匿名 2016-01-17 15:37:04 |
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…?
(薄れゆく意識のなか、体を掴まれる感触を感じれば目をうっすらと開き。するとそこには伝説だと思っていた人魚の姿があり「幻覚か…俺ももう終わりか」と苦し紛れに口角を上げながらまた目を瞑って
っ…と、とりあえずここでっ…
(海岸の辺りでやっと顔を出せば、どこか体を安静にできる場所を探しては、砂浜の所に今は使われていない用具置きのような場所があり、なんとか相手をそこまで運べば扉は付いていないが、布で壁が作られているので何もないよりはマシだと思い、自分も少し陸に上がっては相手を仰向けにさせて肺に酸素を送ろうと相手の顎を少し持ち上げて人工呼吸をして)
っ…!?ぶはっ…!
(薄れた意識がどんどんハッキリしてくると沈んでいる間に飲み込んでしまった海水を吐き出して。「げほっ…げほっ…君が助けてくれてのか…?」と一番に視界に映った相手に咳き込みながら問いかけて。よく見ると相手の下半身は魚のようなものであり「き、君は…?人魚かい!?」と目を見開いて驚愕しながら問いかけて
──!?
(相手が目覚めるとは思っていなかったのか、こちらも驚いた表情を見せては親から言いつけられてきた「決して人間に見つかってはいけない」という言葉を思い出して、相手が完全に自分の姿を見たと思い困惑した表情になっては慌てて海へ戻ろうとして)
ちょっ…!?
(困惑した表情で急いで海に戻ろうとする相手は陸上ではやはり動きにくいのか、起き抜けの自分でも容易に追いつくことができ、相手の腕を掴んで静止させて。「と、とりあえず…ありがとう…」とお礼を述べ「君の名前は…?」と続けて問いかけて
……ぃやっ──!?
(相手に腕を掴まれれば親から人間に捕まったら殺されると聞かされていたことを思い出して恐怖したのか上記のように小さな悲鳴をあげたが、次に相手から発せられた言葉を聞いては驚いて続いて名前を聞かれてはゆっくりと振り向いて「セシル…」と凛とどこか儚い絹のような声で名前を答えては相手の顔を見上げて)
セシル…か
(相手が凛とした声で名前を教えてくれば反芻するように上記のように述べて。「俺はツバキ。とにかく、改めてありがとう」と深々と頭を下げれば「人魚って…ホントにいたんだな…」と相手の姿を眺めながら述べて
ツバキ……
(相手が己の名前を名乗ればポツリとその声で相手の名前を呟いて。何故か目の前にいるこの男だけは聞いては親が言うような野蛮な人間のイメージとはかけ離れており危険はないのかもしれないと、思っては相手が自分の姿を見てくるので恥ずかしくなったのか頬を赤く染めて「あまり、見ないでっ」と顔を背けながら言って)
あ、あぁ…ごめん
(相手が恥ずかしそうに顔を赤らめながら顔を背けると、相手の体から視線をそらして。しかし、初めて見た人魚にやはり興味がいってしまうのか相手に視線を戻せば黄金色に輝く髪に美しい青色の尾びれ。「さわってもいいか?」と相手の尾びれに手を伸ばして問いかけて
…い、いいけど、変な触り方はしないでっ…
(相手が触ってもいいか?と問いかけてくれば何故か恐怖心はほとんどなく触ってもいいと許可するが、尾びれは言わば敏感なもので誰かに触れるのは初めてなのか少し震えていて)
わ、わかった…
(少し震えながら待っている相手の尾びれにぴたっと触れれば、撫でるようにして触り「わあ…しっとりひんやりしてるな…」とその肌触りに病みつきになったのか相手に言われたことを忘れてなで続けて
っ…ぁっ……そ、それ以上はっ、触らないでっ…
(相手の手が触れれば敏感なので体が少し震えては、すぐに終わるだろうと思っていたが相手の手は止まることなく触り続けていれば体をビクビクさせながら上記を言うが、その顔は赤くなっておりやはり、このまま殺されるのではないかと不安になり)
ご、ごめん…つい
(相手が体をビクビクと震わせていることに気づけば上記のように謝り。「さっきから怯えてるみたいだけど…俺が怖いか?」と先程から気になっていたことを問いかけて。童話では人魚の肉を食べると不老不死になると変な噂が言われているため、もしかしてそれで怯えているのではないだろうかと思い
…分からないっ…怖いと言われれば怖い気もする…でも、貴方は────
(相手の問いかけに少し考えてはゆっくりと上記を言うが、最後の言葉は風によって遮られするといつの間にか嵐は止み晴れ間が雲の隙間から見えては優しい太陽の光が海も大地も、今自分達がいるところも明るく照らして)
うわっ…
(相手が言葉を紡ぐが最後の方は急な風に吹かれて遮られて。すると嵐は止み、自分達がいるところにも光が差してくれば「嵐、止んだな…」と空を見上げながら呟けば「セシル…最後の方なんて言ったの?」と聞こえなかったため、再度問いかけて
貴方は…怖くない……
(相手が聞こえなかったのかもう一度最後の言葉を言っては「だって、似てるのよ…」と何かを思い出したかのような瞳で相手のことを見つめてはあの本に描かれていた王子にどこか相手の面影が重なれば自分がなぜ相手を怖くないと感じだのか分かって)
俺は…か
(相手が聞こえなかった言葉を教えてくれればその言葉を反芻して。自分は怖くないということは自分以外の人間は怖がるはず。「なぁセシル、今度からここで会わないか?人間のことを教えたりするからさ。あと、絵も描かせてくれないか?」と瞳をキラキラさせながらそう問いかけて
(今日は落ちますね
…また、ここで会える…?
(相手がまたここで会おう、と言えば自分に問いかけるような口調で上記を言えば、すぐに表情が曇り「私のことは他の人間には絶対に言わないって約束して。でないと、私は……何でもない。とにかく、私のことは秘密して、お願い」と付け足しては自信の右手の小指を出して「人間の世界では小指同士で約束をするんでしょ?」と少し首を傾げて)
わかった
(相手が表情を曇らせながら問いかけるような口調で呟けば、他の人間に言わないでと言われればやはり人間にバレることを恐れているのだと理解して。相手が右手の小指を出してくれば「どこでそんなの覚えたんだよ」と苦笑すればこちらの小指を相手の小指に絡ませて「ゆーびきーりげーんまん…」指切りのお作法をして
本で読んだのよ。人間の住む世界は本で読んでるの。でも、現実は違うってお母さんが……何でもないわ。
(普段本を通して人間の世界の情報を調べているが、それはあまりにもファンタジーな内容であるがために、本人はそれが当たり前だと信じている。「早く、帰らなきゃ」と慌てて海へ戻って海に飛び込めば数分後何やら貝殻を持って浅瀬まで行き相手に差し出して「貴方がここへ着たら、これを吹いて。そうすれば、分かるわ」と小さく微笑んで)
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