髭 × 膝 *刀剣也

ただいま戻ってきたぞ。兄者への土産もばっちりだ（部隊として遠征から帰ってきて多くの資材を主である審神者へと手渡し報告すると土産を持ち早速慕ってやまない兄の姿を探し出して）


（/ありがとうございます！特に不備などありませんのでこれからもどうぞよろしくお願いいたします…！）

…んん？(うとうとと微睡みかけていたその時、ぼんやりと特徴のある足音を聞けばすぐに弟だと気づき、ゆっくりと起き上がると「んー」などと声を上げ猫がするようにゆっくりと体を伸ばし)

兄者！ここに居たのか。（探し回るもののすぐには見つからずにまあ兄者はあの性格、何処かでのんびりと過ごしているのだろうと予想していたのは正解だったようで兄の姿を見つけては駆け寄っていき）

お帰り、肘丸(寝起きのためかぼんやりとした頭で彼の間違った名前を呟く。乱れた服を直しながら「うたた寝をしてしまったよ」とのろのろとした口調で話し)

兄者、俺の名前は違うぞ！膝丸だ！（いつもの調子だがやはり名を間違えられるのは悔しいようでそう訂正すると隣へ座り「土産を買ってきたぞ」と饅頭の入った箱を手渡し）

あはは、そうだったかなぁ。…おお、わざわざ僕のために？(名前についてはぐらかすと目の前に手渡され小さな箱に目を輝かせ、きょとんと首を傾げてみせ)

ああ、兄者なら気に入ると思ってな。帰り道に他の者が万屋に寄りたいというものだからそこで買ってきた（帰りに寄った万屋で試食した饅頭はとても美味く兄弟である髭切ならきっと気に入るだろうと買ってきたがやはり目を輝かせる様子から見て当たりだったと思いつつそう言い）

ふふ、ありがとう。甘いものは好きなんだ(この肉体を得てからというもの、自身はすっかり甘味の虜になってしまった。にっこりと笑うと「何ならお前も一緒に食べようか」とふと浮かんだ考えを口にしてみて)

兄者が嬉しそうでよかった。ならば言葉に甘えていただくとしようか（嬉しそうな兄を見て微笑み、嬉しいことなどを共有する事は人の身を得てから分かったことでこくりと頷き）

…うん、美味しいねぇ。お前の選んできてくれたものだから余計に。(ゆっくりと箱を開け、饅頭を口にすれば美味しいと一言。くすくすと笑みを零し、ぽつりと上記を述べ)

そ…そんなことを言っても、もう何も出ないぞ兄者！（饅頭をひとつ手にとり美味しそうに食べる兄を見ては気恥ずかしそうにしながらそう言ってひとくち齧るとやはり美味いようで頬を緩ませ）

本当のことを言ったまでだよ。…お前がそんな顔をするなんて、余程これが美味しいんだねぇ。(普段は自分にしか見せない緩んだ彼の表情を見つめ、こちらまで嬉しくなってしまいにこやかに笑って)

ああ、とても美味い。それに兄者に喜んでもらえて嬉しいのだ（早いことに饅頭を食べ終えると緩んだ頬を引き締めつつそう言って）

なかなか嬉しいことを言ってくれるね、この子は。(相手の言葉を聞けばくすくすと笑い「僕はお前が喜んでくれるだけで良いんだよ」と呟き、優しく頭を撫でてやり)

兄者、俺は童ではないのだぞ？（そう言いつつも兄に労われるのは嫌ではなく嬉しそうにしながら引き締めた意味もなくやはり頬は緩んでしまい）

昔からこうしていたじゃないか。それとも、今は嫌？(さらさらと髪を梳きながら、そう問いかけるも辞める気配は一向に見せず、相手のゆるんだ頬を見つめて)

嫌なわけがないだろう（髪を梳かれる感覚が心地よいのか目を細めながらそう言うと「兄者にこうされるのは好きだ」と微笑み）

そっか、なら良いのだけど…(こうしていると犬のようだね、なんて呟くとくすりと笑みをこぼし、自分と同じ色の瞳を見つめ)

犬？俺は犬ではなく兄者の弟だ（自身が刀であった頃からよく名前は変わっており今の主である審神者にも蛇のようだ、などと言われる為特に嫌な気もしないがそこは譲れないらしくそう言って）

ううん…えっとね、お前は僕の言うことはきちんと聞いてくれるだろう？だから、犬。忠犬ってやつかな(弟だと言われ目を細め、拙く言葉を紡ぎ説明していくとまた頭を撫でてやり)

なるほど、俺は兄者の忠犬なのだな。ならば犬の様に兄者をしっかりと守るぞ(人の身を得た今では自身で刀を振るうことが出来る。その力を使い大切な兄を守ってみせると胸を張って)

あはは、お前はやっぱりいい子だね。(共に居た頃から何も変わっていない弟に心底安心するも、小さく眉を下げると「でも、少し心配だなぁ」と呟き)

心配？何が心配なのだ？（眉を下げ何やら心配したようなことを言われるもなぜそう思うのか分からずに首を傾げて）

お前は僕のことばかり考えてしまうだろう？自分のことも、きちんと考えて欲しいんだ(眉を下げたままぽつりぽつりと自分の考えを述べ、お前は僕のことが絡むと何をするか分からないからね、とも付け足し)

これでも自分の事も考えているつもりなのだが…（確かに頭の中はいつも兄の事ばかり。その中でも自分の事も片隅には置いていた、しかしそれが兄の心配の元ならばどうにかしないと、と考え）

僕のことで、お前のしたいことが出来なくなってしまったら僕が辛いからねぇ(小さく告げると頭を撫でていた手を離し、「お前のしたいことは何？」と彼の目をしっかりと見つめ問いかけ)

俺のしたいこと…俺はもう兄者と離れなければそれでいい（一時は兄弟離ればなれになってしまった。その時の寂しさや苦しみはもう味わいたくないものでまたこうして会えた今がずっと続いて欲しいと願いそう言い）

…、ずるいなぁ(相手の言葉を聞けば自分も昔感じていたことを的確にあてられ、これは止められないと困ったように笑い、優しく相手を抱きしめ)

んっ、あ…兄者？（何がずるいのだろう。そう聞き返そうとしたが相手がふわりと動いたと思えば優しく抱きしめられていてその突然の行動に戸惑いながらも心地良い体温が伝わる気がしておずおずと背に手を回し）

僕も、寂しかったんだ…お前と離れてから、ずっと(昔の記憶を思い出すと、そっと目を伏せる。目の前にいる彼が前に来た代用品の刀ではないと思うとずっと堪えていた感情があふれ出し、優しく背を撫でて)

またこうして兄者と会えたことを嬉しく思っているぞ（自分だけではなかった、兄も同じ気持ちを抱えていたのだと思うと目の奥が熱くなるような感覚に襲われそっと兄の肩に顔を埋めて）

あはは、なんだ…寂しいのは僕だけではなかったんだね(へらりと笑ってみせると身体の力が抜け、肩に顔を埋めてきた弟の頭をふわふわと撫でてやり)

当然だ、兄弟と離れて何も感じぬ者などいるか（兄弟のいる刀ならこの気持ちは分かるだろう、そう思いながら撫でられる感覚に身を任せて）

…兄弟…(そのはっきりとした関係性を口にするとちくりと胸が痛んだ気がして、小さく首を傾げてみせる。そっと胸に手を当てるとふっと目を伏せ)

…兄者？（撫でられていた感覚がなくなりポツリと何やら呟いたのを聞けばよく聞き取れなかったようで埋めていた顔を上げて首を傾げ）

…ああ、ごめんね。何でもないよ、(意識が弟の方へと向くと何でもないと言い笑って見せて、先ほどの胸の痛みを誤魔化すように再度相手を抱きしめ)

？…そうか（何も無いことに安堵し微笑み返すと此方も抱きしめ返し｢兄者は暖かいな｣と零して）

ふふ、いつでもお前を暖められるようにしてあるんだよ(くすくすと笑い、冗談なのかそうでないのかよく分からない言葉を述べ、目を細め)

それならばこれから冷える時は兄者にこうしてもらうぞ。しかしそれでは犬ではなく猫のようだ…（いつでも暖められるようにとは何とも素晴らしい兄を持ったのだろうかと内心で褒め称えつつそう言い）

猫…！あはは、可愛いねぇ(猫という単語に反応し、きらきらと瞳を輝かせればぎゅう、と相手を抱きしめてやり「猫は好きだし、ここに来る猫たちとはなんだか気が合うんだ」と語り)

兄者は優しいからきっと猫にも好かれるのだな（嬉しそうな表情を見て猫のことが本当に好きなのだなと思いつつそこまで可愛がられるがきっと俺には負けるだろうと謎の対抗心を燃やし）

ほら、獅子も猫の仲間だと聞いたから、きっとそれだよ(審神者に聞いた知識を披露するとくすくすと笑みを零し、本丸に来る猫たちと同じように喉元を撫でてみて)

獅子も仲間…って兄者、くすぐったい…っ（喉元を擽られる事は無かったようで身をよじりながら震える声でそう言って）

おやおや、猫たちはこうすると喜ぶのだけれど。お前は好きではなかったかな(小さく首を傾げふわりと目を細めると、今度は手を離し優しく背を撫でてみて)

そもそも俺は猫ではないぞ！（猫であれば喜ぶのだろうが、自分は人の身を得ている。何が心地よいのかという感じ方も違うのは当然でそう言うと背を撫でられる感覚に目を細め）

ああ、これが好きなんだね…？(緩く相手を抱きしめ、目を細めるのを見ればわかりやすい反応に笑みをこぼし、そのまま背を撫で続けてやり)

これは気持ちがいいぞ兄者（こくりと頷き頬を緩めれば背を撫でられる心地よさと暖かな日差しに目を瞑りそう言って）

いいこいいこ…(優しくそう語り掛けると、穏やかな日の光と相手の体温に思わず頬を緩めれば少しばかり相手にすりすりと甘えてみて)

んん…兄者、どうかしたのか？（擦り寄られると閉じていた目を開き甘えるのも珍しいものだと思いつつそう問い）

甘えたくなってしまってね…嫌、だったかい？(子供のように強請る視線は相手へと向き、しかしやめる様子も見せずに薄い肩へと顔を埋めるとまた擦り寄り)

嫌なわけがないだろう（こうして甘やかすのも悪くない、兄の気持ちなどもわかるかもしれないと思うとそう言ってふわふわとした髪を撫でて）

…ん、…お前は撫でるのが上手いねぇ(相手に撫でられるのは新鮮な感じがして、しかし相手の撫でる手つきにそんなことはどうでも良くなってしまい)

兄者がしてくれるのを真似ただけだぞ？（自分が兄をまず撫でることは少ない。どちらかと言えば撫でられる方が多くその間に撫で方などのコツがつかめていたのか不思議そうにそう言い）

むむ、なら僕はいつもこんな風に頭を撫でているんだね。…なんだかくすぐったいなぁ(いつも自分がどんな風に弟を撫でているのかが分かり何となく嬉しくなるも、どこかそれがくすぐったく感じ)

兄者の撫で方は優しさに溢れているのだ。心地良いだろう（兄の事を誇りに思っているため頭を撫でつつそう言うと｢兄者も猫のようだな｣と微笑み）

ふふ、獅子と言ってほしいなぁ…(ごろん、と喉を鳴らしながら、ゆらりと髪を揺らし小さく微笑み、相手の手に軽く擦り寄ると「お前は確か蛇だったね」と相手の瞳を見つめ)

ああ、俺は蛇と言われるな（こんなにも人懐っこい獅子がいたならばきっと兄と仲良く出来るのだろうと思いつつ頷いて）

お前は僕より隠れるのが上手いし、それに素早いからねぇ(くすくすと笑みをこぼし、優しく頬を撫でると「どうしてそんなに素早いのか、僕にも教えてほしいよ」とだけ告げ首を傾げてみせ)

別に特別な事もしていないんだが…（元々の能力だったのかも知れない、確かに何故なのだろうと思いながら不思議そうに首を傾げ）

…そうなの？(相手の言葉にはぱちりと目を丸くし、また首を傾げると「元々もっていたものなのかもしれないね」と微笑むとまた頭を撫でて)

ああ、そうかもしれないな。（こくりと頷き同意を示せば頭を撫でられる感覚に目を細めて｢みんなちがってみんないい、と前に誰かが言っていたな｣と述べ）

うんうん、いいことだね。(相手の言葉を聞けばにこりと笑い、こくんと頷くとゆっくりと立ち上がり「ここも良いけれど、僕の部屋に行くかい？」と特に意味もなく問いかけてみて)

兄者の？そうだな、行くか（ここでのんびりするのもいいかもしれないが二人とも居眠りでもしてしまい風邪をひいては主に迷惑がかかるだろうと思い頷いて立ち上がり）

うん、二人でお茶でも飲もうか(目を細めると相手の手を引き、小さく微笑むと自分の部屋へと向かい「甘いものは好きだったっけ？」と問いかけ)

ああ、甘味も茶も好きだ（手を引かれる感覚に昔のことを僅かに思い出して微笑みつつそう言い）

ふふ、そっか。さっき饅頭を食べたから、少し軽いものにしようか(暖かい相手の手の温度に目を細めると、部屋の前にたどり着き「着いたよ」と一言声をかけると襖を開け)

そうだな、それで夕餉が入らなくなったら歌仙や燭台切に怒られてしまう（せっかく作ってもらったのを残すのも申し訳ない、こくりと頷くと｢失礼する｣と言って部屋へと入り）

ゆっくりしていていいよ。僕は茶をもらってくるから(部屋に入るなり相手にそう告げると柔らかく笑いかけ、茶を貰いに行ってくると部屋を後にし)

ああ、分かった（そう言うときょろきょろと部屋を見回し所々に置かれている可愛らしい折り紙で作られたであろうものは短刀からのプレゼントというものなのだろうかと思いつつ正座して）

さて、戻ったよ。(部屋に入るなりそう告げると、暖かい茶と小さな皿に乗せられた可愛らしい練り切りを相手に差し出し、周りに置かれている折り紙を見ると「可愛いだろう？」と微笑み)

とても愛らしいな、短刀達が？（差し出された茶と練り切りを見て礼を言うとこくりと頷いて細かい事が出来ない自分からするとすごいことのように思えて）

うん、遠征帰りに沢山もらってしまってね。動物とか、花とか(両手に抱えても持ちきれなさそうな折り紙の山を見つめ、そういえばこれがなんの花や動物なのか聞かなかったな、なんて考えて)

ほう、折り紙でそこまで出来るとはすごいな（茶を飲みつつ話を聞いていて｢兄者はできるのか？｣と首を傾げて）

うーん…確か一つだけ折り方を教えてもらったんだよね…(何だったかなぁ、と呟くと、ああと声を上げると思い出したのか桃色の折り紙を取り出しゆっくりと折っていき)

なんだ、何か出来るのか？（何やら折りだした姿を見てはソワソワと気になるようで覗き込むようにしながらそう言って）

確か、こうだったかな…？(今回作る物は花のようで、花弁らしきものを丁寧に折っていくと難しそうな顔をし独り言を呟いて)

何がどうなっているのやら…（どう折ればそのような形になるのか見当がつかず頭の中には既に疑問符が飛び回っており）

…おお、出来た出来た。はい、あげるよ(初めてにしては上手くできた、と内心胸を張りながら短刀達に教えてもらった桜の花を相手に渡し)

すごいな兄者！感謝するぞ（手渡されるとその可愛らしい桜の花を見てこれは一生の宝になるだろうと目を輝かせながらそう言い嬉しそうに微笑んで）

ふふ、どういたしまして。お前によく似合うねぇ(桜と相手を見比べるとくすくすと笑い、先ほど作った桜を相手の頭に軽く当ててやり)

そ、そうか？なんだか嬉しいな。兄者の作った桜だから尚更だ（嬉しそうに頬を緩めふわりと笑うと無意識のうちに自身の周りにも桜が舞っており｢きっと俺にも似合うのだから兄者にも似合うぞ｣と続け）

そうなのかな…？お前のほうが似合うよ(相手の周りに咲く桜を見れば「満開だねぇ」と笑うと、楽しそうに桜の花弁を集め)

う、嬉しいのだから仕方ないだろう！（こんなにも桜を散らしてしまったとは思っていなかったのか気恥しさから僅かに頬を染めそう言い）

うんうん、分かっているよ。お前が嬉しいなら、僕も嬉しいなぁ(ふにゃりと笑うと上記を述べ、すっかり赤くなった頬を撫でてやり、空いた片手で彼の頭に花弁を乗せ)

兄者も嬉しいのか…？（そう言われると兄と同じ気持ちを共有出来たことに喜びを感じつつ真似をするように落ちていた花弁を取り同じように頭の上に乗せ）

うん、とっても嬉しいよ(優しくそう囁いてやると相手の手が頭へと伸びたのを見つめれば花弁を乗せられたのだと理解し、小さく笑いかけ「似合うかい？」なんて問いかけてみて)

ああ、とても似合っているぞ兄者！（自身にも似合うなんて言うのだから兄である彼に似合わないはずがないと思っているとその予想は当たったようで何故か此方が嬉しくなり微笑んで）

むむ、自分の姿は確かめられないからねぇ…お前もよく似合っているよ(相手の嬉しそうな表情に自分まで嬉しくなり、優しく髪を撫でてやるとなんだか堪らなくなりつい抱き締めてしまい)

ん…兄者？（ふわりと抱き締められると同時にどうかしたのだろうかと背中にてを回しつつ不思議そうに問い）

…笑わないで、聞いてくれるかい？(すぅ、と息を吸うと小さく問いかける。相手の体に身を任せながらどう伝えたら良いかと頭の中で考え)

ああ、約束しよう。（様子を見るからに何かを伝えたいのだろうと憶測しそれが何であろうと笑わないとこくりと頷いて）

…お前といるとね、その…ここが煩いんだ。あと、なんだか締め付けられる感覚がして(ゆっくりと溜まったものを吐き出すように、言葉を振り絞りながらそっと目を伏せて)

…ここ？（どこが苦しいのだろうか、場所によっては主に報告しないといけないと心配しつつそう問い）

…胸の、あたりが(声は次第に小さくなり、自分の胸に手を当てると瞳はわずかに揺れ「病気なのかもしれないね」と小さく呟くと溜息をつき)

病気…？！あ、兄者、今すぐ主の元に行こう！（病気とは恐ろしいもので場合によって死に至る事もあると前に薬研から聞いたことがありそんな事があってはならないとどうにか自身を落ち着かせようとしながらそう言い）

…っ、待って。…おかしいと思って、主に聞いてみたんだけど…どうやら恋をしているみたいでね？(きゅっと相手の服を握り制止する。刀が恋をするなど弟に笑われてしまうだろうか、と不安になり)

…恋？兄者が、俺に？（服を握られぴたりと動きを止めればその後に続いた言葉に耳を疑うようにしながらそう言い）

…嫌なら、突き放してもいいんだよ(柔らかく笑いそっと服を握っていた手の力を緩めると、全て言い終えたことに体の力が抜け)

…そうか、兄者もそう思っていたのか（いつからだろう、兄の柔らかな笑顔を見て何処か切ない気持ちになったのは。これは恋だったのか、そう思いながら背に回していた手で服を握りそうポツリと呟いて）

…お前も、そうだったのかい？(相手の思いがけない言葉に目を丸くすると、安心したのかそっと目を細め相手を抱きしめてやり「両思いだねぇ」なんて呟いてみて)

ああ、両想いだな（まさか刀が恋をするとは思っていなかった、しかし今は感情も持つ。きっと人間もこんな思いをしながら誰かを愛するのだろうと頷きつつ頬を染めそう言い）

…嬉しいよ、膝丸。(こんな風に高揚するのは肉体をもらってから初めてかもしれないな、なんて感じながら、普段は呼ぶことのない弟の名前が無意識にこぼれ)

俺もだ、兄…じゃなくて髭切？（兄者、と言おうとしたがこうして名を呼んでくれたのだ、少し恥ずかしいが真似をしてみて兄の名を呼び）

…ふふっ、なんだかくすぐったいなぁ(いつも兄者と呼ばれていたせいで自分の名を呼ばれると途端に照れくさくなってしまい、しかし嫌な気分ではなく相手を抱きしめてやり)

俺もだ兄者、すごく違和感を感じてしまう（兄者の方がやはりしっくりとくるようで苦笑しつつそう言うと抱きしめ返して）

でも、お前に名前を呼ばれるのは嫌な気分じゃないよ(目を細めるとくすりと笑みをこぼし、相手の肩口に顔を埋めると甘えるように擦り寄り)

そうか、良かった（ふと微笑みそう言うとまた甘えてきたのを見て頭を撫でてやり｢いいこ、いいこだぞ｣といつもされるのを真似てみて）

…っ、(相手の仕草と言葉に胸がきゅんと締め付けられ、腕の力を強くすると嬉しそうに微笑み「たまには甘えるのもいいね」なんて言い)

ああ、こうするのもいいのかもしれないな。（いつも甘やかせてくれる兄を甘やかすのも新鮮なため、ふわりと微笑めばそう言い）

でも、こんな姿はあまり他の子たちに見せてほしくないなぁ…(相手の手に擦り寄ると無意識にそう呟き、ゆっくりと相手に体を預けてみて)

安心しろ、兄者。皆の前ではしっかりとした膝丸を務める（そう言い微笑むと体を預けてきたので支えようと腰に手を回して｢まあ皆には兄者、兄者としか言わないと思われているだろうが｣と苦笑し）

ふふっ、膝丸はいい子だねぇ(優しく髪を撫でてやれば微笑み、また名前を呼んでやると「お前は僕と違ってなんでもできてしまうから、すぐに僕のところを離れてしまいそうだ」と眉を下げ小さく告げ)

兄者だってやろうと思えば出来るぞ。何せ俺の兄なのだからな、それに離れるなどしないぞ（きっと兄が本気になって何もかもやり出したら出来るのかもしれないとそう言いつつ撫でられる感覚に目を細めてはもう離れはしないとそう伝えて）

…まぁ、返事はどうであれ、離す気はないけどね(相手の返事にふわりと笑うと物事にこだわらない自分の口からこんな言葉が出るとは思わず内心驚き)

兄者にそこまで想われていると思うと嬉しいな（兄の口からそんな言葉出るとは思っていなかったがふわりと微笑み桜を舞わせて）

おや、また桜が咲いているよ…？(相手の肩や頭に桜の花弁が乗っているのを見れば我が弟ながら本当に桜の似合う子だ、なんて考えながら優しく頬を撫でてやり)

仕方ないだろう（気恥ずかしさから頬を染めて目を細めれば｢それだけ嬉しいのだ｣と続け）

うん、僕も嬉しいよ。お前とこうして両想いになれたんだから(相手の頬が赤くなると目を細め、頬を撫でていた手を離すとこつ、とお互いの額を合わせてみて)

兄者は狡いな（先程から恥ずかしくなっているのはこちらだけではないか、そう思ったようでしかし嫌な気はせずに微笑み）

…ずるい？(相手の予想していなかった言葉に首を傾げ、しかし相手が微笑んでいるのをみるとどうやら悪い意味ではないと分かり)

いや、何でもないぞ（そう言うと肩へと顔を埋めて｢俺は幸せ者だな、兄者｣と呟き背に手を回して）

幸せ、か。そうだね、僕も幸せだよ。(刀の時には感じることのなかった感情、これはきっと幸せというやつなのだろう。そのことに気づくと小さく口に出してみて)

しかし俺達の場合は両想いだったからよかったものの人間とはまだ苦労をすると以前に加州や乱が言っていたが…（ふと思い出したように顔を上げ何に苦労するのだろうか、やはり人の身は得てもまだ感情が幼いのだろうかと首を傾げ）

…人の身は大変だからねぇ。昔の主たちを見てきたけれど、なんだか大変そうだったから(何が大変だったのかは覚えていないけどと心の中で呟いて「僕たちにもまだ分からない感情があるからねぇ」と笑い)

ふむ、確かにいろいろなものを巡っては争いなどもしていたからな（きっと人の身を得たばかりの自身には分からないことも多いのだろうとこくこくと頷きつつそう言い）

まだまだ時間はあるんだから、ゆっくりこの身体を楽しめばいいよ。(ゆったりとした話し方でそう述べると、「お前と、この時代のものも見てみたいから」と付け足すと、なんだか途端に恥ずかしくなってしまい)

同感だ、兄者（ふと微笑みそう言うと｢季節の変わっていく姿や人の子の遊びなどを見るのも勉強になるかもしれない｣と続け）

そうだね。僕もまだ分からないことが多いし。…後は…(相手の言葉にこくんと頷き、もう一つ何かを言いかけるもこれは言って良いものなのかと内心悩み)

どうかしたのか？（なにやら言いたげにする姿を見ては不思議そうに首を傾げ）

恋人同士がどう接するのか、勉強しないとねぇ…(僅かに頬を赤く染めくすりと笑みを零すとそっと相手の頬に触れてみて、しかし頬に触れたかと思うと指は相手の唇へと移動し)

っ…確かにそうだな（いつもよりも頬が染まったのを見ると何やらこちらまで恥ずかしくなってしまい頬を染め）

…、膝丸(いつもより真剣な眼差しと声で、しっかりと名前を呼ぶと先ほど唇に触れていた手は頬へと添えられ顔を近づけるとその距離を保ったままで)

兄者？（顔が近いことに恥ずかしさが込み上げてきつつも真剣な様子に応えなくてはと此方もじっと相手の目を見て）

…口吸いが、したいな。…駄目？(審神者が見ていた恋愛ドラマというやつで確か人間の恋人同士はこうして口付けを交わしていたことを思い出し、どこか自信なく問いかけて)

く、口…？（口吸いとは確か好いている者同士がするものではなかっただろうか、記憶を辿りそう呟くと恥ずかしさから一気に顔が熱くなった気がして｢い、嫌ではないぞ…｣と消え入るような声で）

…じゃあ…いいよね(目を細めると安堵からか口元は緩み、さらに顔を近づけていく。その度に胸の鼓動が煩くなり、唇同士が触れ合いそうな距離まで近づくと目を閉じ)

っ（顔が近付きもう耐えられなくなってしまったのかぎゅっと目を瞑れば息までも止めて）

…ん(そっと唇を重ねると優しく相手を抱きしめ、触れるだけの口付けを交わすとそっと顔を離し目を開き相手の顔を見つめ)

ん…（唇が重なると嬉しさや恥ずかしさが入り混じり離れた途端に赤くなった顔を隠そうと目を開け顔を逸らして）

ふふっ、…お前は可愛いね(赤くなった顔を見つめれば小さく笑みをこぼし、優しく相手の頬を撫でると「顔は見せてくれないのかい？」と問いかけ)

な、情けない顔だぞ？（火照った頬に手を添えられるとその心地よさから目を細めつつおずおずと顔を見せて）

…いい子いい子(柔らかく微笑み相手と視線が合うとまた鼻先に口付けてやり、相手を抱き寄せてやるととんとんと背を撫で)

ふふ、兄者だっていい子だ（抱き寄せられるとそのまま少しずつ体を預けて目を細め微笑むとそう言い擦り寄り）

ん…これから慣れていかないとねぇ(相手にいい子だと言われるのはなんだかくすぐったい気分になり笑みを見せると、相手の柔らかい唇に指を乗せ)

ん、そうだな。俺もいつまでも口吸いの度に顔を赤くしていたら身が持たぬぞ（いつまでも赤いままでは情けない、苦笑混じりにそう言い）

…初々しいのも良いけどね(目を細めてぽつりと呟くとそっと手を離し小さく微笑み、緩く相手を抱きしめて)

こちらは恥ずかしいのだぞ（そう言い緩く抱きしめ返すと｢やはり兄者は暖かいな｣と頬を緩め）

…そうかな？お前も暖かいよ(小さく首を傾げるとそっと相手の肩にすり寄る。体を寄せると甘く微笑んでみて、そのまま相手を押し倒し)

兄…？（擦り寄られたと思えば次には視点が変わっておりきょとんとしつつ思考が追いつかないまま名を呼んで）

…うんうん、絶景だねぇ(優しく頬を撫でると小さく微笑み、この体勢のまま相手を見るのも悪くないと感じれば額に口付け)

ぜっ…絶景とは何だ！（また赤くなればそう言い｢か、噛むぞ兄者…！｣と口を開け）

噛むって、どこに？(くすくすと笑えば完全に相手の反応を楽しんでいるようで、「お前に噛まれるのも悪くないなぁ」なんて呟き)

楽しんでるな、楽しんでるだろう…！（珍しくむすりと頬を膨らませば｢蛇はどこでも噛むんだぞ｣と言い）

あはは、何のことかなぁ。(へらりと笑ってみせるとつんつんと頬をつつき「獅子だってどこでも噛むんだよ？」と呟くと顔を近づけて)

ち、近いぞ兄者…！（兄には敵わない、そう思いながら抵抗しているつもりなのかカチカチと歯を鳴らして）

…だってこうしなきゃ、口吸いが出来ないだろう？(くい、と相手の顎を持ち上げながら意地悪くそう言い、相手の唇を奪うと身体を寄せて)

っ…本当に獅子のようだな（蛇であろうと獅子には負ける。唇を奪われると頬を染めながらも最後の抵抗と言わんばかりに体を寄せてきたのと同時に頬に口付けをして）

ん、…してやられたなぁ(頬に口付けられると目を丸くし、困ったように笑う。そっと耳元に唇を寄せると「もっと」と囁き)

恥ずかしくないのか？（もっと、と強請るとは思っていなかった様で少し驚いたようにしながらも応えるようにまた頬へと口付けをして）

お前にもらうものだから、恥ずかしくなんてないよ(目を細めると上記を述べ「こっちにはしてくれないの？」と自分の唇を指差し冗談っぽく笑い)

ならば目を閉じてくれないか？（そう言い顔を近付けると目を閉じてゆっくりと唇へと重ね）

…んっ(ゆっくりと目を閉じると相手の唇が重なり小さく肩が揺れ、相手を離したくないようでくい、と服を引っ張り)

兄者…？（ゆっくりと離すも服を掴まれていて至近距離に兄の顔があれば恥ずかしそうにして）

膝丸…んっ、ん(何度も相手の唇に啄むような口付けを落とし、紅い舌でぺろ、と相手の唇を舐めると甘く息をつき)

ん、兄者…っ（啄まれる感覚にくすぐったさから身を捩っていたが舐められるとびくりと肩を揺らし）

…ん、ぅ(相手の反応を良いことに、怖がらせないようにゆっくりと相手の口内に舌を滑り入れ、そっと相手を抱きしめてやり)

っ…ふ、ぁ（口内へ舌が入ってくるとまた肩を揺らして潤んだ目で見やり）

ん、…ふ(薄く目を開き相手を見つめると優しく相手の頭を撫でてやり、口内を舌で弄ると相手の舌を絡めとり)

んん…っ（頭を撫でられる感覚に目を細めつつぎゅっと服を握り目を閉じて）

っ、ん…ぁ(ちゅ、と舌を吸い上げると唇を離し、すっと息を吸い込むと「平気かい？」と問いかけて)

ふぁ…っ…大丈夫だ（口が離れると息を吸い微笑みそう言い）

そっか…ごめんね(少しやりすぎてしまったと反省し、小さく眉を下げると額に口付けてやり)

平気だ兄者、謝るな（申し訳なさそうにする姿を見て微笑み服を掴むと擦り寄り）

…ん…(そっと目を伏せると安心したように微笑み、相手にすり寄られると「くすぐったいよ」と笑い)

ふふ、くすぐったいのか（くすりと楽しそうに笑うと擦り寄るのをやめないで）

ん、ん…ふふ、駄目だってば(そう言いながらも相手を止めることはせず、目を細めるとこちらも擦り寄り)

はは、兄者くすぐったいぞ（擦り寄られるとふわふわとした髪が顔に当たりくすぐったそうにして）

わざとこうしてるって言ったら？(くすくすと楽しそうに笑い、顔を近づけると髪を撫で、頬に口付けてやり）

ん、わざとならやり返すぞ（そう言いにやりと悪戯っぽく笑えば頬へと擦り寄り）

ん、…あはは、くすぐったいってば(そう言いながらも相手の頬擦りを受け入れ、優しく頭を撫でてやり)

まるで獅子に甘える猫だな（頭をなでられると嬉しそうに微笑みそう言って）

ん…甘えたがりな僕は嫌いかい？(きゅ、と相手の手を握り、眉を下げながら不安そうに問いかけ)

そんなことはないぞ、甘えられて俺も嬉しいからな（兄に甘えられること自体そんなにないのだから嫌とも感じるはずはなく微笑みそう言うと頬を撫でて）

…お前ももっと、甘えていいんだよ(相手の言葉に目を伏せると、相手の滑らかな手に擦り寄り小さく微笑んで見せて)

…ふふ、では言葉に甘えさせてもらおうか（そう言い微笑むと手を掴んで自身の頬へと持っていき擦り寄って）

ん、……ふふ、可愛いなぁ(困ったように笑うと相手の頬をつ、となぞり、相手の目をじっと見つめ)

ん、そんなことないだろう？（可愛いと言われるとくすぐったい気持ちになり苦笑混じりにそう言い首を傾げ）

…可愛いよ？まぁ、僕が分かっていればいいんだ(目を伏せれば相手を優しく抱き寄せ、くすりと笑うととんとんと背を撫で)

ふふ、そうか（そう言い微笑むと背を撫でられる感覚が心地良く目を瞑って）

……あたたかいねぇ(相手の体温がすっかり気に入ったのか目を細め、猫のようにすりすりと相手に擦り寄り甘えて)

兄者もあたたかいぞ（そう言うと甘えてきたのを見て微笑み額へと口付けをし）

ん……ふふ(相手から口付けられるのはうれしいようで、くすくすと笑うとこちらからも頬に口付けてやり)

…可愛らしいな（そう呟くと頬擦りをし唇へと口付けをし）

ん、……あはは、積極的なのは嫌いじゃないよ(唇に口付けられると相手を膝の上に乗せ、こちらも口付けを返してやると甘く微笑み)

積極的だろうと兄者にはかなわないな（微笑まれると僅かに頬を染めてそう言い｢しかしこれはこれで…兄者の顔が見えるからいいな｣と微笑み）

うんうん、そうだろう？僕もお前と向かい合っていると落ち着くよ(目を細めると相手の顔を見ながらにこりと笑い、そっと相手を抱きしめてやり)

ふふ、俺もだ（抱きしめられると頬を緩めつつも抱きしめ返して）

…膝丸…(単なる好奇心なのか確信犯なのか、そのまま相手の細い腰をするりと撫でてやると名前を呼び)

っ、兄者？（撫でられた感覚がくすぐったかったのかびくりと反応すると首を傾げ）

ううん、なんでもないよ(朗らかに笑うと手を離し小さく微笑み、そのまま相手を抱きしめて)

ん、そうか（特に意味などないということを確認するとふわりと抱きしめられる感覚に身を任せて）