赤目 二世 2016-03-25 21:15:30 |
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( 雪が降っていた。冬のある日の事だ、今でもよく覚えている。校外模試があって、試験会場でオレの後ろの席だった彼に声を掛けられたのが全ての始まりだった。あっ、消しゴムない!なんて声が聞こえたかと思ったら、妙に顔をほころばせて「消しゴム貸して」なんて言って来た時点でかなり胡散臭かったように思う。消しゴムを二つ持っていてよかっただとか、そんな大事なものを忘れるなんて一体何しに来たんだとか、思う事はあったけど積極的に関わるつもりはなかったので口を噤んで前を向いた。だけど試験が始まってすぐに聞こえてきたのはすやすやと規則的なリズムを刻む寝息。音の出どころは確実に背後で、本当にこいつは何をしに来たんだ、とまた思った。多分、彼は最初から試験を受けるつもりなどなかったのだ。)
…何だコレ。
( 一つ目の科目終了後、後ろの席の男に声を掛けられ連れて来られたのは自販機前。友達でも何でもないのにどうして付き合わされなきゃいけないのかと思いながらぼうっとあいつがコーラのボタンを押したのを見ていた。すると、はい、なんて言って差し出された赤い缶のそれ。オレは瞬時に状況を理解できず、彼の手に握られた清涼飲料水を見つめ無愛想に上記の言葉を漏らし。)
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