髭 × 膝 *刀剣也

…っ、待って。…おかしいと思って、主に聞いてみたんだけど…どうやら恋をしているみたいでね？(きゅっと相手の服を握り制止する。刀が恋をするなど弟に笑われてしまうだろうか、と不安になり)

…恋？兄者が、俺に？（服を握られぴたりと動きを止めればその後に続いた言葉に耳を疑うようにしながらそう言い）

…嫌なら、突き放してもいいんだよ(柔らかく笑いそっと服を握っていた手の力を緩めると、全て言い終えたことに体の力が抜け)

…そうか、兄者もそう思っていたのか（いつからだろう、兄の柔らかな笑顔を見て何処か切ない気持ちになったのは。これは恋だったのか、そう思いながら背に回していた手で服を握りそうポツリと呟いて）

…お前も、そうだったのかい？(相手の思いがけない言葉に目を丸くすると、安心したのかそっと目を細め相手を抱きしめてやり「両思いだねぇ」なんて呟いてみて)

ああ、両想いだな（まさか刀が恋をするとは思っていなかった、しかし今は感情も持つ。きっと人間もこんな思いをしながら誰かを愛するのだろうと頷きつつ頬を染めそう言い）

…嬉しいよ、膝丸。(こんな風に高揚するのは肉体をもらってから初めてかもしれないな、なんて感じながら、普段は呼ぶことのない弟の名前が無意識にこぼれ)

俺もだ、兄…じゃなくて髭切？（兄者、と言おうとしたがこうして名を呼んでくれたのだ、少し恥ずかしいが真似をしてみて兄の名を呼び）

…ふふっ、なんだかくすぐったいなぁ(いつも兄者と呼ばれていたせいで自分の名を呼ばれると途端に照れくさくなってしまい、しかし嫌な気分ではなく相手を抱きしめてやり)

俺もだ兄者、すごく違和感を感じてしまう（兄者の方がやはりしっくりとくるようで苦笑しつつそう言うと抱きしめ返して）

でも、お前に名前を呼ばれるのは嫌な気分じゃないよ(目を細めるとくすりと笑みをこぼし、相手の肩口に顔を埋めると甘えるように擦り寄り)

そうか、良かった（ふと微笑みそう言うとまた甘えてきたのを見て頭を撫でてやり｢いいこ、いいこだぞ｣といつもされるのを真似てみて）

…っ、(相手の仕草と言葉に胸がきゅんと締め付けられ、腕の力を強くすると嬉しそうに微笑み「たまには甘えるのもいいね」なんて言い)

ああ、こうするのもいいのかもしれないな。（いつも甘やかせてくれる兄を甘やかすのも新鮮なため、ふわりと微笑めばそう言い）

でも、こんな姿はあまり他の子たちに見せてほしくないなぁ…(相手の手に擦り寄ると無意識にそう呟き、ゆっくりと相手に体を預けてみて)

安心しろ、兄者。皆の前ではしっかりとした膝丸を務める（そう言い微笑むと体を預けてきたので支えようと腰に手を回して｢まあ皆には兄者、兄者としか言わないと思われているだろうが｣と苦笑し）

ふふっ、膝丸はいい子だねぇ(優しく髪を撫でてやれば微笑み、また名前を呼んでやると「お前は僕と違ってなんでもできてしまうから、すぐに僕のところを離れてしまいそうだ」と眉を下げ小さく告げ)

兄者だってやろうと思えば出来るぞ。何せ俺の兄なのだからな、それに離れるなどしないぞ（きっと兄が本気になって何もかもやり出したら出来るのかもしれないとそう言いつつ撫でられる感覚に目を細めてはもう離れはしないとそう伝えて）

…まぁ、返事はどうであれ、離す気はないけどね(相手の返事にふわりと笑うと物事にこだわらない自分の口からこんな言葉が出るとは思わず内心驚き)

兄者にそこまで想われていると思うと嬉しいな（兄の口からそんな言葉出るとは思っていなかったがふわりと微笑み桜を舞わせて）