あるじ 2016-01-30 21:34:46 |
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無賃乗船とはふてぇ奴らだよな、全く……イダテン!
(真っ先に魔物の群れに突っ込んでいく相手の後ろで己はまず詠唱し、素早さと反応速度をあげる補助魔法で援護し、その後は貫通矢でウオントを2匹まとめて串刺しにして「…こいつらって食えんのかね?一応魚に蟹な訳だしさ」魔物を倒していきながらふと朝から何も食べてないことを思い出してそんな無駄話を持ちかけて
__千連斬!
(彼から補助魔法を受けて身体がより一層軽くなったのを機に、千にも連なる斬撃をドレッドクラブに繰り出せば二匹を仕留めて行って。不意に持ち掛けられた話に「…この前読んだ魔物グルメガイドブックには、ウオントとドレッドクラブには毒があるのでお腹を壊すと書いてありましたから、残念ですが食べられないですね」と少し食べてみたかったと思いながら大真面目に答えていき
見るからに美味そうではないしな…
(まずそんな怪しげな本が存在すること、そしてそれを相手が読んでいたということ、二重の驚きはあったもののドレッドクラブの色合い的にもウオントのビジュアル的にも食欲をそそるようなものではないため、食べられないということについては大した驚きもなく、疑問も晴れたところで貫通矢でドレッドクラブの殻を撃ち抜いたが、仕留めきれなかったようで相手に向けて背後から泡を吹いて攻撃を仕掛け「…危ない!」それを見て慌てて忠告をして
やはり普通の食材を使__えっ、きゃっ!?(魔物を食べるよりも一般的な食べ物を使った方が安全だと思いながら、前方のウオントへと斬撃を入れていれば、おもむろに背後から聞こえて来た声に素早く反応したものの既に泡は目の前にまで迫っていて、小さく悲鳴を上げたが即座に剣で泡を叩き斬ったので大ダメージにはならず。彼の補助魔法を受けていなければ危ないところだったと考えつつも、泡でベトベトになった剣の刃を何度か振って、シャボン液のような液体を取ろうとしていき
っ…!大丈夫か!?くそっ、このやろー!
(悲鳴をあげた相手に目を見開き、どうにか補助魔法で反応速度が上がっていたこともあり直撃は免れたようだが、大事な幼なじみが危険に曝されたという事実にプツンと頭の中の何かが切れて、投剣用の短い剣を両手に持ち、弱ったドレッドクラブに急接近したかと思えば片方の剣を背中の固い甲殻へ思い切り突き立て、もがくドレッドクラブを軽く持ち上げるようにして足も使ってひっくり返しては、傷口から噴き出す体液を浴びることも厭わずにもう片方の剣で装甲の薄い腹部を引き裂いて
カ、カイル…!? 私は大丈夫ですので、そこまでにしておきましょう…!
(あのように激昂している幼馴染は今まで見たことがなかったので、どう止めて良いか分からず、彼のドレッドクラブへの猛反撃が続く中オロオロとしつつもその敵の体液に釣られた他の魔物達が幼馴染へと近付くのが見えた為に、何匹かを足止めしながら、しっかりと彼に伝えていっていき
…悪い…ついカッとなった…
(既に息のないドレッドクラブを身体の内側より湧き上がる衝動に任せ、まるで人が変わったかのようにひたすら切り刻んでいたが、相手の声が耳に届けばその手を止めてようやくいつもの調子に戻れば冷静に投剣で残る魔物を一体ずつ確実に仕留めていけば相手と背中合わせに立ち、小さくそう謝罪の意味も込めて呟いて
…いえ、気になさらないで下さい。私の不注意が招いたことでもありますので。
(ウオントを輪切りにしてドレッドクラブに重い蹴りを入れて海に落とした後、すぐに視線を走らせて剣を構え直していればトンッと彼の背中と自身の背中が当たり、微かに背中越しから聞こえてきた声に、前方の敵を見据えたまま非はこちらにもあると言うことを述べていき。そして不謹慎なことだが実は怒ってくれたことが嬉しくも感じられたので、ぽつりと「…けど、ありがとうございました」そう微笑みを浮かべて呟き
何か言ったか?
(残り少なくなった魔物を前に、これでラストスパートだとばかりに弓を構えて自分の前にいる残りの敵を撃ち抜けば集中していたせいか最後に呟いた相手の感謝の言葉はよく聞こえなかったようで、自分の前の魔物が片付いたことで相手の方を振り返ってはそう問い掛け
ふふ、何も言っていませんよ。
(今さら気恥ずかしくなったので少し照れくさそうに答えては、早く魔物達を始末してしまおうと足に力を込めて敵の眼前へと飛び出して行き、ドレッドクラブのハサミをワンテンポ早く避ければ強烈な突きで硬い殻を破り、そのまま残り一匹になったウオントも倒してしまえば頼まれていた甲板の魔物退治が無事に終わり
そうか…?ならいいけど
(何でもないと本人がそう言うからには無駄に詮索をすることもせずに少し釈然としない様子ではあったが納得して頷いてみせて、そうしている間にも滞りなく相手が残りの魔物を討伐したのを見れば「お疲れさん、これで一息つけそうだな」武器を仕舞い、小さく息を吐いては相手の下へ歩み寄っていき
__ふぅ…無事に全ての魔物を倒せましたから、安全な航海が出来そうですね。カイルもお疲れ様です。
(刃に付着した魔物の体液を払えばくるりと回して銀の剣を腰にある鞘へと戻し、一息付くとこちらまで来てくれた彼に対して、やんわりとした穏やかな口調で労いの言葉を掛けて微笑んでいき
本当、今日は疲れたな…後は向こうに着くまでのんびりしたいとこだ
(相手からの労いの言葉を受ければ、軽く肩を竦めて本音を口にして甲板から少しずつ見え始めた大陸の方をチラリと一瞥してから小さく伸びをして「物語の勇者一行もビックリ、修羅場だらけの大冒険って感じだな」なんて自嘲気味に呟き
ええ、束の間の船旅を楽しみたいものですね。
(潮風に吹かれて靡く銀の長い髪を指で退かしながら、徐々に見えて来たグランコクマ大陸を目に映しつつも彼の言葉に頷いていき。「ふふ、勇者さんも驚いてしまうほどの中身の濃い一日でしたね。何とか修羅場を抜けられて良かったです」そう相手の言葉に賛同をすれば頭上で鳴くウミネコを見ていき
今なら世界も救えるような気がするよ…なんてな
(二人助け合って危機を乗り越えて来れた、そのことが少なからず自分の中で自信となっている部分があり、少し大袈裟にそんな風に言ってのけては手すりに背中を寄りかからせて、ふぅ、と小さく息を吐いて相手を横目に肩を揺らして笑い
あらあら、…けれどカイルとなら不思議と、そんなことが出来てしまう気がしてしまいますね。
(未だ魔王に苦しむ世界を救うことは容易ではないが、何となく勘に似た何かを胸に抱けば確信めいたことを言っていき。__それから数十分後、穏やかな波に揺られながら大きな汽笛を鳴らして蒸気船がグランコクマ大陸の港へと着いていき
まあ、勇者なんてのは俺のガラじゃないけどさ
(少し買いかぶり過ぎとも思えるような相手の言葉に照れ臭そうに鼻の下を軽く指でこすり、前へと向き直ればグランコクマの大陸の港が見えて、いよいよ上陸かとそちらへと意識を向けて「…お、着いたみたいだな、グランコクマか…どんなとこだろうな」少しワクワクとしながら興奮気味に話し
__ここがグランコクマ大陸、ですか。
(あれからカイルと新大陸について話していればすぐに蒸気船が港に着いて二人で降りていき、港だけだったケセドニア大陸とは打って変わってグランコクマ大陸のここには賑わっている港町が併設されていて、夕暮れ時に近いとあってか港から見える市場は夕飯の買い物客で賑わっていて、一見すればケセドニア大陸と何ら変わらないようなとも思っていき
港がこんなに賑わってるってのは結構新鮮な感じだな
(一見してケセドニアとは変わらない感じはするが、やはりこうして港が町となり栄えているのを見るに海辺での産業などが賑わっているということで、そういった僅かな差異で文化の違いみたいなものもあるのではないかとも考えていて
ええ、確かにそうですね。
__……カイル、今晩泊まる宿なのですが今から探しに行きませんか?
(相手の言葉に頷いて、きっとこの海域では魚が沢山取れるのかもしれないと思いながら市場を眺めていたが、ふと今日はいつものように村の自宅に帰れるわけではないので寝床を確保する必要があることを思い出し、時刻はまだ夕暮れに入ったばかりなので焦らなくても大丈夫なものの、自分も彼もこのグランコクマ大陸の港町の土地勘は無いので、早めに探そうと提案していき
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