燭台切光忠 2016-07-08 07:04:31 |
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(じんわり汗ばむ首元を真っ白なタオルで拭っては溜息を吐き。梅雨も明けいよいよ本格的な夏に差し掛かる為それに伴い本丸の気温も急に上昇していき。数刻前、短刀に氷菓子を強請られ審神者に進言するも渡されたのは何とも可愛らしい機械であり、序にと説明書を放られては主君の前で眉を寄せてしまうのも仕方が無い。ハンドルを回すと削られた氷がはらはらと硝子の器に落ちる様は何とも美しい光景だろう…辺りに響くガリガリとした耳障りな音さえ無ければ、の話。悦びに顔を輝かせる短刀が代るがわる厨に訪れ器を受け取り去っていく。手伝いますと声を掛けられる事も勿論有り、折角作った氷が溶けてしまうよとやんわり忠告すると暫し悩んで「燭台切さんの分は僕達が作りますから」と申し訳なさそうに広間へ戻る彼は見目が童なのも相まって随分と謙虚だなと感じ)
…暑いな。
(そう口内で小さく呟き。汗が氷の中へ落ちないよう配慮しつつ再びタオルで拭いながら出来上がったカキ氷に頼まれていた赤いシロップをかけ。名を呼ぶと直ぐに足音が響き最後の短刀が自らの元に駆け寄りその好奇心で輝く愛らしい瞳を此方へ向ける。「ありがとうございます、燭台切さん」なんて鈴を転がすような声で告げ心底嬉しそうに頬を緩められては先程からの不満は胡散していき。我ながら単純な性格だと苦笑しては短刀の頭をそっと撫ぜて皆と食べてくるよう促して。氷を削るだけの仕事も終われば漸く息付く暇が出来、この本丸に脇差以上の刀が殆ど居ないという事実を実感しては鍛刀が面倒だと曰う自身の主を脳裏に浮かべ本日何度目かの溜息を吐き出し。頼られるのは嬉しいが、生憎と自分は他所の"燭台切"とは違い料理が出来る訳では無いのだと告げるタイミングを失くしてしまった今では不慣れながらも見様見真似な食事の支度がさも当然の様に仕事として回ってきて。料理が出来ない等と今更言うのも格好良さを追求している己には酷なものであり、結局は料理本片手に行っている。同じく書類関係の仕事を全て任されている藤色が似合う刀を思い浮かべるも、彼は自分とは違い己の役目として嬉々として受け入れているな、と首を振っては使用した器具を片付けてしまおうと立ち上がり)
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