付喪神 2016-04-23 15:27:08 |
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…中には手帳?…あ、いや日記が入っていたよ。
(引き出しを開けると青紫色と赤紫色の手帳のような物が二冊入っており、その中身をパラパラと捲って確認してみれば内容は日記だったので相手にも見せていき)
本当だ、この人はマメだったのかな?一日の内容がしっかりと書き込まれてる…
(日記を渡されそれを読んでいくといつでもその日々が思い出せるようになのか事細かに書き綴られていて。中には短刀にいたずらされた事を書かれていたりと何気ない日々を彼らなりに過ごしていたのだろうかと思って)
裏面に名前が書いてあるね。この日記を書いたのは西本丸の長谷部くんか。
(赤紫色の方の裏面を見ればへし切長谷部と書かれていたので、やっぱりここの本丸の近侍は彼のままだったかと思い。青紫色の日記は二年前の日付を最後に使い切られていて、試しに相手に渡してないこの赤紫色の方の日記の一ページ目を捲ると日付が続いていたので、日付が近そうなのは赤紫色の方かと思えば何か分かることがあるかもしれないと、一枚一枚捲っていこうとしていき)
長谷部くんのだったんだ…こういう所は本家と同じなんだね
(あの大胆な行動をとる彼もどこか几帳面な所があるんだなと思いながら続きを読んでいき。遠征や出陣であったことなどが書かれていて)
?…あ、ごめん。そう言えば教えてなかったね。この日記を書いた近侍の長谷部くんは亜種の彼ではないよ。ここの西本丸は昔から本家の長谷部くんが近侍をしていたんだ。
(自身の言葉の足りなささで相違に解釈の違いが生まれていることに気付けば、直ぐに訂正していき)
え、そうなのかい?
(勘違いしていた事に目を瞬かせるとそう言って。しかし、亜種でなくともこうなった理由はどこかに書かれているかもしれないと自身の持っていた日記を机の上に置くとほかの場所を探し始めて)
うん。…まあ、その西本丸の近侍の長谷部くんが前に変わった二振り目の自分が来た事を言っていたのを思い出したから、もしかしてと思って今日ここに来た訳なんだけどね。
(前に自身が目星が付いていると言った理由についてさらりと述べつつ、赤紫色の日記を捲っていき。ちょうど今から半年前のところのページで手を止めていって)
へぇ…なるほどね。じゃあここに何らかの情報があるはずだ
(相手の言葉によればここに元々は亜種の彼もいたということのようで、なにか掴めたらいいけどと思いながら隣へと行きその日記を隣から読もうとして)
…日記によると、亜種の長谷部くんは半年前に来たようだよ。
(隣に来た相手に気付けば、彼が読みやすいような持ち方に変えつつ半年前のページの日記を見ていき)
――
12月29日 快晴
『本日は主が鍛刀をすると仰っていたので近侍として同行をさせて頂いたのだが、顕現したのは二振り目のへし切長谷部だった。俺が二人も居ると言うのは妙なものだったが、更に妙だったのは二振り目のへし切長谷部は主命は果たさないと開口一番に言い切ったのだ。無礼な振る舞いに俺は奴を斬り掛けたが、主が面白い刀だと気に入ってしまった為に何とか寸での所で踏み止まった。さすが主、懐の広いお方だ。結果的にこれから先の奴の世話係を任されてしまったのだが、俺は主命とあらばどんな命でも遣り遂げる。むしろ不真面目な二振り目を鍛え直してやろう』
(彼も自分と同じ様に鍛刀でこの本丸に顕現し、本来ならばその場で近侍の長谷部くんに斬られていたかもしれないところをここの主くんが面白いという理由で引き止め迎え入れたというところからは、この頃はまだ亜種のことをあまり知られていないにも関わらずそのような事をした主くんが悪いような人とは考えられず。しかし決め付けるのは早いだろうと続くページに目を移し)
12月30日 曇り
『どうやらこんのすけから聞くに昨日の二振り目は亜種と呼ばれる部類に入るらしい。だから俺なのに俺ではない性格だったのか。非常に癪だが紛らわしいので奴の事は今後“へし切”と記載していく事にする』
12月31日 快晴
『へし切が内番をサボりそうになったので首根っこを捕まえて共に畑仕事をした。一度始めると最後までやり遂げる所は奴の良い所だ。但し主命を拒否するのは頂けないな。_追記、最近資材の減りが早い。何故だろうか?無駄遣いはしていないのだが』
…長谷部くん、何かもうまくしてたみたいだね。でもこの資源の減りってなんだろう?
(自分と同じように近侍の長谷部くんを中心に何かとうまくいっていたことが分かれば安心し。しかしその後に書かれた追記にどのような意味があるのか分からずに首を傾げ)
この日記を見る限りそのようだね。…うーん、資材の減りは一体なんだろうね?日数が進めば分かるかな?
(亜種でも上手くいっていた事を日記の文章から悟り。だが、追記の部分については分からない為に同じく首を傾げつつもページを捲っていき)
――
1月1日 大雪
『謹賀新年、初夢は主から主命を頂くものであった。縁起が良いとへし切に言ったら、奴は茄子の方が縁起が良いと言っていたな。後で主命を頂く事がどれだけ素晴らしい事なのかを語ってやろう』
1月4日 吹雪
『いつの間にか資材が底を尽きていた。主の方針で、常日頃から手入れ部屋や刀装作りもあまり使わないようにしていたのだが不思議だ。今度機会があれば主に尋ねてみるか』
1月6日 大雪
『資材について主に尋ねてみた所、欲しい刀がいるそうで夜な夜な鍛刀をしているらしい。俺に言わなかったのは近侍の負担をこれ以上増やしたくなかったとの事だ。主は本当にお優しいお方だ。へし切が怪訝そうな顔をして〝だが本丸の刀は増えていない。鍛刀した刀は何処に行った?それに錬結した様子も刀解した様子も無いだろう〟と聞いて来たが、それはへし切の気のせいだと思った為に「お前は心配性だな」と笑って特に気に留めずに流した』
(日記から分かったことは資源は日を重ねると共に減っていること、そしてその理由は主くんが夜な夜な鍛刀をしていたから。しかし何かに少しずつ疑問を抱き出した長谷部くんは何かに気付いたのだろうかと思い)
1月8日 雷雨
『へし切がとんでも無い事を言って来た。この目で見たと言われたが、俺はそれを嘘だと思い一蹴した。せっかく最悪だった第一印象から見直していた所だったのだが、よりにもよって主の事を悪く言う嘘を吐くとは。やはり俺は亜種の彼奴とは相容れないようだ』
1月10日 曇り
『俺は今日から遠征に行かなければならない。留守の間は主の事が心配だ。周りの仲間が亜種の彼奴の嘘を信じない事を祈るばかりだ。主が夜な夜な鍛刀していた刀をその手で殺して折っていたなど俺は信じない』
っ…?!
(亜種の長谷部くんが見たことがもし事実だったとしたなら自分たち刀剣からすると、とても恐ろしいもので。理由は望む刀剣が出ない腹いせになのか分からないがぞっとする話だと息が詰まり)
1月13日 雨
『遠征から帰って来て主の無事なお姿を拝見して安心したが、何やら本丸の雰囲気がおかしい。俺が疑問に思っていると仲間の薬研が〝へし切の旦那から話を聞いた。それを確かめたんだが、如何やら本当だったぜ。ほら、大将はずっと俺達に立ち入り禁止だと言っていた部屋があっただろう?そこで大将は夜な夜な顕現した刀を折っていたんだ。…倉庫で刀だった残骸も見つけた。短刀三十一本、脇差十五本、打刀二十二本、太刀十八本、大太刀二本だ。…これを人間の命に換算すると一人分では補えないな〟と眉を顰めて鉄屑の散乱した倉庫の中を見せて来たが、俺はそれでも信じなかった。へし切に〝何故主に拘るんだ?目を覚ませ〟などと言われたが覚ましたくない、盲目でいたい。このまま主に仕えられるのなら俺は盲目のままで良い』
1月14日 大雨
『〝思えばあの審神者は前々から手入れだって重症手前になるまで放置、無理な進軍をよくさせていた〟などと火が点いたのか主に対する仲間の鬱憤が居間で溢れていた。俺はそいつらを黙らせたが、相変わらず本丸には神経質な空気が漂っている。あの後へし切に〝俺の事を信じてくれ〟と言われたものの「俺は数週間のお前より数年間いた主の方を信じる」と突き放せば、相手は悲しそうな表情を見せていた。だが、そもそも亜種のお前が来なければこんな事にはならなかったんだ。お前が、貴様さえ居なければ』
…
(顕現したばかりで、しかも自分たちを喚び出した主の手で折られていく刀たちは主に嫉みなどを抱いたまま消えていったのだろうか、どのような気持ちだったのだろうかと思うと胸が締め付けられるようで。盲目のまま主を信じ続けたい近侍の長谷部くんとすべてを知ってしまったみんなとの間にいたのは恐らく亜種の長谷部くんだったのだろうと思いながら眉を寄せ)
1月16日 雷雨
『膠着状態だ、何もかも』
1月21日 大雨
『己の主を信じる事の何が悪いんだ?』
1月24日 雷雨
『味方などいない。主以外は俺の敵だ。主に仇なす敵は斬る、例え元仲間であろうとも』
1月25日 雷雨
『主への謀反を企てていた刀達を斬り捨てた、薬研も含めて。中には命乞いをして来た奴もいたが構わずに折った。主の命を奪おうとしたんだ、それ相応の報いを受けるのは当然だろう?_それにしても体が鉄臭い、重い。ただの武器の刀に戻った気分だ。ただあの時は何も感じ無くて楽だったのだが今は』
1月26日 大雨
『夜戦から戻って来た奴等に折った刀の事を問い詰められたが「主を裏切ろうとしたからだ」とだけ答えた。嘘は一つも言っていないのだが、奴等は唖然としていた。へし切が何か悲痛そうな顔で訴えて来たが、俺にはその言葉は聞こえなかった』
(結局近侍の長谷部くんは盲目のまま、謀反を企てた仲間達をその手で斬った。恐らく彼はもう何が正しくて悪いのか、それすらも分からなくなったのだろう。ただ主を守りたいだけ、それだけを信念に折った。ここからこの本丸の関係性は悪くなっていったのだろうと思い)
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