主* 2016-03-26 00:30:34 |
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( 翌日、昨日の事を考えていたばかりに寝不足気味で。完璧に主命を熟してはいるものの、何処か上の空だった為に、宗三に"燭台切と同じ任務ではないからですか?"と嫌味を言われたが軽くあしらい。本日何度目かの溜め息をついていって。改めて昨日の事について考え、スキ?キライ?かと問われれば、当然燭台切の事は前者に当て嵌まるのだが…と再び思考の沼に陥りそうになっていた所、相手が編成に組まれていた第一部隊が見えたので顔を合わせるのは気まずいが無事な姿だけでも見ておこうと思ったものの、そこに燭台切の姿は無く。思わず比較的無傷だった隊員の薬研に尋ね「薬研、燭台切はどうした?…手入れ部屋?…分かった、教えてくれて感謝する」と別れればそこへと向かい。しかし先程の第一部隊の有り様を見ていた為に不安気味に呟いて )
……まさか、重傷ではないよな。
(/遅くなってしまい済みません…!)
…っ、……ごめんね主。もう少しで敵陣に乗り込めたのに僕のせいで…。
( 手入部屋に着けば審神者の手に持つ打粉で一番傷付いた腹部を中心にポンポンと優しく叩かれて居るも、やはり傷口に滲みる(?)のか時折顔が苦痛に歪んで耐えており。手入れされながら一回の出陣は賽の目も良く順調に勝ち進めていたのも束の間、ボスの手前で運悪く検非違使が出現してしまっては隊長の鶴丸が偵察をするも此方の形勢不利となり、一体ずつ確実に狙いを定めて倒していったものの己は機動力がそれほど高くないゆえ敵槍に集中攻撃を食らった為今に至り。思い返すと仲間の足を引っ張った挙げ句、任務を果たせなかった事実に顔を下に向いて落ち込んだ様子を露にしながら申し訳無さそうな声色で言葉を吐いていき )
(/ い、いえいえ、大丈夫です…! 下がっていたので見つけ易いように上げてみたのですが…急がせたみたいで此方こそ済みません… )
燭台ぎ──っ、…主。失礼致しました、手入れの作業中でしたか。
( 手入れ部屋に来るや否、まさか主がいるとは知らずに無意識的に焦って襖を強く開けてしまった為に頭を下げていき。横目で燭台切の容体を一瞥してその酷さに一瞬息を詰まらせ眉を顰めたものの、主がいる手前部屋から下がろうとそのまま踵を返そうとしたが寸前で主に声を掛けられて止められ。「…仕事ですか?ええ、はい書庫の整理は今しがた終えた所です。え…燭台切の手入れを代わって欲しい、ですか?…主命とあらば、お任せ下さい」何やら主は手放せない用事がこの後にあるらしく、手入れの代理を任された為に内心複雑ながらも表では頷き打ち粉を受け取って、主が出て行くのを見送れば燭台切の方に向き直り )
……という訳で主命だ。俺が今からお前の手入れをする。文句は言うなよ。
(/いえいえ…!遅れたのは事実なのでお気になさらないで下さい…!)
…はは、主は優しい──っ、は、長谷部くん…!?
( ずっと俯いた状態で役に立てなかった己の頭をポンポンと撫でながら主に"気にしないで下さい"と優しげな声音で言われればゆっくりと顔を上げて、小さく笑みを浮かべつつ思った事を告げようと口を開き言葉の途中でいきなり襖を強く開けられた音が聞こえ。ビクッと肩震わせ何かあったのかと其方に視線を向ければ、一瞬息を飲んで目を見開くと驚いた声を発してしまい。瞳に映った人物は想い人の彼であり無様な姿を見られたくなった事も相俟って、此方も内心複雑な気持ちを抱きつつそんな事も知らず己を置いて話を進める二人の会話に耳を傾け、どうやら主はこの後用事があるそうで手入れの代理を彼に任せるとその場から出て行く間際に「あ、主…手入れしてくれてありがとう」と感謝の言葉を述べて見送れば、彼の方を見遣ると困り顔で本音を呟き )
…文句は言わないけど出来る事なら、こんな格好悪い姿を君に見られたくなったなあ。
(/ は、はい…! ではでは背後は失礼致しますねっ )
そんなことを言っている場合か?こっちがどれだけ……っ、とにかく怪我を治療する。燭台切、失礼するぞ。
( こんな時にまで見て呉れを気にしている相手に思わず自分がどれだけ心配したかを勢いで言い掛けたが、怪我人に詰め寄る前に怪我の治療が先だとぐっとその言葉を飲み込んでは。内心でボロボロの相手に心を痛めつつも、彼の燕尾服を引っ張って、改めて治療の為に腹部辺りの服を捲り上げ。打ち粉で手付きのみは優しく患部を叩いていこうとし )
……!ごめん、お願いするよ。
( こんな見苦しい姿は誰にも見せたくないのと、想い人である彼に無様な自分を晒してもしも嫌われてしまったらと思えば多分立ち直る事すら不可能に近く言葉に出さず。珍しく少し感情的になった姿を目にすれば、心配してくれていた事を様子から察すると何も言えなくなり怪我の治療を頼み。少しでも治療がし易いよう代わりに巻き上げた服を持ち、正座したまま大人しくしていて )
……所で、酷い怪我だが何があったんだ?
( 丁寧に打ち粉で傷を治していくが、やはり重症な事には変わらず見れば見るほど酷い怪我で。思わず何があったのかと問い掛けていき。もしこの怪我が相手の無茶であったのなら今後彼が死ぬ可能性が高い訳で。この本丸にはお守りは無い、故に死んだら二度は会えない、二降り目など彼であって彼ではない。大怪我をしている相手の前だからか、そんな嫌な思考ばかりがループして少し打ち粉を持つ手が強くなり )
敵陣の手前で検非違使が出現したから皆で応戦したんだ。…だけど倶利ちゃんが敵槍の攻撃を受けて、僕が彼を庇おうとしたら敵の攻撃を防げなくてその時に受けた傷だよ。
( 怪我の治療が行われている最中にやはり己が負傷している為、聞かれるであろう質問に対して出陣の事を思い返しつつ神出鬼没な検非違使が目の前に現れて一体ずつ倒していくが、大倶利伽羅が敵槍の一撃を受けて軽傷になった姿を目の当たりにした己が敵から庇うように警戒しながら前に出て構えをとって。しかし敵槍の攻撃を防ぎきる事など機動力を考えれば一目瞭然で、己より幾つか早い動きの敵に遅れをとってしまって腹部を抉られるような一撃を食らい。その後も何とか体勢を整えて応戦するものの、もう一撃食らうはめとなった事などその時の状況を詳しく説明していくも目線は下に落として )
っ、庇った?…お前は少しは自分の事を大切にしろ。本当に死んでいたら如何するんだ…!
( 庇ったと言う事実を知って、いつもこちらには無理をしてはいけないと制して来る癖にと八つ当たり気味に思いながらも、兎に角その行為は褒めたものでは無いと言うように冷静さを欠いて手中の打ち粉を落としては相手の裂けた襟元のシャツを掴んでいき。そして、心配のあまり自分らしからぬ感情を露呈させると上記を告げていって )
……。
( 襟元のシャツを掴まれた事により顔が上に向いて、若干彼を見下ろすように目と目が合い。ここまで心配を掛けたのは自分の判断ミスが招いた結果という事は分かっているも、仲間を見捨てる等出来る筈もなく、ここで言い訳染みた事を言えば余計に彼を憤慨させるだけだと思い目を伏せて黙りしてしまって )
ッ、何も責める為に言っている訳ではない。…俺は──。
( 目を伏せて黙り込んでしまった相手に一度罰の悪そうな顔をしたが、彼が人一倍他人に気を遣う性格だと言う事は知っている。それほどまでに己は普段から相手の事を見ていたのだから。しかし、そうは言ってもそれで死んでしまっては悔いるどころではない。単純明快に言えばいつかその性格で相手が死ぬのが怖いのである。幸か不幸か、今回の一件で益々その可能性が色濃く出てしまった。烏滸がましい事だとは思うがそんな事を起こさせない為にも、今この時ぐらいは素直さを持って昨日の相手への気持ちにこちらも本心で答えるべく、おもむろに立ち膝に変えてはシャツから手を離して彼の両頬をぐっと掴んでこちらへと視線を向かせ。心なしか揺らぐこの藤色の瞳の奥に、ハッキリとした意志の強さを見せては一呼吸置き )
燭台切…、俺はお前の事が好きなんだ。だから、お前に死んでは欲しくない。
(/事前連絡も入れずに遅くなってしまって済みません…!仕事で立て込んでおりまして…。お返事は置かせて頂きましたが、まだいらっしゃいましたら本当に勝手な事ですが引き続きお相手をお願いしたい所存です…)
~~~っ。
( 一気に間近となった彼の顔から伝わるハッキリとした意思の強さを見て、改めて告白の返答を聞くとじわじわと声にならない程の嬉しさが込み上げてくる。今無性に彼を抱き締めたい衝動に駆られては欲望を抑えきれず、両頬を掴む手を退かすとそのまま勢いよく抱き締めた事により押し倒す形になるも、気にした様子も無く弾んだ声で言い )
嬉しいよ、長谷部くんが僕の事好きだって言ってくれて。…君の為にもこれからは自分の事は大切にするね。
(/ いえいえ、お忙しいのにお返事を返して頂けているだけですごく嬉しいのであなた様のペースで構いませんよ!私は暇人なものでして…、此方こそ引き続きお相手をお願い致します! )
っ!?
( 想いを告げた後に返答の言葉を待っていれば返って来たのは言葉ではなく直球的な行動で、近さもあってか反応出来ずにそのまま抱き着かれて後ろへと倒れ込むとそのいきなりの相手の抱擁に目を瞬かせては、状況を理解すれば僅かに顔を赤くさせ。直ぐに距離を取ろうと彼の両肩を押し返そうと思ったが、相手から返された言葉は当然ながら自身には嬉しい事だった為にさすがに体は起こしつつも、おずおずとその背に手を回して一度だけ軽く抱き返していき )
あ、嗚呼…そうしてくれ。絶対に死ぬなよ。
(/お優しいお言葉をありがとうございます…!もし今度日を置く場合は事前連絡を致します。ではでは背後は失礼させて頂きます…!)
うん、約束する。…長谷部くんを悲しませたりしないから。
( 優しく抱き締めたままその肩にちょこんと顎を乗せ、今回の一件を機にあまり無茶な行動はしない為にも上記を述べれば次また同じような結末になった時、目の前の彼の悲しむ姿など見たくはない。内心でそう思えば瞼を閉じて言葉を紡いでいき。背中に回した手を解いておもむろに彼から離れては、藤色の瞳を見つめてほんのりと頬を染めつつ直球に聞き )
…キス、してもいいかな?
…分かった、その言葉を信じよう。
( 相手からの返事に何処か満足気に頷いてはおもむろに離れた体温に名残惜しく感じたものの、ふと治療の途中だった事に気付いて早く彼の傷を治そうと落とした打ち粉を拾おうとしたが、相手に見つめられればその様な己の行動など後回しになり。そして言われた事があまりにも直球だった為に、不可抗力で僅かに耳を赤くさせて。何処ぞの白い鶴のように相手には驚かされっぱなしだと考えつつも、しかし本心では嫌でないため照れ隠しで少し顔は逸らしながらも視線だけは横目に相手を見て、静かに一言のみを告げていき )
っ…、お前に言われて断るわけが無いだろう。
ありがとう。
( 彼の返事に左目を細めて嬉しそうな声色でお礼の言葉を告げれば、両頬を優しく包み込むように手を添えると此方へと視線を向かせ。徐々に顔を近付けて自然と首を右に傾けつつ、目を閉じては唇に触れるだけのキスを落とし。いとおしげな眼差しを向けて、指先で頬を撫でながら治療の途中だった事すら忘れて愛の言葉を囁き )
長谷部くん、大好きだよ。
……っ。
( 途中まで瞳を開けていたが、さすがに好いている者と顔が至近距離になれば耐え切れず此方も目を瞑る形になり。柔い感触に、意図せず幸せの象徴である桜が己の背に舞い。また、口付けの後に贈られた囁きは嬉しいのだが、この伊達男めと自分ばかりが照れている現状に悔しそうに内心で思っては、徐に膝立ちになると少し上から相手の顔を見下ろしその顎をくいと持ち上げて。唇を奪い返すように此方からも触れるだけの口付けを相手にすれば、心なしか満足気な笑みを浮かべ。改めて本音を告げていき )
…嗚呼、俺もお前の事を一等好いている。
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