刀剣乱舞昭和パロ／清光×安定／置きレス,長ロル推奨

僕は、大和守安定。ごくごく一般的な家庭で育った所謂庶民。突然だけど、僕の話を聞いてよ。
僕は、小学校の頃家の近所にある私有地の山で出会った”清光”って男に恋をした。勿論私有地だから勝手に入っちゃいけなかったんだけど、当時の僕はそんなこと知らなくて、純粋に山の植物を見に来ていた。好きなんだ、花とかそういうの。時間は経って中学の頃、僕は清光に告白された。酷く驚いたし死ぬほど嬉しかった。だけどその気持ちを受け入れることはできない。僕は庶民で、清光はお金持ち。僕は男で、清光も男だから。毎日の様に遊んでいたはずが距離を置くようになった。辛かったけど清光を忘れるためには仕方がない、清光も、そうして僕を忘れてくれたら良い。
やがて僕は中学を卒業して高校、大学へと進学した。中学校へ入れてもらえるだけでありがたかったのに、勉強ができた僕に高校への進学を勧めてくれた両親には本当に感謝している。無理をさせてしまっただろう。だから僕は高校に入ってからますます勉強を頑張って、ずっと興味があった農学部のある玉.川大.学を受験し、学費の免除も勝ち取った。私立であるこの大学に通うのはお金持ちばかり。自分は浮いている様な気もしたけれど、面白そうな研究室へ入ることもできたし満足していた。本当に僕の人生は良いこと尽くしだと思う。だってまさか、まさか同じ大学同じ学部同じ研究室に、清光がいるなんて思いもしなかったから。
僕は素直に喜んだよ、まだ清光の事が好きだったから。だけど嬉しい反面”早くこの想いを消し去ってしまわなければ”とも思った。なぜって、一度振っているんだから。その上自分から距離を置いたんだ、今更馴れ馴れしくなんてできやしなかった。それにきっと清光は、もう僕の事なんか好きじゃないと思う。
そんなある日のことだ、僕が清光に”一緒に帰らないか”と持ちかけたのは。気まずい雰囲気はきっとどちらも感じていた、だけど彼奴が毎晩のように座敷遊びに通っているなんて噂を聞いて黙ってはいられなかった。大学を出て二人で歩く、僕の家も安定の家もここから徒歩圏内。うんとゆっくり歩いて夜を更けさせて、清光が家に帰るのをこの目で見届けよう、座敷遊びになんていかないように。そんな事を考えていた。すると道中の神社で縁日をやっているのを見かけた。懐かしい、昔一緒に来たっけなあなんて考えていると清光が寄って行こうと誘ってくれたので僕は二つ返事で頷いた。内心ガッツポーズをしたけどそんなのはおくびにも出さずくじを引いたり林檎飴を食べたり、とにかく楽しんだ。清光も、楽しんでくれていたらいいなと思う。


だからしまったと思った。僕がうっかり清光にしてしまったことを。安っぽい瓶のサイダーを傾けて、美味しいなって笑った清光の、唇を奪ってしまったことを。
僕はいても経ってもいられなくなって走って逃げてしまった。本当にバカだ、なんてことをしてしまったんだろう。あの時はほとんど無意識だった、だって清光があんな顔で笑うから、あんな顔で笑ってくれるから。
やっぱり、好きだと思った。清光の事、好きだと思った。


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