藤村伊織 2016-05-07 12:59:57 |
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あんな事って何だよ。つぅかお前…耳まで赤くなんのな。…俺に触れられて緊張してんだろ?(腕の中に収めてもいつものように抵抗を見せない相手。此方の横暴さへの観念もあるだろうが、こうして触れる事に嫌悪感はないのだと思うと、少しは受け入れて貰えたようで嬉しくなる。様々な言動から相手が照れているのが何となく伝わり、愛しさと同時に悪戯心が湧き。好きな相手ほど苛めたくなるのは悪い癖だと自覚はありつつも、今更止められるものでもなく。_こいつは体調が悪いんだ、さっさと休ませてやらねぇと。相手を気遣う思いは確かにあるのだが、感情の昂りが落ち着かない。真っ赤に染まった耳元に唇を近付け意地悪く囁けば、そのまま耳朶を唇で柔らかく挟み。抱く腕に少し力を込め、相手の温もりを感じようとして)
ッ─!お前、調子に乗るのも良い加減に……!
(少しでも喋ると息がかかる程の近距離。未だ煩く音を立てる心臓の鼓動がバレてしまうのではないかという位で此方としては気が気でない。布団から蹴り落とす、という手段も考えたが相手はやられたら倍返しにしそうなタイプだしまた何をされるか分かったものではない。仕方なく今回は諦めてこのまま寝てしまおう、そう思った瞬間耳元で響く相手の低い声色に続いて優しく唇で挟まれる感覚にぞくりと身体が震え上がり流石に距離を離そうと肩を押し恨めしそうに相手を睨み付け。相手は気持ちを伝えてくれたが未だ自分はこの状況がよく分かっておらず、その為相手のスキンシップにも勿論対応は出来なくて大声を張り上げたものの、自分の声が頭に響き痛みを感じた事でそういえば体調が悪かったんだと思い出し。勢いよく寝返りを打ち相手に背を向ける形になればぎゅっと目を瞑り)
……、もういい、寝る。
…悪かった。早く治せよ。(己を遠ざけようとしながら声を張り上げたかと思うと、頭にでも響いたのか一瞬痛みを表情で訴える。嬉しさのあまり、病人相手に流石に調子に乗りすぎたかもしれない。反省しつつ半分不貞腐れたような声音で、背中越しにぼそりと謝罪をし。しかし自業自得とはいえ背中を向けられてしまえば寂しいような切ないような感覚に胸が締め付けられて。軽く歯を噛み締めると、少し開いてしまった隙間を埋めるように後ろから控え目に腕を回して再び寄り添い。距離を埋めたにも関わらず、今度は相手の匂いと温もりに益々切なくなるような気がして言葉に詰まる。胸がきゅっと締まる感覚と同時に鼓動が速まり小さく息をつき。_…何だっていうんだよ。 それは相手以外には感じた事のない初めての感覚。戸惑いの中、それが愛しさ故のものだと思い知らされる。突き上げるような愛しさに抗えず、少しだけ腕に力を込めると髪に軽く口付ける要領で唇をあて。そのまま静かに温もりを感じていれば腕の中のそれが心地よく感じつきて。幸福感の中やがて緩やかに訪れる眠気に瞼を閉じると、穏やかな声音が自然と溢れ)
……あったけぇな、カブキ…。…おやすみ。
何を今更…
(背後から聞こえる小さな謝罪と一応まだ自分の体調を気遣っているらしい言葉に若干口元緩め。この数分間での相手の強引で一方的な行動を今更咎めるつもりは無いものの、未だに頭が追いつかない自分自身に混乱していて。折角背を向けてこのまま早く朝を迎えようとしているのに気付けばまた先程のように相手の腕が回り背中に寄り添われるとまた心拍数も上がり必死に閉じていた目も開いてしまう。相手の声がしたかと思えば暫くして穏やかな寝息が聞こえてくる。此方も何だかそれに安心し気付けば眠りについていて。翌朝ふと目を覚ますと寝返りを打っていたらしく向かい合うような体勢になっており思わず目を見開く。当の相手はまだ気持ち良さそうに眠っており、ぼんやりした思考の中で目の前の相手をひたすらじっと眺め。─寝てる時は可愛いのにな。無意識に相手の頬に手が伸びておりそっと触れるか触れないか程の際どい距離で頬に口付けを落とせばまだアラームが鳴るまで少し時間があった為、今自分がしてしまった行為への恥ずかしさを掻き消すように再び目を閉じ)
─…ん…、……?(夢と現実の狭間、何かが優しく頬に触れる感覚がする。ゆっくりと瞼を開ければ、相手の整った寝顔が視界に入り。一瞬驚くも、寝起きで鈍い思考を必死に巡らせ。そうだ、こいつ熱出して─…、昨日の件を思い出し、熱の有無を確認するように額にそっと手を当てる。熱は引いているようで、小さく安堵の息を吐きながら額の手を外し。_まだ寝ているのだろうか。今さっき確かに頬に触れられたような気がしたのに。不思議に思いながら見つめている内、寝た振りという可能性が浮上し、何かを企んだのかにやりと口角を上げて。そのままゆっくりと顔を近付けると、起きているかの確認を兼ね、静かに唇を重ねてみて)
ッ……!…、
(自分は一体何をしているんだ、相手とこんなに長い間二人きりでいるのは恐らく初めてで。それに少し前までは気まずい空気も流れていた。それがたった昨日一日でこんなに自分の気持ちも変わるものなのか。前から相手に特別な感情を抱いてはいたが無意識に行動に移すだなんてあまりにも自分らしくなくて目を閉じながらも後悔の念に駆られ眉間には皺が寄っていて。そんな中ふと唇に触れる柔らかい感触、相手からの口付けだということは目を開かずとも分かり寝返りを打ち背中を向ければやや赤く染まった耳を隠すように布団を顔まですっぽり被り)
なんだよ、やっぱり起きてんじゃねぇか。(案の定目覚めていたらしく、軽く唇を重ねただけで背を向けてしまう相手。布団で顔を隠す様子も赤く染まった耳も愛おしく思え、つい頬が緩んでしまう。元々寝起きが良い方ではなく、まだ半分微睡みの中という事もあり、もう少しこの心地よい温もりに縋っていたい気分で。背後から抱くように腕を回して擦り寄るも、相手の反応見たさに意地悪もしたくなる。耳元に唇を寄せれば故意に羞恥心を煽るような問いを囁いて)
…なぁ、さっき俺に何した?
…、!…何も。少し手が当たっただけだろ、
(流石に口付けまでされてしまっては上手な寝たふりなど出来る筈もなく簡単に相手にバレてしまうも顔を其方に向けること無く布団に埋まったまま背後から抱き締められる感覚を感じとり余計に体温も上がっていき。相手に好きだと言われてから、此方は大してしっかりした返事を返していないというのに急に積極的になった相手の行動に未だ頭はついていかないままで。背中を向けたままでいるもすぐ耳元で聞こえる相手の寝起きらしい低くて掠れ気味の声にぴくりと肩を震わせれば気を紛らわすように咳払い零し苦し紛れの言い訳を一つ。このまま相手とくっついていればまた自分は流されてしまう、とにかくこの状況を打破しようともぞもぞと布団から出ようとまずは自分を抱き竦めている相手の腕を剥がし)
…ふぅん、まぁそういう事にしといてやるよ。(自分の行動を素直に認めない相手を前ににやにやとしながらわざとらしい響きで相槌を打てば、腕の中から逃れようとする相手を割とすんなり解放してやり。寝起きは暫くだらだらとしていたいタイプなのか、起きようとする相手とは対照的に未だ布団から抜ける様子はなく。何処かぼんやりした調子で邪魔な前髪をかき上げ欠伸をひとつした瞬間、不意にズキリと走る痛みに眉を寄せる。見事に風邪を貰ったのだろうか。けれど少し頭が重い程度でそれ以上痛みが続く事はなく、特に気にもせず相手に声をかけ)
調子はどうだ?熱はもう無さげだな。
…ああ。もう大丈夫だ。昨日は世話になったな。
(今日は昼過ぎから事務所に集まって打ち合わせをするつもりだったし体調が良くなった事に一安心すれば未だ布団から出て来る気配の無い相手を視界に入れては小さく溜息をつき。何だかんだで弱った自分を一日看病してくれた事に感謝はしている為大して文句も言えず先に洗面所に向かい顔を洗って。まだ本調子とまではいかないものの簡単な朝食を作れる程には回復しており、自分は専ら和食好きの為味噌汁を作り始め。きっと和食が好みではない相手からしたら地味なメニューなんだろうがそこは流石に譲る気は無いのかせめてもの気遣いにと相手の分の目玉焼きも焼いてやり。準備が終わると食事をテーブルに並べまだ寝室でうだうだしている相手の元に行き声を掛け)
おい、食事だ。いい加減起きろ、
…あ…?…まだ全然余裕じゃねぇか…確か打ち合わせは午後からだったよな?もう少し寝かせろよ…(あれから再びうとうとしてしまっていたようで、呼び掛けにうっすらと瞼を開けて。未だ眠そうな声を返しながらその辺にあるだろうスマホを手繰り寄せ時刻を確認すれば、まだ寝ていたいとばかりに腕で目元を隠し。ふと、寝室に流れ込んできた朝食の微かな匂いが鼻を擽る。未だ眠気に包まれたままだが、相手が折角作ってくれた朝食、どうせなら冷めない内にと眠い目を擦り「…わかったよ、起きりゃいいんだろ」不平を述べつつゆっくりと身体を起こし。相手と共にリビングの方へ向かうと、テーブルの上に朝食が並べられており。普段食べる機会の少ないメニューに視線をやりながら思った事をそのまま述べ)
…やっぱ和食か。まぁ嫌いじゃねぇけどよ。
一応礼のつもりだ。黙って食え。
(自分は常に生活リズムを一定にしている為早寝早起きは日課だが相手はそうではないらしく漸くリビングに来た姿を捉えたもののその表情はまだ眠さが滲み出ており思わずふっと小さく笑いを零し。相手は昨晩慣れない料理を頑張ってしてくれていたし、早い対処のおかげで体調不良を何日も引きずらずに済んだ。朝食のメニューについて何か言われるであろう事は十分承知していたがそれでも今度は自分が相手に何かしてあげたい、プライドが高いのは自分でも意識している為してもらうだけでは気が済まないというのも正直な所で。ひとまず相手も席に着き手を合わせて食べ始める。─何だか変な感じだ。食事は落ち着いて静かに食べたいのに、どうしたって目の前の相手は視界に入る。何だか落ち着かない気分だが此方から口を開く事はせずにそのまま食べ進め)
へぇ…悪くねぇな。そういや味噌汁なんて暫く食ってなかった。(着席し相手に倣って手を合わせ、並んだ朝食を早速戴く事に。こんな風に朝早くから出来立ての朝食を口にする事などそうはない上、和食となると新鮮で。それも相手が作ったものを二人きりで食べるというのは何とも不思議な気分だ。黙々と食を進める相手。静かな空間には食器を置く小さな音のみが響く。目の前の相手を気にしながら冷めない内にと味噌汁を口にし。味付けも丁度良く身体も温まり、何だかほっとするような感覚が広がり。たまには和食もいいかもしれない。自然と表情を緩めながら素直な感想を口にすれば再び食を進め。あっという間に綺麗に平らげてしまい、軽く挨拶をした後に食器を下げ。好きな相手の手料理で空腹だけでなく心も満たされた気がし、食休みとばかりにソファーにふんぞり返るも、まだ何か物足りない。その原因に気付けばどっかりと座ったまま図々しく注文を投げ掛け)
─おいカブキ、俺の為に珈琲を入れろ。わかってるだろうが砂糖はたっぷりな。
本当にお前って奴は…まあいい、待っていろ。
(いつも洋食ばかり食べている相手だから正直口に合うかは不安な所ではあったものの案外すんなり完食してくれると内心ほっとして自分もそのまま食べ進めていき。自分が作ったものを誰かに食べてもらえるのはやっぱり気持ち良いなと穏やかな心情のまま空になった食器等を洗う。丁度洗い物を終えた所で相手の注文が聞こえてくると穏やかだった時間は一瞬で終わりむっと眉を潜め。ふと相手の方を見るとソファーに深く凭れ掛かっており相変わらずだなとわざと深い溜息を吐いてはとりあえず自分も一息つきたかった為コーヒーを入れる準備をして。自分はお茶にするつもりでいつもの好みの量でお茶っ葉を入れる。リビングでふんぞり返っている相手に少し意地悪でもしてやろうとあえて砂糖を入れずにお湯を加え相手の元に持っていき。相手がどんな反応をするだろうかと楽しみにしながら自分は何事も無かったかのようにお茶を一口飲み)
サンキュ。やっぱ朝は糖分とらねぇと始まらないよな……ッ、!?(盛大な溜め息が聞こえた気がしたが、何だかんだで己に従う相手を見ているのは気分がいい。相手が他の誰でもない自分の為に朝食を作り自分好みの珈琲を入れるというなかなか悪くない待遇にすっかり上機嫌で。用意されたカップに何の疑いもなく手を伸ばし早速一口飲むも、途端に口の中に広がる違和感に思わず噎せ。普段のような甘さは全く感じられず、苦手とする珈琲特有の苦味だけが後味として残り、何とも不快なもので。やられた、と気付いたのは澄ました顔してお茶を啜る相手を確認してから。「て、め…、わざとだろ、カブキ」未だ味覚として残ったままの苦味に眉を寄せ恨めしげに相手を睨み付け。先程までの優越感に似た幸福感は一瞬にして消え失せ、悔しげに奥歯を噛み締め。こうなったら自分で用意した方が早いと踏んだのか、あるいは変な意地なのか、子供じみた台詞を吐きながら不機嫌そうに砂糖を取りに立ち)
…もういい、お前には頼まねぇ!自分で入れる!
少しは懲りたか?
(自分の予想通りの反応をするのを横目で伺っていれば相手には少し悪いと思いつつも笑いが込み上げてきて口元を手で隠しながらクスクス笑い。体調が良くなったとはいえまだ病み上がりだというのに当たり前のように注文を付けてくる相手を少し懲らしめてやりたかった為気を晴らすには十分過ぎるリアクションで。勿論相手が機嫌を損ねるのも想定内で砂糖を取りに行く様子を黙って見届け戻って来たと同時に未だ笑いを堪えた表情で問いかけ。今まで笑っていたかと思えば今度は相手の手に握られている大量のスティックシュガーを見れば怪訝そうに眉を潜め一体どれだけ入れるつもりなのだろうかと不思議に思う反面、本当見かけによらず甘党なんだなと苦笑零し)
…将来糖尿病は決定だな。いくら子供でもそんな糖分とらないぞ。
あ?んなもんクソくらえだ。俺は俺が思うようにやる。誰にも文句は言わせねぇ。(笑われている事に気付いたのか不貞腐れたような表情で睨むも、己が握るスティックシュガーを見てあからさまに怪訝な表情をされれば何がそんなに可笑しいのかと言いたげな面持ちで。似たような事を他のメンバーにも散々言われてきたが、この拘りを変える気などなく相手の忠告をはね除け、握っていたそれらを当然のように珈琲に入れ。よくかき混ぜた後に一口すすり、口内に広がる求めていた甘味に“これだ”とばかりに満足そうな笑みを浮かべ、また一口。ふと相手を見ればその手元にあるのは安定の緑茶。自分には緑茶の良さがわからず「お前こそよくそんなジジくせぇもん好んで飲むよな。大体今どき茶柱なんかで喜ぶか?ジジィかよ」と、からかい半分無遠慮に言葉をかけ、更には以前茶柱が立ったと小さな喜びを噛み締めていた相手を密かに目撃していた事を明かし)
なっ…何でそれを…
(相変わらず自分の趣向を変える気が無いらしい相手の発言に自然と溜息が零れ、更には何事も無かったかのように手にしていた砂糖を全て入れているのを見るとそれだけで此方が気持ち悪くなってしまいそうで。お茶を飲んでいる事に対して何やらからかい気味に言われたものの、相手よりはマシなんじゃないかと思っている為特に大きな反応は見せなかったがいつか茶柱が立った日の事を相手から持ち出されると何故知っているんだとばかりに目を開き相手のほうへ視線を向けて。あの時はすっかり自分の世界に入り込んでいた為相手に見られていた事なんて全く気付かなかった。何だか今になってあんな事で喜んでしまった自分が恥ずかしくなり今度は向けていた視線を逸らして少し相手を背けるように身体の向きを変え。「まあ、そんなお子様みたいなコーヒーを飲むぐらいならジジイで結構だ。」なんてブツブツ呟きながらまたお茶を啜り。こうして何事も無い時間を相手と二人で過ごしている事が未だに不思議で暫く座ったままぼんやりしており)
(やはり見られている事には気付いていなかったらしく、その気まずそうな反応が愉快で。気付けば相手の事を目で追い、然り気無い仕草や表情の小さな変化も見逃さず胸を高鳴らせていた自分は、そんな何気ない日常で見る彼を恐らく本人よりも知っていた。茶柱の件が気恥ずかしいのか背を向ける相手が可愛いくて仕方なく、つい口許が緩む。例によって弄ってやりたくなりソファーを軋ませ距離を詰めれば、のし掛かるように肩に腕を回し。少々意地の悪い笑みを浮かべながら顔を覗き込み、わざとらしく問い掛けその反応を窺って)
さぁ何でだろうな。…今のお前にならわかるだろ。
(今のお前なら、そう言われた瞬間妙な納得感が生まれた。相手は自分の事を好きだと言った、つまり日頃から自分にとっても些細な事すら相手は気にかけて見ていたという事かと理解するもそれはそれで気恥ずかしくて手で顔を覆う。とはいえ自分も何だかんだで相手を視界に入れていた事は何度もある為あまりヘタな事は言えず言葉を飲み込み。途端に相手に距離を詰められるといくら想いを打ち明けたからといってまだこの密着具合に慣れるのは時間がかかりそうで余計に相手の目が見れず。自分自身と葛藤を繰り広げた挙句どうにかして上手く躱す方法は無いか必死に模索した結果、肩に回った腕を緩く掴み相手の方に顔を向ければ予想以上に距離が近く今にも唇が触れそうな程で煩く音を立てる鼓動がバレないように平然を装い「…いい加減支度しないと、遅れる」必要な言葉だけ述べるとすぐに視線を外し腕を引き剥がし空になった湯呑みをキッチンに運ぼうとして)
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