我が主 2016-04-04 06:40:11 |
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時代は18世紀中盤、マツヨ・ヴィクトリア女王陛下が陽の沈まぬ国、イギリスを支配していた頃の話。
───なあ、知ってるか? 女王陛下が六つ子をお産みになったらしい
その昔、民から民へと密かに流れた噂話を耳にした少女は、両親の亡き後、その噂をかき集めた。
英雄と謳われ、濡れ衣を着せられた赤の軍人を、少女は使用人長として迎え入れた。
その英雄に酷似し、反逆罪を受けた青の俳優を、
少女は料理長として迎え入れた。
裕福な貴族の養子でありながら、墜ちた緑の奴隷を、少女は執事として迎え入れた。
日の届かぬ暗闇に身を潜め、命を狙う紫の暗殺者を、少女は従者として迎え入れた。
喜劇で民を喜ばせ、影で奴隷売買をしていた黄の道化師を、少女は庭師として迎え入れた。
愛らしい容姿から、女であることを強要された桃の令嬢を、少女は家女中として迎え入れた。
噂の燐片をかき集めた少女が狙うのはただ一つ。
───イギリスの頂点、女王の座席
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