るか 2016-05-09 20:10:27 |
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「何やってんの?」
朝早くから教室で考え事をしている僕に一番に話しかけてくる彼女は椿だ。
「朝から考え事なんかして…何を考えてるのよ?分かんない人ね」
椿はそう言うが、椿も表情をあまり表に出さないため、分かりにくい所があると思うのだが。
椿はよく僕に話しかけてくる。
あの日、りりさを失って以来、誰も心の中に入れようとしなかった僕が唯一心を許せる相手でもあるのだ。
しかし、彼女は僕とりりさの事を知らない。
当然だ。話していないのだから。
運命を大きく変える植物園、あれは僕とりりさを幸せにしてくれるものではなかったのか。なぜ、自分にだけ不幸が降りかかったのだろうか?
また深く考え出す僕に椿が
「また考え事?何か発明でもするの?私の発言が気になったの?」
残念だが全て外れだ。
「別に…」
「そっけないわねぇ…」
長く続かない二人の会話に終末を告げるかのようにチャイムが鳴った
「一緒に行く?」
「…うん、別に良いけど。」
二人で並んで歩くのはこれが初めてではない。
しかし、ふとした瞬間考えてしまう。
もし、隣に椿ではなくりりさが居たら…
もしもなんて、あるはずも無いのに。
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