥。気分を害されたのなら丁重にお詫び致します。
(先程とは違う口調の答、簡単な問いが羞恥を伴うものとは思うはずもなく、また来客があった今となってはどうでも良い話で相槌さえ打たず冷めた様子で無言貫き。暫くたわいも無い話をしていれば紅茶等が運ばれ、強い香りを楽しみつつ客人の質問に耳傾け。相手の服に付いている滲みは何だと、眉潜め確認すると確かにスカートの裾と袖口に僅かながら赤い滲みが付着しており。あの掃除最中についたのだろうか、異常な趣向は隠しているためつらつらと嘘並べ、座ったままではあるが深々と頭下げて見せつつ流し目で相手を射抜き、完璧に振る舞う己に少しの綻びが客人に見られた事が羞恥であり、流せる話でもなくギリリ歯ぎしり鳴らして。限られた時間で着替える暇すら与えなかったのだが横暴ゆえ相手に非があると捉えており。)
っ!…お目汚し、大変失礼致しました。
( 二方の大切な会話を遮らぬよう静かに立ち去ろうと頭を下げ正面を向いたまま後方に歩みを進めていくと、客人が問い掛けた内容にピクリと体強ばらせ動きを止め。指摘された部分に目を遣ると、先程の部屋で付いてしまったのであろう血痕に自らも気付き。主人の鋭い視線も相まって、完全に自分は今この場に留まるべきでない人間であると悟り、深く謝罪の礼をしてから着衣を直ぐ替える為に一度客間を出て。慌てつつゆっくり扉を閉め、小走りに自室へと向かい。息を落ち着けてから部屋に入ると、大事な客人に対して使用人として在るまじき行為をしてしまったと自虐の念に駆られ )
竜飼い族の眼はまだ全種揃っていないもので。__嗚呼、手に入ったのですね。これで八、貴公は敵いませんね。
(入れ替わり入ってきた使用人は深々と頭を下げた後、上品な赤色の生地で覆った銀の盆から小切手とペンを控えめに己に手渡し一礼して。先ほどの失態がなかったような会話に花咲く室内、相手が去ってから暫く時間が経過しようとも気付く様子がないくらいで。訪れた用事は良い品が入った為で、付き人が紫色の生地で包まれたホルマリン漬けのガラス瓶をテーブルにそっと置き。その包みをするり取ればコレクションしている品で、自身の好む物を熟知している客人を褒めてはうっとりとシャンデリアの光に照らし眺め見て。)
(/すみません、少し確認したい事があるのですが。この後珍しいものとして生きた人魚を入れてみようかと思っています。ちょっとしたモブと言いますか‥世界観が壊れないかと思い伺わせて頂きました。)
(/お忙しいのでしょうか?暫くお待ちしておりましたが、ご負担を掛けたくありませんので、上げるのは一度きりに致します。明日までにご連絡頂けなければ誠に勝手ながらリセットさせて頂きます。)
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