付喪神 2016-04-23 15:27:08 |
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そんな所が…それなら、そこに行って何かしらの情報を収集出来たらこちらとしても少しは助かるかもしれないね
(長谷部くんが堕ちた経緯や背景は前々から気になっていて、その場所に行き情報収集が出来たとしたら彼を助ける時に有効だろうと頷いて)
…それで目星の付いている場所なんだけどさ、西の本丸なんだよね。あそこは今立ち入り禁止制限が掛かってるから、ちょっと上と交渉して来るよ。三日ぐらい時間を取らせて貰うけど良いかい?
(相手がこちらの意見に賛成してくれたのを確認すると、ちょうど先程政府の堀川くんの名刺も貰った事だし後で連絡しようと思ってはそう告げていき)
オーケー、それじゃあよろしく頼むよ
(西の本丸と言えば先程堀川くんが言っていた今度の合同演練出こない唯一の本丸だろうと思うと制限がかかって立ち入り禁止が理由だったのかと思いながらそう言って)
うん、任せておいて。
(西の本丸は先々月から連絡が取れないとも言われていた為に調査の許可が降りるかは分からないが、何とか上手い具合に交渉してようと脳内で組み立ててはお茶を飲み)
(これが上手くいけば来週の演練の時にも長谷部くんを上手く引き止められるようにとみっちゃんも何かと協力してくれていることがありがたく、こちらも出来ることは全力でやっていこうと思いながらずんだ餅を食べ終えるとお茶を飲み)
それじゃあ、結果は三日後に教えるから。
(ずんだ餅とお茶を空にすれば「ごちそうさま」と言って、その後にお盆を持つと上記を述べてひらりと手を振れば炊事場に戻る為に部屋を出て行こうとし)
オーケー
(こちらも手を振り返すとする事もなくなり。あるとは思えないが過去の文献に亜種のことは書かれていないだろうかと不意に思い立てば立ち上がって書庫へと向かい)
(本日の書庫の当番は己である為に一人で黙々と書物の整理をしていて。二人組を強制的に組まされる内番よりかはマシかと棚へと書物を入れていき)
あっ、伽羅ちゃん。今日は君が書庫当番なんだね、お疲れ様。
(書庫へと来るとそこにいたのは群れることよりも一人を好む一匹竜王の彼で。にこりと微笑んで手をひらりと振り、労いの言葉をかけると仕事を邪魔してはいけないだろうと自身は早速亜種に関する本はないだろうかと探し始め)
…?、光忠か。嗚呼そうだが。
(声を掛けられ振り返ると伊達の一振りが居て。相手の言葉に頷けば、何かを探しているような素振りの彼に視線を向けつつも書物を抱え直して本棚に入れ)
ううん…こっちにも無いか…
(探している本は見つからず、どうしたものかと悩んでいて。ふと、伽羅ちゃんなら分かるのではないだろうかと思えば)
ねぇ、伽羅ちゃん。少しいいかな?亜種に関する本を探しているんだけど…そういった文献はここにあるかい?
(悩ましげに問い掛けてくる相手に気付けば書物を入れる作業を一旦中止し、顔を上げてその声のする方向へと視線を向けると亜種自体がマニアックな項目な為に下記を述べていき)
…亜種?それ単体の文献は無いが、付喪神の概要が書かれた文献の一端になら載っているのではないか?
ああ、たしかにそれならありそうだ。
(彼に聞いた方がやはり早かったなと思えば礼を述べて。付喪神の文献なら先程あったなと探しに行き、それらしいものを見つけると借り出しの名簿に名前を書いて「伽羅ちゃん、助かったよ。それじゃあお仕事頑張ってね」と微笑み書庫を出て)
…。礼には及ばない。
(亜種の事を調べている相手に自分自身の事だから興味があるのも無理はないかとそう一人納得しては、まあ何かあっても近侍の光忠が見守っているから平気だろうと考えて相手を見送ると、貸し出し名簿に受理したサインを書いていき)
(自室へと戻れば亜種に関するものはどこにあるだろうかと読み始めて。しばらくすると亜種とは書かれていなかったが長谷部くんの言っていたようなことが書かれてあり、そこを重点的に読み始め)
(何やら今日は政府の者が来たと言う事で慌ただしかったが、こうして夕方頃にもなれば落ち着いて来ていて。ようやく政府の者が帰って静かになった縁側を歩いて自室に戻ろうとしていた時、ふと燭台切が部屋で文献を読んでいるのが見えたので何の勉強をしているのやらと思いつつも声を掛け)
―…おや、燭台切じゃありませんか。文献を読んでいるとは何かの勉強でもしているのですか?
あ、宗三さん。ちょっと気になることがあってね、調べ物をしているんだ
(長谷部くんの言っていたこと以外にもなにか関連することがあるだろうかと読んでいると不意に声を掛けられ。確か彼は織田の一振りだったなと思いながら微笑みそう言って)
調べ物…。その文献を読んでいると言う事は、付喪神について調べているのですか。
(ゆらりと視線を文献の方に落とすと題名を読み取り。それが自分達付喪神に関する文献だと察すればそう言っていき)
うん、その通りだよ。まだ良く分かっていないこともあるからそれを知ろうと思って
(察しが良くこれなら説明する手間も省けたなと思いながら頷いて。「ほら、僕はみんなと違うだろう?もしかしたらこういうものに載ってるかも知れないと思ってね、少しは載ってたからいいんだけど」とあまり収穫がないので苦笑を浮かべ)
嗚呼、そう言えば貴方は亜種でしたね。…亜種はここ最近急に増えたと聞きます。前までは稀少な存在でしたから、文献に少ししか載っていないのは仕方の無い事ですね。
(付喪神の文献の中でも亜種の項目を見ていたのかと、相手の言葉を聞いて理解すれば苦笑する彼に上記を述べていき)
そうなんだ、なぜ亜種が出てきてしまったのか…それすらも神力が乱れている影響なのかもしれないとかそういう事しかまだ分かっていない。あとは本家との性格が全く違う…とかね
(この文献に載っていたものは神力の乱れによって亜種が顕現されるのではないかという憶測や、性格が違うこと、最近自分が知った埋め込まれたものが反転している等とは何も書かれておらず。これはやはり西本丸で情報収集するしかないのだろうかと思い)
けれど、僕たち付喪神と言うのは“刀一本と審神者の神力”で人の形を構成していますからね、神力の乱れが亜種を生むと言う考えは良い線かもしれませんね。
(亜種に関してはそれこそ政府の者達が対応しても混乱しているのだから、今ここで己に分かる事は出来ず。だが少し考えた後に憶測に過ぎないが口を開いていって)
なるほど…確かにそうかもしれないね。
(相手の言葉にそう言われてみればそうかもしれないと頷いて。ふと気になったために「宗三さんはこの本丸に来てかなり時間が経っていると思うんだけど…西本丸のことについて何か知っていることはないかい?」と自身たちで行く前に何か知っていた方が良いかもしれないと思いそう尋ねて)
西本丸ですか?…そこは僕よりも近侍の燭台切の方が詳しいですよ、彼がこの本丸では最古参ですからね。まあ、僕から一つ言わせて貰えば、あまり西本丸には関わらない方が良いと思いますが。
(尋ねられた事に瞳を瞬かせては口元を着物の袖で隠しつつ、少しばかり視線を逸らすと言葉を濁していき)
やっぱりそうかぁ…オーケー、分かったよ。
(どことなく言葉を濁し目線を逸らす相手に何か言えないことでもあるのだろうかと思いながらそう言って)
…何をする気かは分かりませんが、関わるのは程々に。
(そう相手に告げれば「それでは僕はこれで失礼しますね」とこれ以上話す事もないだろうと判断して廊下を歩き出していき)
(それから数刻後。すっかり日の暮れた中、少々慌ただしく廊下を駆ければ遠慮無しに相手の襖を開けていき)
燭台切さーん、夕餉の時間が過ぎてしまったので呼びに来ましたよ。
えっ、もうそんな時間かい!?すぐ行く!
(時間を忘れる程に集中してしまっていたようで、そう声を掛けられ壁時計を見ると確かに夕餉の時刻を過ぎていて彼が来なければまだ読み続けていただろうと思いながら本を閉じて立ち上がり)
呼びに来て良かったです。今日は魚の煮付けですよー。
(亜種とは言えしっかり者と言う印象があった為に相手のおっちょこちょいなところを微笑ましげに思っては笑み零し、そのまま相手と一緒に廊下を歩いていき)
わぁ、それは美味しそうだね
(時間を忘れる程没頭していたため同じようにお腹がすいていたことにも気付いていなかったようで、空腹を訴えるように鳴るお腹をさすりながら歩いていて)
美味しいですよ!何せ俺が作りましたからね。
(そうにっこりと笑って自信満々に言い。そんな事をしている内に居間へと辿り着き、既に夕餉を取り始めている仲間達の中に入って席に着いていって)
(彼の自信満々なその言葉に微笑みつつ、居間へと辿り着くと自身も既に並べられていた料理のある空いている場所に座り手を合わせ挨拶をすると食べ始めて)
ごちそうさま
(食事を終えると今日は何かと疲れたためお風呂に入って早めに寝てしまおうと立ち上がり食器を運んでは自室へと戻っていき)
(鯰尾くんに「夕餉美味しかったよ、無理言ったのに食事当番を代わってくれてありがとね」と礼を述べれば時間も押している為に、己は再び政府への西本丸の調査許可の説得材料を集めようと執務室に行き)
(入浴も済ませると濡れた髪を拭いながら廊下を歩いていて。欠伸を一つすると自室へと入っていき先に敷いてていた布団にぼふりと横になれば眠りについて)
(あれから三日後。西本丸の件に関しては持ち得る限りの材料を使って説得した為に、堀川くんからの返事を今か今かと待ち構えており。思わず朝早くから連絡機器の表示を覗いていて)
(三日間の間、自身が出来ることなど限られていたがそれでもいろいろと試行錯誤して。確か今日は西本丸に行けるかの結果が分かるのではなかっただろうかと思いながら少し早めに起きてしまい。顔を洗って身支度を整え終えるとみっちゃんからの連絡を待っていて)
_!
(携帯機器のワンコール後、すぐにもしもしと出た為に受話器越しの堀川くんは驚いていたものの彼から告げられたのは、〝許可が降りました〟と言う事で。但し条件付きだったがそれでも要望が通った為にお礼を言って、連絡機器を切り部屋から出ると光忠くんを探していき)
(そう言えば西本丸が立ち入り禁止になった理由は何なのかも分からないなと思いながら昨日の宗三さんの何か知っているような素振りを思い出しては首を傾げ)
(早朝ゆえ部屋に居るだろうと踏んだのだが、こんな朝早くから部屋に突撃しても良いのだろうかと悩んだものの用件が用件だった為に、一度外で声を掛けてから襖を開け)
――光忠くん、失礼するよ。西本丸の事だけど調査許可が降りたよ。
あ、本当かい?よかった、これで調査もできるね
(部屋でみっちゃんの報告を待っていると襖を開け調査許可が降りたことを告げられ安堵したように微笑んで)
うん、ただ条件付きでね。調査は一人か二人で、更に夕方には引き上げないといけないから、そう言う訳で急で悪いけど今から行こうか。
(こちらもつられて微笑んだものの直ぐに真面目な顔で上記を述べれば、自身は既に支度を済ませているので相手の準備を待とうとし)
オーケー、僕も準備は出来てるよ
(やはり元より立ち入り禁止規制があるため条件があるのは仕方ないかと思いながらこちらも身支度などは済ませていたためそう言って)
それじゃあ、本丸を出たら西の畦道を通って行こう。
(相手も準備を終えていた事を確認すると頷いて、玄関で靴を履き門の方へと歩き出しながら使う道を述べていき)
(本丸の門を潜って西の畦道を歩いて行き、天候は曇りであまり芳しく無いなと考えつつ隣の相手を見て)
今日は一雨降らないと良いね。
確かに…降られても困るしね
(西の本丸は少し離れているため雨でも降れば雨宿りする場所もないために濡れてしまっては風邪をひくだろうとそう言って頷き)
うん、このまま曇りを維持してくれたら良いんだけど。
(同じく頷いては頭上の曇天を見上げつつ少々早歩きで先の道を進んで行き)
そうだね、あそこが西の本丸だ。
(草木が無造作に生い茂っている中にポツンとある建物を確認するとそう述べ、固く閉ざされている門の前へと向かい)
(その見た目から長い間誰もここに近寄っていない事が分かり。それでも未だどこか威圧感を感じるそれに何があっても対応できるように気を引き締め)
(正門に手を当てて奥へと押せば、鈍い音と共に門が開閉していき。そのまま中に入ると無人の本丸を見ていって)
…随分と草臥れたなぁ。
みっちゃんはここにまだ刀剣たちや審神者がいた頃を知っているのかい?
(まるで以前のこの本丸の様子を知っているような口振りに宗三さんの言葉を思い出しつつそう言って)
…顕現したばかりの頃に数回だけど来た事はあるからね。前の主くんは頻繁に通っていたけど。
(妙に前任の東本丸と西本丸の審神者は親しげにしていた事を思い出せば、眉を顰めてそう言い)
前の…?僕らの今の主くんは後任だったのかい?
(まさか今の主くんが昔からいた審神者ではなかったとは思っておらず驚きから目を瞬かせ)
(目の前の事に気を取られてよりにもよって前の主くんの事を話してしまったと思うと、直ぐに口を滑らせた己を叱咤したくなったものの無理矢理話題を変え)
っ!―…光忠くん、そんな事よりも今は目の前の西本丸を調査する方が先だろう?時間は限られているんだ。
…確かにそうだね、夕刻までにはなにか手掛かり探さないと…。じゃあ僕はあっちを探してくるね!
(何かを相手が隠していることが僅かに分かったが追求はせずにいて。確かに相手の言う通り時間が決まっているためここは二手に別れたほうがいいだろうと分かれ道に来ると相手とは逆方向へ行こうとして)
?_嗚呼、手分けして探すのか。迷わないようにね。
(別の道を行こうとする相手をチラリと見てはこの本丸内に敵の気配は無さそうだしと思えば頷いていき、そのまま自身は反対側へと向かって)
それにしても大きいなぁ…ん?
(廊下を歩いていると刀剣の名前が書かれた札を見つけて、ここから先はおそらく各個人の部屋なのではないかと思うと長谷部くんの部屋はあるだろうかと探し始めて)
ここは手入れ部屋か。
(本丸内を探索していると部屋を見つけたので開けて中を覗けばそこは手入れ部屋で。しかし、乱雑に置かれた道具の埃の具合から、かなりの年数で使っていない事が分かり。また手入れ道具も一式揃っておらず不完全で、これでは充分な治療が出来ない事が分かり)
…ここの本丸は手入れ部屋を使っている様子が無いな。
(部屋や廊下は埃の溜まり方がひどく、所々になぜか刀傷が入っているのを見つけるとまさかとは思うがこの本丸で反乱でもあったのだろうかと思いながら歩いていて。長谷部くんの部屋を見つけるとなにか資料はあるだろうかと思い部屋に入っていき)
…隣の鍛刀部屋は使われていたのか。
(手入れ部屋から出て隣接していた鍛刀部屋に入ると充分に揃った道具と資材が積み重ねられていたので、ここはきちんと使われていたのだろうと推測する事が出来て独り言を零し)
(執務室を探そうとして廊下を歩いていれば、半周歩いてしまったのか数刻前に別れた相手が見え)
―…あっ、光忠くん。そっちはどうだった?
あっ、みっちゃん。うーん、こっちは刀剣たちの部屋だったのだけれども特に目欲しいものは無かったね。あるとしたら乱闘した後みたいな刀傷とかだったなぁ
(さきほど別れた相手の姿が前から来ていてひらりと手を振るとそう言って眉を寄せ)
乱闘した後みたいな刀傷か…。こっちは使われた様子の無い手入れ部屋と、何の変哲も無い鍛刀部屋を見つけたよ。
(ブラック本丸だったのかただの反乱か、そんな事を考えながら先程見た情報を共有していき)
使われた事のないような手入れ部屋か…
(普通なら手入れ部屋は一度はかならず使っているはずなのに、と疑問に思いながら呟いて)
…ここの審神者、黒かもね。
(まだ決まった訳ではないがそうポツリと呟けば、「取り敢えず次は執務室に行こうかと思ってるんだけど光忠くんは?」と問い掛けていき)
僕もそこら辺を見ようと思っていたんだ
(他にも多く見つかりそうだと頷いてそこにきっとこの本丸の多くの問題点があるだろうと歩き出して)
なら、一緒に行こうか。あとは近侍の部屋も見たい所だね。…この二部屋は更に廊下の奥か。
(歩き出す相手の横を歩きながら薄暗い廊下の向こうを見て呟き)
それにしても…本当に長い間使われてなかったんだね
(何処も彼処も埃だらけのこの場所に嫌気がさしそうになりながらもずっと誰もいなかったのだから仕方ないかとため息をついて。しばらく奥へと進む廊下を歩き続けるとおそらく執務室らしい部屋が見えてきて)
暫くの間音信不通になっていたからね、この西本丸は。
(そう答えつつ古びた廊下の板を軋ませながら歩いて行き。_そして奥の突き当たりまで来ると、ニつ部屋があったので札を見れば執務室と近侍部屋と書かれており。まずは執務室の方に入ろうとしたが、ふとその扉前の床に何かを引き摺ったような古い血痕がある事に気付いて思わず立ち止まっていき)
…どうかしたのかい?
(相手が立ち止まったのを見ては何か見つけたのだろうかと思い。相手の視線の方を見るとそこには古くなり変色した血痕があったのに気付き思わず息を呑んで)
…血痕がある。けど乾いているし変色しているから古いものだね。
(しゃがみ込んで血痕の具合を確かめれば上記を述べ。中から外に引き摺ったような形跡があるので無いとは思いたいが一応念の為に「…執務室の中に入るかい?」と問い掛けていき)
うん、何があるのかこの目で確かめてみたい。その為にここに来たんだ
(この先の部屋に何があろうと臆することはしないようにと力強く頷いてここに来た理由はここで何が起きたのか知るためだとそう言って)
じゃあ、開けるよ。
(相手が頷いたのを確認すると、ガタついている執務室の障子を開けていき。部屋の中は荒れ放題で、床には散らばった紙と致死量並みの血飛沫。机や壁などに刀傷は無く一撃で仕留めたのだろうかと冷静に考えつつも、やはり死体は無いと思っていき)
…荒れてはいるけれど他の部屋と違って刀傷がない…
(部屋の中はおそらくここにいた部屋の主が抵抗し暴れたのであろうか色々なものが散乱していて。そこに変色しているが大きな血痕もあり眉を寄せつつそう呟き)
…暴れた本人は刀を持っていなかったって事だね。
(比較的冷静に言えば散らばる紙や血を踏まないようにして執務机の中を探り。ふと妙なメモ帳を見つければ中を開いて“短三十一、脇十五、打二十二、太十八、大二、薙槍零”と言う単語を目にし「光忠くん、ちょっとこっちに来てくれ。これって何の事か分かるかい?」と問い掛け)
え?
(散乱したものをこれ以上傷つけないようにしながら何か手掛かりはないだろうかと探していたところそう声を掛けられて、何かあったのだろうかと近寄ればメモらしきそれをのぞき込んで。しばらく考える仕草をした後にふと思いついたのか「これって…刀種とその数じゃないかな?短は短刀で三十一振、脇差は十五振…って感じにさ?」と憶測を述べて)
嗚呼、成る程ね。…この数は所持数なのかな?それにしても短刀が三十一振って多過ぎる気がするけど。
(相手の言葉に納得すればそのメモを見つつ、確か短刀の種類は十五振だったとも考え。出会った数?所持数?なども思い浮かべるも何れもしっくり来ずに首を傾げ)
確かにそうだよね…待って、もしかしたらだけれどここにいた審神者は黒かもしれない。そして使われていない様子の手入れ部屋…まさかとは思うけど折れた数とかじゃないよね…?
(所持数にしても多過ぎる気がするようで首を傾げていて。それなら連結した数だろうかと思いながらももしここの審神者が黒であればそのような事をわざわざするのだろうかと思って。不意に頭をよぎった考えたくもないそれだとしたらここにいた刀達はどのような気持ちだったのだろうかと憶測ながらに述べていき)
…折れた数か。現状違うとは言い切れないね。
(顎下に手を当てて眉を顰めてはそう述べていき、否定したくともこの惨状を目にした為に否定出来ず。何か他に分かるものは無いだろうかと執務机を探り)
(きっと違う、そうであって欲しいと願いながらも続けて他の資料をあさりだし。しかし長い時間保管もしっかりとされているわけでもないために日記らしきものを開いてもボロボロと崩れていってしまい)
…うーん、これ以上は無いか。隣の近侍部屋に行ってみるかい?
(さすがに血が付き保存状態も悪く色褪せてしまった文字は読めないので他の紙は諦め、上記を提案していき)
そうだね、行ってみよう
(相手の提案にこくりと頷きこの部屋でこれ以上の収穫はないだろうと部屋を出て隣にあった近侍部屋へと入ろうと襖に手をかけ)
オーケー。
(相手に続いて近侍部屋へと入れば、中は執務室と打って変わって整理整頓された綺麗な部屋で。前に西本丸に来た時はここは長谷部くんが近侍だったなと思いながら、室内を見回し)
綺麗にされてるね
(他の部屋と比べて綺麗に整頓されている部屋を見てそう呟き。この部屋にいた人は綺麗好きだったのだろうかと思いながら部屋の探索を始めて)
血痕とかも無いみたいだね。
(綺麗にされていると言う言葉に頷きながら机の引き出しを開けようとしたものの、そこは鍵が掛かっており開かず。「光忠くん、机の鍵って何処かで見かけなかったかい?」と尋ねていき)
え?鍵かい?…あ、これかな?
(鍵を見かけてはいなかったので近くにあった棚を漁ってみると一番下に隠されるように置かれていて。それを手に取ると相手へと手渡し)
ありがとう。_うん、この机の鍵で合っていたみたいだ。開いたよ。
(小振りの鍵を受け取ればさっそく机の引き出しの鍵穴へと差し込んでいき。右へと回すとカチャンと言う音が聞こえて引き出しが開いたので上記を述べ、相手へと鍵を返していき)
どういたしまして
(鍵を返されると元の場所へと戻して。それから机の中には何があったのだろうかと相手の隣へと行き机の中をのぞきこんで)
…中には手帳?…あ、いや日記が入っていたよ。
(引き出しを開けると青紫色と赤紫色の手帳のような物が二冊入っており、その中身をパラパラと捲って確認してみれば内容は日記だったので相手にも見せていき)
本当だ、この人はマメだったのかな?一日の内容がしっかりと書き込まれてる…
(日記を渡されそれを読んでいくといつでもその日々が思い出せるようになのか事細かに書き綴られていて。中には短刀にいたずらされた事を書かれていたりと何気ない日々を彼らなりに過ごしていたのだろうかと思って)
裏面に名前が書いてあるね。この日記を書いたのは西本丸の長谷部くんか。
(赤紫色の方の裏面を見ればへし切長谷部と書かれていたので、やっぱりここの本丸の近侍は彼のままだったかと思い。青紫色の日記は二年前の日付を最後に使い切られていて、試しに相手に渡してないこの赤紫色の方の日記の一ページ目を捲ると日付が続いていたので、日付が近そうなのは赤紫色の方かと思えば何か分かることがあるかもしれないと、一枚一枚捲っていこうとしていき)
長谷部くんのだったんだ…こういう所は本家と同じなんだね
(あの大胆な行動をとる彼もどこか几帳面な所があるんだなと思いながら続きを読んでいき。遠征や出陣であったことなどが書かれていて)
?…あ、ごめん。そう言えば教えてなかったね。この日記を書いた近侍の長谷部くんは亜種の彼ではないよ。ここの西本丸は昔から本家の長谷部くんが近侍をしていたんだ。
(自身の言葉の足りなささで相違に解釈の違いが生まれていることに気付けば、直ぐに訂正していき)
え、そうなのかい?
(勘違いしていた事に目を瞬かせるとそう言って。しかし、亜種でなくともこうなった理由はどこかに書かれているかもしれないと自身の持っていた日記を机の上に置くとほかの場所を探し始めて)
うん。…まあ、その西本丸の近侍の長谷部くんが前に変わった二振り目の自分が来た事を言っていたのを思い出したから、もしかしてと思って今日ここに来た訳なんだけどね。
(前に自身が目星が付いていると言った理由についてさらりと述べつつ、赤紫色の日記を捲っていき。ちょうど今から半年前のところのページで手を止めていって)
へぇ…なるほどね。じゃあここに何らかの情報があるはずだ
(相手の言葉によればここに元々は亜種の彼もいたということのようで、なにか掴めたらいいけどと思いながら隣へと行きその日記を隣から読もうとして)
…日記によると、亜種の長谷部くんは半年前に来たようだよ。
(隣に来た相手に気付けば、彼が読みやすいような持ち方に変えつつ半年前のページの日記を見ていき)
――
12月29日 快晴
『本日は主が鍛刀をすると仰っていたので近侍として同行をさせて頂いたのだが、顕現したのは二振り目のへし切長谷部だった。俺が二人も居ると言うのは妙なものだったが、更に妙だったのは二振り目のへし切長谷部は主命は果たさないと開口一番に言い切ったのだ。無礼な振る舞いに俺は奴を斬り掛けたが、主が面白い刀だと気に入ってしまった為に何とか寸での所で踏み止まった。さすが主、懐の広いお方だ。結果的にこれから先の奴の世話係を任されてしまったのだが、俺は主命とあらばどんな命でも遣り遂げる。むしろ不真面目な二振り目を鍛え直してやろう』
(彼も自分と同じ様に鍛刀でこの本丸に顕現し、本来ならばその場で近侍の長谷部くんに斬られていたかもしれないところをここの主くんが面白いという理由で引き止め迎え入れたというところからは、この頃はまだ亜種のことをあまり知られていないにも関わらずそのような事をした主くんが悪いような人とは考えられず。しかし決め付けるのは早いだろうと続くページに目を移し)
12月30日 曇り
『どうやらこんのすけから聞くに昨日の二振り目は亜種と呼ばれる部類に入るらしい。だから俺なのに俺ではない性格だったのか。非常に癪だが紛らわしいので奴の事は今後“へし切”と記載していく事にする』
12月31日 快晴
『へし切が内番をサボりそうになったので首根っこを捕まえて共に畑仕事をした。一度始めると最後までやり遂げる所は奴の良い所だ。但し主命を拒否するのは頂けないな。_追記、最近資材の減りが早い。何故だろうか?無駄遣いはしていないのだが』
…長谷部くん、何かもうまくしてたみたいだね。でもこの資源の減りってなんだろう?
(自分と同じように近侍の長谷部くんを中心に何かとうまくいっていたことが分かれば安心し。しかしその後に書かれた追記にどのような意味があるのか分からずに首を傾げ)
この日記を見る限りそのようだね。…うーん、資材の減りは一体なんだろうね?日数が進めば分かるかな?
(亜種でも上手くいっていた事を日記の文章から悟り。だが、追記の部分については分からない為に同じく首を傾げつつもページを捲っていき)
――
1月1日 大雪
『謹賀新年、初夢は主から主命を頂くものであった。縁起が良いとへし切に言ったら、奴は茄子の方が縁起が良いと言っていたな。後で主命を頂く事がどれだけ素晴らしい事なのかを語ってやろう』
1月4日 吹雪
『いつの間にか資材が底を尽きていた。主の方針で、常日頃から手入れ部屋や刀装作りもあまり使わないようにしていたのだが不思議だ。今度機会があれば主に尋ねてみるか』
1月6日 大雪
『資材について主に尋ねてみた所、欲しい刀がいるそうで夜な夜な鍛刀をしているらしい。俺に言わなかったのは近侍の負担をこれ以上増やしたくなかったとの事だ。主は本当にお優しいお方だ。へし切が怪訝そうな顔をして〝だが本丸の刀は増えていない。鍛刀した刀は何処に行った?それに錬結した様子も刀解した様子も無いだろう〟と聞いて来たが、それはへし切の気のせいだと思った為に「お前は心配性だな」と笑って特に気に留めずに流した』
(日記から分かったことは資源は日を重ねると共に減っていること、そしてその理由は主くんが夜な夜な鍛刀をしていたから。しかし何かに少しずつ疑問を抱き出した長谷部くんは何かに気付いたのだろうかと思い)
1月8日 雷雨
『へし切がとんでも無い事を言って来た。この目で見たと言われたが、俺はそれを嘘だと思い一蹴した。せっかく最悪だった第一印象から見直していた所だったのだが、よりにもよって主の事を悪く言う嘘を吐くとは。やはり俺は亜種の彼奴とは相容れないようだ』
1月10日 曇り
『俺は今日から遠征に行かなければならない。留守の間は主の事が心配だ。周りの仲間が亜種の彼奴の嘘を信じない事を祈るばかりだ。主が夜な夜な鍛刀していた刀をその手で殺して折っていたなど俺は信じない』
っ…?!
(亜種の長谷部くんが見たことがもし事実だったとしたなら自分たち刀剣からすると、とても恐ろしいもので。理由は望む刀剣が出ない腹いせになのか分からないがぞっとする話だと息が詰まり)
1月13日 雨
『遠征から帰って来て主の無事なお姿を拝見して安心したが、何やら本丸の雰囲気がおかしい。俺が疑問に思っていると仲間の薬研が〝へし切の旦那から話を聞いた。それを確かめたんだが、如何やら本当だったぜ。ほら、大将はずっと俺達に立ち入り禁止だと言っていた部屋があっただろう?そこで大将は夜な夜な顕現した刀を折っていたんだ。…倉庫で刀だった残骸も見つけた。短刀三十一本、脇差十五本、打刀二十二本、太刀十八本、大太刀二本だ。…これを人間の命に換算すると一人分では補えないな〟と眉を顰めて鉄屑の散乱した倉庫の中を見せて来たが、俺はそれでも信じなかった。へし切に〝何故主に拘るんだ?目を覚ませ〟などと言われたが覚ましたくない、盲目でいたい。このまま主に仕えられるのなら俺は盲目のままで良い』
1月14日 大雨
『〝思えばあの審神者は前々から手入れだって重症手前になるまで放置、無理な進軍をよくさせていた〟などと火が点いたのか主に対する仲間の鬱憤が居間で溢れていた。俺はそいつらを黙らせたが、相変わらず本丸には神経質な空気が漂っている。あの後へし切に〝俺の事を信じてくれ〟と言われたものの「俺は数週間のお前より数年間いた主の方を信じる」と突き放せば、相手は悲しそうな表情を見せていた。だが、そもそも亜種のお前が来なければこんな事にはならなかったんだ。お前が、貴様さえ居なければ』
…
(顕現したばかりで、しかも自分たちを喚び出した主の手で折られていく刀たちは主に嫉みなどを抱いたまま消えていったのだろうか、どのような気持ちだったのだろうかと思うと胸が締め付けられるようで。盲目のまま主を信じ続けたい近侍の長谷部くんとすべてを知ってしまったみんなとの間にいたのは恐らく亜種の長谷部くんだったのだろうと思いながら眉を寄せ)
1月16日 雷雨
『膠着状態だ、何もかも』
1月21日 大雨
『己の主を信じる事の何が悪いんだ?』
1月24日 雷雨
『味方などいない。主以外は俺の敵だ。主に仇なす敵は斬る、例え元仲間であろうとも』
1月25日 雷雨
『主への謀反を企てていた刀達を斬り捨てた、薬研も含めて。中には命乞いをして来た奴もいたが構わずに折った。主の命を奪おうとしたんだ、それ相応の報いを受けるのは当然だろう?_それにしても体が鉄臭い、重い。ただの武器の刀に戻った気分だ。ただあの時は何も感じ無くて楽だったのだが今は』
1月26日 大雨
『夜戦から戻って来た奴等に折った刀の事を問い詰められたが「主を裏切ろうとしたからだ」とだけ答えた。嘘は一つも言っていないのだが、奴等は唖然としていた。へし切が何か悲痛そうな顔で訴えて来たが、俺にはその言葉は聞こえなかった』
(結局近侍の長谷部くんは盲目のまま、謀反を企てた仲間達をその手で斬った。恐らく彼はもう何が正しくて悪いのか、それすらも分からなくなったのだろう。ただ主を守りたいだけ、それだけを信念に折った。ここからこの本丸の関係性は悪くなっていったのだろうと思い)
1月27日 雨
『奴等が怪しげな行動を取っていたが、刀を抜く前にへし切に腕を掴まれた。上手く聞き取れなかったが、向こうは俺と話し合いたいそうだった。だがそんなものは今更だ。俺は奴等と話し合う気は無い。ここで叩き斬ってしまいたかったが、俺はこれ以上へし切の顔が見れず逃げるように部屋から出た』
1月28日 曇り
『主が殺された。俺がほんの数分目を離した隙だった。少しでも冷静になる為にこの文を書いているが一向に思考は纏まらない。主を殺した奴等は俺が殺した。昨日に実行しておくべきだったのに俺は…。最後まで刀を抜かずに止めようとしていたへし切が先程から何かを訴えている。この本丸も俺とお前だけになってしまった。_、疲れた。今日はここで筆を置く』
1月29日 快晴
『死ぬ前に書く文とは遺書と言うのだろうか?まあ、これから死ぬのだからどうでも良い事か。俺達は人の形を得ているが所詮は刀、刀とは主を守る為に在る。心など有って無いものだ。なのに奴等はそれを履き違えた。刀である事を忘れて、自身の保身の為に主を殺した。どんな主であろうとも使われ守るのが刀の役目だろう。だが、俺は主を守れなかった。使えない刀などただのなまくらだ。今日は晴れか、腹を斬るには丁度いい』
――
…。
(このページは他のページと比べて字が乱雑で所々赤黒い染みが付着しており読み辛く。また日記の文はこれを最後に途切れており、捲っても日付は更新されておらず、本当にこの文章通りの事が起きてしまったのだろうと察する事が出来て、自身は何も言えずに黙り込んでしまい)
…
(ここにいた刀は近侍の長谷部くんが主を守るために折った。そして最後には二振りの長谷部くんが残り、本当に最後まで残ったこの本丸の唯一の刀は亜種の長谷部くんだったということが分かって。誰が正しかったのか、それは自分には分からずにいて。ここに最後まで残された亜種の彼はどのような気持ちだったのだろうと眉を寄せ)
…。…ん?
(暫く沈黙していたものの日記を閉じる際に、ふと日記の表紙とブックカバーの間に僅かだが膨らみがあって何かが挟まっている事に気付き。指を入れてそれを取り出せば、真新しい一枚の紙で。「…折り畳まれた紙?」と呟けば何か文字でも書いてあるだろうかと開こうとし)
…手紙、か。如何やらそのようだね。
(皺一つ無い紙で誰も触れた事が無いと察する事が出来、それを開いてみると中には文字が書かれていたので相手が言ったように手紙だと分かり。宛名などは書かれていない為に「…誰が書いたんだろう?」と呟けば内容を読んでいき)
――
×月×日
『勝手な事だが日記を読ませて貰った。お前が生きていたら非常識だと怒ってくれそうだが、お前はもう怒ってすらくれないな。…全ては俺の言葉が引き金だった。俺があんな風に言わなければ、本丸の仲を引き裂く事もお前を追い詰める事もなかった。何度も修復を試みたが俺の言葉はお前には届かなかった。…いや、当然か。真実とは言え、俺が先にお前が慕う主を裏切ったのだから。…やり直せるのならやり直したい。今度は上手くお前に伝えるから。そうすればきっとお前が、皆が折れる必要など無いはずだ。やり直したい。過去を変えたい。だから、だから俺は__』
…長谷部くん?
(手紙の内容からしてこの本丸に残った最後の一振りである亜種の彼の手紙であろうと直感的に分かり。そこからは彼の後悔などが滲み出ているようで。ああそうか、ここから彼は歴史を変えようと思ったのだろうと原因が分かった気がして)
…そうだね、この内容からして亜種の長谷部くんが書いた手紙だろうね。
(手中の手紙を見ては懺悔にも似た内容に何とも言えない複雑な気持ちになり、上記をぽつりと零して)
…これが理由で歴史修正主義者に…誰も悪くないんだよ、きっと。ここにいたみんなが自分の信念を元に動いた結果がこうだっただけ。亜種の長谷部くんがひとりで抱えるにはきっと大きすぎた
(ただ仲間を、主を救いたかった。それでも良い方法が思い付かずにぶつかり合い自分たちが正しいと信じて今となっては過去になってしまった出来事。その頃はまだ顕現して間もなかったであろう亜種の長谷部くんにとってはまさかこのような結果になるとは思っていなかっただろう、それをただ独りで抱え込み過去を変えたいと願ってしまった結果がこれならばどれだけ酷だったのだろうと誰に言うわけでもなくただそう呟いて)
…光忠くん。
(手紙の内容を読んでそう呟く相手に、こちらもやはり複雑な気持ちで言葉を聞いていて。少し考えた後に亜種の長谷部くんの手紙を元通りに折れば相手へと差し出して「…この手紙は君が持っておいた方が良いかもしれない」とそう伝えていき)
…僕が?
(折り畳まれた手紙を渡されると自分が持っていていいのだろうかと少し躊躇ったものの、受け取ると頷いて「分かった、僕が持ってる」と述べ)
うん、そうしてくれ。…たぶん、この手紙が後から立ち入り調査をする政府の人に見つかったら厄介な事になると思うから。
(この内容を見られてしまえば政府に亜種の長谷部くんが目を付けられる事になると予想出来、本当はこんな事などタブーだが事情が事情だと思い相手に手紙を託す事にしていって)
そうだね、そんなことになってはそれこそ危険だ
(もしこの手紙が政府の手に渡れば、この元凶となったと亜種の長谷部くんをどんな手を使ってでも探し出し捕らえるだろうと思うとこれはしっかりと自分が持っていなければとそう言って大事そうに持って)
…さてと、他に調査したい場所はあるかい?時間的に後一つなら行けそうだよ。
(燕尾服のポケットに入れていた時計を取り出して現在の時刻を確認すれば、倉庫か中庭か炊事場と行ける場所を相手に提案していき)
うーん…そうだね、ゆっくりと中庭でも周ってみないかい?
(立ち上がり次は何をしようかと考え、何かの収穫を得るためにこれ以上ここを荒し回ってもここで眠っているみんなに怒られてしまうかもしれないなと思いそれならみんなが過ごしたであろうこの場所の憩いの場であったかもしれないその場所を指定して)
中庭かい?オーケー。
(相手の選択した場所を聞いては頷いていき。しかしこの場所でゆっくりと出来るのだろうかと思いながら、直感的に倉庫よりかはマシだろうが中庭も充分に嫌な予感がすると考えつつ、近侍部屋を出て廊下に貼られた地図を確認すると中庭に向かって歩き出し)
…本当はここのみんなを供養できたらいいけれどあまり触れてしまってはいけないだろうからね
(ここにある錆びてボロボロになった折れた刀らしいにみんなの記憶は染み付いているのだろうと思うと異常に干渉してしまいこちらに影響が起きてしまってはいけないだろうと苦笑しながら、やはりゆっくりとなんて見れるわけが無いかと荒れ放題になった中庭に足を踏み入れて)
…供養、ね。それはたぶん_…あ、やっぱりか。
(恐らくそんな事は自分達がしなくともと思いながら荒れ果てた中庭に目を通していると予感が当たり、中庭の一角に幾つかの墓石のような物を見付けたのでそちらへと向かい)
あ…お墓?
(何かに気付いた相手を横目にその視線を追えばお墓らしいそれを見つけて。多分これは長谷部くんがしたのだろうと思いながらそう言って)
そうっぽいね。…日記から察するに、近侍の長谷部くんが作ったと言うよりかは亜種の長谷部くんが作った可能性が高いね。
(墓石と言ってもどう見ても素人が建てたと分かるその複数の石は中庭の中でも日陰になる部分にあり、ここは墓地かと思いながら墓を調べようとしていって)
彼なりの供養だろうね、これならみんなもきっと大丈夫だよ
(彼はこの墓を作りながらどのような気持ちだったのだろう、でもこれなら放置されるよりもずっとマシだろう。堕ちる前だとしても彼は優しい刀であったに違いないと思いながら同じように調べ始めて)
うん、そうだね。
(相手の言葉に頷くと、名前の彫られていない墓石を一つ一つ見ていき。不意にある物が目に入ったので墓石の前で足を止め、「…?」と首を傾げつつそこに置いてあった物を拾い上げていき)
嗚呼いや、十字架が落ちていたんだ。
(墓石の前に落ちていたのはネックレス状になっている十字架で、それを片手で持ちつつまじまじと見ては誰の物だろうと考えていき)
十字架?…誰のだろう?
(数珠を持っている刀剣なら分かるが、誰か十字架を持っていた人なんていただろうかと思いながらみっちゃんの手中にある十字架を眺めて)
うーん、…思い当たるのは長谷部くんぐらいかな?彼の主_黒田家の人はキリシタンだったと聞いた事があるからね。
(所々傷が付いてしまっている十字架のネックレスを見つつ上記の事を述べたものの、半ば勘で言っている様なものなので少し自信無さ気に眉を下げて笑み)
ああ…確かにそうだったね
(そういえば以前に前の主はキリストを敬っていたと言っていたなと思い出してはこくりと頷いてそれならば憶測だろうとここに落ちていてもおかしくないかと思い)
まあ、彼がその主の影響を受けているかは分からないから何とも言えないけど。
(長谷部くん自身もキリシタンかどうかは不明な為に付け足す様にそう言っては、手中の十字架に視線を遣り。拾ったは良いもののどうしようかと暫し眺め)
…取り敢えず、他には何も無さそうだね。
(十字架についてはここに置いておいても仕方がないかと思うと一応持っておく事にして、辺りを見回してから上記を述べていき)
そうみたい、時間もそろそろだろうし…帰るかい?
(ここでの収穫は十分にあり、空を見てはそろそろ日も傾いてきているし丁度いい頃合なのではないだろうかとそう言って)
そうだね、もうすぐで夕方にもなるし…それじゃあ、帰ろうか。
(自身の腕時計を見ては時間を確認し、傾き掛けている太陽をも眺めては中庭から正門の方へと向かって行こうとして)
うん
(頷き相手のあとをついて行く前にピタリと足を止めては墓石に向かい手を合わせ黙祷し。それを終えるとまた相手のあとを追いかけていって)
(正門の前に着き、光忠くんがこちらへと来た所で片方の門を開けていくと外へと出て行き。日が沈む前に東本丸に帰れそうかなと思いながら歩き出して行って)
広い本丸だったからね。探索にも時間が掛かってしまったね。
(相手の横に並んで橙色になっている夏の夕暮れを見ては上記を述べ、道を進んで行き)
うん、でも色々と知れてよかったよ。これで助けられたらいいな
(亜種である長谷部くんの過去、あの本丸であった出来事などが分かったことで自分に出来ることは少しでも増えたのではないだろうかと思い微笑んで)
そうだね。…亜種の長谷部くんの事、助けられたら良いね。
(何も情報が無かった時よりかは大丈夫なはずと思ってはいるものの、やはり言い切れない為に相手の微笑みに対して少しばかり眉下げて微笑んではそう言葉を零し)
うん、そのためにも僕ができることを精一杯して頑張らなきゃ
(自分に出来ることが今回の情報を得て増え、これで大丈夫だと思い言い聞かせ頷いて)
確かに、君の言う通りだ。今は自分達が出来る事を精一杯しないとね。
(頷く相手に微笑んでは同じく頷いて。中でも日記や手紙の手掛かりは大きな収穫だったと思えば、上手い具合に手紙の方は政府への報告の際に隠さないとと考えつつ足を進めて行き)
でも僕ら、政府の人たちが知らないようなことをしている。それに今度は、政府の敵を助けようとしている…きっと大変だろうなぁ
(今回自分たちがしようとしていることは政府に望ませていることでもないため、これを秘密裏にしながらするのは大変だろうと苦笑して)
そこは僕が上手く立ち回れるようにするよ。…結果がどうなっても、せめて君の事は守れるようにね。
(例え当日に政府の要人を助ける名目で動いたとしても、計画についての言及や亜種との関係性について色々と政府から厳しい目で見られてしまうだろうと思いつつ上記を述べ)
ふふ、ありがとう。これなら僕もできる限りのことが出来そうだ
(結果がどうなるのかなど誰も知るわけが無く、正直不安なところもあって。しかし、こうして協力してくれる相手がいる事はきっと恵まれているのだろうとそう言って)
どう致しまして、それなら良かったよ。
(お礼の言葉を述べて来る相手ににこりと微笑みを向けては上記を告げ、何があっても彼の事は庇える様にしないとと思いながら歩いていれば東本丸が見えたので「_あっ、本丸が見えて来たね」と言い)
あ、本当だ。何だかやっぱり自分の本丸が見えてくると安心するね
(しばらく歩き続け自分たちの本丸が見えてくるとそう言って笑みを浮かべて。夕方だし帰ったらすぐに夕餉かなと思いながら門をくぐって)
確かにそうだね、本丸は僕らの帰るべき場所でもあるから安心するよ。
(それにやはり自身の見知ったものは気が楽になるとも考えつつ相手の言葉に同意して頷くと、同じく東本丸の正門をくぐって行き。玄関で履物を脱いで中へと入ると〝嗚呼、二人ともお帰り。既に夕餉は出来ているから居間に行くと良いよ〟とお盆を運んでいた割烹着姿の歌仙くんがそう言って来て)
ただいま、歌仙くん。ああ、分かったよありがとう
(靴を脱ぎ先を歩いているみっちゃんのあとをついていくと歌仙くんにそう言われ、にこりと微笑み礼を述べると早速居間へと行こうと向かって)
(「オーケー、ありがとう」と歌仙くんへと感謝の言葉を述べつつ廊下を歩いて行き。そうして居間へと辿り着けば、既に夕餉の支度は揃っている状態だったので空いている席を見つけると光忠くんを手招いてそこに座ろうとしていき)
ふふ、今日も美味しそうだね
(手招かれた方へと行き座ると並べられた料理を見てそう言い。手を合わせて「いただきます」と言えば食べ始めて)
うん、美味しそうだね。
(席に座り用意されていた夕餉の数々を見ては炊事当番の人達に感謝しながら相手の言葉に頷いて。そして、「いただきます」と手を合わせて挨拶をすると箸を動かしていき)
(今日の料理もとても美味しく、さすが歌仙くんたちだなと思いながら食事をしていて。しばらくして食べ終えると「ごちそうさまでした」と手を合わせ食器を片付けようと立ち上がって)
(夏野菜が使われた涼し気な夕餉を頂いていき、綺麗に全てを食べ終えると箸を置いて「ごちそうさま」と締めの挨拶をしていき。食器を片付けた後は政府に西本丸の報告をしないとなと思いながら、お盆を持って炊事場へと向かい)
(炊事場で歌仙くんに洗い物を頼めば、執務室で主くんへと今日の事を報告していき。そのまま自室に戻ると疲労を感じつつも政府への報告書を作成していって)
(翌日、昨日は疲れていたこともあり風呂場から戻るとそのまま気を失うように寝ていたようで。布団を敷くのも忘れていたほどに疲れていたのかと畳の上で雑魚寝していたために痛む身体に眉を寄せながら誰かが掛布団を掛けてくれていたようで分からないがその相手に感謝をしつつ部屋を出て背伸びをし洗面所へと向かって
(本日が朝餉当番だったと言う事もあり普段よりも早く起きていて、小さく欠伸を零しつつも炊事場で朝餉の支度をしていき。一応昨日の内に書類作成は終わったので後で出そうと考えつつ、ふと合同演練までの日にちも残り僅かかと思えば少し表情を曇らせそうになったが、気を取り直して朝餉を作っていき)
あっ、光忠くん。おはよう。
(居間に朝餉を並べ終えたタイミングで相手が部屋へと入って来るのが見えたので、微笑みと共にひらりと手を振っていき)
おはよう、みっちゃん
(部屋へと入ると同時にみっちゃんに挨拶されて。微笑みながらで振り返すと空いている席に座って)
_そう言えば、掲示板に遠征の名札が掛けられていたから後で見に行くと良いよ。
(確か今日は相手は短時間の遠征があったはずと思っては、少々お節介だが食事後に見に行くことをお勧めし。自身も空いている席を見つけるとそこへと座っていって)
遠征?オーケー、わかったよ
(今日は遠征だと伝えられると楽しみなのか目を輝かせ。少しでも早く確認しに行きたいらしくいつもよりも早く食べ終えると「ごちそうさまでしたっ!」と元気よく手を合わせ食器を片付けたあとに見に行こうと立ち上がり片付けに行って)
(遠征に目を輝かせる相手を見て微笑ましく思っては、自身も朝餉を食べていき。暫くして食べ終えると、相手が居間を出て行こうとした直前に「遠征が入っていたらの話だけど、気を付けて行ってらっしゃい」とその言葉と共に見送れば己は食事当番ゆえにテーブルを台布巾で拭いていき)
…あっ、あった!
(掲示板を見て遠征の場所を見つけてはそこに自身の名前も載っており。遠征は確か資材とかを取ってきたりするだっけ、と思いながら準備をしに行こうと部屋へと向かい)
_お、今日は光坊と遠征か。
(廊下に出ていた掲示板を見ると、遠征の部隊_とは言え練度の関係か光坊との二人部隊に組み込まれていた為に上記の独り言を述べて楽しみに思えば足早に部屋へと戻って支度をし、玄関へと向かって行き)
(準備を終えると遠征や出陣の時の集合場所である門へと行き。そこには鶴さんの姿がありひらりと手を振っては「鶴さん、今日はよろしく頼むね」と微笑んで)
(正門にて待機をしていれば相手の姿が見えて来たので同じく手を振り返しては笑みを返していき)
よっ、光忠。俺の方こそ宜しく頼むぜ。
ええっと、じゃあ早速行こうか
(相手の言葉に微笑むと時間も決められているためそう言って遠征用のゲートへと向かっていき)
!_っと、そうだな。確か遠征先は江戸だったか。
(遠征用のゲートへと向かって行く相手を追ってはその横に並び、目的地の事を述べると江戸に繋がるゲートを潜って行き)
うん、そうだったね。それにしても…江戸で何をするんだろう?
(こくりと頷きゲートを潜るとそこは古風な屋敷が並ぶ場所で。あたり見回しながら目的がわからないためにそう言って首を傾げ)
主は江戸の町の見回りついでに資材を調達して来てくれと言っていたが、しかし普通にやってちゃあ驚きが足りないよな。小判探しに山の中にでも入るか?
(掲示板に書かれていた依頼内容を話すものの普通の結果では本丸に驚きをもたらす事が出来ないと感じては、見回りをした後に小判を探すことを試しに提案していき)
小判って確か、沢山ある方がいいんだよね?よし、その驚きに掛けてみようか
(驚きを求める彼に以前、驚きの素晴らしさを学んでいたため主くんも喜ぶだろうしこれなら一石二鳥かもと思うと頷いて)
おっ、乗ってくれるのか!光坊、君はやっぱり良い刀だな。
(こちらの提案に賛成してくれた相手にパッと嬉しげな笑みを浮かべれば、彼の肩をぽんと軽く叩いて上記を述べ。「じゃ、まずは江戸の町を見回りしてから山に行くとするか」と伝えると大層賑やかな江戸の町を歩き出そうとして)
あはは、そうかい?そう言われたら嬉しいなあ
(褒められて悪い気などせずににこりと微笑んでそう言うと、歩き出した鶴さんのあとを追いかけて)
(微笑む相手に表情和らげつつ、なるべく歩調を合わせて江戸の町を歩いて見回りをしようとしていき。さすがこの時代の中でも中心地とあってか、繁盛している店々を視界に入れては興味深そうに辺りを見ていき)
_それにしても、ここは水戸よりも活気に満ちているなぁ。面白そうな店も沢山あるぞ。
確かにそうだね、水戸も魅力的な場所だけどここはまた違うものがあって面白いね
(まず人の多さも違い、その中でもたくさんの店が並んでいて見たことのないようなものも並べられていて。ひとつひとつが珍しく興味深そうにしながらそう言って)
ああ、だからこういう場所に来ると、つい好奇心が勝って仕事をすっぽかしてしまいそうになるな。
(端から聞けば冗談には聞こえにくい事をけらりと笑って言いつつ、賑わっている呉服屋だったり甘味処を興味津々に見ながらも真面目に江戸の町中を見回りして行って)
あはは、でも鶴さんはちゃんとしてる刀だからね。
(こんなことを言っていても彼は仕事はしっかりとするタイプで、真面目に見回っている姿を隣で眺めつつ自分も見回りをして)
お、そう言ってくれるか!有難い事だな。
(このような性格をしている為かあまり言われた事の無い言葉に一瞬目を瞬かせるも、実際は嬉しい為に表情を明るくすれば笑みを零し。暫くして一通り江戸の町を見回ると「_さて、そろそろ山の方に行くとするか。資材は荷物になるから帰り際に調達で良いだろう?」と聞いていき)
うん、そうだね。じゃあ行こうか
(山の方に行くとなれば頼まれている資材などは荷物以外の何物でもないと頷いてそう言い歩き出し)
(少ししか江戸の街から離れていないのにこちらはやはり山という事もあって静かで。たくさんの驚きを持ち帰ってやろうと思いながら山道の入口を入っていき)
(山の中に入ると打って変わって辺りは静かで、草木を踏み締める音を聞きつつ進んで行って。そして遠征に来る前に小判を取って来るのが上手い三日月から聞いた事を話していき)
三日月が言うには如何やら小判は落ちているものらしいが、…そんな気配は無さそうだがなぁ。
小判が落ちているだなんて、そんなことがあるのかい?
(小判はまだ大阪城の地下で千両箱に入れられたのを見たことしかないためにそう不思議そうに目を瞬かせながら足元にないか見つめ)
個人的には三日月の語弊だと思うんだが、まあ探す事に越した事は無いな。
(三日月の言い方が正しくなかったなど結論付けるのにはまだ早いので、きょろきょろと辺りに視線を遣りつつ山中を探索していき)
うん、そうだね
(梅雨は過ぎたため雨が降る心配はないだろうがこの暑さはきついなと山道を歩いていたために滲む汗を拭いながら歩いていて)
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