白楼 2016-06-25 12:44:44 |
通報 |
一つ目 『猫耳事件簿』(妖)
事件が起きたのは正しくは昨日の夕飯後のことだ。
凛々蝶達は蜻蛉のわがままに付き合わされ、『ジ○ンガ』をやるはめになったのだ。
勿論はじめは殆どの者達が拒否をした。
「ふん、やりたければ君達だけでやればいいだろう。僕は部屋に戻る」
「凛々蝶様が参加なさらないのなら、僕もお断りさせていただきます」
凛々蝶の第一声に反応し、御狐神も笑顔ではっきりと拒否をする。
「俺も参加しねぇぞ。俺は不良(ワル)だからな」
渡狸もカルタを連れ、さっさと逃げようとサロンの出口に向かう。
「凛々蝶ちゃんも、カルタちゃんも参加しないなら、無意味ね。私もやめておくわ」
二人が参加しない様子を察すると、野ばらも冷めた口調で読書に戻り始めた。
「そうたん冷たいっ、でもそんなところも素敵っ」
参加する気だった夏目は、いつものように御狐神の腕にまとわりつく。
それに対して「ありがとうございます」と言いつつも御狐神は彼を振り払うわけでもなければ、何をするわけでもなく。
「俺はどっちでも良いわ」
と、反ノ塚は食べ終えたカレーうどんを返却しに。
このように蜻蛉の意見は却下されそうになっていたのだが、次の蜻蛉の一言で場の空気が変わった。
「うーむ、ならばしかたない。負けた者は明日一日、この猫耳を装着することにしょう」
そう言って立ち上がった蜻蛉の右手には、モフモフとした猫耳が高らかに掲げられていた。
「凛々蝶様、是非参加しましょう」
御狐神は凛々蝶の目の前に立ち、笑顔で凛々蝶の両肩に両手を置き言う。
「な、君だってさっきは参加したがらなかっただろう。なぜ急に意見を変えた」
「気が変わったからです」
御狐神は動揺する凛々蝶に、笑顔で何事もなかったかのような物言いをした。
「凛々蝶ちゃんと、カルタちゃんの猫耳……、他の野郎のことはどうでも良いけど。そうね、やりましょう」
少し考えを浮かべ、雑誌を閉じながら野ばらも参加の意志を示す。
「なっ、俺とカルタは参加しないからな!な、カルタ」
意地でも参加したくないとより早足でサロンから出ようとする中、さっきまで隣にいたはずのカルタが隣にいないことに気づくと、渡狸はカルタの行方を目で探す。
そして見つけた先には、野ばらに餌付けされているカルタがいた。
「カルタちゃんも一緒にゲームしましょう?みんなでやればきっと楽しいわよ」
野ばらからの賄賂と楽しいという言葉にカルタの心も動き、「渡狸…渡狸も一緒なら…」と渡狸の方を見つめ、遊びたいオーラを出す。
「…っ、分かった」
トピック検索 |