主* 2016-03-26 00:30:34 |
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それなら良かった。待たせるのは格好悪いからね。
( 少し乱れた呼吸を整えさせて落ち着き取り戻しながら、如何やら相手を待たせてはいない事が分かると安堵の表情を見せ。初の二人きりのお出掛けデートで、あまり彼の前では格好が付かないところは見せられないのかいつもの調子で上記を口にし。本丸の門へと近付いて戸を押して開ければ、相手の方にくるりと燕尾服を翻して向き直ると笑顔で下記を述べ )
――それじゃあ、行こうか。
( 格好悪いと述べる相手に律儀な奴だと思いながらも、その安堵の表情を見れば思わず此方も頰が緩みそうなり。しかし、初めからこのような調子で如何すると自身に気を入れ直しては相手の外へと促す言葉に頷いて下記を言い、本丸の門を潜って行って )
嗚呼、行くとするか。
( 先に門の外へ潜って行ったのを確認するかのように自身も後に続いて追い掛け、相手の隣に並んで歩き。初夏に差し掛かった時期は日差しが強く気温は高いものの、穏やかに吹く風で涼しく感じて髪を靡かせながら世間話を振って )
今日は良い天気だね。こういう日はすごく気持ちが良いよ。
( 景色もすっかり緑になった時期の中、今の見頃は藤の花や杜若などかと考えながら相手の隣に並んで畦道を歩いて行き。その最中、天気の事を振られると頷いてそちらを見て )
そうだな、天気が良い上に風も心地良い。こうして出掛けるのにはうってつけの日だ。
( 二人きりで畦道を並んで歩きながら自然豊かな景色を見るのは、普段何気無く通る道でも彼と一緒だからかまた違って見え。天気良好で休日に恋人と出掛ける嬉しさを表情に滲ませ、以前主くんに教わった単語を口にしてはこちらもちらりと相手を見て )
こうして長谷部くんと一緒に出掛ける事ってあまり無かったよね。…主くんがね、恋人同士で出掛けるのはデートなんだって教えてくれたんだ。
確かに言われてみればそうだな。
( 出掛ける事があまり無かったと言われれば休みの日が被らなかっただとか、己が休みよりも主命の方を優先していたなど色々と思い当たる節があった為に、そんな過去の事を思い出して納得し。ふと聞き慣れない単語を述べて来た相手に一瞬だけ瞳を瞬かせては、改めてこの状況を意識しつつも表では普段と同じく主に感謝をし )
…ふむ、デートか。要するに逢引きと同じ言葉だな。主も洒落た言葉を教えて下さる。
あの時はよく外出のお誘いをしても断れていたな。でも今は、こうやって君と出掛ける事が出来て嬉しいよ。
( 同じく過去の事を思い出すと相手への恋心が芽生え始めた頃で、当初は己の一方的な片想いで散々彼を困らせた事もあり内心苦笑を零して。あの過去があるからこそ、今の僕達が居るのだとポジティブに考えては微笑み。普段通りの反応を見せるも少しはこの状況を意識してくれたかなと思い、正面に視線を戻して頷くと現世の事を知るのは楽しいようで )
そうだよね。現世の言葉とか知るのって結構面白いんだよ。
嗚呼、その節は済まない。…だが、俺の方もこうしてお前と出掛けるのは悪くないな。
( 相手の微笑みを見ればつい釣られて小さくも柔く笑み、主命ばかりを優先していたあの頃は今思うと大分無茶をしていたと考えられ、出掛けるやら息抜きやらと声を掛けて来ていた相手の存在は改めて有難いものだったと思えば、素直な言葉を告げ。そのまま歩いて行きながら主がよく口にする現世の言葉などを脳裏に浮かべていき )
そうなのか、中には発音が難しいのもあるが。
ううん、大丈夫。これから休日は一緒に出掛けようか。偶には息抜きも必要だろう?
( 過去は過去、今は今と割り切った考え方をしておりゆるりと首を振り、時々素直さ表す彼に頬が緩むも其方に視線向けてお互い休みの日が合えばと提案をし。前方を向いたまま道なりに進みつつ相手の言う通り、現世の言葉は何かと横文字が多く発音の練習を主くんとした記憶を思い出せば苦笑を零して指先で頬掻くと言葉を濁し。緩やかな曲がり角を曲がって町を目指して行き )
あー……うん。確かに難しいのもあるけれど、主くんが丁寧に教えてくれるよ。僕の場合はアレだったけどね……。
まあ、お前と偶にならな。
( 敢えて相手とと言う部分を強調して言えば、他人とならば偶にであっても行かないと言う事を本心の裏に滲ませては、ふっと笑って承諾し。何やら相手が歯切れの悪そうに返答するのを聞けば首傾げつつ、歩む足は止めずにいて )
主が丁寧に教えて下さるのであれば苦ではないが……アレだったとは何だ?
ありがとう。長谷部くん大好き!
( 承諾の言葉を貰えると、嬉し気ににこにこと笑みを浮かべれば上記を。自身の歯切れ悪い返答に矢張り気になるもので質問を投げ掛けられ、正直酷い有り様だった為に言うのを躊躇えば前方に町が見えてくると無意識で相手の手を引いて行って )
……彼を困らせたと言うか…。――あ、町が見えてきたよ。
_!?
( 直球的な表現にやや唖然としては、遅れて来た羞恥混じった嬉色の熱で少し顔を赤らめると見られる前に手を当てて俯いて「はぁ…これだから此奴は」と呟けば、無自覚気味の横の相手を小突きたくなったものの彼の笑みを見てしまうと惚れた弱みで出来なくなり結局せず。_その後、問い掛けについてはぐらかされればそれ以上追求しないでいると、おもむろに手を引かれた為に内心では驚いたが、見えて来た街に視線を遣り )
それはどう言う――……まあ、良い。ようやく見えて来たか。
…ごめん、君の前で僕の格好悪い話は言えない。
( 自身が内容をはぐらかしたゆえ追求してこない相手に内心申し訳無く、若干俯きがちにぼそりと小声でそう言い。何事も無かったかのように視線を上げて歩む足の速度は変わらず、彼の手を引いている事に気付く素振りを見せないまま町に辿り着くと、活気溢れる人々の賑わう声が聞こえ全体を見渡し )
ふふ、此処はいつ来ても賑わっているね。
( 小声が耳に入れば自身の前でぐらい格好付けなくても良いものをと思うが、俯きがちの相手を見ると相当聞かれたくない事なのだろうと予想出来たので、矢張りこちらも何も言わずにいて。こうして町へと来たは良いもののまだ手は繋がれており、さすがに周りの視線がある為に相手へと眉下げて声を掛け )
嗚呼、賑わっているな。―…燭台切、唐突で済まないがこの手を離してくれると有り難いんだが…。
え?…あ、ご、ごめん!
( 一部の女性客達がざわざわとこちらを見て何やら話しており、さすがに内容までは聞き取る事が出来ず相手とは対照的に周りの視線など気にした様子は見られず。不意に掛けられた言葉に一瞬きょとんとするも手元へと視線を下ろし、瞳に映る光景に少し頬を赤らめながら慌ててパッと手を離して )
…人の居ない所でなら幾らでも手を繋いでやる。
( 騒つく周囲に少々鬱陶しげな視線を送りつつも、これが主や仲間の前であったら羞恥で折れたくなっていた所だったなと思ってはいたものの、相手と手を繋ぐこと自体はむしろ己にとっては嬉しい部類に入る方なので、慌てて手を離した相手の手首を一度掴んでは彼に聞こえるだけの声量で上記を述べ。言い終えると手首を離して行き先を尋ねていき )
――それでだが、例の新しい甘味屋とは何処にあるんだ?
うん。―…嗚呼、甘味屋はこっちだよ。着いて来て。
( 引っ込めたはずの手首をガシッと掴まれると驚いたものの、自身だけに向けた言葉が耳に入れば嬉しそうに照れた笑みを浮かべつつ小さく頷いて見せ。新しく開店した甘味屋の道案内をするべく、前方に視線を向けて先を歩き始めて )
嗚呼、宜しく頼む。
( こくりと頷けば、新しく出来た甘味屋へと案内をしてくれる相手に着いて行き。周りの賑わっている町の様子を横目に入れつつ、随分と活気付いているなと思いながら足を動かしていって )
( 少々砂の混じった地面を歩きながら甘味屋までの距離はそう遠くなく、左側の赤い橋を渡って行くと縁台に掛ける緋毛氈と番傘が見えて来て。看板メニューの前で立ち止まり、新しく出来た事もあり御客はそこそこの人数で相手の方に視線向けて下記を述べ。看板の方へと再び視線を戻して注文する品を首傾けつつ悩んでいて )
此処だよ。御客さんも結構居るみたいだね。…うーん、何れにしようかなぁ。
( 相手に着いていけば見えて来たのは風情のある甘味屋で。新装開店と言うこともあってか、繁盛している様子を眺めていると、不意に相手が立ち止まったのでこちらも足を止め。どうやらメニューが書かれた看板を見る為らしく、相手の言葉を聞きながら自身も注文したい甘味を決めようと見ていき )
クリームぜんざいやら宇治抹茶パフェやら色々とあるんだな。…俺はあんみつを頼む予定だが、燭台切は決まったか?
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