文豪 × 文豪。

ﾊｯ、まさか太宰がそれだけを云う為に来る訳が無いだろ

( 己をからかっているだけであろう相手の言葉に鼻で笑った後あの場を自ら出て行った彼が本当にそれだけを伝えに戻ってくるのであればそれはそれで面白い。だが、そんな事を云っていたと云われてはこちらの立場も危うくなりかねない。それに今そんな事を本気で云っていたら己が助けない事を分かっているであろう。口にしてから己のことながらなんと冷たい人間であろうと思う一言に相手が返してきた言葉。そこまで云われては仕方が無いと思うも先ほどからかわれた仕返しとばかりににやりと口角をあげて )

手前が自分で入って行ったんだろう ? なら出られる筈だよなｧ

まｧ､ そうだね｡ 彼処に戻るつもりは微塵もないし､


( 流石､元相棒と云うべきか｡ そういうことは善く判っている｡それ故に嫌いだ｡何て口に出すことはしないものの､視線の少し先で自分の発言を鼻で笑った相手にも判るくらいに顔をしかめて｡しかし､その顔を見せていたのはほんの一瞬であり､数秒後にはいつもの､あの胡散臭い笑顔と共に上記に記された言葉を吐いて｡どうせ､相手の言葉を上に伝える為だけに彼処に戻ることなんてきっと永遠にない｡それでも､だ｡相手をからかうことは辞められない｡ ふふ、と楽しそうに笑ったあと､相手の出方を見ていたのだが､相手の口がにやついた直後に吐かれたその意地の悪い言葉を聞いて､呆れたような顔を見せると 降参､という意思の現れなのか､手をひらりと翻し､ )


あのねｪ .. 入る前と入った後とじゃ､足の感覚の有無が異なるのだよ｡ そんなことも判らないなんて､駄目だねｪ ｡ ほら､早く助けて｡