主 2015-12-23 12:06:24 |
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……っ、
(離れていってしまう相手を追いかけたくても体も口も動かずに黙ったまま俯き。階段を降りる音が聞こえれば撫でられたところに触れ潤んだ瞳を閉じ「ごめんなさい」と届かない声を漏らして)
あれ、兄さん達帰ってきてたのか。おかえり。…あー…一松は上で寝てる。
(もしかしたらこの頼りない兄に失望したかもしれないと表情を暗くさせながら居間へ入るといつの間にか皆揃っており、いつもならイタい台詞の一つや二つ言ってるが今回はそんな余裕は無く。一松はと三男に問われればちらりと階段を一瞥しつつありがちな嘘を吐けばいつもの表情張り付け机の前に腰を下ろし。)
…カラ松……?…、いやだ、見捨てないで……
(下から聞こえてくる声たちに小さく溜息をつき、じっと暗い部屋の隅にいるといつの間にかうとうとして。朦朧とした意識の中、相手が自分に「もう嫌いになった」と言って離れていく夢を見ると、目からは涙が伝いがたがたと震えながら寝言を言って)
フッ…仕方がない。俺が呼んでこよう…。
(他愛もない話をしているといつの間にか飯の時間になっており、皆寛いでいるからか動きたがらずその様子に小さく笑った後いつものようなセリフを吐けばイタいと投げつけられた座布団をキャッチしつつ階段へ上がり襖を開け「一松。飯の時間だぞ…ん?…本当に寝てたのか…」と声を掛けるが返事が無く静かに近寄ると何か嫌な夢を見ているのか涙を流す相手に眉を顰め、隣に座り相手の涙を指で拭えば「一松、」と小さく声を掛け。)
……やだよ、カラ松…
(はっきりとしない意識が自分を呼ぶ声で引き戻され、夢うつつで隣にいた相手の服にしがみ付くと震える声で。また涙が溢れそうな目を覆うように相手の胸に顔を押し当て「なんで、なんでもう僕と、帰らないなんて言ったの…っ」と素直に聞くことができなかったことを問い)
一松…?え、あ…そ、れは……俺は、お前の側に居たらダメって言われて…だから、その…ごめん…
(寝ぼけているのか珍しく自分の胸元に来る相手を心配そうに覗き込んでは次に問い掛けられたその質問に動揺し。言って良いのか迷ったが弟に嘘は吐けないと途切れ途切れに答えては愛する弟を悲しませてしまった罪悪感に苛まれ奥歯を噛み締めて。)
は…言われたからって……そんなのっ、理由になってない…!
(相手の答えに眠気は一気に醒め、あまりの納得のいかなさに小刻みに震えるとかっとなって相手の胸倉を掴み。その勢いのまま相手を壁に押し当て「…なんで俺がカラ松の側にいたらダメなわけ?何、他人が勝手に介入してきてんの…そいつ、誰、教えて」とイラついた様子で詰め寄って)
ッ、ぐ……俺が、お前の側にいるとお前がダメになっちまうって…っ…俺の、友達が…い、一松、あの、友達は悪い奴じゃないんだ…!全部俺が…
(壁に押し当てられると小さく声を漏らし痛みで顔を歪めると詰め寄ってくる相手に身体を震わせ青ざめながらに両手を前に出し相手を制止させ、友達は巻き込みたくないのか首を横に振り。)
…は、もう手遅れなんだよ、今更何言ってんの?……へぇ、庇うんだ、やっぱり俺よりそいつの方が大事なんでしょ
(静止する手を乱暴にはらい、歪んだ顔にちっと舌打ちすると顎を掴んで首を振るのを止めさせ、相手が友達のことを考えて必死になっているのを見ると無性に苛立ち)
俺は、…友達よりお前ら兄弟の方が大切だ。でもやっぱ友達は巻き込みたくなくて…
(舌打ちされればびくりと体を揺らすもちゃんと相手の言葉を否定すれば相手の頬に手を添え。今言った言葉に付け足すならば“兄弟の中でも一松が一番大切”だろうかと目線を下に落とすと唇をぎゅっと噛み。)
またそうやって兄貴面して…本当っウザい、…ゴミクズな俺に惨めさを味わわせるのはそんなに楽しい?
(兄弟という言葉に眉をしかめ殴ろうと手を上げるが、頬に添えられた手を見ると無言で下ろし。じぃとこちらを見ない相手を凝視しながら「…何、その手。慰めなんて、いらない」と言っては睨み)
俺はそんなつもりで言ったわけじゃ…っ…
(上がった手にまた自分は失敗してしまったのだろうかと絶望の色に染まりながら目を瞑るも痛みは襲ってこず、恐る恐る目を開けてはこちらを睨んでいた相手に不快な思いをさせてしまったと慌てて手を退かし。「ご、めん…ほら、一松下行こう。おそ松が呼んでる」と眉を下げ謝罪を述べると下から自分達の名前を呼ぶ声が聞こえよいしょと腰を上げては相手の手を引き。)
………
(いらないといったのは自分なのにどこか名残惜しげに離れた手を目で追い。下からの声に苛立ちが疲れに変わって、ため息一つつけば「…わかった」とだけ言って引っ張られるとそのまま無言で階段を降りて)
遅くなってしまってすまない、兄貴達…愛しの弟と話しこんでしまっいてッ…はは、だろ?
(未だ手は握ったまま兄達の元へ足を進めると相変わらずな調子で謝罪を述べ、末弟に足を叩かれその痛みに苦笑いを浮かべていると長男から「仲良いなお前ら」と指を指され嬉しそうに表情明るくさせると握った手をぶんぶん振り。)
……チッ、仲良い、んなわけないじゃん。
(嬉しそうな表情に悪い気はしなかったが、自分も相手の足を蹴り手を放して一人部屋の隅に座って。「その…愛しの兄弟っつうのもウザいし」と気だるげにぼそぼそと呟き傍に寄ってきた猫を抱え。じとりと横目で相手を見た後、夕食を運んでくる母が現れればそれから布団に入るまで誰とも話すことはなく)
あの、一松。…えっと…今日は悪かった。気に障ることも言っちまったみたいだし…
(布団に来てからも先程相手に言われた言葉が頭の中でぐるぐると回り続け嫌われた、どうしようと焦っては寝転がれず座ったまま相手を見下ろすと恐る恐る頭に手を置き壊れ物を扱うように撫でて。)
……許したら兄さんは僕と一緒にいてくれるの?
(相手に背を向け寝転んだまま目を閉じ、眠気のせいかはっきりしない声でぽつりと呟いて。「いや、むしろ許さないのはアンタの方か。実の兄を殴る最低でドクズな弟だもんな」とネガティブになって自暴自棄に言い放ち)
…馬鹿、お前はどクズなんかじゃない。殴られるのは慣れてるからな…昔はよく兄さんと喧嘩したもんだ
(ネガティブになる相手に小さく息を吐いた後軽く頭を叩けば昔のことを思い出し薄く苦笑いを浮かべ。「許さないものなにも俺は気にしてない」と付け足せば眠たげな相手にこれ以上話しかけては迷惑だろうと口を噤むと隣の弟を起こさないよう静かに横になり。)
……カラ松、寝た?…
(黙ったまま話が終わるまで聞き、言葉が途切れれば相手が寝ているのを確認してから体の向きを変え。相手の背中に顔を埋め「…ごめん、兄さん」と呟き、そのまますうすうと小さな寝息を立てて眠りについて)
…一松、お前が謝る要素なんて一つも無いぞ。全て俺のせいなんだ。俺がまだ未熟だから、…ごめん…。
(いつもより早く起床すると相手が起きない内にと急いで支度をし、着替え終わった後まだ眠っている相手の元へ歩み寄ると昨夜相手が呟いた言葉に返すようこちらも呟いて。相手の頭を撫でた後静かにその場を後にすれば早足で学校へと向かい。)
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